俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
本日は予定の都合上、午前中アップです(^^
さて、今回のエピソードは……いよいよ明らかになる神父の正体と舞台裏、そして「頭の痛くなる様なありえない誤認」が発覚します。
いや、誰の頭が痛くなるのかは……
ここは駒王町郊外、とある廃棄されたビルの屋上。
俺、兵藤一誠は【教会】残党……と
だけど、
「”
そう俺だけに聞こえるように小声で話しかけてきた。
「当然」
その鬱陶しい気配と視線にへきへきしていた俺は即座に返した。
「時代遅れのボディコン女は
「あいよ」
頷く俺に躊躇いはなかったし、不思議にも思わなかった。
神父の戦いっぷりから、なんとなくこうなる予感はしてたからだ。
「3」
神父がカウントダウンを刻み始め、
「2」
俺がそれに続く。
「1」
そして、
「「ZERO !!」」
”ババッ!”
俺と神父は再び間合いを取るように反対方向へ跳び、
(”
下準備を行いつつ振り向きざまに……
「”
『Explosion !!』
”
上空の一点に向けて高速で放たれたそれは……
「馬鹿なっ!?」
”ジュワッ!!”
オッサン堕天使を飲み込み、そのまま跡形もなく蒸発させると更なる上空へと呼び去った……って、おい。
いや、確かに一発で消し飛ばすに越したことはないし、遺体処理のいらないクリーンな殺し方だけどさ……
「あれ? もしかして
いや、誰が見てもそうだろう。
『
なあ、ドライグ……なにか篭手からとても愉快そうなあるいは満足そうな気配がするのは気のせいか?
オーバーキルは、戦術としては無駄に入るんだが。
『ドラゴン・ブレスは龍の本能にして本質。気にするな、相棒』
そういうもんか?
さて、神父の方はっと……
***
「ぎゃあぁぁぁっ!!」
いつの間にかボディコン女堕天使の全身には、刀身部分に”
「神罰執行! ”フレイム・ボルト”!!」
”キュバッ!”
神父が発動呪文を叫ぶと同時に”紙片”が煌き、太陽を思わせる凶悪な閃光と共に堕天使を完全に
文字通りに跡形もなく、だ。
そして神父は小さく十字を切り、
「エイメン……!」
堕落から解放された、かつて聖なる存在だった者への祈りを捧げた。
『驚いたな……あの小僧、片鱗とはいえ
ヲイヲイ……なんだその悪魔の天敵みたいな力は?
『今の相棒でも、一撃で滅ぼされかねんな』
おっかねぇ話だ
だけど、これであいつの正体は確定だな。
『ああ』
俺はシュタッと着地した白髪神父を警戒させないために正面に移動し、
「お前さんが噂の”天界のエージェント”……でいいのか?」
すると今までと印象の違う柔らかい雰囲気で神父は、
「とりあえず、廃ビルの中で話しましょうか?」
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「情況は、だいたい察していただいてるようですが……まずは」
と白髪頭の少年神父は、顔を揉み解すような仕草をすると……
「うそん……」
白い髪は変わらない。赤い瞳も変わらない。
顔の骨格だって変わったわけじゃないだろう。
だが……
「女の……子?」
「いえ、きっちり男ですって。さすがにテンション高過ぎの”
即座に苦笑と共に返されてしまったが……
いやホント、さっきの凶状持ちのヤサグレ神父から一変、ぶっちゃけ”男の娘”とつい言いたくなるような、どちらかと言えば童顔で、もろに女顔の美少年に変貌していたのだ。
この心境はなんと表現したらいいのだろう?
強いて言うなら『目の前いたのが”飢えた獰猛な白狼”かと思ったら、実はそれが
しかも感じる強さは白狼と変わらぬまま……いや、むしろ”
「改めまして”赤龍帝”」
そう一礼しながら、
「
とても優雅で丁寧な口調で少年神父……フリードはそう言った。
***
「”イスカリオテ”? それは『
カリオテというのは本来は地名であり、そこに住まう”シモンの子”という存在は聖書では一人しか該当しない。
するとフリード、何故か嬉しそうに……
「”右手に短刀と毒薬、左手に銀貨三十と荒縄”……信徒にして信徒に非ず、教徒にして教徒に非ずのイスカリオテです。よく御存知ですね?」
ああ。大体分った。
「これでも悪魔の端くれだからな。”
「孫子ですか?」
「ああ。孫子やクラウセヴィッツは、兵法書の基本だろ?」
そして俺は真っ直ぐに神父を見て、
「だからお前さんの立ち位置もなんとなくわかったよ。『”
「早速、御納得いただけたようで幸いですよ。こちらも細かい説明の手間が省けます」
「納得せざる得ないだろ? ”天界からのエージェント”が駒王町に入り込んでることは、アザゼル総督から聞いてたし。ところで
「いえ、赤龍帝に情報伝えるのは、むしろ
「はぁ? どういう意味だよ?」
いや、流石に天使……それも四大天使に面識ないし、ましてやコネなんかないぞ?
