ハイスクール・フリート 世界に翼が舞い降りた   作:アジアの大提督

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もう高校も卒業ですよ
3年間早かったです


sky39

年明けの1月

日本航空学校の生徒は毎日厳しい訓練を受けており、とうとうその訓練の成果を発揮する横須賀女子海洋学校との合同演習を明日に控えたのである。

訓練と課業開始前に悠一郎が全生徒を集めて朝礼を行う。

悠一郎「明日から合同演習があるから今日は軽めの訓練と課業を行い明日へ備えてくれ。そして明日から合同演習の相手は日本最高峰の横須賀女子海洋学校の生徒だがお前らは俺らが育てた世界最高峰の日本航空学校の生徒だから誇りを持って明日は望んでくれ」

『はい!』

そう言って各生徒は訓練と課業を始める。

悠一郎「高橋に山本は前に来てくれ」

訓練開始前の航空科から悠一郎が2名ほど呼ぶ。

高橋「なんですか教官」

悠一郎「悪いな。お前らを明日からの合同演習に連れて行けなくて」

悠一郎は2人に対して謝る。その理由は2人が乗る機体に理由があった。

高橋「そんな事ないですよ教官」

山本「俺らは俺らであの機体に誇りを持ってるので」

2人が乗る機体は堀越設計の元で先月横須賀技術艦船工廠の航空部門から納品された新型機の多目的哨戒機MP-1である。

MP-1は基地運用を考えられた機体で今回の横須賀女子海洋学校との演習では空母艦載である零戦とMP-1と同様に納品された新型機艦上機の支援機S-1と艦上機M-1が今回の演習で使用されるためMP-1は学校待機だった。

悠一郎「いずれお前らにも役目が回ってくるからその時まで待っててくれ」

高橋 山本「「はい!」」

そう言って高橋と山本は訓練に取り掛かる。

悠一郎「さてと俺は明日の準備をしなきゃな」

悠一郎がそう言うと教官室に戻る。

悠一郎「もう立派な飛行機乗りだな」

悠一郎が見る先には各飛行隊に分かれてのミーティングをしており、各飛行隊で悠一郎なしで飛行計画が立てられるようになった。

悠一郎「明日のこいつらの成果が楽しみだ」

そう言って教官室に入る悠一郎だった。

 

そして翌日の早朝

横須賀女子海洋学校の軍港には多数の教育艦が出航準備をしており、出航準備してる艦の中で一番目立つのは大改装されたばかりの赤城と加賀だった。

赤城と加賀には朝早くから日本航空学校の航空整備科と航空管制科の生徒が乗艦している。

そして出航準備が整い各艦が出航していき出航して行く艦の中には旧晴風クラスが乗艦してる秋霜もいた。

出航した艦艇は相模湾で陣形を整えて、訓練海域の硫黄島まで目指す。

今回の演習に参加する艦艇は旗艦武蔵を筆頭に大型直接教育艦から比叡が大型巡洋直接教育艦からは伊吹と摩耶で小型巡洋直接教育艦からは長良と五十鈴で航洋直接教育艦からは陽炎、雪風、親潮、磯風、萩風、谷風、旧晴風クラスが乗る秋霜、秋雲で陣形を整えて旧晴風クラスが乗艦してる秋霜は赤城の後方1000メートルの所に位置をつける。

