俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
本日は、ちょっと昼が忙しそうなので朝のうちにアップです。
さて、今回のエピソードは……イッセー、セラフォルー、アザゼルの中である行動指針が決まりコンセンサスが出来上がります。
悪魔側にもなにやら色々事情があるようで。
いずれにせよ、新米下級悪魔が請け負うような仕事じゃないんですが……まあ、イッセーですしね(^^
厄介なことになってきた。
堕天使総督のアザゼル殿とコンタクトを取ることに成功し、【教会】残党殲滅の内諾を取ることに成功した俺、兵藤一誠だけど……
『その【教会】って勢力には、天界勢力が一人、凄腕の”
とアザゼル総督に聞かされる事になる。
駒王町は悪魔と堕天使のみならず、撤退したはずの天界勢力まで巻き込む
おそらく、天界のエージェントが取るだろう行動は、俺が頭目である中級堕天使レイナーレを殺害することで生まれた隙を突いて、【教会】残党を壊滅させることだろう。
放棄した拠点を無断使用されてる彼らには大義名分が立つ。
そして最も確実で効果的な方法は、
”潜入したエージェントが意図的に【教会】残党を暴発させ、この地の守護悪魔であるリアス・グレモリーとその眷属を衝突させる”
だ。
この方法なら、リスクのわりには大きな効果が見込める。
堕天使主流派が【教会】を見捨てる決定を行ってる以上、尚更躊躇う理由はない。
できることなら杞憂であって欲しいけど……
状況的にそういう筋書きが読める以上、詳細な事情をグレモリーお嬢様にも説明して、連携して事態の収拾にあたりたかったのだけど……
「それはちょっと待って欲しいかな?」
何故かセラフォルーお嬢様から、まさかの待ったがかかってしまった!
***
「これはもう、完全に
セラフォルーお嬢様は珍しくも難しい顔で、
「リアスちゃんは、この『
ああ……そういうことか。
ソーナお嬢様が、「基本的に生徒会はオカ研に不干渉」って言ってた理由がわかったよ。
実際、同じ名門悪魔なのにソーナお嬢様とグレモリーお嬢様の
つまり顔合わせすらまだしてないのが現状だ。
「それって”
一応、確認だけはしておこう。
「”領地管理に関わる
あちゃあ~。
こりゃますます情況がマズくなってきたぞ。
「セラフォルーお嬢様……俺はグレモリーお嬢様と面識が無いんですが、”統治者としての手腕”はどうなんですか?」
するとセラフォルーお嬢様は難しい顔をして、
「力は凄いんだよ? 『さすがサーゼクスちゃんの妹さんだね☆』ってどこでもいえるくらいにね☆ でも、統治者としての腕前は……未知数?」
『ヲイヲイ。”セラ”、はっきり言ったらどうだ? 俺はサーゼクスの野郎との腐れ縁のせいで、赤龍帝よりはリアス嬢ちゃんのことを知っちゃあいるが……今回のこんがらがった事例、明らかに経験不足のリアス嬢ちゃんの手に余るだろう?』
あ~、大体理解してしまった。
理解したくは無かったけど。
「上級悪魔としての力はさておき、統治者としてはまだ手腕を問うようなレベルにない……でいいですか?」
「……うん」
考えてみればそうだろう。
グレモリーお嬢様はソーナお嬢様と同い年、見た目通りの年齢で18歳だ。
上級悪魔だからって、何でも出来ると思うほうが間違ってる。
特に経験でしか手に入らないような後天的
『なら赤龍帝、ここはお前が一肌脱ぐしかないないんじゃねぇか?』
「はっ?」
アザゼル総督は、いきなり何を言い出すんだ?