「いえ。どうやらアザゼル総督に『おいミカエル、今代の赤龍帝は頭回るし政治できっぞ? ああいう手合いは下手に隠し立てするより、ある程度の情報開示/共有化して巻き込んでしまった方が有効だ』と進言なさったそうで」
「あ、あの
俺の知らないところで、俺がわけのわからない立ち位置に立たされていた。
つーか、いやホントどうなってんだよ!?
「というわけでミカエル様は、『ならイスカリオテの情報も開示した方がいいでしょう。これも
「ヲイヲイヲイ……ミカエル殿は何を考えてるんだっ!? どいつもこいつも一介の新米下級悪魔に要求するこっちゃねーだろっ!?」
「えっ?」
神父はきょとんとした顔で、
「赤龍帝は、四大魔王の一角で外交を取り仕切るセラフォルー・レヴィアタン殿の”
「……誰だよ? 途中で情報捻じ曲げた奴は?」
アザゼル総督か? ミカエル殿か?
(まさか、セラフォルーお嬢様があちこちで喧伝してるなんてことは……)
『きゃる~ん☆ イッセーちゃんはレヴィアたんのエージェントさんだよぉ☆ みんなよろしくねぇ~☆』
あかん。
変な
きっと俺の妄想の産物だ。そうに違いない。
(疲れてるのかな……俺?)
いや、建設的に考えよう。
きっとセラフォルーお嬢様と一緒にアザゼル総督と通信会談したときに、変な誤認をされたんだろう。
「赤龍帝、僕は基本的に対堕天使工作専門のエージェントで、駒王町が悪魔の地上領地である以上、これから先も動く場合もあるので今のうちにエージェント同士が面通ししておくのは、悪魔にとっても無用な衝突を事前に避けれるメリットがあると思いますよ?」
「いや、俺はエージェントじゃねぇって。神父、そりゃお前さんの言ってることは間違ってないけど……本来、面通しするのはこの地の管理人であるグレモリーお嬢様や駒王学園の運営や領地の運営補佐する立場のソーナお嬢様じゃないのか?」
するとフリードは首を横に振り、
「上級悪魔お二方への『
思わず、溜息を突きたくなった。
俺はいつからこんな悪魔、堕天使、天使の裏事情じみた深みに片足突っ込むような情況になったんだ?
「つまり、今回は非主流派の
「はい。”
”挑発行動”?
ああ、さっきの”
「グレモリーお嬢様が無事に動くといいけど……」
「動くでしょう。元々、上級悪魔は対面や面子にこだわりますし、そもそもグレモリー家は家族/一族や眷属同士の情愛や仲間意識が篤いことで知られてます。グレモリー殿が進んでその評価を捨てるとは思えませんし」
「なるほどね」
「それに今回の一件、そろそろ”サーゼクス・ルシファー”殿ルートで『【教会】残党は潰してもかまわない組織』という情報が伝わってるでしょうし」
「なんだ……魔王ルシファー様まで一枚噛んでたのか」
いや、考えてみればそれも当然か。
まがいなりにも”
「この大規模衝突がありえない現状で、『貴重で
「……そうなるのかな? どうも素直には頷けないけど」
今後の展開を確認するためにも、どうやらもう少し神父と話しておいたほうが良さそうだな。
皆様、ご愛読ありがとうございました。
フリードが天界のエージェントどころか、
”
現状でのパワーバランスは、相性的に「フリード>イッセー」だったりします。
フリードはイッセーを「
あっ、ちなみに”
セラフォルー、アザゼル、ミカエルの三大勢力トップによる”情報学的ジェットストリーム・アタック”で、赤龍帝は多大なダメージ(主にメンタル)を受けた!
本当に本人与り知らぬ所で「セラフォルーの
次回はもう少しフリードとの折衝と対話がありそうですが、イッセー曰く「誤解と誤認」は解けるのか?
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
もし、ご感想などいただけるととても嬉しいです。