黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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ちょっと結構端折って書いてますので

ここ変!とか、ここ違う!

というのがありましたら直しますので教えて下さい


第43話

 

「こんなところを用意してたなんてな。」

 

2人がロキ・ファミリアの元を離れたあとにウルキオラが先導してある場所へと連れて来た。

 

「ここだけまるで虚夜宮の中みてえだな。」

 

「そんな事はどうでも良い。かかって来い黒崎一護。」

 

「言われなくても…そうするぜ!!」

 

一護は斬月を大きく振りかぶりウルキオラの頭へ振り下ろす。ウルキオラは刀でそれを防ぎそのまま片手で刀を振り抜いて壁際まで吹き飛ばした。

 

「どうやら…レベル上げは失敗したらしいな。」

 

「……。」

 

ウルキオラは僅か数回の打ち合いで一護の状態を見抜く。

 

「俺は今現在Level6。貴様もこの一ヶ月で俺がレベルを上げることを予想していたはずだ。今刀を合わせて理解した。貴様はLevelは4…。5であったならまだしも、2つのLevelの差はもはや埋まりはしない。俺は崩石の力を使い戦いながらにLevelをあげることすら可能にした。最早神など利用する価値すら無くなったということだ。」

 

ウルキオラは響転を使い一護の背後をとり、その背中に斬りかかる。

 

「クッ!」

 

一護はその一太刀を躱すために体を捩るが、躱しきれずに背中に一本の傷が入る。一護は空中へと飛び上がり、ウルキオラから距離をとる。

 

「その程度で躱したつもりか?」

 

一護が再びウルキオラに目を向けたが、そこにウルキオラの姿はなく、背中からウルキオラの声が聞こえた。

 

「月牙ーー」

 

「遅い。」

 

一護の月牙天衝発動前にウルキオラは一護を下へと蹴り落とした。

 

「どうした?黒崎一護。」

 

「うるせぇ!」

 

 

卍解 天鎖斬月

 

 

虚化

 

 

「卍解に虚化か…。確かにそれであれば今の俺と同等に戦えるだろう。だが…。」

 

 

鎖せ 黒翼大魔

 

 

「終わりだ。」

 

先ほどの力関係は変わらず一護は敵の攻撃を何とか防いでかわしていく。

 

(ほう…。やはり少しは動きが良くなっているようだな。だが、この程度どうということはない。)

 

ウルキオラは一護の動きを分析しながら一護に攻撃を加える。ウルキオラはフルゴールを大きく振り、一護を壁まで殴り飛ばした。

 

「長引かせるつもりはない。」

 

ウルキオラは槍投げの様にフルゴールを構え、一護に向けてそれを投擲した。

 

壁が崩れ落ちその場に砂埃が舞い上がり、一護の姿を隠した。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

(くっ…仮面が…。やっぱこのままじゃ不利か…。仕方ねぇ、アレを使うか。前に達也たちの所じゃ使わなかったからな。)

 

一護は懐に入れていた赤い丸薬を口にする。すると、一護から大量の霊圧が溢れ出し、周りの砂埃を吹き消した。

 

「…なんだそれは?」

 

ウルキオラは再びフルゴールを手に作り出し、一護に尋ねた。

 

「これは前に親父から貰ったモッドソウルってヤツだ。浦原さんからはこの前会った時に詳細を聞いてたんだよ。モッドソウルには俺の霊圧が封じ込められてて、前に俺が死神の力を失いかけた時にモッドソウルを使って一時的に霊圧を取り戻したことがある。このモッドソウルは浦原さんが更に改良して霊圧を補給するために特化させたもの。今の俺はお前にとられているとはいえ崩石と融合して、その影響で霊圧の受け皿が一時的にかなりデカくなってる。その状態でさらに霊圧を取り込めば、Level2、3くらいはひっくり返る可能性があるって浦原さんが言ってた…。つまり、これでお前と俺の実力は五分だ。」

 

「なるほど、確かに霊圧も桁外れに上がっている。しかし、忘れたわけではないはずだ。真の絶望の姿を…。」

 

洞窟の中が黒い霊圧に染まり、自分の指先さえ見えなくなる。

 

 

