俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
さて、今回のエピソードは……イッセーが、ある方にある場所へご招待されます(^^
ただ、本人は決して行ってみたたかった場所でもないでしょうし、どちらかと言えばできることなら生涯行きたくなかった場所でしょう。
それとイッセー、最近魔王様とのエンカウント率が高すぎて、なんか色々麻痺してるような……?
「どうしてこうなった……?」
俺、今冥界に来てます。
それも巨大な城塞だか神殿だかを思わせるグレモリー家本宅に。
正確にはその一角にある執務室に。
みたこともない豪華なソファーに”
なぜか四大魔王の一角、魔王セラフォルー・レヴィアタン様が胸の谷間に俺の右腕を挟みこむように抱きついてます。
頭の上にいつものように我が家のアイドル、
この重みが唯一、日常を感じさせてホッとさせます。
そして、目の前には……
「そう、緊張しないでくれたまえ。せっかく”セラ”が君に色々……サイズとか弾力をアピールしてるんだ。まずはそれを堪能したらどうだい?」
「……無茶言わないでください」
あの、その燃えるような見事なまでの紅毛……そんな鮮やかな色の髪を持つ魔王様は一人しかいませんです。
「少なくとも”
***
さて、俺がどうしてこんな場所で、
(1)セラフォルーお嬢様のマジカル・ステッキが突然、イケメンヴォイスで喋りだした
↓
(2)床に見慣れぬ紋章が輝いた(おそらくグレモリー家の紋章)
↓
(3)セラフォルーお嬢様が珍しく魔王少女らしいパワーを発揮して、俺と黒歌を抱えて紋章にダイブ
↓
(4)出たのはグレモリー本宅、「サーゼクスちゃんの執務室でしたぁ~☆(by セラフォルーお嬢様)」
うん。わけわからないな。
正直、俺も現状が未だよくわかってない。
「そうだな……先ずはセラのステッキのマイク機能をONにしてたのは謝ろう。勝手に話を聞いていてすまなかったね?」
「いえ、権力者にはそういうことも必要だろうってことはわかってますから……人間界でも”ウォーターゲート事件”ていうのがありましたし」
俺はどちらかと言えば、そういうのには寛容なほうだし。
「というより魔王様ともあろう者が、一介の新米転生悪魔に軽々しく謝罪の言葉など述べていいんですか?」
するとサーゼクス様はにっこりと微笑み、
「なに、今はプライベートな時間だし、ここは身内しか居ないんだ。かまわないだろう? それに先ずは君の信義を得たいのさ」
「俺みたいな満足な口の利き方も知らない小童下級悪魔の信義を得てどうするんです?」
「君は”
(気は合うかもしれないけど、本当にやりにくい魔王様だなぁ……)
それがサーゼクス様と対面した
自惚れかも知れないけど、なんだか思考パターンが似てる気がした。
だけど明らかに相手の方が存在として格上、今の俺じゃあどんな奇跡が起きようと届くことすらないだろう単純な強さだけじゃなく、人生経験(魔王だけど)に裏打ちされた思考力や洞察力、知性……あらゆるものが、存在を構成する
特に容姿に関しては、もはや比べるほうが不敬というもんだろう。
だから、俺は思わず「思考の全てが
「君の活躍は、セラだけでなくアジュカや
「堕天使総督との私的なパイプ、明かしていいんですか?」
「君は随分と用心深いな? 頼もしい限りだ」
「臆病なだけですよ。一度死んでるから尚更です」
「それはいい。臆病なほうが長生きできる。かくゆう私もその
「勇敢な者……いや、違うか。”蛮勇を誇る者”、”勇気と無謀を履き違える者”、”勇敢であると
「フフ。今夜は有意義な話が出来そうだよ」
できることなら俺は今すぐ帰りたい。
***
「粗茶ですが」
そう言いながら、香りだけで上物だと分る紅茶を淹れてくれる女性悪魔……銀髪にメイド服という組み合わせが、アジュカ様に仕えていたメイドを思い出させる。
「ありがとうございます。えっと……”ルキフグス”殿?」
すると銀髪メイドさんはにっこり微笑み、
「今は給仕……一介のメイドとしてこの場に仕えさせていただいております。兵藤様、私のことは”グレイフィア”と気軽にお呼びくださいませ」
そういう立ち位置できますか。
「グレイフィア
すると彼女はクスクスとたおやかに笑い、
「失礼。我が主人の座興にお付き合いさせてしまって申し訳ありません。ですが、できるなら『
「ケルベロスに噛まれたら、普通はただじゃすまないと思いますが?」
「酷いなグレイフィア? これでも私はもう少しは強いつもりだぞ?」
そう苦笑しながら苦言申し立てるサーゼクス様だけど、
「あら? わざわざソフトに申し上げたのですよ?」
あー、つまりサーゼクス様にかかわると「ケルベロスに噛まれたことが可愛く思えるような目に合う」ってことね?
