俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような?   作:ボストーク

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皆様、こんにちわ。
今回のエピソードは……死亡者数暫定1位の回かもしれません(えっ?

新装備の”実験台(モルモット)”が大量にいるせいか、イッセーがドライグと一緒になって実に楽しそうに暴れています(^^







第43話 ”赤龍帝の軽装鎧ってなんですか?”

 

 

 

『どうだ相棒? ”軽装鎧(ライトアーマー)”の着心地は?』

 

「悪くないね。実戦での使い心地はやってみないとわからないけど」

 

俺は始めて実戦で使用する、”赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”と同じ赤で同じ意匠の「翠の宝玉(オーブ)が埋め込まれ、鋭く長い()()が付く”ショルダーアーマー”」と「靴と一体になった同じく翠の宝玉(オーブ)が埋め込まれた”レガース”」の感触を確かめながらドライグに答える。

明らかな重量物を両肩と両脛に装着してるのに、重さを全く感じない……既に体の一部と感じてる辺り、俺が溜め込んでいた最大量の半分を用いた「”素龍子(DQ粒子)”を量子転換して精製した擬似物質化」は成功したことはわかったけど。

 

『だから、そのために連中がいるんだろ?』

 

「それもそうだな」

 

俺は事態がまだよく飲み込めてないような顔をしてる二十数名の()()()……大王派の跳ねっ返り上級悪魔に鐘や眷属入りを餌に唆され、その身を晒した哀れな()()()の群れを俺は一瞥し、

 

「どうせ死ぬなら、有効利用しないと……なっ!!」

 

『Extension !!』

 

俺は籠手の五指爪剣、指向性高周波微細振動(メーザーヴァイブレーション)ブレードとなってる”龍爪牙刃(ドラゴン・トゥース)”を延伸(エクステン)させ、

 

”ジャッ!”

 

「ふごっ!?」

 

走り抜け際に雑魚悪魔の首筋を切り裂いた!

まるで焼けたナイフをバターに押し付けたような手応えの無い感触だったが、威力は十分。

ゴロリと地面に落ちた首が何よりの証拠だ。

 

”ぱきゃっ!”

 

俺は赤いレガースを纏った足で転がった首を踏み割り……

 

「俺は”戦争しようぜ”と言ったんだけど?」

 

ただの”動かない的”を相手にするのはごめんだぜ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***********************************

 

 

 

 

 

 

俺、兵藤一誠が”赤龍帝”こと二天龍の片割れ、”赤い天龍(ウェルシュ・ドラゴン)”【Y Ddraig Goch(ア・ドライグ・ゴッホ)】と意思疎通が取れるようになってから、夢を通じて「龍としての在り方」や「龍の戦い方」を授かっていた。

 

その修行の中で俺は”一つの力”を手に入れることができた。

それが、”赤龍帝の軽装鎧(ブーステッド・ギア・ライトアーマー)”だ。

 

 

 

神滅具(ロンギヌス)を含む”セイクリッド・ギア”は、”バランス・ブレイカー(禁手)”と呼ばれる、一種のオーバードライブ・モードが存在していた。

セイクリッド・ギアの力を高め、ある領域に至った者が発揮する力の形……というのが定説で、セイクリッド・ギアごとにそれぞれ固有に存在してるようだ。

 

例えば、ドライグの封じられた俺の”赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”には、”赤龍帝の鎧《ブーステッド・ギア・スケイルメイル》”というフルプレイト・メイル形態が設定されている。

 

しかし、そのハードルは高く……俺は未だに『禁手の鎧』を纏うまでには”()()()”いない。

 

そこでドライグのアドバイスを元に編み出したのが、”素龍子”……龍の原初たる力の最小単位であるDQ粒子を俺のイメージを叩き台に量子転換で物質化し、「擬似的かつ限定的に禁手化(バランス・ブレイク)を再現させる方法」だった。

ドライグに言わせると、

 

『いいんじゃないか? 相棒が禁手に至ったときのいい練習になる』

 

とのことだ。

こうして”赤龍帝の軽装鎧(ブーステッド・ギア・ライトアーマー)”の基礎概念は出来上がったが、後の戦闘を考えれば使えるのは全素龍子保有量の半分が限界だ。

俺の現在の最大粒子保有量(リミット・キャパシティ)では、精製できるのは前出のショルダーアーマーとレガースだけだった。

ただのエネルギーを「擬似的に物質化させて安定させる」のは、とかくエネルギーを食うものらしい。

 

厳密に言うと、このような状態は”禁手化亜種(デミ・バランスブレイク)”の一種に該当するらしいのだけど……ドライグによれば、

 

『そんな上等なもんじゃねえさ、相棒。力不足ゆえの禁手とは呼べない()()()()()()()()と思っておけばいい。要はまだまだ精進しろってこった』

 

ということのようだ。

 

 

 

***

 

 

 

「こんのクソガキがぁーーーっ!!」

 

「挽肉にしてやんぜっ!!」

 

ようやく自分の仕事を思い出したらしい悪魔が左右から獲物を振るい迫り来るが、

 

(好都合!)

 

さっそくこの装備を使えるなんてな。

 

「ドライグ! ”飛翔剣鱗(スケイル・ハーケン)”!」

 

「Slash Off !!」

 

両肩に精製された「”両刃剣のような”長く鋭い()()」が細いケーブルを靡かせながら噴射と共に射出され、

 

”ザクッ!”

