黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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中途半端な所で終わってしまった


第7話

一護が持ってきたISをグラウンドの真ん中に落としセシリアの元へ戻る。

 

「あぁ!一護さん!!」

 

セシリアは顔を赤くし一護へギュッと抱きついた。

 

「心配でしたのよ!一護さん!!あなたに何かあったと思うと居ても立っても居られませんでしたわ!!」

 

「お、落ち着けってセシリア!」

 

セシリアはハッとした顔を慌てて飛び退く。

 

「す、すみません取り乱してしまいましたわ……。」

 

「ヒュー。お熱いねぇ。お姉さん妬けちゃうわ。」

 

まるで昭和の冷やかし方をする現代JK。

 

「お嬢様あまり下品な物言いはやめてください。」

 

「ごめんねぇうつほちゃん。」

 

反省のしていない態度で楯無は謝る。

 

「更識さん、それに布仏さんも」

 

「私たちもお前に聞きたいことがある。」

 

「千冬さん、山田先生も…。」

 

ここに楯無、うつほ、千冬、真耶、セシリアの五人が一斉に一護を見ていた。

 

「なんだ、見てたのか」

 

「そういうことだ。観念して貴様の知っていることを吐いてもらおうか。」

 

「あぁ、今更隠そうなんて思ってねぇよ。ただ一夏と鈴が来るまで待ってくれ。」

 

「よかろう、山田先生、あのISの回収と検査をお願いします。」

 

「はい!分かりました!」

 

「それじゃあ皆さん、移動しましょう。」

 

楯無がそう言い皆が移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ、一夏に鈴、遅かったな。」

 

「一護が速すぎるんだよ。」

 

そう言いながら一夏と鈴音の2人は皆が移動した部屋に入いり、辺りを見回し、鈴音が怪訝な顔をして疑問を口にする。

 

「ていうかなんでこんなに人がいるのよ。」

 

「見られてたみてぇだ。」

 

一護は仕方ないとばかり苦笑した。

 

「そういうことなの。」

 

そして千冬が鋭い雰囲気を纏い一夏と凰に質問をする。

 

「おい一夏、凰、オルコット、お前たちはどこまでコイツのことを知っている?」

 

「俺は何も、今回初めて知った。」

 

「私もですわ。」

 

「わ、私はそういう力を持ってるって事だけ…。」

 

「そうか。分かった。」

 

3人の答えを聞いた千冬は神妙に頷き、言葉を続ける

 

「ではそろそろ聞こうか。お前が何者か。そしてあのISに乗っていた奴の正体についてな。」

 

千冬の言葉に驚き、一夏が驚愕といった表情で口を挟む。

 

「待ってくれよ千冬姉。ISに乗ってたやつの正体って…、乗ってたのが人間じゃないみたいじゃないか。」

 

「私はあの中に入ってるのが人間だなどとは言った覚えはないぞ?一夏。」

 

その瞬間に空気が凍った。その中で楯無が冷静に口を出す

 

「織斑先生、中に入っていた者について、詳しく教えて頂けないでしょうか?」

 

「それは黒崎に聞いた方が早いだろう。それで?黒崎。お前は今まで表情も変えずに聞いていたわけだが、やはりアレが何か知っているな?」

 

「あぁ、おそらく知ってると思う。」

 

千冬は怪訝な顔をして質問をする。

 

「おそらくとはどういうことだ?貴様はアレについてはハッキリとわかっているわけではないのか?」

 

「いや、俺はまだ中身を見てねぇんだ。ただ、俺が知っている霊圧を感じた。」

 

「霊圧?なんだそれは?」

 

「霊子の圧力の事だ。分かりづれぇなら、漫画やゲームとかで言う魔力みてぇなもんだって思ってくれて良い。」

 

「なるほど。ではまず、アレに乗っていたのは何かを聞こうか。」

 