『お前さんのご主人様は”大公”とやらの意向があって動くに動けねぇだろ? なんたって目立ちすぎるからな』
ソーナお嬢様とグレモリーお嬢様は幼馴染らしい。
「基本、不干渉」というスタンスは色々忸怩たる思いもしてることだろう。
『だが、”
「あの……眷属悪魔が勝手に動いてしまうと、下手を打ったらソーナお嬢様にも累が及ぶと思うんですが?」
「あっ、それなら平気☆ イッセーちゃんはこの件に関しては『外交資料作成のための実地調査』とかって適当な名目つけて、暫定的に私の直轄として動けるように手配と根回ししておくから☆ 『人手不足でソーナちゃんから借りた』って形にしておくし☆」
『なら決まりだな。赤龍帝、お前さんはあくまで黒子として動け。事態が悪化しそうになったら”
「ホント、無茶言ってくれますね……」
ったく。なんでこうも危ない橋を渡らせようとするかな?
『堕天使の総督と四大魔王の一人に”
「私、イッセーちゃんに返せるもの、色々あると思うよ?」
セラフォルーお嬢様は、何故か俺の頭上……そこに陣取ってるはずの
『俺もそれなりに、な。それに赤龍帝、お前にとってもメリットはあるんじゃないか?』
「例えば?」
『任務にかこつけて、アーシア・アルジェントを奪還、もしくは優先的に保護できる』
「!?」
その発想は無かった……
『
「余裕だよぉ☆」
『俺も堕天使だけじゃなく、天界サイドにも根回ししといてやるが?』
***
はぁ~。
流石は先の大戦を生き延びた、海千山千の堕天使総督と現魔王。
俺のメリットまできっちり出されたら、断るという選択肢は極めて取りにくい。
「了解。いいでしょう。その提案、呑みましょう」
まあ、そうするしかないわな。
「それにしても……」
俺はついつい思ってしまう。
「セラフォルーお嬢様もアザゼル総督も、俺が一介の新米下級悪魔だって忘れてません?」
『赤龍帝が何を言ってやがるんだか』
「うふふ~☆ イッセーちゃんが卒業したら、ソーナちゃんの執事さんだけじゃなくて、お姉ちゃんのところのスタッフに就職しない?」
俺に死ねと?
************************************
さて、あのどう考えてもイレギュラーとしか思えない会談はなんとか無事に終り、俺の今回の一件に関する行動方針も決まった。
ちなみにセラフォルーお嬢様は、しっかりうちで夕食を食べてから冥界に帰った。
自分を「ソーナお嬢様の姉」と名乗って。
しかし、父さん母さん……
俺が今、シトリー家の執事見習いをやってるって聞いて、「息子の就職が早々と決まった」と嬉し涙を流すのはどうかと思うぞ?
そりゃあ生徒会に入ったのは教えたけど、ソーナお嬢様の見習い執事やってることを言わなかった俺も悪いけどさ。
それとセラフォルーお嬢様、”きゃぴるん魔女っ娘言葉”で俺の将来性を熱く語るのはやめてください。
両親が舞い上がってしまいます。
そんな一悶着があったにせよ、俺は今夜もトレーニングを兼ねたパトロール。
朝はジョギングだが、夜はサイクリングで鍛えることにしている。
ちなみにもうお眠の黒歌はお留守番だ。
そして、愛用の赤い”ターマック・エリート”で夜の街を駆けていると……
”イッセーさん……”
「アーシア?」
彼女の声が聞こえた。
***
その声に導かれるまま、俺は
そして、やがて顔を顰めたくなるような鼻につく感覚が俺を刺激し、
(……血の匂い?)
「こりゃ急いだほうがいいな……ドライグ!」
(おうよ相棒!)
俺は”
『Boost !!』
赤い龍が月夜に吼える!
皆様、ご愛読ありがとうございました。
実はイッセーが、とんでもない面々に”
もっともセラフォルーにせよアザゼルにせよ貸しを返す機会はかなりあるでしょうけど(^^
もちろん、今回も色々伏線は入ってるんですが……イッセーの主である妹より先に、ちゃっかり兵藤家でご相伴にあずかるセラフォルーお姉様(笑
しかも色々売り込みをした模様。
そして再び、原作との合流の予感……果たしてアーシアは無事なのか?
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
もしご感想などいただけると、とても嬉しいです。