俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
日付的には本日二度目の投稿です(笑
さて、今回のエピソードは……サブタイ通りに”あの方”の再登場です。
というか兵藤家に馴染んでます。
馴染みすぎてます(^^
さてさて、本日も無事に学業に生徒会業務、その他諸々をこなした俺、兵藤一誠は安息の場である部屋のベッドに寝転がり、癒しの塊……我が
階下では母さんとアーシアが夕食の準備をしているときに我ながらいい身分だと思うが、これも必要な一時と自分に言い訳してみる。
「なあ黒歌……今日、ソーナお嬢様に『そろそろ
「にゃあ?」
「黒歌……いっそ俺の使い魔になってみるか?」
「にゃん♪」
器用に前脚で胸(?)を叩く黒歌。
まかせろって言いたいのか?
「とぉ~ころがぎっちょんちょん☆」
不意に床に輝くシトリー家の紋章。
飛び散るリボンのようなピンクのカクテルビームに、星が舞い散るような無駄にファンシー&ラブリーな登場の演出。
ベッドの上で上半身を起こした俺は、どうしても溜息が出るのを押さえられなかった。
そして、現れたのは予想通り……
「恋の成就も天使も堕天使もまとめておまかせ☆ 愛と正義の魔法少女”マジカル☆レヴィアたん”、只今参上だよぉ~☆」
「あー、はいはい。天使も堕天使もまとめて狩り取る
「むぅ~☆ イッセーちゃん、その言い方なんだか可愛くないゾ?」
俺のぞんざいな扱いに『魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ』のコスプレをしたツインテール娘は拗ねたように唇を尖らせた。
そう。この無駄な演出が大好きで、膨らんだ胸以外はソーナお嬢様より幼く見えるし背も低いお方こそ、実は姉でオマケに四大魔王のお一人である”セラフォルー・レヴィアタン”様だというのだから恐れ入る。
「雑な扱いされたら、レヴィアたんは寂しくて泣いちゃうんだからね?」
「冗談ですよ」
俺は両腕を広げ、
「いらっしゃい。今宵も我が家へようこそ、セラフォルーお嬢様」
「わ~い☆」
と広げた腕にダイビングしてくる魔王少女。
勢い余って俺はベッドに押し倒される形になってしまう。
さすが魔王のタックルは伊達じゃない。不完全な体勢で持ちこたえるのは今日も不可能だった。
もっともそんなことにかまわず、セラフォルーお嬢様はスリスリと俺の胸板に頬ずり。
なんだか、その仕草は黒歌みたいだ。
「ぬふふ~☆ イッセーちゃんの胸板ぁ~☆」
「んー? セラフォルーお嬢様は今日も”甘えん坊”状態ですね? 仕事のストレスたまってるんですか?」
まあ、そんなセラフォルーお嬢様をキャッチして
「うん☆」
***
俺の悪いクセだって自覚はあるけど……
甘えられたら、つい甘やかしたくなる。
弱みを見せられたら、かまいたくなる。
要するに、
確かに俺はセラフォルーお嬢様に”魔王レヴィアタン様の
というか今のところ【教会】の一件以来、これといった面倒ごとや厄介ごと、あるいは鉄火場はないしね。
当たり前だけど、この駒王町の治安を含む管理を任されてるのはグレモリー家であり、荒事が起きた場合……特にそれが荒事の中では一般的な”はぐれ悪魔”など、特に組織や政治が絡まない単独犯的なそれなら原則、解決するのはグレモリーお嬢様とその眷属だ。
政治的判断、特に堕天使との交渉や天界勢力との現場レベルでの折衝が必要だった、三大勢力が絡み「それなりに柔軟な政治的対応」が求められた【教会】の一件は、あくまで例外と言っていいだろう。
というわけで、今はセラフォルーお嬢様のデスクワーク系の仕事を手伝ったり、愚痴を聞いたり、意見を求められたり……まあ、こうして溜まりすぎたストレスの発散の為にギュッとしてナデナデするのが、エージェントとして俺のわりと主なお仕事だったりする。
セラフォルーお嬢様は言うまでも無く四大魔王の一角で、外交なんて根回しと折衝と交渉とコネ作りで成り立つような仕事を任されている。
そりゃあそんな面倒な役職に就けば、セラフォルーお嬢様の性格上、マッハでストレスが溜まっていくだろう。
何度も会ううちに見えてしまった、わかってしまったのだけど……セラフォルーお嬢様には、これといって息抜き出来る場所はなかった。
