俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
久しぶりに一日二話アップを目指しましたが、ぎりぎり間に合いませんでした(^^
さて、今回のエピソードから新章に入ります。
どうやら大幅に原作から乖離していきそうな気配が?
第27話 ”使い魔ってなんですか?”
「えっ? ”
「ええ。アーシアも成長著しいですし、そもそも一誠に関しては遅すぎるぐらいです」
時は優雅な放課後、場所は変わらず生徒会室。
そして俺はいつもの執事服で、現在は”生徒会モード”で稼働中。
アジュカ様との邂逅から早2週間ほど。俺とアーシアは生徒会と少々のお仕事、悪魔家業はほどほどにほとんどは修行の日々だった。
ソーナお嬢様は言葉を濁していたが、どうやら”
その上がどのあたりの上なのかは皆目見当もつかないけど。
ちなみに最近のアーシアの課題は、全ての基本となる基礎体力作りと保有神器”
もうちょっと体力がついてきたら自転車を買って、祐斗や小猫ちゃんとの合同トレーニングに参加させてもいい。
アーシアは元々、長い間アーミッシュのような”聖書原点的な自給生活”を送ってきただけあって、細いわりには同年代の女の子に比べて体力はあったようだ。
これに悪魔への転生で生物としてのポテンシャルの向上と、”
おまけにアジュカ様に頂いた調整と術式により、アーシアは駒の効果である「攻撃力/防御力の上昇」のうち、攻撃力のパラメータ部分を『防御力/魔法力/持久力に任意に振り分ける』ことができるようになっている。
ならばそのせっかくの”魔王の恩恵”、きっちり使い分け/使いこなせるようにトレーニングすることこそ俺、兵藤一誠の役目だと思う。
何しろ俺は、神器の扱いに関してはてんで素人だ。
(誰か扱いに精通した教官でもいればいいんだけどな……)
えっ? フラグ?
何のことだ?
(そういや小猫ちゃんにも
実際、自転車は全身運動で見た目以上に過酷……つまりトレーニングにはもってこいだ。
一度、皆まとめてサイクリングショップに行くのも悪くないかな?
***
とにもかくにもアーシアはめきめきと実力をつけてきてるし、俺も未熟とはいえそこそこできる。
なのでソーナお嬢様の言うように「新人の見習い悪魔」から脱却し、その一つのマイルストーンとしてサポートやバックアップを任せる使い魔を得るというのはわかるのだけど……
「イッセーさん、使い魔さんってどういう感じなんでしょう?」
「さあ……俺にもよくは」
駒王学園高等部、加えて俺と同じクラスに編入し、今や同じく生徒会の雑務係として籍を置くアーシアの言葉に、俺は首を傾げる。
正直、自分で使い魔を持とうと本気で思ったことが無かったため、具体的なイメージを持ちにくい。
黒歌? いや、あれは
「いいでしょう。それでは先ずは具体的にどういう存在なのか見てもらいます」
とソーナお嬢様をはじめ、生徒会メンバーの使い魔を順番に見せてもらうことになった。
なにやらノリがペット品評会っぽくなってしまったのは御愛嬌だ。
そして概要の説明を受けるが……
「会長、使い魔はその”使い魔の森”で捕獲した生物以外は不可なんですか?」
主のサポートやバックアップ、さらに雑用をこなすのが使い魔の主な仕事らしいけど……能力的に問題なければ、別にその森出自の生き物でもいいはじなんだけど。
「いえ……そんなことはありませんが。ですが”アテ”はあるんですか? 地上にいる普通の動物では、能力的に少々厳しいですよ?」
「ええ、まあ。あるにはあります」
「もしかして”
と補足してくれるのは一緒に暮らしてるアーシアだった。
言い忘れてたけど、アーシアは一応、黒歌の正体は知っている。
「ああ。使い魔としては申し分ないと思うけど」
相変わらず成長の兆しはないけど、小さくとも妖怪……”猫又”である以上、頭も力もその使い魔の森に済む不思議生物と比べても遜色はないだろう。
いや、むしろ勝ってるかもな。
「”くろか”? どこかで聞いたことあるような……?」
と何故かソーナお嬢様は首を捻るが……
「あ~ん! でも黒歌ちゃん、何故かわたしには懐いてくれないんですぅ~っ!」
「アイツ、人懐っこく見えてあれで警戒心強いからな。俺や母さんや父さんには懐いてるけど……もしかしてアーシアにはまだ、人見知りしてるのかな?」
「でもでも、セラフォルー様にはあんなに懐いてるんですよぉ?」
「ちょっとお待ちなさい」
ふとソーナお嬢様の眼鏡がキランと輝く。
それもなんか不穏な感じで……
「今、聞き捨てなら無い名前が出てきたような気がしましたが?」
そう言いながら、ソーナお嬢様は眼鏡を直したけど……なんだろう? 部屋の温度が少し下がったように感じるのは気のせいかな?
