黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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一応一護は銀城を倒した後って事にしました。

忘れててごめんなさい。


第9話

一護は部屋の前に立ちドアにノックをした。

 

コン コン

 

「入れ。」

 

ガチャ バタン

 

「それで?何の用だ?黒崎。」

 

一護に背を向けたまま千冬は質問をした。

 

「ラウラの事なんだけどよ。」

 

「悪いが、事情は説明してやれんぞ。聞きたいなら本人から聞け。」

 

「そうじゃねぇ、ただ、ラウラの事は俺に任せてくれってだけだ。」

 

そこで千冬が振り返り少しだけ不思議そうな顔をする。

 

「なぜそんなことをする?」

 

「職業柄、あんな目をしてるやつを沢山見ててよ…。ほっとけねぇだけだ。」

 

「そうか…。」

 

「それだけだ。じゃあな。」

 

そう言い一護は部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして部屋に戻った一護は椅子に深く座り一息ついた。暫くするとセシリアが戻ってきた。

 

「ただいま戻りましたわ。」

 

「あぁ、おかえり。」

 

「あら、まだラウラさんが来ていませんのね。」

 

「まぁ、心配せずともそのうち来るんじゃねぇか?」

 

「それもそうですわね。」

 

しかし、その日ラウラが部屋に来る事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏、今日も練習するんでしょう?」

 

「あぁ、そのつもりだぜ。」

 

「一護はまた用事があったんだぁ、残念だなぁ。」

 

「仕方あるまい、一護は色々と忙しいみたいだからな。」

 

一夏とシャルルと箒は廊下を歩いてアリーナへと向かっていた。そんな3人の耳に興味深い事が聞こえた。

 

「ねぇ!聞いた?第三アリーナで代表候補生3人が模擬戦してるって!!」

 

「え?本当!?見に行こうよ!」

 

「うん、行こう行こう!!」

 

3人は皆驚き顔を見合わせる。

 

「「「えっ!?」」」

 

「行こう!2人とも!」

 

そう言い、一夏は駆け出し、2人はそれに続いて走り出した。

 

3人はアリーナに着いた途端、衝撃音が響き、アリーナが煙に包まれた。

 

「なにが起こっているのだ?」

 

「わからない。」

 

「あ、見て!2人とも。」

 

そこには鈴音とセシリアが膝をつき、2人の前にいるラウラを睨みつけていた。

 

「くそー!!」

 

鈴音は龍砲をラウラに向けて放つが、

 

「無駄だ、このシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前ではなっ!!」

 

そう言い、ラウラは右手を前にかざすと龍砲の攻撃がラウラの手前で爆発した。2人はすぐに飛び上がり、鈴音は龍砲を連発したが、ことごとくを回避され、かき消された。

 

「この程度の仕上がりで第三世代か、笑わせてくれる。」

 

ラウラは黒い触手のようなもので鈴音の足を絡め取り、セシリアへとぶつけ2人を墜落させる。

 

「やめろ!!やり過ぎだ!!」

 

一夏はシールドを叩いてラウラへ呼びかける。だが、ラウラはこちらを見ると、ニヤリと笑い、倒れている2人の首をワイヤーブレードで絞め始めた。

 

「ひ、酷い…これじゃあ2人が…。」

 

「このままだとISが強制解除されて2人が殺されるぞ!?」

 

「うおおぉぉぉ!!!その手を離せぇぇ!!!」

 

一夏は白式を纏い、シールドを斬り、ラウラへと一直線で向かって行く。

 

「うおおぉぉ!!!」

 

一夏が大きく振りかぶり、ラウラへ斬りかかろうとした瞬間。ラウラは右手をかかげ、一夏の動きを止める。

 

「か、体が…動かない…。」

 

ラウラはセシリアと鈴音を投げとばした。

 

「感情的で、直線的だ。教えておいてやる。背後から斬りかかる時は静かに行うべきだ。そして躊躇するな。そう、このようにな。」

 

ラウラは一夏の眼前に銃口を向け、引き金を引こうとする。しかし、そこでシャルルが上から邪魔をする。

 

「一夏!離れて!!」

 

「チッ、雑魚が…。」

 

