俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
日付変わる頃にアップ予定だった第11話が思いの外早く仕上がったので、前倒し投稿です(^^
日付的には本日三度目の投稿という罠(汗
さて、今回のエピソードは……!平行世界《げんさく》ならこの時点なら絶対にありえない三人による会談が開催されるようですよ?
おっす、オラ兵藤一誠。
左手に
だけど家に帰って部屋に戻ると……ベッドの上で現冥界四大魔王の一角、”
……いや本気でわけわからない展開だって。
だけど、俺は自分の甘さを悔いることになる。
カオスな展開は、むしろここからが本番だった。
***
少し前提から言えば……俺は昨日、ソーナお嬢様の厳命でこの駒王町で暗躍する非主流の
その理由は、セラフォルーお嬢様の外交チャンネルを使って堕天使勢力主流派と繋ぎを取り、可能なら無闇に戦闘行為を行う非主流過激派の【教会】を制御下においてもらうこと(ただし、これは望み薄だ)、最低でも『主流派とは無関係』という認定を貰い、こちらがでの対処をしやすくするためだった。
ボスだった中級堕天使レイナーレを返り討ち(正確には相打ちだけど)にしてるから、【教会】残党と呼ぶべきかもしれないが……ともかく、あの天界勢力が放棄した教会を根城にする連中が、堕天使主流派に切り捨てられれば、独り残らず
だが、どこでどう話が捻じ曲がったのか?
堕天使
そして……
「そうしたら今度はアザゼルちゃん、イッセーちゃんと直接お話したいって言い出してね」
「はあっ!?」
いや、ホントに何の冗談だよっ!?
「でねでね、『ちょうどいい機会だからいいよぉ~☆』って。キャハ☆」
「キャハ☆っじゃねぇ~~~っ!!」
例え相手が魔王でも、ツッコんだ俺は悪くないと思う。
***
「でもでも、別にアザゼルちゃん、直接お話したいって言ってても別にイッセーちゃんのお部屋に”だいれくと☆あたっく”しにくるわけじゃないよ?」
「そりゃそうでしょう」
よし、思考を低いレベルに落そう。
セラフォルーお嬢様の行動は、この際潔く諦めて……
(四大魔王の一角と、堕天使総督が俺の部屋で会合って……どんなイカレた機密トップ会談だよ?)
「それでねぇ……よいしょっと☆」
とセラフォルーお嬢様は、どこからか巨大トランクを取り出した。
うん。もうツッコまないぞ。きっと転移魔法かなんかの応用だろう。
そしてそのトランクをお嬢様が開くと、
「にゃあ♪」
いつものように俺の頭の上に陣取った黒歌が楽しそうに鳴いた。
途端に開いたトランクから浮かび上がる魔方陣。
そしてそれが立体映像として結像し、浮かび上がる……
【SOUND ONLY】
の文字。
(意味無ぇ~~~っ!!)
映像出さないなら、わざわざ立体映像のギミック組み込む必要ないじゃん!
「アハッ☆ 相変わらずアザゼルちゃんったら、こんな中二病的ギミック大好きなんだね? 変わらないなぁ~☆」
『ヲイコラ。そこの魔王少女。誰が中二病だ? 誰が』
「私、
あっ、アザゼル殿(?)が声を発するたびに立体映像文字にエフェクトがかかってら。
無駄に凝ってるなぁ~。
『始めましてだな? 今代の赤龍帝。悪いが諸事情で顔は見せられねぇし、音声も少々変えさせて貰ってるぜ』
「無駄に謎めいてるだけだよ☆」
『そこ。俺は
「はいはい☆」
***
『まずは赤龍帝、すまなかったな。うちの部下のせいで殺されちまってさ』
「いえ。俺もレイナーレを殺してますし、命の等価交換て意味じゃ間尺は合ってますよ。それに俺は眷属悪魔として復活できましたから」
なら結果として、
「今の立ち位置は、そう悪いもんじゃありませんので」
”きゅ”
「あの~……セラフォルーお嬢様、なんで俺の腕に抱きついてるんです?」
「えへへ~☆ だって嬉しいんだもん☆ イッセーちゃんがソーナちゃんの眷属になれてよかったって言ってくれて」
『いや、そこまでは言ってねぇだろ? それよりお前、赤龍帝に”セラフォルーお嬢様”とか呼ばせてんのか? お前一体、自分で何歳だと……』
「
ま、まあ、そういうことにしておこう。うん。
『へいへい。まあ、話は戻すが……赤龍帝、お前からのレポートは読ませて貰ったよ。実際、悪魔勢力に手を出すってんなら切り捨てるのも吝かでもねぇんだけどな。頭を失っちまった組織ってのは、方向性を見失った部下が暴発しがちだからな』
