俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
本日も時間の都合上、午前中アップです。
さて、今回のエピソードは……言ってしまえば答え合わせの回でしょうか?
イッセーとフリード、後々まで因縁……ではなく、陣営は違えど同じく”
ある夜、俺は”はぐれ
こそこそ尾行していた
ところが……
「なあ、神父。もう一度、確認したいんだが……一体、誰がレヴィアタン様の
「もちろん貴方のことですよ? 赤龍帝。あっ、僕のことはフリードでいいですよ?」
「じゃあ、俺も一誠でいいよ。いや、そうじゃなくてさ……俺は確かに
「そういう”
「いやガチだっての。”
***
(何故だ……どうしてこうなった?)
『本人与り知らぬ所で、魔王の
誰か説明プリーズ!
何故、俺の存在につて三大陣営の間で妙な
「ところで赤龍帝、じゃなかったイッセーさん。一つ質問があるんですけど……いいですか?」
「ん? いや、別にいいけど?」
そう、今ここで嘆いても意味はない。
フリードだって、俺がそういう存在だって教えられただけだ。
真犯人は別にいる。
「一体、いつから僕が”天界のエージェント”だって分ってたんです?
「ああ、それか。フリードが剣山風の愉快なオブジェにしてた……多分、グレモリー眷属の
「ええ、あの少年の名は”ゲンシロー・サジ”。間違いなくグレモリー眷属の新人転生悪魔です」
俺は頷き、
「アイツに刺さった剣……銃剣と傷口を見たとき、違和感を感じたんだよ」
「違和感……ですか?」
首を傾げるフリードに、
「違和感の正体は大きく分けて二つ。まず、刺さってたのが普通の”鋼の剣”だったこと。フリード、お前のセイクリッド・ギア、確か”バヨネッタ・アンデルセン”って叫んでたっけ? その名前でいいのか?」
「はい。日本語風に意訳すれば”祝福されし無限の銃剣”って感じの意味になります」
「なら、確定だな。それって『瞬間練成が可能な
俺は少し考えて、
「”聖水で焼きを入れし、祝福と洗礼を受けた銀の刃”とかな」
うん。
自分で言っておいてなんだけど、いきなり悪魔が大ダメージ受けそうな武器だな。
「……ええ。確かにそういうものも練成できます」
その言い方だと、「それ以上の代物も可能」ってことか。
『聖なる光の術式を刃に刻んだ
「結構。なら確実に悪魔、それも下級悪魔風情なら簡単に仕留められる手札を持ちながら、それを使わなかったのは何故だ?ってのが取っ掛かりさ」
「ちょ、ちょっと待ってください? イッセーさんは、最初から僕が”
「確証は無かったけどさ。匙ともう一人の遺体に刺さってた銃剣の数を考えたら、普通は持ち歩ける量でもしまっておける量でもないだろ? だったら、瞬時練成で生み出すのが一番合理的かなっと」
もっとも、これは祐斗の同じく
「そしてもう一つは……フリード、お前の腕が良すぎたせいだよ」
「はっ?」
きょとんとした顔をされてしまうが、
「二桁近いサーベルサイズの銃剣が体を貫通してるのに、致命傷が1ヶ所も無く、急所に刺さってるのも一振りも無いとなれば、流石に不審に思うだろ? ぶっちゃけ、あれだけの剣を刺して全部急所を外すのは、むしろ全部を急所に突き刺すよりよほど難しい。おまけに後遺症が残るようなところも刺したり斬ったりしてねぇんだ……いくらなんでも、あからさまだろ?」
「ああ~。言われてみれば確かに」
「まあ、グレモリーの眷属殺しちまったら収拾つかなくなっちまうから、今回は仕方ないにしても……次からの任務にはもう少し気を使えよ? 俺程度に
「御忠告に感謝を」
「いいさ。事態の収拾と収束は、俺の望むところでもあるし。それと、」
俺は一端言葉を切り、
「”アーシア・アルジェント”の身柄は、
するとフリードは小さく頷き、
「もちろん。彼女には同情すべき点は多々ありますが、それでも”破門”による追放処分となった以上、表立って天界勢力が庇護することは出来ませんから」
「了解した。じゃあアーシアを”
***
「……ばれてましたか?」
「ああ、これもなんとなくだけどさ」
フリードは望んで殺す気は無かったが、アーシアを「仕方なく殺害」をする気はあったということだ。
それでもアーシアをフリードがあれだけ脅したり怯えさせたのは、「自発的に逃げ出す」行動を期待してのことだろう。
(だが、アーシアは逃げなかった……)
「理由は……”
「ええ。彼女の持つ神器は、『
「そして行き場をなくした”
そしてフリードは真顔で聞いてくる。
「
笑わしてくれる。
「世の中そんな目を覆いたくなるような……正気を放り出したくなるような
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フリードとの折衝は終わった。
カラス二羽を始末し、証拠隠滅も済んだし、アーシアの身柄が
いくつかのイレギュラーな事態が起こった場合のすり合わせをし、フリードと俺は別れた。
無論、俺が向かうのはアーシアが待ってるだろう”現場”だ。
「イッセーさん!! お帰りなさいですぅ! お怪我はないですかっ!?」
飛びつくように抱きついてくるアーシアの柔らかい金髪を撫で、
「ただいま。アーシア」
***
幸い、あのホラーチックな惨殺体は
死体を横に置いたままアーシアが待っていたなら、いくらなんでも申し訳なさ過ぎる。
「コホン!」
アーシアと和んでいると、不意に咳払いが聞こえた。
そろそろ潮時か?
「アーシア、悪いけど少し離れてくれるか?」
「あっ、はい!」
俺はその紅髪の女性に執事式の一礼をし、
「お初にお目にかかりますグレモリーお嬢様。シトリー家の執事見習いで生徒会とソーナお嬢様の眷属末席につかせていただいております兵藤一誠と申します」
「ええ。貴方のことはソーナから聞いているわ」
流石は
まっ、そういう態度を取られた方が俺としてもやりやすい。
「先ずはゲンシローの件、お礼を言わせてちょうだい。貴方がアーシアに適切な指示を残していてくれたお陰で、ゲンシローは一命を取り留めたわ」
「勿体無き言葉にございます」
「本当なら何か褒美を取らせたいところだけど……その前に、何が起こったか状況を聞かせてもらえないかしら? どうやら貴方が一番、情況を理解/把握してそうだもの」
「かしこまりましたグレモリーお嬢様。では、僭越ながら……」
グレモリーお嬢様……
気付いてますか?
貴女は今、本当なら一番聞いてはいけない者の言葉を求めたってことを。
皆様、ご愛読ありがとうございました。
イッセーとフリード、タイプは違いますが同じくエージェント二人が互いの能力やキャラクターを知ることになったエピソードはいかがだってでしょうか?
さて、今回のエピソードにおいて割とはっきりした部分が、
少なくとも”この世界”のイッセーにとり、リアス・グレモリーは「上級悪魔相手としては
無論、「ソーナお嬢様の御幼少の頃からの親友」という意味での好意はあっても、それ以上の感情は無い……言ってしまえばそんな感じです。
これが後々、ストーリーにどんな影響を及ぼすか未知数ですが……
次回は、そろそろアーシア編のまとめに入れると思います。
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
もしご感想などいただければ、とても嬉しいです。