俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような?   作:ボストーク

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皆様、こんばんわ。
今回は結構、久しぶりな気がする深夜アップとなりました。

さて今回のエピソードは……基本、生徒会とオカ研の顔合わせ→”使い魔の森”ルートです。

ただ、シトリー家の意外な面が見えたりして……




第36話 ”オカ研ってなんですか?”

 

 

 

さて、本日は俺こと兵藤一誠はソーナお嬢様と椿姫先輩に連れられて、アーシア共々オカ研、”オカルト研究部”の部室へと向かっていた。

 

ちなみに俺は毎度お馴染みのシトリー家御用達の執事(バトラー)服、アーシアが着ているのは……

 

(まさか翌日には用意されてるとは……)

 

「♪」

 

シトリー家お抱えの服飾職人が仕立てた、”シトリー家標準仕様の女中(メイド)服(フレンチ・タイプ)”だ。

アーシアは何故かひどく上機嫌だった。

 

 

シトリー家とメイド服にまつわる話は、ソーナお嬢様が静かにだが熱く語ってくれた(何故に?)

 

そもそもシトリー家とメイド服の出会いは、19世紀の英国で主流だった”正統派ヴィクトリアンメイド”の頃まで遡るらしい。

ロングスカートで清楚な女中の正装……メイド服に感銘を受けた現シトリー家当主(ソーナお嬢様やセラフォルーお嬢様の父上)が即座に採用を決定したようだ。

 

しかし、時代は流れ……華美で動き易いようにスカート丈を短くしたフレンチメイド・スタイルが登場する。

シトリー家当主は、その華やかさとニーソとの組み合わせによる破壊力に心奪われ、それはまさに「メイド服の新時代到来を告げる福音!」と衝撃を受けた……らしい。

福音って……シトリーパパって悪魔だよね?

 

だが、長年メイドたちに愛用され年を追うごとにアップデートを繰り返したブリティッシュ・スタイルのメイド服も廃棄するには惜しすぎた……

捨て去るには、試行錯誤した日々の思い入れが強すぎ、美しいメイド達との思い出が美しすぎたのだ。

 

要するに……シトリー家当主にとってメイド服とは、『服の形をした媚薬』だったようだ。

 

 

 

そこでシトリー家当主は考える。

 

『なら両方をこれからのスタンダードにしよう! 好きに選べるようにすれば、両方楽しめ問題が無いではないか!』

 

うん。もうなんだか色々駄目な判断だった。

だが、シトリー家ではそうは思われなかったらしく、「さすが当主様! なんという果断さ! まさに目から鱗! そこに痺れる憧れる!」と男女問わず使用人から大絶賛だったらしい。

駄目だコイツら、早く何とかしないと……

 

ともかく、かくてシトリー家は二つのタイプのメイド服を並列採用するという結論に至ったようだ。

 

 

 

***

 

 

 

「大丈夫か? シトリー家……」

 

「一誠、何か言いました?」

 

「いえ」

 

セラフォルーお嬢様の魔法少女好きもしくはコスプレ好きは、きっとシトリーの血がなせる(わざ)に違いない。

俺の直感がそう告げている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*************************************

 

 

 

 

 

 

「よく来たわね。ソーナ」

 

「本日はお邪魔させてもらうわ。リアス」

 

オカ研部室を訪れた俺たちだったけど、先ず始まったのは主同士の旧交を温めるような挨拶からだった。

 

言い忘れていたけど、今回オカ研に出向いてるのはソーナお嬢様を先頭に、椿姫先輩と俺、それにアーシアの四名だけだった。

由良をはじめ、残りは生徒会室で留守番だ。

 

「それとイッセー、改めてあの時はありがとう。あとアーシアもゲンシローを治療してくれて。それとメイド服、可愛いわね? 似合ってるわよ♪」

 

と挨拶もそこそこにいきなり話を俺とアーシアに振ってくるグレモリーお嬢様。

いきなり愛称呼びはちょっと面を喰らったのは内緒だ。

ネタはフリードとの初エンカウントのときだ。

いや、俺はいいんだけど……

 

「い、いえ! とんでもないでしゅ! あう……噛んじゃった」

 

メイド姿でワタワタするアーシアが、なんだか小動物チックで可愛いぞっと。

噛むのもあざとく見えて俺的ポイント高し。

 

「いえ。お礼はあの時に存分に頂きましたし。それ以上は浅学菲才のこの身に過分というものです」

 

と俺は恭しく一礼。

ソーナお嬢様の手前、執事教育は伊達じゃないってとこを見せなければ。

 

「ふ~ん……」

 

おりょ?

