黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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お待たせしました。

無事受験を終えることができました。



Re:ゼロから始める異世界生活
第44話


一護はいつものように暗闇を走り、次の世界へと向かっていく。

 

「ーーお、光。ってことはここが出口だな。」

 

一護は出口に向かって大きく飛び、そのまま光へと入っていった。

 

「って、出口は空かよ!!」

 

一護が出た先は地上がかなり小さく見えるほど高い場所だった。

 

「しかも、いつの間にか体が戻ってきてるしよ。」

 

一護は体制を立て直し、そのまま下へと落下して行く。一護は霊圧を崩石を通して変換し、完現術の力を使って地面に降り立つ。

 

「ふぅ…。周りに人は居ねぇみてぇだな。さて、ここは……。空座町じゃない事だけは確実だな。」

 

一護はあたりを見回す。街中はファンタジーな雰囲気を出しており、先ほどまでいたアイズ達の世界と似ていた。

 

「取り敢えず歩き回って何かしら探すか…。」

 

一護はそう言うと屋根の上に飛び乗り、そのまま屋根伝いに駆けていく。そして、30分ほど走ると、かなりの速さで走る金髪の少女とその後を追う銀髪の少女を見つけた。

 

「ちょうど良い。歳も近そうだし、取り敢えずあいつらに訊いてみるか。」

 

一護はその場から大きく飛び上がり、金髪の少女が通る道を先読みして路地裏に着地する。そして、向かいから走ってくる金髪で小柄な少女に声を掛ける。

 

「なぁ、少し聞きたいことg「邪魔だぜ兄ちゃん!!」あれ……?」

 

一護はそのままスルーされ、金髪の少女はアッというまに姿を消した。しばらく唖然として金髪の少女が向かった方を向いていると、背後から息を切らしながら銀髪の少女が駆け込んできた。

 

「はぁ…はぁ…。ねぇ、あなた。さっきここに誰か通らなかった…?」

 

膝に手をつき息を切らしながら銀髪の少女が話しかけてくる。

 

「…あぁ、向こうにかなりの速さで走って行ったぜ。今頃もう見えなくなってると思うけど。」

 

一護が答えると銀髪の少女は下を向いてしまった。

 

「どーしよう…。大切な物なのに…。」

 

すると突然少女の胸にある緑色の宝石から猫が飛び出てきた。

 

「うーん。きっとさっきの子は風の加護があるみたいだ。追いつくのは難しそうだね〜。んー、これはどうしたものか?」

 

「!?こっちの世界じゃ猫は喋るもんなのか…?」

 

一護がそう呟くと、猫は少女の方の上から一護の顔の前までフワリと飛び上がった。

 

「中々に目つきの悪いお兄さんだね!僕はこの娘と契約している精霊のパックだよ!お兄さんこんな時間に路地に1人でいるなんて危ないよ?」

 

「目つきはほっとけ…。俺は黒崎一護だ。つーか、それを言ったらおめえらの方が危ねえだろ…。」

 

一護がそう言うと、息を整えた銀髪の少女が返事をする。

 

「危なくなんてないわよ。だって私は精霊使いなんだもの。」

 

「精霊?そのパックってのは強えのか…?」

 

(確かに、かなりの何かを感じる。やっぱりこの世界の力は霊圧じゃねえみてえだな。)

 

「お兄さん、僕を見た目で判断したら痛い目見ちゃうよ☆僕はこんな可愛らしくて愛らしいけど、それなりに役に立つんだからね。一家に一匹欲しくなっちゃうよ?」

 

「なんだその家電みたいなノリは……。まぁ、それでさっきの女を探してるんだな?」

 

「うん、そうなんだけど…。」

 

「なら手伝うぜ。」

 

「え!?いや、いいわよ。貴方に迷惑をかけるわけにはいかないわ。」

 

「それじゃあどうやって探すんだよ?こんなデケェ街でしらみ潰しに探していく気か?」

 

「それは……。」

 

銀髪の少女が困っているとパックが少女の方に乗る。

 

