ハイスクール・フリート 世界に翼が舞い降りた   作:アジアの大提督

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とりあえず悠一郎の教官話は一度この話で一区切りつけてから次の話から晴風メンバーを出すことにします



sky36

夏休み(Extra edition3参照)が終わり、日本航空学校ではとうとう航空科による航空実習が始まろうとしてた。

滑走路では悠一郎から支給された飛行服をきた航空科の生徒が整列しており、生徒の前には横須賀技術艦船工廠で生産された零戦が並んで駐機してる。

坂井「すげぇあれが零戦か…」

岩本「やっぱデケェな」

生徒達は目の前にある零戦を見て気分が高まっており、早く乗りたい気持ちであった。

悠一郎「全員揃ってるな?」

その時悠一郎が教官室から飛行服を着て出てきて、全員いるのを確認する。

悠一郎「では今日から航空科による航空実習を行う。お前達はこの半年間零戦に乗るための知識と体力を得た事は夏休み前の学科試験と体力試験で確認してる」

航空科の生徒はこの半年間悠一郎による体力訓練で鍛えられて体力訓練では富士山を一合目から頂上まで夜通し行軍も行われた。

学科でも高校必修科目をこなしながら三菱から堀越に教授をしてもらい航空力学や航空工学を学んだ。

悠一郎「でもいきなりお前らに零戦を操縦して飛行しろはかなり酷である。だから今から1人ずつ俺の後ろに乗って空を飛んで飛ぶって言う感覚を教える」

悠一郎が指を指すとそこには香取に特別に作成してもらった複座型の零戦があった。

悠一郎「では一番最初に誰が乗りた…」

「教官自分から!」「いやここは俺が!」「ぜひ俺を最初に!」

悠一郎「話を最後まで聞け!」

悠一郎が言い切る前に生徒達が我先に悠一郎にアピールをした。

悠一郎「もう俺が決めるぞ! じゃあ最初は…」

悠一郎は生徒の名簿表を見て決める。

悠一郎「坂井。お前が最初だ」

坂井「俺ですか⁉︎」

悠一郎が指名したのは坂井だった。悠一郎が坂井をしてたのはある項目で優秀だったからだ。

悠一郎「お前は加速度の実習で平気だったからな」

それは加速度で通称「G」だ。

戦闘機の旋回や宙返りのような高速で急激な挙動をした時に発生する強力な力であり、Gが発生するとパイロットの血流が足に集中し、視界が色をなくし最悪の場合失神する事もある。

悠一郎は失神する事を恐れ晴風に乗ってる時も高い所にある棒に足をかけて宙吊りになった状態でよくトレーニングをしてGに対するトレーニングしてた。

坂井は悠一郎がやったG耐性のトレーニングで難なくこなしてる事から指名した。

悠一郎「すぐに準備をしろ」

坂井「は、はい!」

悠一郎は搭乗前の零戦の点検をし、坂井はヘルメットを持ってくる。

悠一郎「準備できたな後ろに乗れ」

坂井「はい!」

悠一郎が前部の操縦席に乗り込み坂井が後部の座席に座り込み。

2人が座ると航空整備科の生徒が2人の安全ベルトを装着させ零戦の発動機を回して、離陸体勢になる。

悠一郎「どうだ坂井、これが発動機の音だ。これがこの零戦の心臓になるんだ、お前の心臓も今バクバクしてるだろ?」

坂井「はいすごく心臓がバクバクしてます!」

悠一郎「俺も最初に乗った時も同じだ! 離陸するぞ!」

坂井「はい!」

悠一郎が風向きを確認して、航空管制科の生徒が待機してる建物を確認してGOサインを確認する。

悠一郎「滑走を始める!」

悠一郎は出力レバーを上げ零戦を滑走させ、一定の速度になると自然と零戦にフワッとした感覚がやってくる。

悠一郎「離陸する!」

悠一郎はその感覚を感じるとすぐに操縦桿を手前に引き零戦を滑走路から離陸させる。

離陸すると零戦は一気に上昇させる。

坂井「うおっ!」

坂井も身体を後ろに引っ張られる。

悠一郎「しっかり踏ん張っとけよ」

悠一郎は出力レバーを上げ更に速度を上げ、本来零戦が出せる速度の565キロだが悠一郎が乗ってる零戦は香取が改造した上に今回は油槽も弾薬も搭載してないため630キロは出てる。