刀剣解放第二階層

 

 

「おいおい、唯の帰刃ですら倒壊する可能性があんのに、更に変身すんじゃねぇよ。危ねぇだろうが。」

 

「そのための準備はしてきた。いずれここで貴様を倒すためにな。」

 

「壁の補強でもしてたってのか?」

 

「知る必要はない。」

 

「そうかよ。」

 

「あまり時間がない。すぐに片付ける。」

 

「やってみろ。」

 

ウルキオラは無言で指を一護に向ける。

 

 

黒虚閃

 

 

「チッ!」

 

一護は瞬歩を使って黒虚閃を交わす。ウルキオラは再び照準を合わせて黒虚閃を放つ。

 

(クソ!ヤベェな…。恩恵のお陰かあいつの虚閃の溜めの時間が殆ど無え。これじゃあ躱すのが精一杯だ…。何か…何かあいつの意識を外させねぇと。俺が月牙以外で何か使えるものといえば、魔法しかねぇ…。今の俺には崩石がない?だけど、サイオンは前の世界で何年も使ってたんだ、俺の体の中にサイオンの残りカスがあってもおかしくねぇ。恐らく一回分あるかないかだ。だが方法はこれしかねぇ。かけてみるな…。思い出せ…。達也たちと過ごした時間を…。)

 

一護はウルキオラの黒虚閃を躱しながら考える。

 

「どうした?黒崎一護。攻撃の手が緩んでいるぞ。躱すだけで俺を倒せるとでも思っているのか。」

 

(……。達也から知り合いの魔法の原理は一応聞いてた。深雪の冷却魔法、達也の術式解体。レオの硬化魔法、エリカの自己加速術式、ほのかの閃光魔法、雫の振動魔法、他にも沢山の奴らの魔法を教えてもらった。その中で使えるのは…。)

 

「今だ!」

 

一護は黒虚閃をギリギリでかわしてウルキオラに手を向けて、手首に巻いてあるCADを操作して魔法を放った。

 

一護の手から光の玉が放出される。

 

(何だこれは?鬼道か何かか?しかし、黒崎一護に鬼道の適性は無かったはず。霊圧は感じない。チッ。)

 

ウルキオラは手刀でその光の玉を切り裂く。すると、光の玉から強烈な閃光が放たれウルキオラの目を潰した。

 

「ソコダァ!!」

 

一護は再び仮面を被りなおし、ウルキオラの背後をとる。そして大きく振りかぶりながら、天鎖斬月に全力で霊圧を注ぎ込む。

 

「月牙ーー天衝!!!!!!!」

 

黒い奔流がウルキオラを完全に捉えて飲み込んだ。

 

「ハァ…ハァ…はぁ…。」

 

一護の仮面が割れ、一護はその場に膝をついて天鎖斬月を手放す。

 

「今のは完全に当たったはずだ…。モッドソウルの霊圧に仮面の力の月牙。流石のあいつも耐えられるとは思えねぇ。」

 

一護は月牙がえぐり取った場所に目を向ける。すると、大きな岩が突然爆発し、一護は再び天鎖斬月を手に取った。

 

「くそ!まだ生きてんのかよ!」

 

「そのようだ。」

 

砂煙が晴れていき、少しずつウルキオラの姿が見えていった。

ウルキオラの翼は両翼とも根元から捥げ、右足は全体に渡って複雑骨折をしていた。

 

「今のは流石に危うかった…。だが、俺を倒すまではいかなかったようだな。」

 

ウルキオラは指を一護に向ける。

 

「最後だ。見せてやろう。俺がこちらの世界に来てから編み出した。最強の虚閃だ。」

 

ウルキオラは爪で自分の人差し指を傷つけ、そこに霊圧を集める。

 

 

王虚の黒虚光(グランレイ セロ オスキュラス)

 

 

「負けるわけには……イカネェンダ!!!」

 

一護は僅かな霊圧で仮面を作り、天鎖斬月に霊圧を集める。一護はそれを放たずに刀を縦に構えてウルキオラの技を受け止める。

 

(くそ…!もう…保たねえ……!!)

