俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
今回のエピソードは……”この世界”の兵藤一誠の核心部分に迫ります。
何故、彼は「人の姿」を維持できるのか?
そもそも、兵藤一誠とはなんなのか?
それがドライグの口から語られます。
彼の願い、あるいは野望と共に……
また、”竜の力の継承”には独自の解釈や設定が入ります。
ここは駒王町に程近い瀟洒な洋館……というのはあくまで表向きの話で、その正体は四大魔王の一角にしてこの世の全ての事象を数式化、方程式化して読み解きく『
アジュカ自身、
さて、この彼の隠れ家と呼んでいい屋敷では現在、歴史的ともいえる”
アジュカ・ベルゼブブと、”
アジュカが真っ先にドライグ聞いたのはドライグ自身のことではなく、その宿主のことだった。
その人間の少年の姿でありながら、「あらゆる方程式や数式が、”
ドライグは、相棒をかく語る。
『端的に言ってしまえば相棒は「人の世に拡散した”
と……
『多くの神話体系の龍は、かつて戯れに……時には人の姿に変化して、人との間に子をなした。多くの英雄豪傑、あるいは”
『その力や存在を察知できんぬほど拡散し、薄まった龍の血だが……だが、どのような加減なのか力を顕現されぬまま少しずつ少しずつ「一つの人の血脈」に合流していった。細い小川が大河に合流するように、親から子へ、子から孫へ世代を重ねるたびに薄まった龍の血が集まっていった。細かい理屈は俺にもわからんが……存外、潜在化していても龍の血が惹かれあったのかもしれんな』
『誰が意図したわけでも操作したわけでもない。自然発生的に散った血は、気が遠くなるような時間の果てに集まり「人の姿をした龍」へと結実した……それが相棒、”兵藤一誠”の偽らざる正体さ。おそらく、”
『俺もまた呼ばれたのだろうな……”
***
「だが、ドライグ……それでも疑問はある。そこまで龍に近い兵藤一誠が、なぜ”人の姿で生れ、人の姿で生きて”これたんだ?」
『それは簡単だ。相棒は龍の血脈を”
「それで?」
『だが、多くの龍の血脈を少しずつ引いていたからこそ、どの龍も”代表
「”素
『そうだ。我らの因子は
「龍族の血の、力の継承とは……遺伝子工学ではなく情報工学的な意味での『龍の持つ”
『だから我々は力を行使するとき”
「なるほど、だから龍の力は”
『大体、それで合っている。事実、悪魔になる前の相棒は「危ういバランスの上、辛うじて人の子の姿を維持してる」という状態だったのさ。とっくに意識が覚醒した……おそらくイレギュラーな形で”
「どういう意味だ?」
『”不安定な人の状態”で俺が意識を繋げたら、一気に相棒が形を決めらないため顕現はしないがエネルギー状態は保ったままの……言うならば”
するとアジュカは心底疑問という顔で、
「逆に聞きたいんだが……ドライグ、なぜ励起状態のDQ粒子を暴発させ、兵藤一誠を龍にしなかったんだ?」
『考えてみろ。人の姿をもって生れ人として生きてきた存在が、突然自分の姿を失い、力の枷を失うのだぞ? 肉体と精神が不可分である以上、肉体の変化に精神が追いつけるわけ無いだろう? 龍の膨大な力に人のメンタリティーが即座に対応できるものか。これまであった人としての理性や道徳などの”
「なるほど……ならば、ドライグにとって兵藤一誠が悪魔に転生したのはむしろ僥倖ということか?」
『間違いなくな。悪魔の
***
有意義な話だった。
有意義な話だったからこそ、アジュカには新たな疑問が湧いてくる。
「ドライグ、お前は今……兵藤一誠に何をしようとしてるんだ?」
『アジュカ・アスタロト、先ずは相棒に埋め込まれた”
「?……!? これはっ!?」
アジュカは思わず見開いてしまう。
一誠の体から取り出した8個の”
ソーナに渡した駒は本来、彼女の美しい髪と同じ黒だというのに。
「全てが”
『ああ。、夢を通じて相棒に「ドラゴンの何たるか」を教える傍ら、お前の駒の
「ドラゴニック・ピース、か……ドライグ、お前は兵藤一誠をどうしたいんだ?」
『知れたこと』
篭手から何故かニヤリッと笑う気配がした。
『先ずは相棒に”龍の力を使うのに相応しい存在”になってもらう。使うのは別に
「だが、人の姿を維持してるのが不思議なくらいの少年が、悪魔に転生したことを契機に己の身に秘めた龍の力を得る……それは一歩間違えれば、人でも悪魔でも龍でもない、制御不能の”
『随分、お前らしくないことを言うじゃないか? アジュカ・アスタロト』
ドライグは嗤う。
在りし日の姿そのままに。
『先の読めぬ……予想も想像も及ばぬ進化の観測こそ、科学者の冥利というものではないのか?』
***
「ドライグ……今日のところは、最後の質問だ」
『なんだ?』
「お前は本当に、”
皆様、ご愛読ありがとうございました。
ドライグが
”
まあ、実はこれも後々の設定に繋がっていったりするんですが。
例えば禁手の”
さて次回はドライグがここまで賢く、”
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
もしご感想などなどいただけると、とても嬉しいです。