俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
本日、歯医者に行くため中途半端に空いた時間でアップです。
今回のエピソードは、大体サブタイとおりです。
ぶっちゃけ、強化フラグの前倒し?
さてさて、悪魔に転生した俺、兵藤一誠だけど、最近ちょっとした非日常を経験している。
いや、もう悪魔になったってだけで十分に
『悪いな”
はい。
夢の中で意識をリンクされ、でっかい”
***
俺の夢に接続してきたのは、なんと俺の左腕に任意で出現させられる”龍の篭手”に遠い昔、封じられていた
名を【
「二天龍」の一角に数えられ、「赤龍帝」の二つ名を持つ強力な存在だということだ。
ドライグに言わせると、
『相棒は人にしては素体は悪くなかったんだがな……いかんせん、肉体のポテンシャルに比べて”
それが冒頭の台詞の理由だった。
ドライグが依り代としてる龍の篭手は、
もともとそれは人間かその血を宿すものが継承する”神のシステム”の一環であり、俺の体に眠っていたものだったらしい。
実は、俺があのレイナーレとか言うおかしな堕天使に襲われた理由もそれだったらしい。
天使や堕天使の中には、人間が神器を持つことを快く思わなかったり、危険視する向きもあるようだ。
そんな背景はさておき……ドライグが封じられた俺の篭手の名は、正確には”
『こうして話が出来るようになっても、相棒が悪魔に転生し、肉体の因子が細胞レベルで
考えてみればおっかない話だ。
もし人の身だった時にドライグと意識がリンクすれば、一気に因子が龍側に引っ張られて強制転換「赤龍イッセー」の誕生だったらしい。
無論、人間には不可逆の方向で。
龍のも人化の擬態魔法があるらしいけど、ルーキードラゴンにそんなものが使えるわけもなく、下手をすれば国防軍と戦う羽目になってたとこだ。
『それにしても相棒は落ち着いてるな? これだけ一気に事が進めば、普通はもう少し取り乱しても不思議ではないんだが?』
「う~ん……まあ、最初は確かに驚いたさ。でもこうなってみたらみたらで、そう悪くはないぜ? むしろ一番ショックだったのは黒歌に怯えられた時くらいでさ」
『ハッハッ! 図太い相棒だな』
「それに元々、人に許された時間じゃ強さを求めるのに足りないだろうなって思ってたし」
『ほう……強さへの渇望か?』
「ああ。いつか見た”天空に輝く白銀の翼”……あそこへ俺は手を伸ばしたかったんだ」
でもそれは、遥か高みの彼方に在って……人が届かぬ位置に居た。
ならばせめて手を伸ばしたい……それが俺の今まで生きてきた時間の全てと言ってよかった。
『相棒、いいことを教えてやる』
「ん?」
『相棒が見上げた”白銀の翼”ってのは、十中八九、今代の「白龍皇」だぜ』
「えっ!? ドライグが言ってた”二天龍の片割れ”って奴か……!?」
『今、相棒の記憶をまさぐってみたが……まあ、間違いないだろう。ありゃ【
「そっか……そうなのか」
何か繋がった気がした。
人が神話と呼ぶその時代から……
「なあ、ドライグ……」
『あん?』
「俺は、”憧れ”に手を伸ばせるのかな……」
『馬鹿を言うなよ相棒。俺を誰だと思ってやがる?』
巨大な龍はニヤリと笑い、
『この俺と
***
『相棒、今は焦るな』
「えっ?」
『今の相棒は悪魔に転生したばかりだ。今はその体に慣れ、そのポテンシャルを知り、十全に引き出すことが肝要なんだ。焦らなくても相棒が人であった頃から鍛錬は無駄になっちゃいねぇ。その証拠に、俺と繋がる前に……人であった頃でさえ、堕天使を屠ってみせたじゃねぇか』
「……そういう物なのか?」
『相棒、人の身でありながら、どれほど劣化していてもドラゴン・ブレスで風穴空けたんだ。誇っていいぜ? だから今は今の鍛錬を続けろ。人の頃に覚えた技術を衰えさせず、悪魔の体を使いこなせるようになれ。その二つを叩き台に、更なる高みへ上って見せろ』
ドライグ……
「なあ、ドライグ……」
『ん?』
「また、こうして夢で会えるかな?」
『そりゃできるが』
「ならさ……俺にドラゴンの何たるかを教えて欲しいんだ。ドライグの膨大な戦闘経験を伝授して欲しい!」
『相棒……お前……』
「お願いだ! ドライグ、俺の師匠になってくれっ!!」
空気が静かに流れた。
それは俺にはひどく長い時間に思えたけど……
『……いいだろう』
「ドライグ!」
『龍の中にも悪魔に転生した変わり者もいることだしな。元々、龍と悪魔の相性は悪くはねぇんだろう。なら、この俺が自ら鍛えるのもまた一興か』
「ドライグ、ありがとうっ!!」
『だが、さっき俺が言った言葉も忘れるな。焦るな。修行の最中に壊れてしまえば、元も子もないんだからな』
「わかった。ところでドライグ……これからお前のこと師匠って呼ぶべきか?」
『よせよ。柄じゃない』
「わかった。じゃあドライグ、これからよろしくなっ!!」
『覚悟しておけ。俺の修行は厳しいぞ?』
「ああ! 望むところさっ!!」
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誰も居なくなった意識世界で、
『これが人の言う”嫉妬”というものなのかもな』
そう呟く自分自身に、ドライグは軽く苦笑する。
『”白いの”……相棒の”強さ”に対する渇望も羨望も直向きさも真摯さも、全てはお前に対する”憧れ”がその根源だとよ』
「まったく……ふざけるにもほどがあるぜ」とドライグは内心呟く。
『だが、白いの……楽しみにしてろよ? 今代の相棒は結構、とんでもないぜ?』
クックックとあるはずのない喉で龍は笑い、
『きっと相棒は、いやあの悪魔共も「人の子が
その意味がわかるからこそ、龍は
人の子が、己と接触する前にまがいなりにも
『もっとも相棒が”在るべき力と姿”を手に入れるまでには、時間がかかるだろうからな……今はその時間を与えた悪魔どもに、感謝の一つもしておいてやるか』
赤龍帝はかつて、「神如きが、魔王如きが、俺たちの楽しみの邪魔をするな」とその二つ名に相応しい啖呵を切ったときと同じ、全てを等しく睥睨する姿で告げる。
『龍の血脈を
***
【
種族:ドラゴン
そして”この世界”における「
一誠の悪魔への転生を肯定的に捉え、彼の行く先に愉悦と強い興味を覚えた。
皆様、御愛読ありがとうございました。
実は原作と微妙に立ち位置が違う感じのドライグ登場のエピソードは、如何だったでしょうか?
というか、この時点で一誠の
少なくとも脳筋ではないみたいです(^^
なにやら伏線らしき言い回しも出てきましたが……一誠の秘密とやらが、彼のこの先の人生(?)に吉と出るか凶と出るかは、まさしく”
それでは皆様、また次回があるならお会いしましょう!
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