少し遅くなりました
後先考えずにこの作品を選んだら、設定が中々多く手間取ってしまいました
一護は双子のメイドに案内されて屋敷へ入る。そして担いでいた青年を空き部屋に寝かした後に別の客室に案内された。
「大変よレム、エミリア様が遂に殿方を連れてきたわ。」
「大変ですお姉様、エミリア様に遂に将来のお相手が出来たようです。」
一護が部屋の椅子に座っていると、突然メイド二人が来て一護をからかう。
「そんなんじゃねーっての。つーか悪いな。俺まで泊めてもらってよ。」
「いいえ、エミリア様を送って頂いてそのまま帰すなど言語道断ですので。」
「お気になさらないで下さいお客様。」
「あぁ、ありがとな。そういや、お前らはレムとラムって呼ばれてたよな?俺は黒崎一護だ。一護で良いぜ。」
「「はいよろしくお願いします、一護様。」」
「その様付けってのはどうにかなんねぇか?なんかムズ痒いんだけどよ。」
「お客様を呼び捨てにはできませんわ。」
「まぁ、それもそうか…。それで、何か用があってきたのか?」
「はい、お夜食を作りましたので、もしお腹が空いているのであれば、と。」
「そういや、浦原さんの鬼道でずっと縛られてからここ一ヶ月飲まず食わずだったな……。う、思い出したら急にフラフラしてきた…。」
「すぐに用意致しますので少々お待ち下さい。」
「あぁ、頼むわ。」
一護が頼むと、二人は部屋から出ていった。
prrrr prrrr
「うおっと!」
突然服のポケットから携帯が鳴り響いた。
「あぶねぇ…。なんでポケットに入ってんだ?少しでも前に鳴ったら面倒なことになってたな。っと、それより電話にでねえと。はい、もしもし。」
「どぉもぉ~。浦原デス!」
「だろうと思ったぜ。つーか、なんで携帯がポケットに入ってんだ?」
「勿論、こっちにある転移装置で黒崎さんのポケットの中に転送したんスよ。段々コツを掴んできたんで小物なら速攻で送れます。」
「マジかよ。そのうちその装置で帰れたりしねえか…?」
「んー、一瞬なら帰れると思いますが、おそらく世界そのものに弾かれると思います。」
「なんだそりゃ…。」
「まぁ、その話は長くなりますので追々…。ところで何か問題はありませんか?その世界少し変なんスよ。何かが世界を覆っている。気配からして、あまり良いものとは言えませんねぇ。」
「マジかよ。そりゃ、面倒なところに来ちまったな。おっと、やべ。あの双子が来る。また連絡するわ。」
「分かりました。それではまた~。」
一護は電話を切り、携帯をポケットに入れ、何事もなかったかのように椅子に座った。すると、双子のメイドはワゴンで、食事を運び入れた。
「食事をお持ちしました。」
「おう、助かる。」
一護は食事を済ませた後、双子のメイドを下がらせると、部屋にあるベッドで眠りについた。
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「う…。もう朝か。少し眠いけどまぁ、平気か。」
一護はそのまま起き身嗜みを整える。すると扉がノックされ一護は扉を開けた。
「はい、ってエミリアとパックか。どうした?」
「そろそろ朝食の時間だから呼びに来たの。」
「一護は外には出なかったんだね。スバルって昨日の気絶してた子はそこら中歩き回ってたけどね。」
「まぁ、一応部屋でじっとしてた方が良いかと思ってよ。それより朝飯か。誰かと飯食うってのも久し振りだな。」
「ずっと1人で食べてたの?」
「まぁ、昨日の夜まで飯自体殆ど食ってなかったからな。有り難いぜ。」
「ご飯はしっかり食べないと体に悪いよ?」
「あぁ、気をつけるさ。」
一護は支度を手早く済ませると、エミリアと共に食堂へと向かう。すると、エミリアが何かを思い出したような仕草をすると、一護に話しかけた。
「あ、それとこの屋敷の主、ロズワールが帰ってきてるから一応挨拶しておいて欲しいの。」
「この屋敷の主か…。どんな奴なんだ?」
一護の言葉にエミリアは手を顎に当てて考え込む。
「んー……。えっと……。変態?」
「悩みに悩んで絞り出した答えがそれかよ!会うのが不安になってきたぜ…。」
「大丈夫よ。悪い人ではないもの。たぶん。」
「嘘でも言い切れよ…。」
話しているといつの間にか目的の部屋の前に着きエミリアが扉を開ける。すると既にピエロの様な男性と黒髪の青年が席に着いており、メイド2人はピエロの男性のそばに控えていた。
「君が一護君だぁーね?私はこの屋敷の主ロズワールだぁ。よろしく頼むよ。」