ラウラは小さく呟き、シャルルからの射撃を避けるために一夏から大きく距離をとった。その隙に一夏はセシリアと鈴音を救出する為に急いで2人の元へと向かう。しかし、ラウラはそれを許さず一夏に照準を合わせ引き金を引く。

 

「クソッ!頼む白式!瞬時加速を使わせてくれ!」

 

そして、一夏は瞬時加速を使い、何とかラウラの射撃から逃れると2人を隅へ横たわらせ、意識があるのを確認すると、ホッとする。しかし、振り返ると、ラウラがシャルルを捕まえ、手に持った光の剣を振り下ろす所だった。その瞬間。自分の力の無さを心の中で嘆いていた箒の横を何かが物凄い速さで通り過ぎた。

 

ドカッ!ドスッ!

 

「グッ!」

 

ラウラは手の甲に衝撃を感じ、シャルルの頭へ振り下ろすはずの刃が右にそれ、2撃目で数メートルほど後ろに飛ばされた。

 

「「「「「一護(さん)!!!!」」」」」

 

一護はラウラの手の甲を蹴り軌道をそらし、2撃目でラウラの腹部を蹴り飛ばした。

 

「貴様は黒崎一護…。」

 

ラウラは恨めしそうに一護を睨みつける。

 

「生身で出てくるなどお前は余程の大物か馬鹿なのだな…。私の前に立つという事は死ぬことだと理解しているのか?」

 

ラウラは不敵に笑った。しかし一護は表情を変えずに言葉を返す。

 

「別にお前とやり合うつもりはねぇよ。ただ、仲間がピンチだったから助けただけだ。それに昨日部屋に来なかった事について聞きたかっただけだしよ。」

 

「何を言って…「やれやれ、模擬戦は構わんが、アリーナのバリアまで破壊するのは些かやり過ぎだ。」教官!!」

 

千冬がゆっくりと歩いてきた。

 

「決着は学年別トーナメントでつけろ。わかったな?」

 

「わかった。(わかりました。)」

 

「教官がそう言うのであれば…。」

 

「よし、では学年別トーナメントまで一切の私闘を禁じる。それでは解散。」

 

そう言い残し、千冬は去っていった。黒崎がラウラへ声をかける。

 

「おい。」

 

「なんだ?」

 

敵意を露わにしラウラは一護を睨みつけるように見る。

 

「今日はちゃんと部屋に帰ってこいよ。」

 

「…ふん。」

 

一護の言葉に返事を返さずその場を後にする。一護は気にせずにセシリアと鈴音の元へ行き声をかける。

 

「ったく、オメェら何やってんだよ…。」

 

「すみません…。」

 

「今回はあいつがいきなり!!ってイタタタ!」

 

「おい、あんまり大声出すなよ。怪我に響くだろ?おーい、一夏!」

 

「何だ?一護。」

 

「こいつら保健室まで運ぶぞ。お前は鈴を頼む。」

 

「わかった。」

 

「「え、ちょ、ちょっと!!」」

 

そして、男にお姫様抱っこをされ顔を真っ赤にする2人がいた。

 

 

 

 

 

 

一護はセシリア達を保健室で寝かせてから1人で部屋へ戻る。すると、部屋の前にはラウラが立っていた。

 

「……。」

 

「よぉ、来たか。何してんだ?入れよ。」

 

「……ぎ。」

 

「え?」

 

「鍵を開けろ。貰ってくるのを忘れた。」

 

「あぁ、そういうことか。」

 

そう言い一護は鍵を開け、ラウラと2人で部屋へ入る。

 

「……もう1人の同室の奴はどうした?」

 

「お前が今日ボカスカやった奴らの金髪の方だ。」

 

「ハッ……、あいつか…。見掛け倒しの機体に乗っていた奴か。」

 

ラウラは鼻で笑い、セシリアを罵倒する。一護は動作をピタリと止め、何事もなかったかのようにまた動き始める。

 

「ふんっ、貴様も腰抜けか。少しは気骨のある奴だと思ったのだがな。所詮は我が身可愛さに身を縮こめるので精一杯か。」

 

心底呆れたとばかりに、ラウラは一護に向かって嘲笑する。しかし、一護は変わらずそのまま返事をする。

 

