黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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遅くなってすみません

受験生なので忙しくちょい忙しく中々時間が取れず、少し早めに起きて少しずつ書きました

ダンまち編は早めに終わらせられるよう頑張ります


第41話

ロキ・ファミリアの面々と狛村は集まり話し合っていた。

 

「ウルキオラ出てこないねー。」

 

「あぁ、だがそろそろ一ヶ月が経つ。いつ行動を起こしてもおかしくない。」

 

ティオナの言葉にフィンが答える。

 

「一護の野郎も結界ってやつの中から出てこねぇしな。」

 

「あぁ、余程強力な結界なのだろう。一護がどういう状態なのかすらわからん。」

 

「安心召されよ。黒崎一護ならば必ず成し遂げる。我々は黒崎一護が戻るまで自分の責務を果たし続ければ良い。」

 

「そうだね。狛村殿の言う通りだ。僕たちはウルキオラの好きにさせないようにしよう。」

 

「せやけど、いつ頃に起こるか不透明ってのも中々シンドイなー。」

 

すると、そんな中に突然誰かが入ってきた。

 

「すまない!ロキはいるか!?」

 

そこに入ってきたのはベル・クラネルの主神ヘスティアとタケミカヅチだった。

 

「ん?ドチビにタケか。いきなり入ってきていったい何の用や?」

 

「悪い。ただ頼みがあるんだ。」

 

「ん?まぁ、ええわゆーてみ?」

 

「実は俺の子供たちがダンジョンで怪我をしてな。逃げるときにヘスティアの子供たちに怪物贈呈をしてしまったんだ……。」

 

「頼む!ロキ!ベル君を助けてあげたいんだ!!頼む……。」

 

ヘスティアは普段のロキに対する態度ではでは考えられないほど低姿勢でお願いをする。

 

「あぁー!鬱陶しい!わかったから頭上げろドチビ!フィン。悪いけど頼むわ。」

 

「わかった。なるべく人員は多い方が良いな。誰か、腕の立つもので知り合いはいるか?」

 

「んー、居るんだけど、今はみんな下層に遠征に行ってるよ。」

 

「人海戦術は使えないか…。申し訳ないが、タケミカヅチ・ファミリアの方々にも御協力をお願いしたい。」

 

「あぁ、元はと言えば俺の子供たちがことの発端だ。俺から子供たちに言おう。」

 

「感謝します。事は一刻を争う。各々準備を整えて至急バベルの塔の前に集合しろ。ここにいないものにも連絡を回せ。」

 

「「「はい!!」」」

 

「狛村さんは念の為にここに残ってもらえますか?」

 

「承知した。」

 

その場にいたロキ・ファミリアの面々は、団長であるフィンの言葉に返事をして、準備に取り掛かった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「ねぇー、アイズ遅くない?」

 

ティオナの疑問を聞き、ロキ・ファミリアのティオネとレフィーヤは周りを見る。

 

「確かに遅いわね。あの子ならむしろ先に入ってるっていうのもありえそうだけど。」

 

「流石にそれは無いと思いますけど…。」

 

しばらくすると、バベルの前にはロキ・ファミリアとタケミカヅチ・ファミリアが集まり、フィンが皆の前に立ちその場を仕切る。

 

「それでは皆集まったようだな。これから作戦内容を話す。皆に連絡は回っていると思うが、僕たちの目的はベル・クラネル、リリルカ・アーデ、ヴェルフ・グロッソの救出だ。彼らは僕たちロキ・ファミリアの恩人、黒崎一護の友人でもある。彼のかつての恩に報いるためにも、必ず彼らを救出しよう!」

 

「「「はい!!」」

 

ロキ・ファミリアとそれを手伝うファミリアのメンバーは返事を返す。

 

「ではこれからのことについて話す。今回の救出対象であるベル・クラネルたち3人は恐らく18階層より下にはいない。聞いた話によると、10階層付近で怪物贈呈をされ、そこからの安否は不明だという。僕の予想では、彼らは恐らくダンジョンからの脱出を諦め、18階層の安全区域に入るはずだ。」

