ハイスクール・フリート 世界に翼が舞い降りた 作:アジアの大提督
佐世保港に停泊中の病院船内でブルーマーメイドが悠一郎に対する事情聴取を始めた。
川瀬「初めまして、私はブルーマーメイド九州支部の川瀬よ。あなたを最初に見つけたのが私よ。」
木村「同じくブルーマーメイド九州支部の木村です。今回は記録員としてきました。」
川瀬「まず、最初にあなたの名前は佐藤悠一郎でいいのよね?」
悠一郎「そうだが、何故俺の名前を?」
川瀬「あなたが発見した時に乗っていた物体の中に個人認証を表す物があってそれで」
悠一郎「物体?零戦の事か?」
ここで川瀬が初めて聞く物の名前が出てくる。
川瀬「零戦とは?」
悠一郎「零戦の事を知らないのか?」
川瀬「ええ、ちょっと知らないわね。」
悠一郎「そうなのか(まぁ、実際零戦の事は機密事項だったし一般の国民が知る筈もないか)」
川瀬「零戦だっけ?その事を教えて貰いたのだけど?」
悠一郎「零戦とは我が帝国海軍の誇る世界一の戦闘機だ。」
川瀬「戦闘機?」
悠一郎「戦闘機を知らないのか?そもそも戦闘機とは敵の戦闘機や雷撃機を爆撃機など航空機を堕とすために作られた航空機だ。」
川瀬「なるほど、一つ質問よろしい?」
悠一郎「いいけど、どうした?」
川瀬「航空機って何ですか?」
悠一郎「…えっ?」
悠一郎の思考が一瞬だけ停止した何故この女は航空機を知らないんだと。
悠一郎「えっ、航空機は航空機ですよ。人が乗って空を飛ぶ物ですよ?」
川瀬「あの物体の中に入って空を飛ぶんですか⁉︎」
悠一郎「そうだけど」
川瀬「ちなみにそれは自力でですか?」
悠一郎「そうだが、前の方にプロペラがあったろあれが発動機でそこから前に進む力を作りそこから翼で揚力を得る事が出来て飛ぶ事ができるんだぞ。」
川瀬「つまり中に乗ってる人はそれを操るのですか?」
悠一郎「そうだ、俺もその一人だ。」
川瀬「⁉︎」
川瀬は驚いた目の前の人があれに乗って操ってるのかと想像すると凄い光景が浮かんでくる。
一度川瀬は落ち着いて悠一郎に言った。
川瀬「悠一郎さん」
悠一郎「はい?」
川瀬「私が知る限りでは、この世界には零戦の様な自力で空を飛び並びに人が乗って操る事ができる物はこの世界にはありません。」
悠一郎「えっ?…つまり航空機がないってことですよね?」
川瀬「そうなります。」
悠一郎「えっ航空機ですよ航空機!なんでないんですか⁉︎」
川瀬「わかりませんが、言える事は有人で空を飛ぶ事ができるのは悠一郎さんが乗っていた零戦って呼ばれるものです。」
悠一郎はもしかしてと思ってある事を聞いた。
悠一郎「今、零戦はどこにあるんだ⁉︎」
川瀬「零戦は今横須賀の工廠で復元及び解析中です。」
悠一郎「今すぐ俺を横須賀に連れて行け!」
川瀬「それは無理です。」
悠一郎「なんでだ!」
川瀬「あなたはしばらくの間ここにいる事が決まってますので。出れるとなったならばすぐにでも横須賀には向かえるように手配はしときますので今しばらくの我慢を。」
悠一郎「くっ!」
何もできないのかと思った悠一郎だった。
そしてもう一つ悠一郎には気掛かりな事があった。
それは「昭和天皇」の事だ。
悠一郎「ちなみに別の事で聞くが、陛下…昭和天皇はいつお亡くなりなった?」
川瀬「昭和天皇?確か1989年だったわね。」
悠一郎「えっ、1989年っていう事は陛下はアメリカ軍に殺されたわけではないのだな。」
川瀬「なんで昭和天皇はアメリカ軍に殺される様な事になってるの?」
悠一郎「今、日本はアメリカと戦争をしてる筈だろ?」
川瀬「戦争?今の日本は戦争なんかしてないわよ。」
悠一郎「えっ、つまり大東亜戦争は終わったのか?」
川瀬「大東亜戦争?知らなわね。日本最後の戦争はロシアとの日露戦争よ。」
悠一郎「つまり…アメリカとの戦争は起きてないと?」
川瀬「そう言う事になるわね」
悠一郎「どういう事だ…俺の知ってる歴史と記憶が違うぞ。」
川瀬「歴史と記憶が違う?それってどういう事?」
川瀬も今までの会話を通して何か不自然なポイントがあって疑問に思っていた。
本当にこの時代の人間かと。
悠一郎「俺の記憶では日露戦争の後、欧州大戦争(悠一郎の時代では、まだ第一世界大戦とは呼ばれていなかった)が起き次に同盟国ドイツがソ連とイギリス、アメリカと戦争して我々日本もアメリカとイギリスに宣戦布告し開戦した筈が、ここでは違ってくる。」
川瀬「私がまだ生まれる前に一回だけアメリカとの関係が悪くなって開戦直前まで行ったけどギリギリの日米交渉で開戦は回避したって学校で習ったわよ。その時に対米のために作られた軍艦が今のブルーマーメイドや各地の海洋学校で使われてるの。」
やはり何か違う 航空機がない 大東亜戦争のがなかった事色々と違う。
木村「川瀬さん」
川瀬「何?」
木村「話の内容から見て考えられる事があるのですか、言ってもよろしいですか?」
川瀬「多分、私も貴女と同じ事を思ってるわ。」
木村「ですよね〜」
川瀬「悠一郎さん落ち着いて聞いて」
悠一郎「はい」
川瀬「多分あなたはなんらかの拍子で時代を超え別の世界にきてしまったのよ。」
悠一郎「さすがにそれは…ありえますね。」
川瀬「状況からしてそれしか考えられないのよ。」
悠一郎「俺はどうすればいいのですか?」
川瀬「とりあえずさっき言った通りしばらくの間はこの病院船に居て、私がこの事を上に報告して受け入れて貰えるかわからないけど…でもあなたの力にはなるから待ってて。」
悠一郎「わかりました。」
川瀬「では、事情聴取はここまでにします。お大事に。」
悠一郎「はい」
川瀬、木村『失礼しました。』
木村「川瀬さん、上の報告書大変そうですね?」
川瀬「ええ、そうな貴方も手伝いなさいよ。」
木村「えー、じゃあ終わっら一杯奢ってくださいね。」
川瀬「わかった、わかった。」
そう言いながら二人は病院船を後にする。
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