黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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うーむ、元々良くもなかった勘が更に悪くなった気がします。筆が進まないと言うやつですね…。

『ここ間違えている』『このキャラこんなこと言わないよ』『何か違和感を感じる』『口調が変』等々がありましたらすぐに直しますので、是非教えて下さい。



第47話

一護は感知した大きな霊圧の元に向かってかけて行く。

 

(この霊圧…まさか、でもあいつは…いや、ウルキオラの例もある。取り合えず会えばわかる。)

 

一護は更に速力を上げ、目的の自分物の元へ急ぐ。しばらくしてから到着すると、西洋風の大きな屋敷に到着する。

 

「ここか…。少し釣ってみるか。」

 

一護は屋根の上に上り、屋敷内にいるある人間に霊圧を少しぶつける。すると、目的の人物が一護の前に急に現る。

 

「なんや久しぶりやねぇ。元気にしとった?君がここに居るゆーことは藍染隊長は倒しはったってことでええんやね?」

 

「やっぱりか。あぁ、藍染は倒した。今は尸魂界で投獄されてる。つーか、なんでアンタここに居んだよ。市丸ギン。」

 

一護の前にいたのは前に護廷十三隊を抜けた後に着ていた白い服に似た服を纏い、薄い笑みを浮かべた市丸ギンだった。

 

「他人行儀やねぇ、僕らの仲やないの。僕んことはギンでええよ。立ち話もなんやし、僕ん部屋においで。そこでゆっくり話したる。」

 

ギンはそう言うと、屋根から飛び降り、玄関から屋敷の中に入る。

 

「お、おい!待てよ。」

 

一護もギンを追うように屋根から飛び降り、屋敷の中へと入る。

 

「お、おい。ここお前の家なのか?すげえデケェし、この世界で何かやってんのかよ?」

 

「ハハハ、流石に僕がこんな洋風の建物を作ったりせんよ。これは僕の勤め先の人のもんや。まず、その人んとこ行くで。結構気難しい人やから、あんまり変なこと言わんといてな。ある意味藍染隊長よりも厄介やから。」

 

ギンの案内のまま廊下を進んでいくと、ある扉の前に着きギンが扉を開き中に入る。一護もその部屋に入ると、そこはまるで玉座の間となっており、その玉座には橙色の髪もつ豊満な女が座っていた。

 

「ん?なんじゃ?ギン。今日妾に謁見者が居るなど、そんな話は聞いていなかったはずじゃがなぁ?」

 

「それについてはすんません。なんせ突然なことやったから報告できませんでした。」

 

女は玉座に座ったまま、一護を品定めするかのように見る。

 

「…して、その者はなんだ?ギン。」

 

「それなりに力も持ってはりますんで、僕が勧誘してきたんです。個人的に少し手伝って貰いたいことがありまして。それで、彼をしばらくここに置きたいと思います。」

 

ギンの言葉に女はニヤリと笑い、視線をギンに移す。

 

「個人的に…か。何か企んでおるのか?ギン。」

 

「まさか、何も企んでなんてあらしませんよ。」

 

ギンは表情を微塵も変えず、いつもの笑みを浮かべたまま女と視線を合わせた。

 

「…フン。好きにしろ。じゃがな、ギンよ。この世界は妾の都合の良いようにできている。貴様が何をしようと妾の思うがままよ。」

 

「なんのことやら…。それでは失礼します。ほな、行くで。」

 

ギンはそういうと玉座の間を出て行った。一護もそれを追おうとすると、女から声をかけられる。

 

「貴様、名を述べよ。」

 

「黒崎一護だ。アンタの名前は?」

 

「妾はプリシラ・バーリエル。妾の名を知る光栄を嚙み締めよ。」

 

「…おう。」

 

プリシラは言うことは済んだとばかりに一護から視線を外し、本を読み始めた。一護は唖然とプリシラを見たが、すぐに我に返り部屋から退出した。

 

「てっきりプリシラちゃんに噛みつくと思うてたわ。大人になったんやねぇ。」

 

一護が部屋から出ると、扉の壁に寄りかかって立っていたギンが声をかけた。

 

「うるせえよ。つーか、アンタこそ何やってんだよ?アンタ、あの女に従ってんのか?」

 

「まぁ、そんなところやね。信用も信頼もされてへんけど。」

 

ギンはケラケラと笑いながら廊下を歩いていく。一護もそのあとを追って歩く。

 

「まぁ、一応この世界に来た時から面倒見てもらってるんや。」

 

ギンがそう呟くと、廊下の角から隻腕のフルヘルムをかぶった巨漢が出てくる。

 

「アルさんやないの。お久しゅう。ここんとこ会わんかったなぁ。」

 

「そりゃ、あんさんが姫さんからの仕事断るから俺が行ったんでしょうが。姫さんもなぜかアンタには甘いし、俺ぁアンタの事はあんまり信用してないんだぜ?ま、いきなりふらっと現れて信用されるなんてアンタも思ってねぇだろうけどな。」

