俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
日付的には一日二話投降だったりしますが(^^
さて、今回のエピソードは……いよいよ”使い魔マスター”の正体が明らかに!
ってまあ、
さて生徒会+オカ研合同チームの9名は、本日”使い魔の森”へとやってきた。
目的は二つの組織の新入り転生悪魔、アーシアと匙の使い魔をゲットするためだ。
俺、兵藤一誠は、既に愛猫……実は「
だが、”使い魔の森”に転移魔法で着いた俺たちを待っていたのは……
「使い魔、ゲットだぜ!!」
木から変質者が降ってきただとぉっ!?
「ドライグ!」
『わかってるぜ、相棒!』
頭上を取られた俺は”
「早速、奇襲とはやってくれるじゃねぇか!」
”ヴゥオン!”
俺は
、”ドラゴン・トゥース”とは籠手の指先と爪の部分で形成される五指分の爪剣だ。
具体的に言えば、爪剣部分は『
また、”
例えば、こういう”
正直、これ以外では現状、普通の肉弾技しか放てない。
俺に奇襲をかけられるような相手じゃ、それはどこまで有効かわからない……
(チッ! これは俺の油断が招いたことだ……)
殺気や気配を見逃してたことがその証拠……いや、それとも殺気や気配を気取られないで襲撃できるほどの相手ってことかっ!?
「一誠、おやめなさい!」
刹那、俺の耳に飛び込んできたのはソーナお嬢様の制止の声。
俺は正体不明の相手、その人型の胸に放とうとしていた左手の”貫き手”を慌てて止める。
「彼は敵ではありませんよ?」
ニッコリ微笑むソーナお嬢様……って、えっ?
「おっそろしいガキだなぁ、おい。シトリー家のお嬢ちゃんが止めなけりゃあ完全に俺の心臓を
とそうぼやきながら着地したが、
「いえ、お嬢様。お言葉ですが間違いなく敵です。敵じゃなれば不審者、さもなくば変質者」
俺は油断無く再び貫き手の構えを取る。
『Boost !!』
「ちょっと待てぇい!?」
いや、だってさ……
どっからどう見たって、
「いい歳こいたオッサンが、タンクトップとハーフパンツとかありえねーし」
「おいコラ、クソガキ! 人を見た目で判断しちゃなんねぇって学校で習わなかったのかよ!?」
「理屈じゃそうだが、ほとんどの場合は人は見た目で判断するぞ? それに俺もお前も人間じゃなくて悪魔だろーが?」
「一誠、気持ちはわかりますが……彼が”ザトゥージ”さん。今回、ガイドを引き受けてくださった使い魔の”
と追加説明を入れてくれたソーナお嬢様だったけど……
「へっ?」
「おうともよっ! 俺にかかればどんな使い魔でも即日ゲット! 人呼んで”使い魔マスター”のザトゥージ様たぁ~、俺のこった!」
ビシッとサムズアップしてドヤ顔を決めるオッサン……って、嘘だろ?
***
何やら使い魔マスターのオッサン……ザトゥージだっけ?から説明を受けるアーシアと匙、そして俺。
俺は使い魔を
「使い魔ってのは
「しかし、レーティングゲームじゃ使い魔に許されてるのは基本、補佐だけで戦闘への直接干渉は禁止だろ? 宝の持ち腐れじゃないのか?」
確か強力な使い魔は、使用制限がかけられるから強力な存在は眷属にするのが普通だとかなんだとか……
「チッチッチッ! クソガキが『この先ずっと、レーティングゲームしかしねぇ』ってんなら、それも正論かもしんねぇけどな……特にお前はそうじゃねぇだろ?」
ああ、つまり『
「……何故、そう思ったんだよ?」
「俺の
見た目はともかく、やはりプロということか。
見るべきところは、しっかり
「こう見えても俺っちは使い魔マスターって呼ばれるくらい、数々の使い魔候補どもと対峙して来た。中にはとんでもなく警戒心の強い奴もすばしっこい奴もいる……知ってっか? 生け捕りにするってのは殺すよりずっと難しいんだぜ? それに反応できたお前は何者だよって話だぜ」
「いや、正直……木の上にいただろうオッサンの気配は、全く読めてなかったよ。大した
ならコッチも正直に言ったほうが、答え合わせになるだろう。
「俺がオッサンの気配に気付いたのは、気配の遮断を消して木から飛び降りた瞬間さ。だからそこから即応できる戦術を選んだだけだ。オッサンが
「かぁ~っ! クソガキ、お前どんな反射神経してんだよ? あのタイミングで反応できた……俺っちを殺ることができたのはお前さんだけだ。それ、完全に”
それが見抜けるってことは、戦場帰りってとこだろうなぁ……
「オッサンも”先の大戦”の生き残り……元帰還兵ってとこか? いや、おそらく技能は”
するとオッサンは苦笑いして、
「さあな。俺は今は”
「まっ、オッサンがそう言うならそうなんだろうさ」
どんなドラマがあって”使い魔の森”なんてとこにいついてるのか知らねーけど、それを詮索するのは野暮ってもんだろうし。
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”ピッシャァーーーン!”