なんでグレモリーお嬢様、口元は笑ってるのになんで目は笑ってないんだ?

というか値踏みされてる……いや、むしろ獲物を見る目で見られてないか……?

 

「ソーナ、自分の下僕悪魔を若執事に仕立てるなんて……いい趣味してるじゃない♪」

 

「お褒めに預かり光栄だわ。それと一誠は、あくまで()の”執事()()()”よ」

 

すると何を思ったかグレモリーお嬢様は両手を合わせて、

 

「ちょーだい☆」

 

「駄目に決まってるでしょう」

 

グレモリーお嬢様のおねだりに、ソーナお嬢様は即座に呆れた溜息で返した。

 

「むぅ~。ソーナのケチー。私も執事欲しいー」

 

「あのね。リアスにも立派な新人眷属君が居るでしょ? 匙君でよかったかしら?」

 

「うっ、うっす!」

 

唐突にソーナお嬢様に微笑みかけられた匙はちょっと慌てたように返事を返す。

うんうん。なんだか微笑ましい反応だな。

 

「なんだったら匙君に執事教育を施したら? もしかしたら、良い執事になるかもしれないわよ?」

 

「やーよ。ゲンシローはそういうキャラじゃないもの」

 

 

 

いや、なら俺はどんなキャラに見えてるんだ?

普通に考えて本来は執事向きの人材じゃないと思うんだが?

某『技名を叫んでから殴る』コンセプトの作品や妙に猫耳メイド服が似合う借金執事が出てくる作品みたいな”戦闘執事(コンバットバトラー)”ならともかく。

 

そして、なんとなく親睦会だか懇談会だかって緩んだ雰囲気になると思いきや、

 

「えい」

 

視界の片隅に()()()が映ったと思ったら……

 

”ぱぁん!”

 

刹那、俺のかざした左の掌に()()()()が収まっていた。

 

「今の奇襲……死角の狙い方もタイミングも踏み込みの鋭さも悪く無かったよ? ”小猫ちゃん”」

 

「あっさり止めて言ったところで、嫌味にしかなりませんよ? ”一誠先輩”」

 

 

 

***

 

 

 

「ちょ、小猫!?」

 

いきなりの奇襲に慌てるグレモリーお嬢様だったけど、

 

「ああ。グレモリーお嬢様、気にしないでください。これ、”俺ら”にとり挨拶みたいなものですから。祐斗の顔を見ればわかるでしょう?」

 

「あはは」

 

と苦笑いの祐斗。

 

「祐斗、お前は仕掛けてこないのか?」

 

「狭い部室で、しかもこんなに人数居るのに剣を振り回すのかい?」

 

「だが、小太刀とか短剣とか”室内戦で使える刀剣類”を創造(バース)できないわけでも、使えないわけでもないんだろ? 戦いはどこで起きるかわからないし、その辺りの訓練もやっといた方がいいんじゃないか?」

 

「そうだね。今後のトレーニングメニューに加えてみる?」

 

「ああ、”CQB”……”Close Quarters Battle(閉所戦闘)”は、やっておいて損は無いと思うぞ? 現代戦では重要視してるタクティカル・スキルだし。お前の”()()”だって室内戦の機会は、多かったはずだからな。()()()とか」

 

あっ、周りが置いてけぼりでポカーンとしてるな~と。

 

”ぽむ”

 

俺は誤魔化すように小猫ちゃんの頭に手を置いて撫でながら、

 