 

「酷いなぁ、プリシラちゃんもアルさんも。僕、別に何も企んでへんよ。」

 

「……。」

 

「ほな、ここらで失礼します。」

 

「……。」

 

アルと呼ばれた男はギンと一護が隣を通り過ぎるのを黙って見る。ギンと一護はそのままアルの横を通り過ぎた後、ギンの部屋の中へ入る。

 

「おいおい、アンタ全然馴染めてじゃねえか。ってか訊き忘れたけど、プリシラに言ってた個人的に頼みたいことってなんだよ。なんも聞いてねえぞ!」

 

ギンは椅子に腰かけると、一護にも座るように促す。一護はそのままギンの対面にある椅子に座った。

 

「まぁまぁ、落ち着きや。順序を追って話そうか。まず僕がここに来た経緯や。大体1年ちょっと前くらい。僕は藍染隊長にやられたあと、まぁ、普通に死んだんやけど。目が覚めたらこの世界に放り出されたっちゅうわけや。ま、そこで紆余曲折を経て、ここのプリシラちゃんに拾われた。」

 

「紆余曲折って、肝心なことが何にもわからねえぞ。アンタは1年以上何してたんだよ?」

 

「んー。まぁ、初めはどうにか元の世界に帰れへんか試行錯誤しとったんやけど、どうも手がかりがつかめんかった。ま、あんまり戻る気もなかったんやけど。そこで暇つぶしに魔女教って集団と遊んでたんや。」

 

「魔女教?何だよそれ。」

 

「知らんの?それじゃ、大罪の魔女って知ってる?七人の魔女。ま、調べてるうちに8人目らしき魔女も出てきたんやけど、それは置いといて、昔、嫉妬、強欲、憤怒、色欲、暴食、怠惰、傲慢の言葉それぞれを背負う魔女が7人おった。その中で、嫉妬の魔女であるサテラが他の6人の魔女を殺して世界の半分を飲み込んだ。これこの世界じゃ常識やから、覚えておったほうがええよ?」

 

「あぁ、それで半分飲み込んでどうしたんだよ?」

 

「剣聖レイド・アストレア、神龍ボルカニカ、大賢人フリューゲル。これら三英傑がサテラを瀑布の近くにある封魔石の祠に封印してめでたしめでたしや。せやけど、嫉妬の魔女を復活させようとする奴が出てきた。それが魔女教や。」

 

「どんな奴らなんだよ?その魔女教って奴らは。」

 

「僕は一人しか会ってへんからよう知らんけど、厄介な奴やったわ。」

 

「マジかよ。アンタが厄介に感じるってどんな奴なんだよ?」

 

「別に強くはなかったんやけど、何しても死ななかった。効かないというより届かないって感じやったわからへん。始解も防がれてしもうたし、そのカラクリを破らん限りどうしようもないなぁ。」

 

「魔女教…か。あぁ、また面倒なことになりそうだ。それで?アンタは何するつもりなんだ?」

 

「魔女に話を聞きたいと思うてな。」

 

「魔女って、嫉妬の魔女のことか?」

 

「その通り。僕は彼女に色々と聞きたいことがある。それに邪魔になるんが王選候補たちとそれに付き従う勢力や。その中には剣聖もおる。王選候補というんは僕の知ってる限りやと、さっきのプリシラちゃんと他三人の子たち。」

 

「…殺せってのかよ?」

 

「いややなぁ、僕、そない残酷なことさせへんよ。それに、今代の剣聖さん殺すんは少しムズいで?この世界には加護っちゅうもんが有る。あの剣聖さんは加護を無数に持ってる上に、その加護を必要な時に必要な物を取得できる。」

 

「加護?」

 

「なんや、君。やっぱりそないなことも知らんの?」

 

「悪かったな!俺だってこの世界に来たのは最近なんだよ!」

 

「そないに怒らんといて。説明してあげるから。加護っちゅうんは世界からもたらされるもんや。加護の種類は数え切れんし、基本的には生まれながらにして持っとるもの。ほら、剣聖さんが異質なんはわかるやろ?あぁ、でも何でか知らんけど、一応僕もこの世界に来てから加護持っとるよ。虚心の加護ゆーて、心を読む系統の魔法や加護を無効化する。僕に似おうてるやろ?」

 

「ねじ曲がってんな。ってそんなことより、結局アンタは俺に何させたいんだよ?」

 

「勿論僕の手伝いや。」

 

「手伝いって…魔女に会うことのか?でも、魔女は封印されてんだろ?って、もしかして、封印を解くつもりかよ!?」

 

「正解や。そのためには色々邪魔が多くて困っててな。だから君の力を借りたいって話。」

 

「そんなんできるかよ!魔女ってのは危ねえやつなんだろ?なら俺は協力できねえ!」

 

「元の世界に戻る手掛かりが有っても?」

 

「っ!?」 

 

「それよりも、他の人は気付いてなかったみたいやけど、この世界は嫉妬の魔女に覆われとる。今は薄くても、いつかは濃くなる。そうなる前に封印じゃなくて倒す必要がある。」

 

「…それが本当なら。だけどな。」

 

(確かに、蒲原さんがこの世界はよくないものに覆われてるっつってたな…ってことはそうなのか?)