「あぁ、よろしくな。お前ももう怪我は良いみてえだな。俺は黒崎一護だ。」
ロズワールへの挨拶をすませると一護は黒髪の青年に話しかけた。
「おう!俺は菜月昴だ!エミリアたんとは切っても切れない縁で繋がってるんで!そこんとこよろしく!」
「コラ、スバル。ふざけないの。」
「テヘペロ☆」
「成る程…。変人ばっかみてえなのは間違いないみたいだな…。」
「アッハァー、一護君もスバル君と同じで随分ズバズバいうんだぁーね。私好みだよ。」
「出会って数分で扱い方を心得たのは初めてだぜ。」
「まぁ、立ち話もなんだ。席に着きたまえよ。さぁ、皆で食事をしようじゃなぁーいか。」
ロズワールの呼び掛けで一護たちは席に着き食事を始めた。
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「さてさぁて、お腹も満足したところぉでお話をようではなぁーいか。君たち2人にはエミリア様を助けて頂き感謝するよ。そのお礼と言っては何だけど。当家で用意できるものがあればなんなりと言っておくれ。」
「はいはい!ロズっち!早速良い!!?」
「ふぅむ、相変わらず元気だぁーね。何かな?」
「なら俺をここで雇ってくれ!家事もまぁ人並み程度にしかできないけどオナシャス!」
「そんなことでいいのかぁい?それなら問題はなぁいけどねぇ。それじゃあ一護君。きみはどぉうする??」
「それじゃあ俺も似たような感じで良いか?俺も帰るところも知り合いもいなくてよ。住むところに困ってたんだ。腕にはそれなりに自信があるから用心棒ってのでどうだ?」
「全く、2人とも随分と謙虚だぁーね。別に食っちゃ寝させてくれと言われても僕はそれでもいいんだぁーけどね。」
「俺はエミリアたんの評価を上げないと行けないからな!別に引き篭ろうと思えば色違いのポケモン並みに会うのが難しくなるけどね!」
「…俺は普通にそうするのは気が引けるからな。かと言って他に出来ることもないからよ。」
「ふぅむ、良い心がけだぁーね。なら、今日から早速働いてもらおうかねぇ。スバル君はラムに仕事を教わっておいてねぇ。それで一護君には頼みたい事があぁーるから準備が出来たら僕の所まで来きまぁーえ。それとエミリア様もお願いしますねぇ。」
「オッス!」
「分かった。」
「分かったわ。」
そしてその場は解散となり、三人はそれぞれ分かれていった。
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「それで来たけどどうすんだ?」
一護は解散した後すぐにロズワールのところへと向かった。
「随分と早いねぇ。準備は良いのかい?」
「元々持ってるもんなんてねぇからな。それで?これからどうするんだ?」
「まぁまぁ、焦らないでちょーだい。エミリア様にも関係することだぁーからね。」
「エミリアも?」
一護が疑問に思うと、後ろからドアの開く音がした。
「ごめんなさい。待たせちゃったみたいね。」
「問題はありませんよエミリア様。それでは早速お題を言い渡しましょう。」
「「お題?」」
「はぁい、一護君にはエミリア様の護衛や近辺の魔物の討伐を依頼したいんだぁーよ。だけど、力不足で死んでしまいましたーなんてのは目覚めの悪い話だろう?基本的になんでも言ってくれと言ったのはこちらだけど、死ぬのは勘弁して欲しいんだぁーね。」
「要するに俺の実力を試すってことか。」
「そういうことだぁーね。エミリア様の護衛をお願いするということはエミリア様より弱いなんてぇーのは論外だぁーよ。だからエミリア様と対決してもらいたいんだけどね。」
「そ、そんなの無理よ!」
ロズワールに向かってエミリアが反発する。
「恩人に攻撃するなんて嫌。」
「でも、そうしないと彼は希望の職にはつけないねぇ。困った困った。」
「俺もエミリアを攻撃すんのはちょっとな…。」
「大丈夫だぁーよ。君は避けるだけ、エミリア様は攻撃するだけ。ただしそこそこ本気でぇーね。ある程度の距離をとり、エミリア様の攻撃をかわしてエミリア様に触れられれば一護君の勝ちぃ。エミリア様の攻撃が当たったらエミリア様の勝ちぃ。どぉーだい?簡単だろう?勿論服にかするのも負けになるから気をつけてぇね。」
「良いぜ。わかった。」
「一護!流石にそれは…。」
有利すぎる。その言葉を飲み込みエミリアは一護に目で訴える。
「大丈夫だって。心配すんな。」
すると突然パックが部屋へと入ってくる。
「リア。一護の為だと思ってしなきゃ。」
