俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような?   作:ボストーク

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皆様、こんにちわ~。
今回のエピソードは……前半は「えびふりゃーとタルタルソース(自家製)」、後半はサブタイ通りの展開になります。

今回も、魔王少女のヒロイン力が半端じゃない気が……(^^





第29話 ”真実ってなんですか?”

 

 

 

「あっ☆ おば様、このタルタルソースとっても美味しい☆ エビフライにすごく合いますね~☆」

 

「うふふ。それ自家製なのよ? アーシアちゃんが美味しいピクルス漬けてくれたから、ついつい張り切っちゃいました~みたいな?」

 

そういえば、タルタルソースって刻みピクルス入れるもんな~。

結構あれが味の決め手になったりするし。

 

「えへへ♪ おば様にそう言ってもらえると嬉しいですう。わたしも教会で習った作り方が生かせてよかった~」

 

 

 

そこにはちょっと前まで兵藤家にはありえなかった”華”があった。それも二輪。

ああ、言い忘れていたがここは我が家の食卓だ。

 

「母さん、上機嫌のカンスト状態だな」

 

”さくっ”

 

「あっ、本当に美味い! タルタルとのバランスが絶妙」

 

何やら視界の片隅で母さんとアーシアがハイタッチしてるのが見えた。

 

「母さんは女の子欲しがってたからな。無理もないさ正直、不甲斐無い夫ですまんと思う」

 

「いや、別に父さんのせいってわけじゃねーだろ?」

 

父さんの子種のせいかもしれないけど……ドライグによれば。

 

「これでも毎晩、頑張ってるつもりなんだが……」

 

「生々しいからやめれって」

 

確かに母さんは見た目は若いから頑張りたくなるのは、同じ男として理解しないわけじゃないけどさ。

 

「ところで一誠……アーシアちゃんかセラフォルーさんをお嫁さんにする気はないのか? 二人ともお前みたいな無骨者には勿体無いくらいの器量良しだと思うんだが……」

 

”ブッ!”

 

飲んでたミネストローネを吹いたのは俺で、

 

””びしっ!””

 

硬化したのはアーシア&セラフォルーお嬢様だ。

 

 

 

「あのな父さん……どうやら忘れてるみたいだけど、セラフォルーお嬢様はソーナお嬢様、駒王学園(うち)()()生徒会長の実のお姉さんで、故あってとある断絶した超名門の家名を継いでるの! 世が世なら女王様とか女公爵様とか、そんな身分でさ……庶民の小倅(こせがれ)の俺なんかとは”ローマの休日”なんてもんじゃないくらい身分違いなんだ! 本来なら、こうやって同じテーブルに着くどころか話をする機会なんてないぐらいさ」

 

「そうなのかい?」

 

父さん、なんでそこでセラフォルーお嬢様に振る!?

 

「い、いえ、その……そこまで大層な家じゃありませんよ? 家名にしたって、ちょっと変わった”しきたり”があって、『その家の名を継ぐに相応しい実力』を示せば、わりと誰でもなれますし☆」

 

「だそうだぞ?」

 

いや『(レヴィアタンの)家名を継ぐに相応しい実力』って時点で色々アウトだし。

 

「それにアーシアは日本への国籍変更は会長の家が尽力してくれるから安心していいけど、身寄りもいないから父さんと母さんが”未成年後見人”の申請してる真っ最中だろ? そういう話は早すぎる」

 

 

 

ちょっとアーシアの()()()の話をすると……現状、アーシアは日本国籍を有してないから、如何に悪魔に転生したとはいえ社会生活を営む上で色々不都合がある。

そこで色々悪魔らしく”()()()”を使って、ソーナお嬢様というよりシトリー家がアーシアの日本国籍収得に動いているらしく、実はアーシアは密入国であったんだけど……その揉み消しを含めて、そっちは問題ないらしい。

 

問題なのは、むしろ生い立ちの関係から親権者がいなかったことだ。

そこで名乗りを上げたのが、すぐにアーシアを気に入った父さんと母さんだった。

 

本当は養子縁組とかにしたかったようだけど、正直「未成年後見人」の方が手続きとか審査とかがいくらか楽だし、またアーシアが「アルジェントという姓も神様からの頂き物ですから、結婚するまでは持っていたいんです」と望んだためにこうなった。

もっとも、父さん母さんは、

 

『でも、私たちがアーシアちゃんの義親であることにはかわらないからな』

 

『そうよ♪ いつでも遠慮なくお父さん、お母さんって呼んでいいのよ?』

 

『は、はいっ!』

 

と実にノリノリだった。

流石にまだ照れくさいのかそこには至ってないが、アーシアが父母と呼ぶ日はそう遠くないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*************************************

 

 

 

 

 

 

夕食の後、部屋に戻った俺とセラフォルーお嬢様、そして我が家のアイドル黒歌(もちろん、エビフライのおすそ分けを一緒に食べてた)だったが、

 

「セラフォルーお嬢様、なんか父さんたちがすみません」

 

俺としては平謝りだ。

確かに事情は知らないだろうけどさ……いくらなんでもセラフォルーお嬢様に失礼すぎる。

新米下級悪魔と魔王なんて、御伽噺(おとぎばなし)でも成立しないような身分差だっつーの!

 

「いいのいいの☆ ……満更でもなかったし」

 

「えっ?」

 

「な、なんでもないよ~☆」

 

なんか洒落にならない言葉が聞こえたような気が……

いや、気のせいだろう。

そんなはずはない。

自惚れるなよ? 兵藤一誠、お前はただの未熟者だ!

