ブラック・ブレット 記憶の覇者   作:在原昴

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久々の投稿です


第11話

蓮太郎達は未踏エリアに着くと、そこからは歩きで移動していた

というのも、ここに来る途中、ガストレアに感知され、パイロットが急いで目的地で着陸、そして急いでヘリから離れたという経緯があった

 

延珠「なあ、蓮太郎、この辺りに影胤がいるという話しではないのか?」

蓮太郎「その線は薄いだろうな…こんな場所、常人ならすぐに気がどうにかなっちまう、恐らく町の方だ…」

銀二「一理あるな、こんな暗い森の中に居続けたら銀さん怖くて漏らすからな!?」

遥「おい、銀二…だったな…涙音がいる前でみっともないことを言うな…涙音、この先は大丈夫か?」

 

銀二の言葉に遥が突っ込みながら、涙音に先の状況を確認した

 

涙音「この先五百メートル先に生体反応を感知しました…ですが、さほど問題にはなりません…」

桂「涙音とやら…凄い感知能力だな…」

涙音「私にはソナーの能力がありますので…それに、ピット器官も備えてありますし、犬以上の嗅覚、聴覚も優れてますので…大体はそれで感知できます…」

 

涙音は素っ気無く幸太郎の言葉を返した

そのまま涙音は遥の横を歩いていた

 

高杉「あの涙音、遥以外には結構冷たい奴だな…」

辰斗「確かに、じゃが儂等はあって間もないからのう…仕方ないぜよ」

 

そんな会話をしながら歩いていると、涙音が突然足を止めた

 

遥「涙音…何かいるのか…?」

涙音「マスター…レベルⅢガストレアが接近しております…」

蓮太郎「何だと…!?」

銀二「静かにしろ!!」

 

銀二が忠告し、皆物陰に隠れた

その時、黒く、巨大な肉体を持ち、三対の脚に四つの赤い眼を持つ鰐のようなガストレアが現れ、こちらの方角を見ていた

蓮太郎はこのまま出て交戦しようと思ったが、延珠を見てその考えをやめた

恐らく、あのモデル・クロコダイルのガストレアの皮膚は恐ろしく固く、銃弾も通さないだろう

そして、ガストレアが通り過ぎると、蓮太郎は一息ついた

 

延珠「全く、蓮太郎は妾よりも脆いくせにすぐに前に出たがる…」

遥「ハハハ、こりゃ傑作だ、餓鬼に心配される保護者ってな」

蓮太郎「笑うなよ…」

涙音「マスター、マスターも一瞬自分が仕留めようと思いましたよね?」

遥「…否定できない…」

銀二「おいおい、完全に似た者同士じゃねぇかよ」

桂「そうd…」

 

桂が何かを言おうとした瞬間、いきなり遠くの方で爆発音が鳴り、重低音な爆発音は空気を響かせ、辺りを振動させた

蓮太郎と遥は舌を打った

 

蓮太郎「馬鹿野郎!! どこかのペアが爆発物を使いやがったな!? ……なんてことを…」

遥「マズイ…森が起きる…!」

 

蝙蝠たちがバサバサと騒ぎ、動物、ガストレア達の低い唸り声が木霊し、そして、先ほどとは異なる重低音が鳴り響いた

そして、目の前に巨大なガストレアが現れた

そのガストレアは六メートル以上ある巨体に長い首、爬虫類独特の獰猛な顔、赤い舌がチロチロと見え、巨大な翼が見えた

姿はまさに架空の存在であるドラゴンそのものであった

遥は姿を確認すると、竹刀袋から刀を引き抜き、たった一閃でガストレアに感づかれないほどの小さな傷をつけた

 

涙音「マスター、ここからの離脱を推奨します…」

遥「了解した、逃げるぞ、蓮太郎!!」

蓮太郎「あ、ああ!! 延殊!!」

延珠「まかせよ! 蓮太郎!!」

 

延珠は蓮太郎を背負い、ものすごいスピードで跳躍した

涙音はそれよりも早く、遥を背負い、延珠の跳躍力を超えたスピードで走り始めた

 

銀二「待って~!!俺達はどうするんだよ!?」

桂「待て、何やら服に違和感を感じるんだが…?」

銀二「服……おいおいおい…これって…」

 

銀二達の福に何時の間にか光の帯が縫い付けられていた

 

銀二「待って、俺絶叫系とかマジでNGなんだけど!?」

高杉「あの涙音ってやつのスピードで引っ張られりゃ車よりも早いかもな」

辰斗「なはは~!! あやつも結構大胆じゃのう」

銀二「何でこんな時に限ってお前等冷静なんだよ!?」

 

無情にも、光の帯は引っ張られ、銀二達も猛スピードで引っ張られて行き、銀二は悲鳴を上げていた

そんな中、高杉は顔色一つ変えずに辺りを見回し、幸太郎は何故か笑っていて、辰斗は意識の大半を失っていた

銀二に出来たのは悲鳴を上げることだけであった

そんな中、高杉がさっきのドラゴンのようなガストレアが光の帯を立ち上らせながら消滅し始めていることに気が付いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遥「ここまでくれば問題ないか…」

銀二「じょ、冗談じゃねぇよ…銀さん危うく死ぬところだったよ!? ちょっと吐き掛けたよ!?」

涙音「私はマスターの命令を聞いていち早く離脱しただけです…それに、貴方達はマスターがとっさに助けたのだから…お礼を言ったらどうですか?」

銀二「バッキャロウ!!誰が絶叫マシーンに乗せろって言ったよ!?」

 

涙音と銀二が揉めている間に、蓮太郎と延珠が辺りの警戒をしていた

近くに人工物と思われる土嚢が多く積まれた建物があった

ガストレア大戦の時に築かれた防衛陣地《トーチカ》

現在は機能してはおらず、所々風化してはいるが、風よけにはなるかもしれない

そんな中、遥と蓮太郎はパチパチと薪が爆ぜる音が聞こえ、隙間を除くと火が見えた

中に誰かがいることに気が付いた二人は中に入り、拳銃を引き抜き、その人物に突き付け、それと同時にショットガンが交差した

その人物の背後から二つの影が迫り、二人が正体を確認すると、声をあげた

 

蓮太郎「待て、延珠!!敵じゃない」

遥「涙音!! ストップだ!!」

 

二人の声を聞いた二人の蹴りはその人物の後ろで止まった

蓮太郎はその相手を見て絶句した、その人物は荒い息を吐き、虚ろな瞳を向けていた

落ち着いた色の長袖にスパッツ、ガストレア達が闊歩しているこの地獄に似つかわしくない格好をした少女だった

だが、蓮太郎と遥は見覚えがあった

 

延珠「銃を降ろさぬとその首を叩き落とすぞ!!」

涙音「銃を降ろしなさい…首を引きちぎられないうちに…」

遥「待て、この子は敵じゃない」

蓮太郎「お前確か防衛省であったな…覚えているか?」

 

少女は静かに頷いた

 

?「はい、覚えています」

 

苦しげな息を吐きながら辛そうに答えた

 

遥「とりあえず応急処置だけしておこう…涙音…」

涙音「イエス、マスター」

 

遥と涙音は少女の手当てをはじめ、蓮太郎がふと横を見ると、延殊が不機嫌そうな顔を浮かべていた

 

延殊「待つのだ蓮太郎!!妾はこんな女知らぬぞ!?」

蓮太郎「延殊は初めてだな、こいつは伊熊将監っていうプロモーターのイニシエーターだ」

 

蓮太郎は延殊に説明し、その間に銀二たちは枯れ枝を拾い集め、火の勢いを上げていた


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