ハイスクール・フリート 世界に翼が舞い降りた 作:アジアの大提督
これは感想欄で結構な意見があったので実験的にやってみましたので皆様からの感想を待ってます。
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昭和20年3月17日日本海軍鹿屋航空基地
ここでは今日本近海に接近しつつある米海軍機動部隊との戦いのために鹿屋航空基地では航空隊の編成が指揮官より発表されていた。
「以上が今度米機動部隊が襲来した時の編成だ」
指揮官が言うと整列してるパイロットの前の黒板には基地直掩隊と機動部隊への攻撃隊と攻撃隊の直掩隊と特攻隊と特攻隊の直掩隊の編成が黒板に書かれており、特攻隊の欄に佐藤 悠一郎の名もあった。
「…」
周りには特攻隊に選ばれて喜んでる者や選ばれて絶望の顔をしてる者がいるが悠一郎はどちらにも属さないような顔をしてた。
「おい! なんだこの編成は! とうとう参謀部はこの戦局に狂ったのか⁈」
編成の発表が終わった直後指揮官に対して文句を言うパイロットがいた。
それは今発表された編成で特攻隊の直掩隊に選ばれた宮下一飛曹だ。
「あーあーまた宮下さん。上層部に文句言ってるよ」
「普通なら軍法会議ものなんだけど何せ宮下さんはな」
「この戦争の初期の頃から前線で戦い続け、生き抜いてきたパイロットだからな」
そうこの宮下は元々は南雲機動部隊の航空母艦飛龍の戦闘機パイロットで真珠湾攻撃からウェーク島攻略にセイロン沖海戦にミッドウェー海戦など艦載機搭乗員からラバウルでのガダルカナル島を巡る作戦に参加したりなど数々の激戦で戦果を挙げつつ、生き抜いてきた日本海軍に残ってる数少ない超が付くほどの熟練パイロットなのだ。
だから比較的撃墜の恐れが少ない特攻隊の直掩のに選ばれたのが宮下はそもそもの編成に不満があった。
「なんで若者ばっか特攻に出すんだ! 中には霞ヶ浦で敵機を落とすほどの実力を持った奴まで特攻に出すなんてどうかしてるぜ!」
「貴様誰に口を利いてるのか分かっているのか? 」
当然一兵の宮下は指揮官から逆鱗を買う。
「分かって言ってるんだ!」
「なら貴様私の部屋に来い」
そう言って宮下は指揮官の部屋に連れていかれた。
そして夜になり、基地では戦意向上の為と特攻隊と行くパイロットの為に軽い宴会が開かれていた。
悠一郎は宴会に参加していたがあまりその場の空気に会わず宴会を行なってる食堂から出て滑走路脇の草むらで横になっていた。
「星が綺麗だな」
悠一郎がそう呟くと悠一郎の後ろから
「ラバウルの星はもっと綺麗だぞ」
悠一郎が後ろから現れたのは顔中が傷と血だらけになった宮下がいた。
「宮下一飛曹! その傷は!」
悠一郎は立ち上がり傷だらけになった宮下を心配する。
「あの野郎上官だからっていいように殴りやがってよ。でもこのぐらいの傷なら唾をつけとけば治るから座れよ」
宮下がそう言いながら座ると悠一郎も宮下の横で座る。
「お前さんこの戦争日本は勝てると思うか? 俺はもうちょっと勝てるとは思ってない」
「! 宮下一飛曹そんな事を誰かに聞かれたら!」
悠一郎がまさかの宮下の発言に周りを一度警戒する。
「大丈夫さ。奴らは俺を殺さないさ。で、お前さんはどう思うんだ? 正直に言ってみろ」
「…自分も正直ここまで追い込まれたら勝てるとは思ってまさせん」
「ほぅ、まさか俺と同じ考えを持ってる奴がここにいるとはな。その理由を聞かせてくれよ」
宮下がさらに悠一郎に詰め寄る。
「自分は元々駆逐艦乗りでした。ある日突然お世話になってた班長から航空隊への転属を勧められました。実はこの時から日本は負けてるんだなと思いました」
「なんでかそう思ったんだ?」
「それは戦争に勝ってればこんな急に転属を進める話は来ません。しかも極め付けは霞ヶ浦航空隊にいる時に自分は訓練中に米艦載機を落としましたが冷静に考えればもう日本近海までに米空母が接近してって事が分かります」
悠一郎は自分の正直な気持ちを宮下に全て言う。