 

一護は全力を振り絞り、ウルキオラの虚閃を受け止めるが、少しずつ押されていっている。

 

(仮面ももう1分保たねえ…。それまでに…押し返さなけりゃ、俺の負けだ…。)

 

「諦メテ、タマルカヨ!!」

 

一護が再び踏ん張り、ウルキオラの虚閃を押し返そうとした瞬間、誰かが一護の隣に立ち、刀で虚閃を押し返そうとする。

 

「ッ!?ア、アイズ!何デココニ!?」

 

「余所見しないで。一護。」

 

アイズが一護の隣に立ち、一護と同じ様にして虚閃を押し返そうと踏ん張る。

 

「チッ。無駄なことを…」

 

ウルキオラが虚閃を放っている手とは逆の手を一護達に向ける。しかし、ウルキオラは背後から気配を感じ、咄嗟に手を背後にやると、何者かに腕を掴まれた。

 

「ッ!?貴様は…!」

 

ウルキオラの目に映るのは護廷十三隊の七番隊隊長狛村左陣だった。

 

「済まぬが、あの2人をやらせるわけには行かぬのでな。邪魔させてもらおう。今だ!!これで此奴は動けぬ!!」

 

狛村の言葉に反応し物陰から何者かが素早い動きでウルキオラの元へ向かって行く。

 

「クッ…。させるか…!」

 

ウルキオラは狛村の腕を振り払い、腹部に腕を突き刺した。駒村はその腕を両腕で掴み。全力で力を入れる。

 

「クソ…。」

 

ウルキオラはその場を動くことが出来ずに、緑の髪を持つエルフの女、リュー・リオンの接近を許した。

 

「コレで終わりだ!」

 

リューは手に持っていた黒い液体の入った瓶の蓋を開け、ウルキオラの胸の穴に液体を流し込んだ。

 

「退くのだ!!黒崎一護!!」

 

狛村は一護にそう言い放つとリューのマントを掴み瞬歩で後退する。一護も力を振り絞り、アイズを抱えてウルキオラの虚閃から逃れる。

 

ドゴオオオオン!!!!

 

ウルキオラの胸の穴から強大な霊圧の爆発が起こり、ウルキオラの上半身に大きな穴が空き、倒れ伏した。

 

狛村とリューの元に一護は卍解を解き、斬月を背中に背負いながらアイズを抱えて降り立つ。アイズを地面に下ろすと、狛村に質問する。

 

「狛村さん…。今のは?」

 

「浦原喜助が作った物だ。崩石を剥がすための物らしい。藍染の崩玉を剥がすための試作品と聞いた。」

 

「スゲェな…相変わらず…。オメェらもサンキューな。俺1人じゃ危なかった。」

 

一護は背後にいたリューとアイズに話しかける。

 

「いえ…此方こそ貴方が無事で本当に良かった…。一ヶ月も見かけなかったので心配しました。」

 

リューは安堵した顔で一護に返事をする。

 

「あぁ…悪かった。」

 

一護はリューの肩に手をやると、リューは顔を真っ赤にして俯いてしまった。アイズはそのやり取りを見ると、ムスッとした顔で一護の裾を引っ張った。

 

「一護、私には?」

 

「あぁ、お前にも心配掛けたな。悪かったよ。」

 

一護はアイズの頭を撫でてやる。しかし、一護はその手を途中でやめ、再び斬月を手に取った。

 

「一護?」

 

「どうかしたのですか?」

 

アイズとリューは一護の顔を見るが、一護がある一点から目を離さない。2人は一護の視線の先へ目を向ける。

 

「っ!!」

 

「…馬鹿な…。アレだけの物を受けながらまだ倒れないのか…。」

 

2人の視線の先ではウルキオラが立っていた。

 

「心配すんな。アイズ。リュー。もう警戒する必要は無え。」

 

「それは一体…。」

 

「どういうこと?」

 

一護の言葉に2人は疑問に思ったが一護は返事を返さなかった。

 

「狛村さん。一応2人を頼む。」

 

「わかった。」

 

狛村はリューとアイズの2人の前に立つ。一護はウルキオラの元に瞬歩を使って近づいた。

 

「傷は塞がってるみてぇだな。」

 