「あれは虚って言ってら死者が成仏出来ずに現世に止まり続けると理性が消え本能だけの姿になる。言わば悪霊ってとこだ。」

 

「なるほど…虚か…。なら貴様は何者だ?ISでも倒せないそれほどの存在を倒すものが普通の人間である筈がないだろう?」

 

「俺については、さっきみたいのを退治する死神だ。」

 

「死神?」

 

「あぁ、そう呼ばれてる。」

 

「なら何故その死神がこのIS学園に来ることになった?」

 

「別に来ようと思ってきたわけじゃねぇ。少し巻き込まれてこっちに来ちまっただけだ。」

 

千冬はその言葉にどこか納得した様な顔をした

 

「そうか…。お前は別の世界から来たのか?」

 

「なんで…、いきなりそう思ったんだよ…?」

 

「簡単な話だ。貴様は私と初めて会った時、ISすら知らず、加えて存在しない街から来た。貴様の言っていることを信じるとすれば行き着く先は2つ、記憶喪失で頭が混濁しているか、別世界からの来訪しかないだろう。今の話を聞く限り記憶喪失の線は無くなった。それに、別世界の移動など貴様の力を目の当たりにすれば、不可能とは断言できまい。」

 

「驚いたな。その通りだ。俺はこの世界の人間じゃねぇ。加えてさっきの奴も俺らの世界から来たもんだ。だから俺があいつらを全部倒す。だから安心してくれ。」

 

その言葉を聞きセシリアは一護に心配そうな顔を向けた。

 

「安心って…、一護さん御一人でやるつもりですか!!」

 

「あぁ、そのつもりだ。学園には迷惑は掛けられねぇ。」

 

「馬鹿者」

 

ベシッと千冬は軽く一護の頭を叩いた。

 

「千冬さん」

 

「貴様はまだガキだ。1人と独りを履き違えるな、先の戦闘で貴様1人ではできなかった事が協力することによって出来たことを思い出せ。それに貴様もこの学園の生徒だ。生徒に教師が力を貸すのを当たり前だ。」

 

「あぁ、悪いな。前にも似たようなこと言われてたのに、忘れてた。」

 

「ふん、それで良い。目下のところ、その虚の対策を考えるとしよう。何か対策はあるか?」

 

「虚を倒すのは俺にしか出来ねぇ。だからあいつらの相手は任せてほしい。頼みてぇのは開発者に会うことだ。」

 

「束にか…。それは何故だ?」

 

「浦原さん…俺の手助けをしてくれてる人がISのコアを解析したところその技術に問題があったらしくてよ。それで開発者に話を聞きてえんだ。」

 

「アレを解析できたのか…。」

 

周りの皆が一様に驚き、鈴音が声をあげる。

 

「本当!?なにそれ!そいつ天才なの!?」

 

「天才だな。ただ相当の変人だ…。」

 

『酷いっスねぇ黒崎さん。』

 

「浦原さん!!」

 

皆の視線がいきなり出てきたモニターに映る浦原に集まる。

 

「コイツがISを解析した天才なの?全然そうは見え無いんだけど。」

 

鈴音の一言に皆が頷く。

 

『いやぁ〜、こっちの人たちは中々厳しいんスねぇ〜。』

 

浦原ヘラヘラと笑っている。そこに千冬が質問をする。

 

「貴様が浦原というやつか?」

 

『はい、アタシが浦原喜助です。それで今の話は聞かせていただきました。』

 

「盗み聴きか…。」

 

『それについてはスミマセン。ただ此方にも余裕があるわけではないんスよ。』

 

「余裕がない?どういうことだ?」

 

『先ほど黒崎さんの言ったように、ISには問題があるんスよぉ。』

 

「問題とはなんだ?簡潔に話せ。」

 

『使われている技術が私達の世界のものなんス。そして、そちらの世界には存在しないはずの霊圧が使われているんス。』

 

その言葉に一夏が反応する。

 

「それって、どういうことだ?」

 