「彼の助けを借りたほうが良いよ。彼には何か考えがあるみたいだし、こんな広大な王都で1人で探すなんて選択肢をするほど僕の娘はおバカちゃんじゃないと思うんだけど。」

 

「うぅ……。わかった…。わかりました!でも、私一文無しだからお礼なんて出来ないからね!」

 

銀髪の少女は顔を赤くしてそう言った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「それで?貴方には何か考えがあるの?」

 

銀髪の少女は迷いなく歩く一護の後ろを歩きながら質問する。

 

「あぁ、まぁ、ハッキリとは言えねえけど何となくさっきの女がどこにいるか感じられんだよ。」

 

一護の言葉にパックが反応する。

 

「へぇ〜。それは随分と便利だねぇ。あまり聞いたことのない魔法だ。」

 

「確かに、あ、すっかり忘れてた。私の名前はエミリア。貴方は黒崎一護ね。」

 

「あぁ、フルネームで呼ぶ必要はねえよ。一護で良いぜ。」

 

「ふるねーむ?はよく分からないけど、一護ね。うん、わかった。」

 

(ん?こっちには英語が無えのか?なら気をつけねぇとな。)

 

一護たちはしばらく歩くとスラム街のような場所に出て、ある建物の前に立った。

 

「ねえ一護、徽章をとった子はここに入ったの?」

 

「あぁ、間違いねえな。」

 

「んー、なら急いだ方が良いかもね。ここは非合法の密売所みたいだ。売り捌かれる前に取り返さないと。」

 

「そうね。一護はここまでで良いわ。手伝ってくれてありがとう。」

 

「あぁ、そりゃいいんだけどよ。大丈夫かよ?荒事とかになるかもしれねえぞ?」

 

「大丈夫よ、そうなった時に恩人である貴方を巻き込みたくないし、パックもいるもの。」

 

「うん、ちゃんと守ってあげるよ。」

 

「そういうこと。だからありがとう。すごーく助かりました。」

 

そう言うとエミリアとパックは店の中へ入っていった。扉の空いた隙間から中を覗くと、そこには例の金髪の少女と青年、そして大柄の老人がいただけだった。

 

「ま、アレなら問題ねえだろ。」

 

一護はそう呟くと踵を返し、街へと戻っていく。帰り道の途中周りを見ながら歩いていた一護は角がら曲がってきた人とぶつかってしまった。

 

「おっと、悪い。大丈夫か?」

 

「ええ、こちらこそ。」

 

一護は角から出てきた全身を黒で統一した美女の目を見た瞬間にその瞳のドス黒さに一瞬足が止まってしまった。

 

「ん?どうかしたのかしら?」

 

「い、いや、何でもねえ。」

 

「ふふふ、そんなに身構えなくても平気よ?」

 

黒の美女は一護の頬をそっと撫でるとそのまま行ってしまった。

 

「……なんだ?あの目。あっちの方向はエミリアたちのいる場所だな…。いや、考えすぎか。」

 

一護はそう呟くと再び帰路につく。しかし、しばらくしてからやはり気になり、一護は急いで先ほどの建物へと戻っていく。

 

「くそ!戻るって選択肢を選ぶのに時間かけ過ぎたぜ。物騒な事になってなきゃ良いけどよ!」

 

一護は全力で走り、先の建物へと戻ろうとする。すると、道の真ん中に先程ぶつかった黒髪の美女が、身体中血だらけの状態でこちらに向かって歩いてきた。

 

「あら?貴方はさっきの…。血相を変えてどうしたのかしら?私を追ってきてくれたの?」

 

「おい、アンタ…。何やってたんだ?」

 

「あら、声を掛けてくれるのは嬉しいのだけれど。顔が随分と険しいわ。それでは女の子の了承は得られないわよ?」

 

「話を逸らすなよ…。エミリア……銀髪の女はどうした。」

 

「あら、貴方…。関係者だったのね…。残念。中々好みの子だったのに。あぁ、でも貴方の腸とても綺麗そう…。さっきは誰も仕留められなかったから、今日は貴方の腸を可愛がることにするわ。」