了解了解。
あー、紅茶が美味い。
「”フォートナム&メイソン”社の『セイロン・オレンジペコ』ですか? いい香りです。淹れ方も実に上手い……これは俺も手本にしないといけませんね?」
するとグレイフィアさんはちょっと嬉しそうに、
「あら? 紅茶、お分かりになるんですの?」
「紅茶の淹れ方だけは、ようやくソーナお嬢様に及第点をいただけるようになりました。合格にはまだ遠いようですが」
「むー☆ イッセーちゃん、グレイフィアちゃんに色目とか使ったら駄目だよぉ? サーゼクスちゃんの奥さんなんだからね?」
「あの、セラフォルーお嬢様、俺にはそんな気は全く無いんですが?」
いや、グレイフィアさんがサーゼクス様の奥方だって、ソーナお嬢様から叩き込まれた「魔界著名人物目録(入門編)」で知ってるし。
本来は身分的には言うべき「グレイフィア様」って呼称を使わないあたり、気遣ってることを分って欲しい。
いや、最強魔王の奥方に色目使うとか……そんな自殺願望あるわけないでしょうが?
というか、サーゼクス様もグレイフィア様もなんでそんな生暖かい目で見てるんですか?
***
「さて、場も暖まってきたことだし……そろそろ本題に入ろうか?」
紅茶談義に花が咲いただけだったような気もするけど……それは言わない約束で。
「君とセラの会話は、黒歌君に関するくだりは始終聞かせてもらったから状況は把握している」
そしてサーゼクス様は”支配者側”の顔になり、
「何か妙案はあるのかい?」
「妙案というほど立派なものではありませんが……」
俺は考えながら、考えをまとめながら喋りだす。
「最初が質問になって申し訳ありませんが……」
「かまわないさ。言ってみなさい」
「悪魔にとって”
「かなり有効だろうね。見せしめとは即ち”
「重畳です。確認ですが、黒歌を狙う輩は大王派の上級悪魔の眷属や身内、直参などの直属の部下ではないんですね?」
俺は頭から膝の上にポジションを移した黒い仔猫の頭を撫でながら問う。
「ああ、それは間違いない。黒歌君を狙うのは『素性がばれれば、即座に主に累が及ぶ』ような者は先ず出てこないだろう。私やセラ、そして君が絡むことに関してはどういう訳かアジュカも積極的でね」
サーゼクス様は苦笑し、
「魔王三人とそのバックの一族を敵に回し、なおかつ粛清の大義名分を与えてしまうことがわかっているのに動く大王派の上級悪魔はいないさ。いれば、今度は大王派内部で粛清されるだろう」
「では、セラフォルーお嬢様の推察どおり、基本的に黒歌の首を狙うのは『賞金と眷属入りが目当ての、政治的後ろ盾のない中級/下級悪魔』ばかりという認識でいいんですね?」
「ああ」
なら、大体方針は決まった。
”
「黒歌の首を狙う
皆様、ご愛読ありがとうございました。
サーゼクス様御本人+グレイフィアさん初登場回はいかがだったでしょうか?
実は、”この世界”のサーゼクス、
まあでも、溺愛してる妹や息子の前に居る「優しいお兄ちゃん&優しいお父さん」モードの彼でなければ、こういうのもありかなぁ~と(^-^
そしていきなり超越者な魔王に奇襲じみた御招待を受けたので焦ったイッセーですが、早速サーゼクスと掛け合い始めちゃってますし。
その「見所の在る行動」の一つ一つが、確実に自分の首を絞めていくことを、若いイッセーはまだ知らないのであった(笑
そしてホームグラウンドと言える冥界で、ここぞとばかりアピールする”レヴィア☆たん”(--
さて、次回はイッセーから中々血腥い計画が……? 原作乖離も加速します。
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
ご感想などなどいただけると、とても嬉しいです。