「ふん、前にも言ったが、臓器までは治せん。見せかけだけだ。崩石も、俺を主とは認めないと言っている。使えぬものなど必要ない。」

 

ウルキオラは一護へ崩石を投げ渡した。

 

「っ!?おい、お前…。何のつもりだよ?いくら崩石が要らないからって俺に素直に渡すなんてよ。」

 

「言ったはずだ。使えぬものなど必要ない。今ここでそれを巡り再び争ったとしても意味がない。今の俺は死に損ないだ。暫くすれば力尽きる。万に一つ俺が勝ったとしても、それを使いこなすことは出来ないだろう。破面となって死神の力が俺にあるとはいえ、元は虚。使えたとしても、精々出来損ないの虚化をさせる程度だ。それに、実験として貴様に与えた力はどうやら発動したらしいな。あの時の月牙に混じって例の霊圧が俺の体内に入り込んだらしい。もう体内組織はほとんど機能していない。」

 

「例の霊圧?何のことだ?」

 

「それはいずれわかるはずだ。その時まで精々生き延びることだ。今回も俺の負けか…。だが…。フッ、貴様との戦い…中々だった。礼を言おう。それではな。」

 

ウルキオラはそのまま霊子となって消えていった。

 

「あいつ…笑って……。」

 

一護はしばらく唖然としていたが、一護の手にある崩石が光だし一本の光が壁を照らし、そこに穿界門ができ、崩石は一護の体内へと入っていった。

 

「崩石も元に戻ったし一件落着か。それに、あれが出てきたってことは、こことはお別れか。」

 

一護は狛村たちの元へと向かった。その場に到着すると、狛村が一護に話しかけた。

 

「黒崎一護どうやらお主は…。」

 

「あぁ、どうやらこことはお別れみてえだな。」

 

「「っ!!」」

 

「ど、どういうことですか!?一護!」

 

「……。」

 

リューは一護に詰め寄り、アイズは俯く。

 

「俺は元々ここの人間じゃねぇからよ。だから、帰らなくちゃなんねえんだ。」

 

「ですが…あまりにも…。」

 

急過ぎる。一護の顔を見てその言葉を飲み込んだ。

 

「悪いな。」

 

「いえ…。そんな顔をした人を止めることなんて出来ませんから…。もう決めたって、そんな顔をしてますよ?今の一護は。」

 

「あぁ。サンキュ。リュー。アイズも、あいつらによろしく頼むぜ。」

 

「…。また…帰ってきてくれる?」

 

「あぁ、いつになるか分からねぇけど。また今度、な?」

 

「うん…。わかった…。待ってるからね。」

 

アイズは無理に笑顔を作って一護に微笑んだ。

 

「おう!じゃあな2人とも。今度はなんか土産話でも持って帰ってくるからよ!狛村さんあとは頼んだ。」

 

「はい。絶対ですよ?」

 

「うん。約束。」

 

「承知した。」

 

一護はそのまま背を向けて走り出し、穿界門の中へと飛び込んでいった。すると穿界門は消え、その場にはなにも残らなかった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「そうか…。彼は帰ったのか…。やはり、お別れは無しか。彼らしいね。」

 

ロキ・ファミリアの面々はホームに集まって話していた。

 

「まぁ、前からそのような事は言っていたからな。咎めはしまい。」

 

リヴェリアの言葉に、ティオネとティオナとベートが反応する。

 

「でも、やっぱり最後の言葉くらいは欲しいわよ。」

 

「確かに。私もそう思うなー。」

 

「ま、あいつが居なくなってこっちは清々するがな。」

 

「まぁ、しゃーないやろ。それに、アイズの話によると、また帰ってくるんやろ?」

 

「うん、約束した。」

 

「ならへーきや。あいつは簡単に約束を破るような奴やない。そんなんみんな分かるやろ?」

 

「…それもそうね。」

 

「はい、たしかにそうですね。」

 

ロキの言葉に皆が頷く。

 

「よーし。ほな、一護が帰ってきた時、びっくりするくらいウチらも成長しよーやないの。」

 

「「「おう!」」」

 

こうして、ロキ・ファミリアは一護が帰ってくるその日までを目標に切磋琢磨していった。


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