 

 

 

「ところで黒歌のことで、俺が聞いておいたほうがいいって話があるんですよね?」

 

「あっ、うん」

 

変な雰囲気……ありえない雰囲気になる前に、俺はセラフォルーお嬢様が夕食前にしていた会話を思い出した。

どうやら込み入った話になりそうなので、その話は食後にしようと決めていたのだ。

 

幸いアーシアは母さんと一緒に夕食の後片付けをしてるし、セラフォルーお嬢様と「込み入った話をする」と伝えてあるから、不用意に部屋に入ってくることもないだろう。

 

「えっとね……先ず最初に言っておかないといけないのは、黒歌ちゃんって”主殺し”の嫌疑がかけられた『SS級()()()()()』なの☆」

 

「……は?」

 

 

 

***

 

 

 

「あのね、黒歌ちゃんの種族って猫又の中でも”猫猖(ねこしょう)”って呼ばれる、稀少で強力な種族なの」

 

セラフォルーお嬢様に聞かされたのは、とある昔話だった。

昔々というには近すぎる過去、仲のよい猫又の姉妹がいた。

姉は黒猫で、妹は白猫……そんな姉妹猫だったらしい。

だが、ある理由から住処を失い故郷を追われることになった姉妹は放浪の果て、行き倒れ寸前にとある上級悪魔に拾われることになる。

 

「姉の黒猫は、上級悪魔の気まぐれで眷属となりました。するとどうでしょう……”僧侶(ビショップ)”の駒二つを引き換えに悪魔に転生した黒猫は、眠っていた才能を開花させてほんの短い期間で強力な悪魔になったのです。でもね……」

 

セラフォルーお嬢様は一度言葉を切り、

 

「爆発的な力の拡大は瞬く間に姉の理性を飲み込み、結果として姉は主の上級悪魔を殺し、追っ手さえも全滅させた……こうして黒猫はお尋ね者、SS級指定の危険な”はぐれ悪魔”になりました」

 

だが、それはおかしい。

それが事実だとすれば、力に飲み込まれた……内包した力を暴発させたままな”はずの”黒歌だったら()()()危険な状態のままだろう。

 

だが、俺が拾った時はから今まで、多少イタズラ好きではあっても、基本的には甘えん坊な仔猫のままだ。

危険な雰囲気や力の暴走は、片鱗たりとも見たことがない。

むしろ、いつまでも大きくならないことが不思議なくらいで、つい最近……俺が悪魔に転生してから本猫(ほんにん)からの自己申告があるまで猫又だって気が付かなかったくらいだ。

 

 

「とまあここまでは表向きの話☆ 殺された上級悪魔とそのシンパが訴えた『自分達に都合にいい真実』だよぉ☆ 黒歌ちゃんから聞いた真相はまったく別……」

 

俺の疑問に答えるようにセラフォルーお嬢様は口調を切り替えた。

 

「黒歌ちゃんには、白猫の妹ちゃんが居たって言ったでしょ?」

 

 

 

***

 

 

 

聞かされた話は、小物臭漂うあまり胸糞悪くなるような……ある意味、力への渇望と強欲を美徳とする悪魔らしい話だった。

 

「結局、力に溺れたのは黒歌じゃなく、その死んで当然の上級悪魔ってことですか……」

 

要約するとそうなる。

妹との安定した生活を手に入れるために眷属となったのに、黒歌の強力な力を見て欲をかいたその主が、妹まで命の危険がある無茶な強化をしようとしたので黒歌は妹の身を守るの為に抹殺したってのが真相らしい。

だが、流石に主を殺されたほかの眷属や他の手下に追い掛け回され、返り討ちにするのが精一杯で妹を救出する余裕はなかったみたいだ。

 

「なるほど……俺が拾ったとき、黒歌が酷く衰弱して傷だらけだった理由はそれか……」

 

「実は私、そのことを会ってすぐに黒歌ちゃんに聞いてたんだぁ☆ すぐにイッセーちゃんの愛猫が黒歌ちゃんだって気付いたしね~☆」

 

そのあたりの如才なさは流石、魔王様というところか?

 

「あのね、実は当時から黒歌ちゃんの一件って疑念を持たれてたんだよ? その上級悪魔が評判悪かったっていうのもあるけど、残された妹ちゃんを『姉と同じく力に飲み込まれて暴走すると危険』だからって理由で”()()”しようとする動きが急ぎすぎてたからねぇ~☆」

 

ほほう。そんなことがねぇ……

目が細くなるのが自分でもわかった。

 

「だけど安心していいよぉ☆ 内々に処分されようとしていた妹ちゃんは、内政担当のサーゼクスちゃんが横槍入れて身柄を確保したから☆ サーゼクスちゃんもその件はキナ臭いものを感じてたし、処分が実は『証拠隠滅』だって気付いてたみたいだからネ☆」

 

「なるほど……サーゼクス・ルシファー様も先手、いや布石をを打ったということですね?」

 

「うん☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、ご愛読ありがとうございました。
セラフォルーの「人間向けの説明」の内容やアーシアが日本国籍をとる手続きをしてたりしてることが判明したエピソードはいかがだったでしょうか?

悪魔の長い手は、一体どこまで日本政府の内側に届いているのか?(笑

さて後半で、セラフォルーの口からいよいよ明らかにされた”黒歌の真実”。
ただし、”人間モード”はまだお預けですが(^^

実は”この世界”では「処分されそうになった小猫(白音)をサーゼクスが保護した」理由は、内政担当であるサーゼクス自身が感じた「事件の裏側にあるキナ臭さ」が本当の理由だったようです。
もっともリアスにはそのことは知らされてなく、あくまで彼女が知ってるのは原作どおりの「表向きの真相」だけです。

さて、次回では黒歌の()()が語られそうですが……
それえは皆様、また次回にてお会いしましょう!

もしご感想などなどいただけると、とても嬉しいです。


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