「セシリアの評価を覆すのは俺じゃねぇ、あいつ自身だ。」

 

ラウラは笑うのを止め、一護に顔を向け真剣な顔で問う。

 

「…私が奴らを殺すかもしれんぞ?」

 

「そしたら守るだけだ。」

 

「守るだと?笑わせるな。貴様ごときがこの私に勝てるとでも言うつもりか!?」

 

「勝ちはしねぇよ。ただ負けねぇだけだ。絶対にな。」

 

「同じことだ! ふんっ、まぁいい。勝手にしていろ。」

 

ラウラはそう言うとそそくさと出て行った。

 

 

 

 

 

 

学年別トーナメント当日。ロッカールームでは一夏とセシリアがISのスーツを着てモニターを見ていた。そこに一護がくる。

 

「ん?オメェら随分と早えなあ。」

 

「あ、うん。ま、まぁね。」

 

「一護は誰と組んだんだ?」

 

「俺は別に誰とも組んでねぇ。抽選だ。」

 

「そっかぁ、あ、そろそろ対戦相手の発表みたいだよ?」

 

「さて、対戦相手は誰だ?」

 

「「っ!!」」

 

「残念だな。こうなっちまったか。」

 

黒崎一護&ラウラボーデヴィッヒVS織斑一夏&シャルルデュノア

 

その文字がモニターに映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナで二組のペアが向かい合っていた。

 

「残念だ。黒崎一護。貴様は私がこの手で倒したかったが…。」

 

「今は味方だぜ。後ろから刺すなよ?」

 

「それは良いアイディアだ。頂くとしよう。」

 

一護、ラウラペアは2人で言い合っていた。

 

「仲間割れか?」

 

「一夏、相手は急造のチームだけど油断しちゃダメだよ!」

 

「あぁ、どうする?」

 

「作戦通りで行くよ。一護は近接戦闘型だから僕が上手く遠距離攻撃で牽制するよ。」

 

「わかった。」

 

すると一護とラウラは言い合いをやめ、言葉をかけた。

 

「ふん、作戦会議は終わったか?まぁ、無駄になるだろうがな。」

 

「まぁ、お互い頑張ろうぜ。」

 

そしてカウントダウンが始まる。

 

5…4…3…2…1…

 

「「叩きのめす!!」」

 

 

 

ビーーーー

 

試合開始のブザーがなり、一夏が瞬時加速でラウラに斬りかかる。しかしラウラは停止結界を作動させ、一夏の動きを止める。

 

「開始早々愚直に斬りかかってくるとはな。」

 

「まぁな、頼れる相棒がいなきゃ無理だな。」

 

一夏の言葉にラウラはハッとなり一夏の後ろに目を向けた。その瞬間にシャルルが一夏の背後から出てきてラウラを射撃する。ラウラは急いで後方へと下がり、ジグザグに回避するが、段々とラウラが追い詰められてゆく。しかし、一護がシャルルの射線上に入り弾を全て叩きおとす。

 

「一応忘れてもらっちゃ困る。」

 

「余計な事をするな!黒崎一護!!こいつら程度私1人で十分だ!!」

 

「ったくしょうがねぇなぁ。」

 

そう言い一護は後方へと下がった。

 

「良いの?君1人で。」

 

「行ったはずだ、貴様ら雑魚は私1人で十分だとなぁ!!」

 

そあいい3人は死闘を繰り広げる。しかし、連携のとれた2人を相手にするのはさすがのラウラも分が悪かった。ジリジリと追い詰められシャルルに重い一撃を喰らわされた。

 

「グハッ!!」

 

ラウラはそのまま吹き飛ばされ壁に衝突した。すると突然ラウラの機体にスパークな走りラウラが苦しみの声をあげた。

 

「うわああぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

シュヴァルツェア・レーゲンが白い泥となりラウラの体を吞み込み始めた。

 

「何だ!?」

 

「どうなってるの?!」

 

「この霊圧…虚か!!」

 

三者三様にそれぞれ声をあげラウラから距離をとる。するとそこにアナウンスが流れる。

 