「ということは?」
『まあ待て。それについちゃあ、実は俺の方からも報せねばならんことがあるんだ』
アザゼル総督は一呼吸置いてから、
『その【教会】って勢力には、天界勢力が一人、凄腕の”
ええ~。
何その
「そりゃまた面倒な……」
『だろ? 俺としちゃあ、別に悪魔の領域でドンパチ始めようとする不心得者共は同じ堕天使とはいえ、まとめて殲滅してもらってかまわねぇんだけどな』
「天界も
セラフォルーお嬢様の疑問にアザゼル総督は、
『ああ。おそらくな。なんせ、俺のところにも『駒王町の教会で不法占拠してる勢力は、お前の命令で動いてるのか?』って問い合わせがきたぐらいだからな』
***
「まずいな……」
俺は思わず呟いた。
「これは無理にでもアーシアを止めて置くべきだったか?」
今になって悔やまれる。
『アーシア? 赤龍帝、誰だ?』
「だれだれ?」
「フルネームは、”アーシア・アルジェント”。治癒もしくは回復系の神器持ちで、教会から破門/追放された元修道女です。アザゼル総督、聞き覚えは?」
『ちょっと待ってろ。データベース確認するから……ああ、あったあった。確かにレイナーレの手下が接触かけてるみてぇだな』
「アザゼルちゃん、組織管理が
『うっせいやい。それにしてもマズったな、こりゃ……天界にも「【教会】は切り捨てる予定だ」って言っちまったし』
「確実に鉄火場に巻き込まれるでしょうね。俺がもし教会のエージェントだったら、迷わず”
「イッセーちゃん……どういうこと?」
「いえ……俺がもし天界のエージェントで、【教会】の潜入調査を行っているなら、そして頭目が不慮の死を迎えて組織が弱体化したなら……その
教会……天界勢力にとって堕天使はやはり敵であることには代わりは無い以上、主流派から見放され、潰しても問題ない堕天使の末端組織なら躊躇う理由がない。
放棄した教会を不正利用した彼らからしてみれば、大義名分は立つ。
『ヲイヲイ。物騒だな? 具体的な方策は?』
「決まってますよ」
なら選択する方法は、もっとも確実で効果的な物の筈だ。
「本格的に分裂して収集がつかなくなる前に
***
「でも、それじゃあリアスちゃんのところと全面抗争になりかねないよ? 波及して大規模衝突するリスクを天界が負うかな?」
首を捻るセラフォルーお嬢様に、
「天界エージェントが【教会】残党を暴発させてグレモリー眷属と衝突したとしても、『エージェントは内偵してただけで、ぶつかったのは堕天使』とシラを切れますから。それに先の大戦で消耗した三大勢力が大きな戦いを望んでいないのは周知の事実ですから……話を大きくする理由がないんですよ」
『つまり?』
アザゼル総督は先を促した。
声色に楽しそうな響きが混じってるのは、気のせいだと思いたい……
「目障りな
『驚いたな……今代の赤龍帝は結構、頭が回る上に「政治が出来る」度量がある、か』
「お言葉ですがアザゼル総督……この程度、”政治”には入りませんよ? 戦略ですらない。せいぜい戦術の範疇です」
こんな善人が総督で、堕天使勢力は大丈夫か?
それとも堕落してもやっぱり天使ってことなのか?
「ほぇ~☆ ソーナちゃん、もしかしたらイッセーちゃんって赤龍帝抜きにしてもすっごく掘り出し物かもよ? やったね☆」
『”
「わかってるよぉ~☆」
「???」
なんだか感心されてしまったが、とりあえずは対策を立てるべきだろう。
「先ずは現状を確認しましょう……アザゼル総督、堕天使陣営は現状の
『ああ。その認識で間違いない。むしろ俺は、”
「わかりました。セラフォルーお嬢様、グレモリーお嬢様への詳細な情況説明は?」
当然、俺は了承が出ると思っていた。だけど、
「イッセーちゃん」
だけど、セラフォルーお嬢様は珍しく難しい顔をして、
「それはちょっと待って欲しいかな?」
皆様、ご愛読ありがとうございました。
”
というかこの二人、ナチュラルにイッセーを”
まあ、「政治も理解できる赤龍帝」ともなれば、ある意味、当然かもしれませんが。
それにしても、どうやら展開は原作よりややこしくなりそうです。
謎の天界側エージェントにセラフォルーが待ったをかけた悪魔側の事情……魔王と総督に下手に見込まれてしまったイッセーの明日は、果たしてどっちだ?(笑
それでは皆様、また次回にてお会いできることを祈って。
もしご感想などをいただけたら、とても嬉しいです。