「最初の頃より本当にいい打撃になったね? 最初は棒で殴るように硬い打撃で、衝撃が正面に留まるような感じだったけど、今は大分柔らかくなって……鞭のようにしなり、インパクトが掌だけじゃなく内側までくるようになった。正直、この短期間でよくここまでって驚いた」

 

「話題の転換に使われたのは面白くないですが……誉められたのは嬉しいです。ご褒美にもっと撫でてください」

 

「はいはい」

 

俺は思わず苦笑しながらも、小猫ちゃんの要求どおり撫で撫でプレイを続行するのだった。

理由はわからないけど、自分でも不思議に思うくらい俺は小猫ちゃんに甘い気がする。

 

なんとなく愛猫で実は妖怪”猫又”な黒歌にじゃれつかれてる時と、感じが似てるからだろうか?

 

 

 

***

 

 

 

俺たちの関係の詳細を問われたのか、祐斗と小猫ちゃんがソーナお嬢様とグレモリーお嬢様に話してる間……

 

「兵藤、アーシアちゃん、この間はありがとうな」

 

と改めて匙から礼を言われた。

そういやあの時は見た目は瀕死だったから、こうして話すのは初めてだっけ?

 

「気にするな。困ったときはお互い様だ。それに礼はグレモリーお嬢様から既に貰ってるよ」

 

「はい♪ わたしも当たり前のことをしただけですから、どうか気にしないでくださいね?」

 

すると匙はきょとんとした顔をする。

 

「ん? どうした?」

 

「いや、話すのは初めてだけどさ……アーシアちゃんはともかく、兵藤ってどうも聞いてた評判と違うなってさ」

 

「ああ、そういうこと」

 

納得いった。

自業自得だけど、俺はとかく評判が悪い……端的に言えば、中学時代の俺を知る人間からはびびられてる。

高校にあがってからは大人しくしてるつもりだけど……それまでの行動を考えれば、当然だろう。

 

「兵藤ってもっとおっかないつーか……危ない奴かと思ってた」

 

「いや、それ正解だ」

 

「えー。そんなことないですよぉ! イッセーさんはとってもとぉ~っても優しい人ですぅ!」

 

「アーシア、庇ってくれるのは嬉しいけど、そっちの認識の方が間違ってる気がするぞ」

 

「それにしても、兵藤ってすんげー奴だったんだな?」

 

都合よく匙が話題を変えてくれたので俺はそれに乗ることにする。

 

「ん? 何がだ?」

 

案外、匙とは気が合うかもしれないな

 

「木場と小猫ちゃんのリアクションだよ。特に小猫ちゃんの割と本気の打撃を、片手で軽々受け止めたのは驚いたぜ!」

 

「ああ、あれか」

 

なら、匙には言っておくべきか?

 

「あれ、全然本気じゃないぞ?」

 

「うそん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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さて、生徒会とオカ研の顔合わせも終り……

 

「じゃあ、”使い魔の森”に行くわよっ!」

 

と音頭を取るのはグレモリーお嬢様。

とにかくこういう仕草や行動が似合う人なのはわかった。

 

面子は前出の生徒会四人+オカ研からは多分、フル面子。グレモリーお嬢様に副部長の姫島先輩、祐斗に小猫ちゃんと匙だ。

 

言うまでも無く使い魔をゲットする必要があるのはアーシアと匙だけで、俺は本当に見学だ。

 

 

 

そして、魔法による転移が終わると……

 

「使い魔、ゲットだぜ!!」

 

変質者が降ってきただとぉっ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、ご愛読ありがとうございました。
祐斗&小猫、オカ研メンバー久しぶりに登場のエピソードはいかがだったでしょうか?

実は地味にイッセーとの合同トレーニングの成果が出てる小猫ちゃんだったりして(^^

というか原作と違う意味ですが、さっそく懐いてるような?

匙はどうやら予想以上にリアスから可愛がれてるみたいです。
”二大おねーさま”に挟まれるポジションは普通に他の男子から嫉妬や羨望の眼差しを送られるポジションではないかと。

さて、「謎の使い魔マスター」も出てきたことですし、はたしてどんな珍道中が始まることやら……
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!

ご感想や評価などをいただけると、とても嬉しいです。



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