「わかった!わかりました!本当に怪我しても知らないんだからね!」
「あぁ、わかってるって。」
一護たちはそれぞれ支度を済ませ、外へと出て行った。
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一護とエミリアが向かい合うとロズワール、ラム、レム、スバル、金髪の幼女、パックの屋敷の全員が見ていた。
「なぁ、エミリア。あいつは誰だ?」
一護は金髪の幼女に視線を向ける。
「あの子はベアトリス。禁書庫っていうところを管理してるって聞いたわ。」
「へぇー…。」
一護とエミリアが会話していると横から声がかかる。
「それじゃあそろそろ始めようか。お互いに距離をとって。」
パックの掛け声に一護とエミリアが距離をとる。
「それじぁーあ、はじめるとしよぉか。それでぇーは始め!」
「行くわよ!」
ロズワールの声にエミリアは氷を空中に作り、連射する。
一護はそれをジグザグに後退しながらかわしていく。
(数が多いな。避けるのに集中すればかわせないこともねぇ。ただ近くとすると生身のままじゃ自己加速術式を使わねえといけねえな。まぁ、それでも良いか。コレは俺にどれだけ力があるかを見るためのもんだ。)
一護はCADを操作して自分に自己加速術式をかける。
「「「!?」」」
「あれは身体強化だぁーね。といっても、僕たちの魔法とは随分と違うみたいだぁーね。」
「でもアレには悪意や害意はない。だから問題ないよ。」
小さく呟くように交わされたロズワールとパックの会話は誰にも聞かれることはなかった。
一護は氷の棘を次々とかわしてエミリアの肩をタッチし、無事に終えることができた。
「はぁ…一護って凄いのね。すごーく速かった。」
「おう、サンキューな。」
2人の間にロズワールが入る。
「いやぁ、素晴らしい魔法だったよ。全く見たこともない魔法だ…。どこの魔法か是非とも聞きたいものだぁーね。」
(やっぱり聞かれるか。仕方ねえな。)
「コレはこの腕輪を介して使う魔法だ。」
「ほぉう。それは魔法器というものだぁーね。こういう形のものを見るのは初めてだぁ。ふむふむ成る程。確かに君は腕の立つようだ。うん、それじゃあ正式にこの屋敷の用心棒として認めよう。今日のところは休んでくれたまえ。明日から早速頼みごとがあるかぁらね。」
ロズワールはそう言うとすぐに屋敷へと戻って行ってしまった。すると、スバルが一護に駆け寄り話し掛ける。
「うぉー!!ちょーカッコ良い!なにそれ!おれにもつかえたりしねぇの!?」
あまりの勢いに一護は若干引いていたが、スバルは構わず一護にマシンガントークを仕掛ける。
「ねぇねぇそこんとこどうなの!?俺ってば陰魔法しか使えないからそれ使ったら他の使えるようになるかな!?」
「む、無理じゃねぇか?これ結構扱い難しいんだよ。それより、陰魔法ってのはどんなのなんだ?何もなしに魔法が使える方が凄えじゃねえか。」
「さっき適正を調べたんだけどさ、相手の能力を下げたり、視界を遮ったりとかデバフ特化なんすよねぇ。しかも、かなり力弱い!みたいな?使えたもんじゃねえんでっさ。」
「そうか、でも結構便利じゃねえのか?戦闘中に視界を潰されたら厄介だろ。」
一護がスバルを感心していると、エミリアが間に入る。
「でもスバルは基本中の基本しか使えないの。だからあまり戦闘中には使えないかも。」
「うぐっ。確かにその通りなんだけどさ!一護も調べて貰ったらどうだ?すぐに調べられるんだって、だよな?」
スバルがエミリアとパックに視線を向ける。
「出来るわよ。一護も調べて見る?」
「あぁー…。いや、良いや。別にこれがあれば使えるからよ。」
一護はそう言いながら腕に巻いてあるCADを見せた。
(どう調べるかは分かんねえけど、崩石のことがバレたら厄介そうだからな。それに、あのピエロ。どうにも胡散臭えな。)
「それじゃあ俺は部屋に戻るぜ。あ、レム、ラム。悪いんだけど本とかないか?ある場所に案内して欲しいんだけどよ。」
一護が双子のメイドに聞くと、レムとラムは互いに顔を見合わせた。そしてラムが対応する事なったのか、レムはスバルの元へ行き、ラムが一護に返事をする。
「本ですか。どのような本がお望みでしょうか?」
「魔法とか、この世の常識の学べるやつがいいな。俺は田舎暮らしで世間の事とか疎いからよ。」
「分かりました。それでは後ほど一護様の部屋にお届け致します。」
「おう、ありがとな。」
一護はそれだけ言うと部屋に戻って行った。