 

「今はそれでええよ。その内わかることや。今日はここまでにしとこーか。明日一度領地に戻らんといけへんから。」

 

「あ?領地?なんだよそれ?」

 

「ここはプリシラちゃんが持つ別荘や。」

 

「これが別荘…ってマジかよ…。まぁ、ロズワールの所もデカかったな。この世界の金持ちはそういうもんなのか。」

 

「ん?君、ロズワール卿のこと知ってるん?」

 

「知ってるも何も、さっきまでそこの世話になってたんだよ。怪しいからって追い出されたけどな。」

 

「へぇ、ならそこに銀髪の子おったやろ?」

 

「エミリアのことか?」

 

「その子も王選候補やで?」

 

「はぁ!!?マジかよ!王って感じじゃないだろ!」

 

「人間性までは知らへんけど。まぁ、そういうことなら、言い訳くらいの考えといてな。他の勢力にいた人間が他の所に移ったなんて揉め事の種やし。」

 

「…あぁ、わかった。」

 

「ほんなら僕は仕事があるから、ここ、好きに使い。明日の朝、太陽が出たら優しく起こしてあげるから。」

 

「いらねえよ!自分で起きるわ!」

 

「なら頼むで。ほなまた明日。」

 

ギンは一護にそういうと、ケラケラと笑いながら部屋を出て行った。一護はそのままソファに横になり眠りについた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

翌朝、陽の光で起きた一護は寝ていたソファから体を起こし、身支度を済ます。すると扉が開きギンが部屋へと入ってくる。

 

「支度は済んどるみたいやね。ほな行くで。今日は昨日言った通り、僕はプリシラちゃんが治めとる領地に行く。仕事がてらに調べたいことがあるんや。」

 

「調べたいことってなんだよ?」

 

「そら秘密。もう少しわかってから教えあげるわ。ほな今日はプリシラちゃんのお付きよろしゅう。」

 

ギンはそれを言い残し部屋を出ようとするが、一護はギンを呼び止める。

 

「おい!?俺も領地に行くんじゃねえのか!?」

 

「僕そないなこと言ってへんよ?もうプリシラちゃんには話してしもうたから今更変更は無理や。それに、そろそろ出んと間に合わんで?ほな。」

 

ギンはそれだけ言い残すと瞬歩を使い、その場から姿を消した。

 

「おいおい…昨日の女の付き人かよ。仕方ねえ。行くか。」

 

一護は部屋を出て昨日訪ねた玉座の間を訪ねる。すると、肘掛けに頬杖をつき、一護を見るプリシラがいた。

 

「…妾を待たせるとは、思い上がったな。凡骨。」

 

「…悪かったよ。いきなりギンに話されたから間に合わなかったんだ。」

 

「許しを請うにはそれ相応の態度があるであろう?凡夫は凡夫なりの身の程を知るがいい。」

 

(この女……。)

 

一護の額には青筋が浮かび上がるが、何とか気持ちを落ち着かせ、平常心を保つ。

 

「いやぁ、すみませんねぇ!全部責任はあの野郎にお願いします!」

 

全然平常心を保てていなかった。

 

「ふむ、今のは気の利いた返しよな。まさに道化。その返事に免じて今回の無礼には目を瞑ってやろう。」

 

(くそ、こいつマジで何様だ!白哉もここまでじゃなかったぞ!そりゃギンも藍染よりも厄介っていうわけだ)

 

「それで?ギンが帰ってくるまでお前に付いてりゃ良いんだろ?なら今日は一体何するんだよ?」

 

「アルに訊け。」

 

プリシラはそれだけ言うと

 

「……。」

 

(この女…)

 

頭の血管が切れそうになりながらも、何とか自分を抑える。

 

「…そのアルってのはどこにいんだよ?」

 

「知らぬ。自分で探せ。」

 

(ダメだ、これ以上はマジでヤベェ。)

 

一護は部屋を出て心を落ち着かせる。その後アルを探すために、屋敷内を歩き回ると、ちょうど玄関口にアルが立っているのを見つけた。

 

「おう、来たか。話は聞いてるな?早速で悪いがお使い、頼むわ。」

 

アルに紙と金の入った袋を渡される。

 

「ちょ、待ってくれ。金ってどれがどれだ?」

 

「おいおいマジかよ。仕方ねえ説明してやっから聞き逃すんじゃねえぞ?」

 

一護はアルから通貨の種類や店の位置を聞いて頭に叩き込む。

 

「悪いな。んじゃ行ってくるわ。」

 

「別に時間かかってもいいから間違えんなよ?」

 

「あぁ。」

 

一護は聞いた店を忘れないうちに屋敷を出て行った。

 

 


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