「じゃあお前は特攻隊に選ばれたのは嫌だったのか?」
「いえ、命令ならば命令を全うするのが軍人の役目だと思ってます。なので自分は何とも思ってません」
「そうか」
宮下が草むらに寝転ぶ。
「実はな俺最初は戦艦の砲手になりたかったんだよ」
「え?」
「何かの手違いで航空隊の配属になっちまったんだよ」
悠一郎はまさかの宮下のパイロットになる経由を聞くことになった。
「それで一飛曹はどうしたんですか?」
「そりゃ戦艦の砲手になりたかいから配属を変えてくれって上官に言ったんだけどよあいつら聞く耳ないから渋々俺はパイロットになったわけだ。だかよ航空機はよ自分の思うがままに操れてこの大空を飛べる事に楽しさを知ったのさ。そして気づけば前線で戦って同期が死んで行く中生き抜いて今に至るわけさ」
宮下は悠一郎に自分がパイロットになってからの話を全て話した。そして悠一郎は宮下にある事を聞く。
「宮下一飛曹。もしこの戦争の終わりまで生き抜いたら何をしたいですか?」
「そうだな…俺は平和になった空を守る仕事でもしたいな」
「平和になった空を守る仕事?」
「あぁ、戦争が終わって平和になった日本の空を守りたいな」
「平和な日本の空ですか」
「ちなみにお前さんはもし生き抜いたら何をしたかったんだ?」
「自分ですか? 自分は…特にないですね」
「そうか。でもお前はまだ若いこれからやれる事が沢山あるさ」
「でも自分は次の襲撃で…」
そうだ悠一郎次の襲撃で敵艦への体当たりをする特攻隊に選ばれていた。
「…そういえばお前さんそうだったな。じゃあ俺は明日お前らに花道を作ってやるからよ。必ず敵艦に体当たりしてこいそして俺がお前らの分を生き抜いて日本の空を守る仕事をして、お前らの分まで生きてやる!」
「はい!」
「じゃあ戻るか」
悠一郎と宮下は食堂に戻り、宴会に参加した。
そして翌日米海軍機動部隊が日本を空襲し、悠一郎は敵艦へ特攻するため出撃し、宮下はそれを守り抜き米軍の迎撃機を全て撃ち落として1機も迎撃機にやられず無傷の状態で特攻隊を米海軍機動部隊の所まで直掩し続けた。
そして悠一郎は米空母へ特攻をし、命令を果たして今に至る。
日本航空学校 伊豆飛行場
悠一郎は滑走路脇の草むらであの日と同じように横になっていた。
「懐かしいなあの日が」
悠一郎は特攻前日の事を思い出していた。
「あの後の日本はどうなったんだろうな。それと宮下一飛曹も」
悠一郎がそう考えてると後ろから坂井が来て航空科のミーティングの時間だと知らせにきた。
「教官。ミーティングの時間です」
「あぁ、わかった。先に行って準備してくれ」
「了解です」
悠一郎は坂井に行かせて後から行くようにする。
「宮下一飛曹。自分は命令を果たして今は教官をやってます。やるべき使命を全うしてます」
悠一郎は空にそういうとミーティングに行った。
昭和29年
日本はアメリカや連合国に無条件降伏をしてから9年が経った。
「ただいま」
「お帰りなさいあなた。今日はどうでしたか?」
「アメリカの飛行機が思った以上に動いてくれなくてかったるいわ」
宮下は終戦まで生き抜いて今は警察予備隊の方でアメリカ陸軍から提供されたL5軽飛行機のパイロットをしてた。
「やっぱ零戦にもう一度乗りてぇな」
「そうですか。そういえば保安庁(現在の防衛省に至るまでの前身組織)の方から手紙が来てましたよ」
「保安庁から?」
宮下の妻が宮下に保安庁から宮下宛の手紙を渡す。
宮下が来た手紙を開けて中身を確認する。
「なるほどとうとう本格的に始動するのか」
「前に言ってた新しい軍隊ですか?」
「いや違うぞ。これは日本の空を守る航空自衛隊と言うんだ。軍隊とは違うぞ」
そう言いながら宮下は自宅の縁側に行き、星が見える夜空を見上げる。
「佐藤。俺は生き抜いて約束を果たそうとしてるぞ。だから見ててくれよ新たに日本を守る航空自衛隊を見ててくれよ」
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