 

黒髪の美女はそう言うとナイフを取り出して構える。

 

「私はエルザ。私の名前を覚えて逝ってね。」

 

「いきなりかよ。ったく。黒崎一護だ。あいつらが生きてるってわかっただけでも良かったぜ。」

 

一護はそういうと霊圧を崩石で変換して完現術の刃を腕に作った。

 

「あら?随分と変わった魔法を使うのね。本当に今日は色んな人と会うわ。その中でも貴方は2番目にドキドキするわ。ごめんなさいね。1番ではなくて。でもそれは仕方ないのよ。さっきやった相手は剣聖。恥じる事はないわ。」

 

エルザはそう言うと一護の周りの瓦礫を足場にして高速で移動する。

 

(速えな…。今の俺は死神じゃなくて生身の状態だ。それにロキの恩恵も感じられねえ…。と言っても、崩石と霊圧がある限り完現術はちゃんと使える。ただ、問題はこの世界の人間がどれほど強いか。あいつの目を見りゃわかる。アレは相当な数を相手にして、そのことごとくを破ってる奴の目だ。ここは使える手は惜しみなく使って行く。)

 

一護はエルザの動きを目で追い、いつでも防げるように構える。

 

「へぇ…中々ね。隙がない…。だけど甘いわ!」

 

エルザは瓦礫を一護へ向かって蹴り飛ばす。一護はそれを腕に作った霊圧の刀で払う。すると後ろから声がかかる。

 

「隙がなければ、作れば良いのよ。」

 

エルザは一護の背中にナイフを突きたてようとする。

 

「それぐらい読めねえわけねえだろ。」

 

一護は反対側の腕にも完現術の刃を作り、エリザに向かって横に振り抜く。エリザはバク転をしながらそれを躱し、ナイフを五本投げた。

 

(くっ、このタイミングにこの数は…。)

 

一護は両手の完現術の刃でナイフを弾いていくが、最後の一本が一護の刃をすり抜け、頬を掠めていった。

 

「あら…。随分と良い反射神経をしているのね…。今のを躱されるとは思ってはいなかったわ。」

 

「……。」

 

「あら、ダンマリかしら?女性と話すときは余裕を持たなくてはダメよ。あなたは強いから少しだけ本気を出してあげる。」

 

エリザはそう言うと、一直線に一護へ突っ込んでいく。

 

(っ!さっきよりも数段速い!)

 

エリザは一護に向かって突きを放つ。一護はそれを弾くと、エリザを蹴り飛ばそうとするが、再びエリザは一護から距離をとり、そしてまた一護に向かって突っ込んでくる。

 

(ヒット&アウェイってやつか…。なら、動きを止めねえと。幸いCADの魔法は初見のはずだ。なら、真っ向から使っても効くはずだ。)

 

一護はエリザの突きを大きくジャンプして躱す。

 

(よし、エリザの視線が上を向いた!)

 

一護はCADを操作してエリザに向かって手をかざした。

 

「くっ!?これは…!?」

 

エルザは重さに耐えかねその場に膝をつく。

 

「やられたわね…。重力を弄る魔法かしら?珍しい魔法を沢山持っているのね……。いいわよ。好きになさい。」

 

エルザは一護に微笑みを向けながらそう言い放つ。

 

「そうかよ。」

 

一護は魔法を解き、エミリアたちの元へと向かおうとする。エルザは立ち上がり笑みを深めて一護に声をかける。

 

「随分とお人好しなのね。」

 

「確かにあんたは俺を殺しにきたし、エミリア達のことも殺そうとした。だけど、あいつらは生きてるし、俺も生きてる。だから今回はだけは見逃すぜ。」

 

「あぁ…屈辱だわ…。貴方に手を抜かれた上に、命まで見逃されるなんて…。でも最高…。貴方の本気が見てみたくなったわ。いつかあの銀髪の娘の四肢をもいで貴方の前に引きずり出してあげる。楽しみにしていてね。」

 

「させねえさ。」

 

一護はそう言い残すとその場を後にした。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

一護は先ほどの建物に向かうとほとんど原型がなくボロボロとなっていた。

 