俺の足元を雷撃が襲った。
「ほう……仔龍の分際で俺を襲うとはいい度胸してんじゃないか?」
俺は上空を見上げる。
そこにまだ不器用に羽ばたいていたのは、一匹の龍の幼体だった。
「おお。ありゃ”
サムズアップして妙に嬉しそうなザトゥージのオッサンに、
『相棒、あのガキ、さては自分の縄張りに別の龍が入り込んだと思って攻撃してきたな。さっきのは差し詰め”警告”ってとこだろう。「ここから先は俺の縄張りだ。入ってくんな」ってな』
とはドライグの弁。
チッ! ”
「オッサン、アイツは使い魔にできるのか?」
いや、さっきからアーシアが「可愛いですぅ~♪」を連発してるから、出来ることならゲットしたいとこだけど……
「いんや。スプライト・ドラゴンは”心の清い者にしか懐かない”って性質があんだよ。って訳で基本、悪魔に降るってのはねーわな。俺も手懐けた悪魔は見たことねーや」
「そうか……」
なら別に遠慮する必要はないだろう。
『実力で排除するのか?』
「まさか。”O・HA・NA・SHI”してどこかに消えて……間違えた。縄張りを通してもらうだけさ」
さすがにアーシアの前で、”ドラゴンの
変なトラウマになっても困るし。
「ソーナお嬢様、グレモリーお嬢様、皆を連れて下がっていてください。どうやら標的にされているのは俺だけみたいですし」
***
俺は一歩前に出て、
「いくぜドライグ! 相手はちっこくても同じ龍だ。ドラゴン・ファイトと洒落込もうじゃないか」
『あいよ』
俺は左の掌を仔龍に向けて
『Boost! Boost!』
俺は結局オッサンに撃たなかった溜め込んだエネルギーを2ターンほど”
「ぴぃぃぃぃーーーっ!!」
「はえっ?」
そのチビ
アーシアの腕の中でガタガタ振るえ、こっちを怯えた目で見てる気がするのは気のせいか?
「ドライグ……何がどうなってるんだ?」
『大人気ないぜ? 相棒』
何故だかドライグは笑いを含んだような声で、
『年端もいかないガキ相手に、抜き身の刀を首筋に押し付けるみてぇな剥き出しの”
ドライグ……さてはオチを見えてて放置したな?
俺はなんとも微妙な気分のまま励起状態にあったエネルギーを籠手に戻し、”
この盛り上がったまま不完全燃焼させられた遣る瀬無い気分は、ホントどうすりゃいいんだよ?
皆様、ご愛読ありがとうございました。
ザトゥージが、なんとなくベトナム帰還兵っぽくなってしまったエピソードは如何だったでしょうか?
一応、「基本、野生動物の使い魔を殺さず捕獲できるんだからハンターとして腕が立つんだろうな~」とか思っていたら、いつの間にか「先の大戦を生き残った実力派悪魔。謎の多い元”
イメージは、「原作ザトゥージ+”3”までのランボー(スタローンの映画の方)+バオ(ブラックラグーン、”イエローフラッグ”のマスター)÷3」でしょうか?
さて、後に”ラッセー”くんと名づけられるだろうチビ
実はラッセーが”縄張りに侵入した龍”として警戒したのは、ドライグではなく”
次回は粘液系が登場かな?
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
ご感想や評価をいただけると、とても嬉しいです。