 

「「はぐっ!?」」

 

二体の悪魔の胸板を奇襲気味に貫いた!

この”スケイル・ハーケン”の両刃部分は、ドラゴン・トゥース同様にメーザー(M)ヴァイブレーション(V)ブレード構造になっている。

いくら人間より頑強な悪魔とはいえ、亜音速で突入してくるそんな物騒な代物の直撃を喰らったらひとたまりも無いだろう。

事実、スケイルハーケンは見事に命を刈り取っていた。

 

()()()()されているスケイル・ハーケン”を、俺は目で見える形で操作することはない。

ハーケンに内蔵された自在可動式(ポールマウント)噴出孔をもつ高機動スラスター・ユニットを動かして逆噴射(スラストリバース)させることで引き抜き、

 

「もういっちょ!」

 

再加速させ、死角からもぐりこむようにまた別の悪魔二体を刺し貫く!

 

「これで合わせて”六殺”か」

 

 

 

大体、ネタはばれたと思うが……両肩の突起は”飛翔剣鱗(スケイル・ハーケン)”と呼ばれる、簡単に言えば前出のMVブレード構造の刃部分と高機動ポールマウント・スラスター、DQ粒子供給ケーブルで構成される「俺の思念で誘導(ホーミング)できる遠隔操作兵器」だ。

UCダンガムのファン的には有線誘導式ファンネルと言いたいけど、構造的にはむしろダンガム00に出てくる「”GNファング”を有線エネルギー供給式に改造し、ビーム射出機能をオミットしたもの」と考えたほうが近いかもしれない。

 

ケーブルで繋がってる以上、動きに制限が無いわけじゃないし稼動範囲もそう長くは無いが、俺の動きや体勢とは無関係に機動できるのが強みだ。

またハーケン本体に推進装置(スラスター)が内蔵されているため、再射出の為にいちいちケーブルを巻き戻して元の位置に戻すというアクションが要らないのも助かる。

 

 

 

では、レガースはと言えば……

 

「ブースト・ダッシュ!」

 

「Boost and Dash !!」

 

”ギュン!”

 

靴と一体になった膝から下全体を覆うようなレガース、その靴底の部分に仕込まれた『電磁結束式の流体金属製|電磁駆動(リニア)ローラー』が地面を削るように急速回転し、また脹脛(ふくらはぎ)の部分に仕込まれた三次元可動式のベクタードノズル・バーニアから電磁加熱で膨張した高温高圧の圧縮空気が噴出される。

ようやく戦闘態勢に移行しようとしていた集団に半ば多勢に無勢の形で包囲されようとしていた俺は、この二つの相乗効果で得た高速ローラーダッシュ走行であっさり敵包囲をすり抜けた!

 

ショルダーアーマーを”攻防一体の装備”と定義するなら、レガースは”走攻防一体の装備”と定義できるかもしれない。

 

もっとも攻はさほど強力じゃない。

直接的な武器はリニアローラーと同じ電磁結束式の流体金属製を用いた爪先に仕込まれたブレード”トゥ・トゥース”と、強いて言うならリニアローラーの表面流体金属をスパイク状や刃状にすることにより一種の回転鋸(バズソー)として使うことが出来るくらいだ。

実はさっき、人間より遥かに硬く頑丈な悪魔の頭蓋骨をあっさり踏み割れたのはこの装備のお陰だったりする。

 

機動力は見ての通り。

接地面形状(トレッドパターン)を自在に変えられるリニアローラーとベクタード・バーニアにより路面状態を問わず高速走行から漫画”エアロギア”並みのアクロバティックなプレイも可能だ。

 

防御は……ショルダーアーマーもそうだが、通常の防具としての機能以外にも宝玉部分を制御システムとする”特殊防御装備”があるんだけど……

 

(それを使う必要も無いのかもな)

 

 

 

***

 

 

 

包囲を突破した俺を追いかけてくる二十体の悪魔の群れ……俺は振り向き、それに向けて左掌を翳す。

 

(イメージするのは圧縮と分割……)

 

体内の全ての素龍子の半分を掌に集め、圧縮し、表面を電磁硬化させた1200発のエネルギー弾に分割練成するイメージ……そして、

 

(解放する!)

 

「”殲滅の剣龍散弾(ドラゴン・クレイモア)”!!」

 

『Maximam Shoot !!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、ご愛読ありがとうございました。
オリ設定の”赤龍帝の軽装鎧(ブーステッド・ギア・ライトアーマー)”や各種新装備が乱れ飛ぶエピソードはいかがだったでしょうか?

裏話ですが、実は ”飛翔剣鱗(スケイル・ハーケン)”の元ネタってダンガム……じゃなかった。ガンダム系ではなくコードギアスのスピンオフ漫画『ナイトメア・オブ・ナナリー』に出てくる”アーニャ座乗するトリスタン”という珍しい設定のKMFが装備していた「自在軌道可変型MVSハーケン」だったりします(^^

しかもレガースを含めてこれらの装備は、将来的に禁手化に至った時点で進化したりして……
ということは”この世界”の赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)って結構、変態装備かも?

さて、次回はバトルエンドになりそうですが……果たして?
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!





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