「一体なにやったらこんなになるんだよ……?」

 

一護は形ばかりの扉を開けると、そこには金髪の少女を抱えた赤髪の青年と、地面に寝ている黒髪の青年、そしてエミリアがいた。

 

「みんな無事みてえだな。」

 

「あ、一護。よかった。あとすこーし来るのが早かったら大変だったんだから。」

 

一護の顔を見てエミリアは安堵した顔でそう返した。すると、隣の赤髪の青年が不思議そうな顔でエミリアに尋ねる。

 

「エミリア様。こちらの方は?」

 

「彼は黒崎一護。私の徽章を探すのを手伝ってくれたの。私がもう帰って良いよって言ったからてっきり帰ったのかと思ったんだけど。どうして戻ってきたの?」

 

「エルザって奴とすれ違ってよ。気になって戻ってきたんだ。」

 

「えぇ!?それって平気なの!?怪我してない?」

 

「心配すんなって。それで、こいつらを守ったのはおめえか?」

 

「ええ、ラインハルト・ヴァン・アストレアです。以後お見知り置きを。」

 

「あぁ、よろしく。ってそんなに堅苦しくなくて良いぜ。そういうの苦手でよ。年も近いだろうし。普通に話してくれ。」

 

「うん。そういうことならそうさせてもらうよ。それじゃあ僕はそろそろ行かなくてはならないんだ。それじゃあね、一護。エミリア様もこれで失礼します。」

 

「あぁ、またな。」

 

「うん、それじゃあまたね。」

 

ラインハルトは金髪の少女を抱えたまま帰って行った。

 

「んで?どうすんだこいつは。」

 

一護は床で寝ている黒髪の青年に目を向ける。

 

「スバルには助けてもらったから屋敷に招くつもり。一護はどうするの?結構暗くなってるし家まで送ってあげるけど。」

 

「普通逆だろ。お前こそこんな夜遅くじゃ危ねえだろ。屋敷まで送るぞ。」

 

「いや、そこまでしてもらうわけには…。それに屋敷は結構遠いのよ。それに家族だって心配するわ。」

 

「別に平気だっつの。家族とはもう離れてるからよ。それに方向さえ言ってくれれば直ぐに着くって。」

 

「どういうこと?」

 

「そういう魔法があんだよ。」

 

「へぇ〜、貴方色々便利な魔法を持ってるのね。すごーくうらやましいかも。えっと、方向はあっちの山を超えたところ。」

 

エミリアが山のあるところを指差す。

 

「本当に遠いな。」

 

「だから今日は用事を済ませて元々王都に泊まるつもりだったの。だから別に無理しなくてもいいわよ。」

 

「別に大丈夫だって。」

 

一護はそう言うと黒髪の青年を肩に担ぐ。

 

「それじゃあエミリアも。」

 

「え?肩に担ぐの?」

 

「流石にもっと丁重に運ぶさ。前にダメだし食らった事もあるしよ。」

 

一護は青年を担いだまま器用にエミリアをお姫様抱っこする。

 

「じゃあ行くぜ。」

 

「え?ちょっと待っ、キャアアーー!!!」

 

そのまま一護達は夜空へと消えていった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「…はぁ…はぁ…流石に…2人抱えてってのは…厳しかったな…。生身じゃやっぱ疲れるわ…。」

 

目的地に着くとエミリアをその場におろし、一護は膝に手をつき呼吸を整える。

 

「一護って空飛べたんだ。でもそうするならそう言って欲しかった。」

 

そう言うとエミリアは屋敷に向かって歩き出す。

 

「悪かったって。」

 

一護はそう言うと青年を抱え直してエミリアを追う。

 

「お前の屋敷は随分とでっけえんだな…。」

 

「私のって訳じゃないんだけどね。」

 

一護たちが扉を開けて中へ入るとそこには桃色の髪と水色の髪の双子の少女たちが出迎えた。

 

「「お帰りなさいませ。エミリア様。」」

 




原作とは全く違う形になるかもしれないです。

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