『開発者さんが、死神ではないかと疑ってるんス。』

 

「そんな……。そんなはずない!!束さんとは小さい時から会ってるんだ!!」

 

「落ち着きなさいよ一夏。」

 

『その、束さんって言うのがISを作ったんスね?』

 

「あぁ、そうだ。」

 

『その人の写真か何かはありますか…?』

 

「ある。」

 

『見せていただいても?』

 

「構わん。」

 

そう言って千冬は端末を操作し写真を出す。

 

「浦原さん、どうだ?見覚えはあるのか?」

 

『いや…。ありませんね…。確かに隊の全員の顔を覚えてた訳ではないんスけど…。女性がいたら覚えているはずなんですけどねぇ…。』

 

「どういうことだ…。死神が作ったんじゃねぇのか?」

 

『今の段階ではなんとも言えません。とにかく本人に会いたいところっスね。』

 

「どういう事だ?」

 

『いえ、開発者がアタシの知り合いだと思ってたんスが、どうやら違うみたいっスね。仕方ありません。何かわかり次第また何かまた連絡しましょう。』

 

「わかった。頼むぜ。」

 

『はい、それではみなさん、お気を付けて。』

 

プツン テレビが消えるようにモニターが消えた。

 

「大方の事はわかった。虚については黒崎に任せるとして。他の奴等は戦うな。遭遇したらISを使って逃げ、黒崎に連絡をいれろ。」

 

皆が一様に頷く中、一夏とセシリアが頷かなかった。

 

「一夏、オルコット、貴様らもわかったか?」

 

セシリアは苦い顔をし、一夏は千冬に向かって言葉を吐き出した。

 

「千冬姉、だけど、一護の負担が多過ぎるじゃねぇか!そんなの納得できるわけねぇよ!」

 

「大丈夫だ、一夏、セシリア。」

 

「「一護(さん)…。」」

 

「元の世界じゃ、日に二、三度闘う事なんてザラだったし問題ねぇよ。」

 

「それでも心配なんですの…。」

 

「大丈夫だ、言ったろ?自分の言葉は曲げたりしねぇ。だから信じてくれ。」

 

その言葉をきいて、セシリアの顔が赤くなった。

 

「ずるいですわ…、そんなこと言われたら何も言えないじゃありませんか…。」

 

「悪い。」

 

「いえ、信じますわ。」

 

「では、納得したようだな。この事は他の者には話すな。情報が漏れた場合はそれ相応の処分を下す。わかったな?」

 

「「「「「「「はい((わかった))」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

その後皆は自分の部屋にもどり、一護とセシリアは部屋で話していた。

 

「私に隠し事なんて酷いですわ一護さん。」

 

「悪かったよ。」

 

「ですので!また私とお出かけしましょう!」

 

「ま、また…?」

 

そうして次の日曜日、前と同じように一護はセシリアに連れまわされ、クタクタになったという。

 

 

 

 

 

 

 

次の日。一夏の周りには大勢の人が集まっていた。

 

「昨日はだいじょぶだったぁ?」

「私たち心配したんだからね?」

「昨日のIS一夏君が倒したんだってぇ?凄いじゃない!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!お、おい!!」

 

一夏は女子の波に流されていった。

 

「ったく、いつも賑やかだなこのクラスは…。」

 

と、一護は呆れたように呟いた。

 

「まぁ、よろしいではありませんか。」

 

セシリアがそう返事を返すと、教室に千冬が入ってきた。

 

「席に着け」

 

千冬がそう言うと皆が一瞬で席に着き、一夏1人が残される。

「え?え?なにg「バシン!!!!!」グワァ!!」

 

「席につけ。」

 

「は、はい……。」

 

頭を抱え、涙目になりながら一夏は席に着いた。

 

「今日は転入生が来ている。入ってこい。」

 

「はい。シャルル デュノア です。3人目の男性操縦者ですが、どうぞよろしくお願いします。」

 