強いて言うなら実家に帰ったとき、妹のソーナお嬢様を思う存分愛でるくらいだったのだろうけど……ソーナお嬢様が人間界に来てからというのもそれもままならないようだ。
というか
『血は近くても心は遠い。何の脈絡も無く始まる過度な愛情表現に、こちらは食傷気味だ』
とシェイクスピアの名作戯曲”ハムレット”の一節をもじっりながら、遠い目をしてセラフォルーお嬢様を語るソーナお嬢様がやけに印象的だった。
まあ、何事も『過ぎたるは猶及ばざるが如し』ってことだろう。
それに憶測で申し訳ないけど……『人間界で見た魔法少女のアニメシリーズにリスペクトされた』ともっぱらの評判のコスプレも、おそらく行き場のないストレスの発散口だと思っている。
そんな訳で……今の俺が何ができるってわけではないけど、このお方の少しでも慰めになればと思っている。
癒しじゃない。俺は癒すような存在じゃないし、どちらかと言えばそれはセラフォルーお嬢様の緩んだ頬を舐めてる黒歌の担当だ。
恋愛感情ってものじゃないかもしれないけど、俺よりずっと長生きしているはずなのに、どこか幼いこの娘に……俺は”好意を持っている”のは確かだろう。
正直に言えば、セラフォルーお嬢様が我が家に遊びに来るようになったのは、半分くらいは俺のせいなのかもしれない。
きっかけや始まりはどうあれ、父さんや母さんに「ちょっと変わってるけど、普通の女の子として接してあげて欲しい」なんて下手したら不敬に当たりそうなことを言ってしまったのは他の誰でもなく、俺なのだから。
理由は自分でもよくわからないけど、「きっとその方がセラフォルーお嬢様が喜ぶ」と思ったからじゃないかな?
***
「あー、そうだ。セラフォルーお嬢様、一つ御報告が」
「なにかなぁ?」
「ソーナお嬢様にセラフォルーお嬢様が
「え”っ!? イッセーちゃん、話しちゃったの?」
「いえ、アーシアがついポロリと」
「あはは……それはしかたないねぇ~☆」
まだ合って間もない(俺もそうなのだが)とはいえ、アーシアの性格を把握してるらしいセラフォルーお嬢様は苦笑するだけで済ませてしまった。
賢明なお方である。
「んー……でもこれは、久しぶりのお肌とお肌が触れ合う姉妹のスキンシップのチャンスかも?」
「冥界では、『吐息が感じる距離での近接肉弾戦込みの、余波で小さな街が吹き飛びかねない魔法戦』を”スキンシップ”って言うんですか?」
「そだよ? 魔王になる前は、せーゼクスちゃんやファルビーやアジュカちゃんとよくやったなぁ~☆ 今はみんな、
さすが現役魔王、回答が斜め上だった。
まあでも、セラフォルーお嬢様に実力を考えれば当然か?
実際、ちょっとこの間お手伝いに冥界に行ったとき、必殺技の「
でも、ちょっとだけ寂しそうなのは気のせいじゃないだろう。
魔王っていうのは、聞くだけで面倒な立場っぽいし。
「そういえば……セラフォルーお嬢様は本日、何用で?」
「おば様に『いい海老が入った』って夕食に誘われたから、御相伴に預かろうと思ったんだけど……」
『海老で鯛を釣る』って諺があるけど、まさか昔の人も魔王まで釣れるとは思ってなかったろう。
今更だけど、父さんと母さん普通にセラフォルーお嬢様とメールや電話でやり取りしてる臭いな。
いや、俺のスマホにも普通に電話入ってきて泣きつかれたりするけどさ。
とりあえず、今夜はエビフライかな?
「でも、ちょっとイッセーちゃんが黒歌ちゃんを使い魔にするって聞こえちゃってね☆」
ん? それがどうかしたのかな?
「だったら、ちゃんと事情説明したほうがいいかなぁ~って☆」
皆様、ご愛読ありがとうございました。
【魔王少女マヂ狩る☆レヴィアたん・りたーんず♪】、第01話”復活のレヴィアたん☆”はいかがだったでしょうか?
えっ? 作品が違う?
とりあえず……仕事しろ。魔王(by ソーナ)
イッセーおかんに「いい海老が入った」とメール貰って、ほいほい夕食ゴチになりにくる魔王って一体……?
それにしても、本来の
そりゃ、某「ソーナ→イッセー」タグも消えますって(笑
「姉より優れた妹がいるか!」と言わんばかりに
さて、次回はどうやら状況を把握してるらしいセラフォルーから、黒歌の
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
ご感想などなどいただけると、とても嬉しいです。