悠一郎「旋回すんぞ」

悠一郎が操縦桿を左に傾け、左のラダーペダルを踏んで機体が左へ傾けさせて旋回させる。その時悠一郎と坂井に急激なGが掛かる。

坂井「うっ!」

悠一郎「腹に力を入れて、気を保てよ! 気をぬくと失神すんぞ!」

悠一郎が坂井に言うが坂井はそれをやるだけで精一杯だった。

坂井(こ、これが零戦か!)

そして悠一郎の零戦は旋回を終える。

悠一郎「よく失神しなかったな。ならこれも平気だろ」

坂井「へっ?」

悠一郎は今度は操縦桿を左に一気に傾けさせて背面飛行させる。

坂井「うわっ!」

急に視界が反転したため坂井は一瞬だけ混乱する。

悠一郎「航空機の死角は真下だからこれを定期的にやって周りの安全を確認するだぞ。じゃあ最後に大技やって飛行場に帰るぞ」

悠一郎は背面飛行から元に戻り、またスピードを上げる。

坂井「教官! 今度は何をするんですか⁉︎」

悠一郎「俺の必殺技だ! 吐くなよ!」

悠一郎はある程度のスピードも上がったら一気に操縦桿を後ろへと下げ左のラダーペダルも踏み込み出力レバーも下げる。

これは悠一郎が初めて米軍機を落とした時にやった技で航空隊時代でも得意としてた「空中左ひねり込み反転返し」である。

零戦は一気に減速させ機首を上にあげて左にひねり込みをかけながら反転して元に戻る。

坂井「げぇぇぇ!」

悠一郎「機内で絶対吐くなよ!」

もう坂井は色んな意味で限界であり、悠一郎は急いで飛行場に戻った。

 

岩本「おっ、帰ってきたぞ」

岩本が指を指すとそこには主脚を出して着陸体制の零戦がいた。

そして着陸してエンジンが止まると航空整備科が零戦に駆け寄り悠一郎と坂井の安全ベルトを外す。

悠一郎は安全ベルトを外されて外に出ると背中を伸ばして余裕だが坂井はすぐに水道場に向かって一目散に走り込む。

坂井「うぇぇぇぇ!」*お見せできません

「おい! 大丈夫か!」

坂井の様子を見た1人の航空整備科が駆け寄り介抱する。

そして坂井のその様子を見てた航空科の生徒は絶句してた。

西澤「おいおい、坂井ってかなり身体丈夫なやつだよな?」

笹井「少し前まではピンピンしてたがまさかこのたったの数十分であれって…」

悠一郎「さぁ、次は誰が乗るかな?」

悠一郎がそう言うと生徒は一斉に首を横に振る。

悠一郎「なんださっきまでは俺が俺がって言ってたのによ」

悠一郎が改めて全員を見る。

悠一郎「俺も最初の方は坂井みたいになった。だからこれは誰しもが通る道でもあるんだ。だからあれは一つ航空機乗りになるための試練だ」

坂井「こんな状態になった俺でも教官みたいになれるのか?」

その時ヘロヘロになった坂井が悠一郎に聞く。

悠一郎「なれるさ。そして俺に訓練について来れれば2ヶ月後には空で自由に飛べてるぞ。ついて来れるか?」

悠一郎のその頼もしい言葉に先程まで引き気味だった生徒達が互いに顔を見合わせて

『お願いします教官!』

悠一郎「よく言った! じゃあ訓練を続けるぞ!」

これが後々の悠一郎が育てた精鋭飛行集団の最初の航空実習だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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