「「「「キャーーーーー!!!!!!!!!!!!!」」」

 

「可愛いー!!!!」

 

「Wイチシャルきたぁ!!!」

 

地が揺れる程の歓声に、一護と一夏の耳は"羽ばたきなさい劈裂烏"状態。

 

優しげな雰囲気を纏っている金髪の男児の横には、全く真逆の雰囲気を纏っている銀髪の少女が静かに立っていた。」

 

「挨拶をしろ、ラウラ。」

 

「了解しました。教官。」

 

「私はもうお前の教官では無い、織斑先生と呼べ。」

 

「わかりました。」

 

そういい銀髪の少女は皆の方へと視線向けた。

 

「ラウラ ボーデヴィッヒだ。………」

 

「「「………。」」」

 

ラウラの言葉から時が止まる。その静寂を真耶が打ち破る。

 

「えっと…。終わりですか?」

 

「以上だ。」

 

「で、ではお二人は一番後ろの黒崎君の左右座って下さい。」

 

そう言われた2人は歩き出す。が、ラウラは違う方へ行き一夏の前に立った。そして手を振りかぶり、

 

スパァン!

 

一夏の頬を叩いた。

 

「いきなり何すんだ!」

 

「貴様さえいなければ、教官はモンド・グロッソで二連覇を達成していた!」

 

「そこまでだ、ラウラ、これ以上クラス内での暴力は見逃すわけにはいかん。」

 

「わかりました教官、ふんっ、教官に救われたな。」

 

「「「………。」」」

 

「で、ではHRを始めます…。」

 

 

 

 

 

HRが終わるとシャルルは一護へ話しかけてきた。

 

「黒崎一護君だよね。僕の名前はシャルル デュノア。同じ男性操縦者としてよろしくね!」

 

「あぁ、よろしく。続きは後にすんぞ。おい!一夏!ボーッとしてねぇで急ぐぞ!」

 

「わ、悪い」

 

二人はパパッと準備をしてすぐに歩き出す。

 

「おい、オメェも早く来いよ。」

 

一護はそういいシャルルの腕を引っ張る。そうして廊下を出た3人を目当てにした大勢の女子がいた。

 

「あ、出てきた。」

「本当だっ!」

「3人ともキャラがそれぞれ違くていいわぁー」

 

「やべ、もういる!一護!シャルル!走ろう!」

 

そういい一夏は走り始めた。

 

「クソッ!おい、デュノアも走れ!」

 

そういい一護はシャルルの腕を掴んだまま走る。

 

「ウワッ!とー、な、なんで走るの!?」

 

いきなり引っ張られバランスを崩しかけたが、何とか元に戻したシャルルが一護に問う。

 

「今は良いがあと数十秒で暴走して揉みくちゃにされんだ。俺と一夏はそれが原因でなんど遅刻で千冬さんに殴られたことか……。」

 

そういうと一護の顔が悟りを開き始めた。

 

「そ、そうなんだ…。大変だったんだね…。」

 

シャルルは同情した目で男2人を見る。

 

「なに他人事みたいに言ってるんだよ、これからはシャルルもそうなるんだぞ?」

 

一夏の言葉にシャルルはハッとした表情で頷く。

 

「う、うん!そうだね!そうだったよ。アハハハハ。」

 

すると一護は突然立ち止まり、

 

「悪い、先行くわ。デュノアはそのまま一夏を追いかければ良いから。それじゃ後でな。」

 

そう言って窓に足を掛け、外へ飛んだ、

 

「ちょっと!!一護君!!」

 

「大丈夫だシャルル!それよりも急ぐぞ!」

 

そう言い一夏は走って行った。

 

「もう!どうなってるのー!?」

 

シャルルの叫びが学校に響いていった。

 

しかし急いだにも関わらず、一夏とシャルルは遅刻をし、千冬に頭を叩かれ涙目になっていた。

 


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