「ほえ? セラフォルー様のことですか?」
その体感的温度低下をものともせずにぽかぽか陽気な声で首を傾げるのは、今度はアーシアのほうだった。
うん。発言を止める間もなかったな。
「アーシア……何故、貴女からその名が……?」
「えっ? だってたまにイッセーさんのお家に遊びに来てますよ? この間は私たちが学校に行ってる間におば様と有名なスィーツのお店に行ってきたってお土産のケーキいただきましたし」
「一誠……説明なさい」
うっ……
お嬢様、ジト目が怖いです。
「すいません! セラフォルーお嬢様に色々口止めされてました!」
俺は平身低頭、深々と頭を下げるしかなかった。
***
「なるほど……お姉様……もとい。魔王レヴィアタン様が本来のやるべき仕事をおさぼりあそばされて、たびたび兵藤家を襲撃。今となっては家族ぐるみの付き合い……と?」
そ、ソーナお嬢様、コメカミのぴくぴくとレアな動きしてます!
それとなんか言い回しガガガ……
「はい♪ ごーるでんうぃーく……でしたっけ? 今度の連休の時に、一緒にツーリングに行かないかっておじ様にも誘われてましたし」
アーシア、お願いだから無自覚に煽らないでくれえぇぇぇ。
「ほほう。既に着々と外堀を埋めにかかってますか……あの姉は……」
あっ、お嬢様の冷静ゲージがいよいよヤバいことに……
「でもでもズルいんですよ~! セラフォルー様ったら、たまにしか遊びに来ないのに黒歌ちゃん、あっ、黒歌ちゃんというのはイッセーさんの飼い猫ちゃんなんですけど、すっごく仲良しなんですぅ!」
「フッ、フフフ……」
うわぁ~い。表情は笑ってるのに、レンズの奥の目は笑ってないや……
「そ、ソーナお嬢様……?」
「今の時間は会長です」
「はいっ!」
あれ?
思ったより冷静?
「久しぶりに姉妹会議が要りそうですね? 副会長、その時は頑丈な結界の用意をお願いします。ええ、そこいらの攻撃魔法ではびくともしないくらい頑丈なのがいいですね」
やっぱり冷静じゃないっ!?
もしや、メーター振り切って一周回って逆に冷静に見える状態って奴かっ!?
「御意に♪」
ソーナお嬢様、それは一般には姉妹会議ではなく姉妹ゲンカの準備と言うのではないのでしょうか……?
それと椿姫先輩、簡単に応じないでください。
魔王の一角とその妹の姉妹ゲンカ(ガチ)なんて、地上でやったら気が付けば余波で街くらいなら簡単に地図から消えそうだ。
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「ただいま~」
「ただいま帰りましたぁ~」
と俺とアーシアは玄関を潜ると、
「あら? 二人ともお帰りなさい♪ もうすぐ晩御飯できるわよ~」
と現在、専業主婦の母さんからの声。
「あっ、おば様! 着替えたらわたしも手伝いますぅ♪」
「うふふ。アーシアちゃん、ありがとうね」
何やら母さん、アーシアが来てからずっと上機嫌だよな。
もしかして、娘ができたみたいとか思ってるのかな?
(そういや、女の子が欲しいって前に言ってたもんな~)
「それではイッセーさん、また後で♪」
「ああ。夕食のときに」
隣の部屋に消えるアーシアを見送ってから俺は自分の部屋のドアを開け、
「にゃあ♪」
「ただいま、黒歌」
俺の帰りを待ちわびていたようにぴょんと飛びついてくる黒歌をキャッチして、頭を撫でた。
ゴロゴロと気持ちよさそうに喉を鳴らす仕草を見るだけで思う。
うん、やっぱり猫は癒しの動物だよ……ホントに。
例え猫又であってもね。
皆様、ご愛読ありがとうございました。
何か久しぶりな気がするソーナや椿姫、黒歌再登場のエピソードはいかがだったでしょうか?
それにしても……セラフォルー様、なにやってんの!?
いや、書いてる作者が言うのもなんですが、某魔王少女は【教会】事件のあとも、暇を見つけては元気に兵藤家に出没してるようです(^^
しかも既にアーシアにエンカウント済み……というか、普通に仲はいいみたいな?
前回のアジュカもそうですが、魔王たちの動きが原作に比べて妙にアクティブなような?(汗
実を言えば、旧プロットではもっと淡白な話だったのですが、設定を色々付け加えたせいで妙な方向に動き出しそうです。
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
もしご感想などなどいただけると、とても嬉しいです。