俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような?   作:ボストーク

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皆様、こんばんわ。
古いプロットを発掘して今風に肉付け(リメイク)したのがこのシリーズです(^^

結構、実験的要素が強いし不定期更新になるのは間違いないのですが、とにもかくにもまずは短編1話をアップします。


とりあえず……一誠がひたむきで、ソーナがなんとなく可愛い話ですよ~。





第一章 生徒会室のディアボロス
第01話 ”悪魔で執事、です?”


 

 

 

「人生の最後が()()と相打ちかよ……まっ、でも」

 

俺は端的に言って死に掛けていた……右腕は千切れてるし、出血から考えてそう意識は長くは保ってられないだろう。

それでもそれなりの満足感はあった。

 

視界の端に映る鴉の羽みたいな翼を生やした女の死体……レイナーレとか言ったかな?

人の身のままその妖怪変化だか魑魅魍魎と相打ちとなれたのなら、

 

「良くもないけど悪くないだろ? なあ”龍の篭手”」

 

いつの間にか……気が付いた時には俺の左腕にあった”赤き龍を象った篭手”。

これがどういう由来のものなのか俺には何一つわからないけど、武具であることはわかったからそれなりに武を磨いてきた。

 

 

 

(あれから何年かな……)

 

気弾……例えるなら、そんな感じの火球を撃てるようになったのはいつの頃だったっけ?

きっと、そういうアイテムなのだろうと思って今までずっと一緒だったたけど、

 

「悪いな、”相棒”。俺はもう駄目……みたいだ……」

 

この間、女の子に突然告白された。

そして今日が初デートだったけど……

 

(最初から怪しいと思っててよかったぜ)

 

人の姿をしていたけど、人の気配じゃなかった。

それに俺は間違っても女の子にもてるタイプじゃない。

『格闘バカの脳筋男。取り柄をあげるなら力と頑丈さくらい』ってのが本当のところだろう。

自分で言うのもなんだけど、少なくとも女の子が付き合ってて面白い男じゃないって自覚はある。

 

だから対応できたんだと思う。

名前を覚えてない女の子が化けの皮を剥がして光の槍を放った時、考える前に体が動いた。

 

とりあえず一方的に殺されず、きっちり反撃して相打ちには持ち込んだけど。

 

(そろそろ全身の感覚が無くなって来たなぁ……)

 

「父さんと母さん、”黒歌”の奴にちゃんと餌やってくれよな」

 

今際(いまわ)のきわだってのに思い出したのが、愛猫の黒猫だっていうんだから……我ながら色気もなにもあったもんじゃない。

でもしょうがないじゃん?

父さんや母さんを除けば、一番長い時間を一緒に過ごしたのが愛猫の”黒歌”だったんだからさ。

それにあいつ拾ってから何年も経つのに、大きくなる気配もないし。

 

(遺してくのが心配だぜ……)

 

でも、意外だ。

死ぬまで下手に時間があると、人間ってのはつらつらと存外に埒のないものを考えるもんだな。

 

戦って死ねるのは、これはまた俺が望んだ結末の一つでもあるけど。

どうせなら、強さのピークに至ってから死にたかった。

それが心残りだ。

こういうのは走馬灯って言うんだろうか?

流れるような記憶の最後に浮かんだのは……

 

(ヴァーリ……ごめん。いつかお前に追いつくって約束、果せなくなったよ)

 

かつて仰ぎ見た”憧れ”……「天空に輝く白銀の翼だ」った。

 

 

 

***

 

 

 

「選びなさい。このまま楽に死ぬか、あるいは悪魔と契約し悪魔となりて苦難と共に悠久の時を生きるかを」

 

凛とした声……

誰だ……?

 

視線の主はすぐに見つかった。

レンズの向こう側からとても綺麗な……紫水晶(アメジスト)色の瞳で俺を見ていた。

 

「生き……たい……」

 

例え悪魔に堕ちても、まだ強くなれる余地があるのなら。

あの白銀の翼に少しでも近づけるのなら……

まだ、俺に手を伸ばすことが許されるのなら……

 

「わかりました。私がこれから先に訪れる時間、貴方の主人(マスター)となりましょう。私を生涯唯一、今生唯一のマスターだと心得なさい」

 

「Yes……My Only……Master」

 

 

 

そこで俺、兵藤一誠(ひょうどう・いっせい)の意識は途絶えた。

後の記録を読む限り、この時に俺は()()()()()()()を終えたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「遅かったですね? リアス」

 

「えっ!? ソーナ、どうして貴女がここに?」

 

「偶然近くを通りかかっただけですが」

 

ここは駒王町市街にある公園。

堕天使の反応を察知して駆けつけたこの街を領地(管理地)とする上級悪魔、同時に駒王学園三年生でオカルト研究部部長の”リアス・グレモリー”が見たのは、予想外の光景だった。

反応の消失から堕天使が討伐されたのはリアスにもわかったが、

 

「ソーナ、貴女が消し飛ばしたの?」

 