そして艦隊は日本航空学校との合流ポイントの伊豆大島沖に差し掛かった。

岬「めぐちゃん誘導用の無線ビーコンのスイッチ入れて」

宇田「分かりました。無線ビーコンのスイッチ入れます」

宇田が電信室に新たにつけられた航空機誘導用の無線ビーコンのスイッチを入れる。

ましろ「そろそろ合流の時間ですね」

ましろが時計を腕時計を見て確認する。

岬「うん。そろそろ時間だからいつ来てもおかしくないから見張りはよろしくね」

野間、山下、内田「「「了解!」」」

ましろ「それにしても赤城は形が変わっても相変わらず大きい艦ですね」

岬「そうだね。シロちゃんは秋霜から赤城へ転属する話があったけどなんで断ったの?」

実はましろは赤城が就役した頃にましろの成績から赤城への転属する話が古庄からあったのだがましろはそれを断ったのだ。

ましろ「昔の私なら確実に赤城に言ったでしょう。でも今はこの艦のクルーと共に海を渡りたいので残りました」

岬「シロちゃん…」

野間「来ました! 後方6000メートルほどで主脚を下ろして降下して来ます!」

宇田「IFFと対空レーダーで探知! 機種は零戦で搭乗員は佐藤さんです!」

野間の目視と宇田が新型の対空レーダーops24で機体を捉えて、IFFで機種と搭乗員を把握する。

岬「つぐちゃん。赤城へ連絡して」

八木「了解」

八木が物凄い速さで連絡するとすぐに赤城からも返信がくる。

「こちら赤城。こちらでも探知した秋霜は引き続き誘導に当たってくれ」

岬「了解。誘導にあたります。サトちゃん発行信号お願い」

勝田「了解ぞな」

そう言って勝田が遠隔操作式の探照灯を降下してくる悠一郎の機体に向けて発行信号を送る。

悠一郎「発行信号か、なになに…貴機はそのまま誘導通りに降下し赤城へ着艦せよか…了解!」

確認すると悠一郎は風防を開けて上空に信号弾を撃ち後方からの機体に知らせる。

悠一郎「着艦なんて、陸上訓練しかやったことないからできるかー」

悠一郎は恐る恐る秋霜の誘導に従いながら赤城へ降下して行く。

悠一郎「優しくケツにフックを引っ掛けるつもりで…」

悠一郎が着艦体勢に入る。

悠一郎「着艦!」

悠一郎は減速して一気に赤城へ着艦し、5本あるワイヤーにフックを引っ掛けて着艦に成功させる。

着艦すると同時に赤城で待機してた航空整備科の生徒が悠一郎の機体を赤城の艦首方向にあるエレベーターに持って行く。

悠一郎「着艦ってこんな緊張するのか! さぁお前らも降りてこい」

悠一郎がコックピットから出て赤城の後方を見ると続々と着艦体勢になってる零戦と支援機S-1と監視機M-1が見える。

そして続々と赤城と加賀へ着艦を成功させていき最後の飛行隊が加賀へ着艦すると悠一郎に全機着艦成功の知らせが入る。

坂井「教官全機着艦完了しました! 機体不良などはありません!」

悠一郎「分かった。各航空隊で艦内挨拶を始めろと伝達な」

坂井「了解!」

悠一郎が指示をすると日本航空学校で振り分けられた各航空隊で5日間お世話になる赤城と加賀のクルーへ挨拶回りし始めた。

悠一郎「また艦に戻ってこれたな」

そう言うと悠一郎も挨拶回りをして、横須賀女子海洋学校と日本航空学校の合同演習が始まった。

最初の演習は発艦訓練である。

巣山「各航空隊発艦準備始めてください」

航空管制官の巣山がそう言うと格納庫で発艦させる機体をエレベーターまで運びエレベーターで飛行甲板に出して、配置につけさせて、パイロットが乗り込む。

こう日本航空学校の生徒が準備してる間に赤城と加賀とその2隻の随伴艦は進路を風上にし全力航行を始める。

そして両校の準備が整うと航空管制官の判断で

巣山「発艦始め!」

そう言うと機体がどんどん滑走し、発艦して行く。

そして発艦した機体は1時間ほど飛行したら発艦した場所と大きく場所が離れた空母へ帰投し、着艦訓練を発砲できる演習海域まで続ける。

そして艦隊は演習海域に着くと本格的な演習が始まる。

演習海域に着くとまず艦隊は始めて形成する空母を含んだ新艦隊陣形の艦隊運動訓練をし、艦隊の運動練度を上げる演習を始める。

2日目は模擬弾を使用した航空機へ対する新たな戦闘である近接対空戦闘の演習を集中的にやり、新たな戦闘技術を磨いた。

3日目は艦艇の砲撃訓練を主にして、航空機を使用して弾着観測をし、砲撃の精度を上げた。

4日目は艦隊を2つに分けての模擬戦が行われ、支援機のS-1には模擬爆弾を爆装し、監視機のM-1には模擬魚雷を雷装しての航空戦と艦隊戦を行なった。

そして合同演習最終日は午前中に初日にやった艦隊運動の訓練をして、日没前に横須賀へ向けて帰投し始めた。

この5日間で両校は新たな技術の習得に両校の関係が深まった事で有意義な演習だった。

そして悠一郎は赤城の飛行甲板下の甲板で海を眺めていた。

悠一郎「とても早い5日間だったな。これであいつらも少しはまた成長しただろう」

日本航空学校の生徒たちはこの5日間で学んだことを自主的に集まり、勉強会をしてる。

悠一郎「さてと赤城艦長と一旦打ち合わせするか」

そう言って悠一郎は赤城艦橋へ上がると随分と慌ただしくなってる。

悠一郎「艦長さん。この後の打ち合わせなんだけど…ってこの騒ぎはどうした?」

赤城艦長「あっ、佐藤教官。実は今さっきブルーマーメイドの統合管制艦から通信で我々の近くで漁船が転覆事故を起こして転覆の際3名ほどが行方不明になる事故が発生して、ブルーマーメイドの艦艇でも最低2時間はかかるみたいで、海難現場から最も近いところにいる艦艇が我々なので協力要請がきました」

悠一郎「転覆事故だって? この1月のクソ寒い時期に海難なんかしたら命に関わるぞ! 現場海域の海図はあるか!」

赤城艦長「あります! こちらです!」

赤城艦長は悠一郎と赤城航海長を海図室に連れていった。

赤城艦長「これが通信からあった現場の海域の海図です」

海図を広げて、通信であった座標に針を刺すと一同は厳しい顔をした。

 

続く

 

 

 

 

 


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