『非常事態発生。トーナメントの全試合は中止。状況はレベルDと認定。来賓、生徒はすぐに避難すること。』

 

そして、全ての観客席にシャッターが降りた。すると白い泥は形を変え、頭部には禍々しい仮面が着いていた。

 

「あれは、雪片…。クッ……。」

 

一夏は俯き、歯を噛み締める。

 

「あれは…俺がやる…。」

 

そう言って一夏は突っ込んで行った。しかし一瞬で返り討ちにあい、ISを強制解除される。

 

「く、クソ…。あいつ……絶対ゆるさねぇ!うおおお!!!!!」

 

一夏が再びっこもうとすると、ISを解除した一護に殴り飛ばされる。

 

「死ぬ気かよ一夏!!!少し落ち着け!!あいつはもうさっきとは別物だ殆ど虚に飲まれてやがる。」

 

「アレは千冬姉の剣技だ!!俺がやらなきゃ誰がやるんだ!!」

 

「俺に任せろ。俺が全部終わらせてやる。」

 

「一護…。」

 

「ちょっと待って!アレ…何か知ってるの!?」

 

「あぁ、知ってる。全部終わったら話すさ。」

 

「うん、わかった…。なら、僕のISのエネルギーを使ってよ。はじめの方で少し消耗したでしょ?」

 

そう言いシャルルは腰の辺りからコードを引っ張り一護へ向ける。

 

「いや、大丈夫だ。」

 

そう言い代行証を体にあて、死神化する。

 

「大丈夫って、アレはもう織斑先生の技を使って人を殺せるんだよ!?今少しでも…え? 何それ?体が…。」

 

シャルルは何が起きたかわからないといった表情で一護をみる。

 

「後で話す。」

 

一護はそう言って虚に向かって一直線に飛んで行く。

 

虚は一護に向かって剣を右からへ横に薙ぎ払う。一護はそれを斬月を下から斜めに当て右上へ流す。そこから刃を返して胴を斬ろうとする。が、ラウラに当て無いように浅く切ろうとしたため、虚が、後ろへ後退し簡単に躱されてしまう。

 

「やるじゃねぇか。偽物っていっても流石はこの世界最強だ。」

 

<気を付けろよ一護。ありゃ今までの奴とは格が違え…。>

 

「あぁ、霊圧の大きさ、濃さ、禍々しさ。まるで破面だ。」

 

再び虚が斬りかかってくる。虚は居合の形で上体をひねり、手元が見えないように近づき、左から右へ一閃する。それを一護は反射的に上体を反らして回避しようとした時。一護の視界に入った相手の右手には何も握られていなかった。

 

「しまった!罠か!」

 

本命の攻撃は右手ではなく左手だった。一護はそこから無理やり脚に力を込め瞬歩で後退するも、肩口をきられてしまった。

 

「「一護!!」」

 

「心配すんな。」

 

「で、でも…そんなに血が……。」

 

「大したことねぇよ。大丈夫だ。」

 

しかし、普段から絶対防御に守られている2人は一護の深々と斬られた肩がとても怖く感じられた。

 

<何してんだテメェはよぉ!>

 

「うるせぇよ。」

 

一護は再び近付き斬りかかろうとするも、相手の口に紅い何かが収束してるのを見た。

 

「まさか!!?」

 

一護は虚の放った光線に飲み込まれた。

 

「くそっ…。虚閃か…。」

 

<油断のし過ぎだ、気付いたか?一護。あの女段々と虚に飲まれてやがる。かつてのお前みたいによぉ。だから急げよ?たらたらしてると2度と戻らなくなるぜ!!>

 

「もう十分だ。あそこまで虚に飲まれれば耐久力もそれなりにあるはずだ。なら、行くぜ。」

 

一護は斬月を掲げる。するとそこには青白い霊子が大量に集まってくる。

 

「あれは…一護の月牙天衝!!」

 

「綺麗……。」

 

しかし、かつてはISのまがい物の斬月で撃った偽物の月牙天衝。しかし今回のものは本物の斬月で放つ月牙天衝。前回とは比べ物にならないほどに強大で煌めいていた。

 

「月牙……天衝!!!!!!!」

 

そして全てが光に包まれた。


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