幼馴染である同じく上級悪魔で駒王学園三年、生徒会長という肩書きを持つ”支取蒼那(しとり・そうな)”こと”ソーナ・シトリー”が先に現場におり、なおかつ瀕死の少年を抱きかかえていたのだから。

 

「違います。この少年……兵藤一誠君が、命を落としながらも堕天使を討伐しました」

 

「えっ!? でも、反応から考えて相手は中級クラスだったんじゃない? って、それよりソーナ、その子のこと知ってるの?」

 

その『一人の少年が人生を終えた』というシチュエーションのわりには呑気な質問は、間違いなくソーナが少年を悪魔に転生させたことを気付いているからであろう。

 

「直接の面識はありませんが、私は生徒会長として生徒/教職員全員の顔と名前を記憶してますから」

 

「……それ、何気に凄いわね」

 

 

(それに彼は、ある分野では割と有名なんですよ? 特に運動部には)

 

曰く『全身の神経が運動神経で構成されている』

 

ソーナは心の中でそう思ったが、どうにもこの妙に巡りあわせのいい親友には隠蔽したい情報だった。もちろん、今は姿を消した”赤い龍の篭手”と共に。

上手くはいえないが……なんとなく現時点では横取りされそうな予感がしたからだ。

リアスはこすっからい性格はしてないし、性悪でもないのだが……

 

(でも、不思議なことにリアスとこの子が並んでる姿が容易にイメージできるんですよね。明確すぎるほどに)

 

 

 

「とても勇敢な子です。相手が正体のわからぬ人外の者でも、恐れず、怯まず、竦まず……自分のできる最大限の戦術と戦闘技術を用いて諦めず戦い、そして最後の瞬間まで生きようとした。見事な勇者っぷりでしたよ?」

 

そっと慈しみを込めて茶色の髪を撫でた。

 

「それにリアス、この子は中々の大物のようです」

 

厳格さを象徴とするソーナ・シトリーにしては珍しくはっきりとわかる微笑を浮かべ、

 

「この子を転生させるのに、”兵士(ポーン)”の駒を八つ全て使ってしまいましたから」

 

「ちょっ!? 何その非常識な消費!?」

 

「フフ……今はゆっくりお休みなさい。でも、目覚めたら貴方はどんな輝きを見せてくれるのでしょうね?」

 

 

 

 

 

 

 

こうして二人は出会った。

赤い髪の親友と共に数多の戦場を駆け抜け、その名を歴史に深々と刻んだ深遠なる叡智の魔法少女……もとい。”姫君(プリンセス)”と、それを守り続けた白銀の龍に憧れた少年の物語は、こうして静かに始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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皆様、こんにちわ。

兵藤一誠です。

え~と……どうやら俺は堕天使って謎生命体と戦って落命し、悪魔ってこれまた不思議生命体に転生したみたいです。

 

神様転生っていうのは聞いたことあるけど、悪魔転生っていうのは初耳でした。

いや、それはどうでもいいんだけど……

 

「会長、お茶です。本日の葉はF&Mのダージリンになります」

 

「ありがとう。一誠」

 

時は優雅な放課後……俺は何故か学園の生徒会室で命の恩人(?)、ソーナ会長にお茶酌みをしていたりして。

 

「一誠」

 

「はい」

 

「まだまだです。茶葉が開ききってないときの味です」

 

「精進します」

 

 

 

***

 

 

 

兵藤一誠、駒王学園二年生。

悪魔に転生後、生徒会に所属。

生徒会での役職は”雑務係”。

基本、脳筋。

全身是運動神経の塊。

成績は赤点は取らないが、間違っても上位成績者にはノミネートされない程度。

 

 

 

幼き日の”()()()()()()”により、色恋沙汰より強くなることに夢中になってしまった少年であった。

 

「ところで会長……なんで俺だけ、生徒会ではタキシード着用なんです?」

 

「一誠、話を聞いてませんでしたね?」

 

「すみません。色々なことが一気に起こったのでまだ整理できてなくて」

 

「貴方は生徒会の役員で私の眷属、下僕の下級悪魔ですが」

 

「はい」

 

「同時に私の”()()()()()”なのですよ? なので貴方が纏っているのは、タキシードではなく我がシトリー家の()()()です。いいですか? これも執事修行の一環です」

 

「修行……はい! 判りました!」

 

 

 

追記事項:”(転生)悪魔で執事(見習い)”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、ご愛読ありがとうございました。
作者初のハイスクールD×D二次は、いかがだったでしょうか?

なんかシトリーの眷属になった上に、見習いですがソーナの執事で悪魔になったイッセーの物語がなし崩しに始まったみたいです(^^

果たして、リアスやグレモリー眷属との関係はどうなるのか?
そして、BLタグの真意は?

もし、酔狂にも……失礼。噛みました。大きな心をお持ちで「続きを読みたい」と思ってくださる読者様がいらっしゃるなら、「わっふるわっふる」と(えっ?

それでは、またお会いできれば嬉しいです!


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