 

フィンの言葉にティオナが質問をする。

 

「何で下に行くってわかるのー?」

 

「僕は直接彼と会ったわけではないが、ウチのアイズや一護から彼らは優秀だと聞き及んでいる。その言葉を信じるなら、上に上がるという労力よりも、縦穴で下へ降るという方法の方が生存可能性があると気づくはずだ。幸いにもどこかのファミリアが階層主を既に倒していると聞いた。復活するまでにはまだ少し時間があるはずだ。それにーー」

 

フィンが皆に理由を説明している間にアイズと、フードを深くかぶった人が到着した。

 

「あ!アイズ!遅いわよ!!」

 

「ごめん。助っ人を呼んでたから。」

 

「その人は…?」

 

「私の知り合いの人。腕は確かだから心配しなくて良い。」

 

「ふーん、まぁ、アイズが言うなら心配ないか。」

 

ティオナ、アイズ、そしてフードを被った人の元へフィンが近寄った。

 

「それじゃあ早速行くとしよう。アイズとフードの君も準備はいいかな?」

 

「うん、平気。」

 

「…はい、大丈夫です。」

 

「では、行くとしようか。事は一刻を争う。」

 

こうしてフィンたちはダンジョンへと潜っていった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「やった!ゴライアス復活してる!」

 

ロキ・ファミリアとタケミカヅチ・ファミリアは速攻でモンスターを蹴散らしながら17階層まで行くと、そこにはゴライアスが立っていた。

 

「ふぅー…仕方ない。早く通り抜けたいからアイズ、ティオナ。2人に任せるよ。僕たちは奴を避けて18階層に向かう。」

 

「オッケー!任せて!」

 

「今の私なら1人でも倒せると思うけど…。」

 

「念の為さ。ダンジョンは何があるかわからないからね。それじゃあみんな行くぞ!」

 

フィンの言葉に皆が反応して走り出す。

 

「ハァ!!」

 

アイズはゴライアスのアキレス腱を斬り、ゴライアスを跪かせる。

 

「おりゃ!」

 

ティオナはゴライアスの後頭部を武器を振り下ろして地面に叩きつける。

 

「さぁ!ガンガン行こう!!」

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「ん?あれじゃないか?」

 

リヴェリアが指差した先に皆が目を向けると、白髪の少年と、フードを被った少女、そして、赤い髪の青年が芝生の上に倒れていた。

 

「リヴェリア、回復魔法を頼む。ティオネとレフィーヤは手当を頼む。」

 

「わかりました!!」

 

「わかった。」

 

「はい!」

 

フィンの指示によりリヴェリアが回復魔法を掛け、ティオネとレフィーヤは手当てを開始した。

 

「この青年と少女の状態は良くないな…。しばらく休ませなければ。」

 

「よし、それじゃあ向こうの方でテントを張って彼らを休ませよう。」

 

フィンの指示を聞き、皆が行動を起こした。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「はぁ…。無事で良かった。一護の悲しむ顔は見たくないですからね。」

 

フードを被った女は森の奥の湖に行き、フードを脱いで枝に引っ掛けた。フードの下は、鋭く青い綺麗な瞳に若緑色のふんわりとした髪を持つ豊饒の女主人で働くリュー・リオンだった

 

「それにしても、一護は一体どこに…?てっきりいると思ったのですが…。」

 

リューは水浴びをするために服を脱いだ。

 

「ここ一ヶ月ぐらい見ていないが、何かあったのか…?っ!!誰だ!?」

 

リューは視線を感じ、小石を視線を感じた方向に投擲した。

 

「っっっ!!!!ゴメンなサァーーーイ!!!」

 

その場に居たのは今回の救出対象であるベル・クラネルだった。ベルは残像が出来る速さで背を向けた。

 

「クラネルさん。なぜここに?」

 

「す、すみません!あの、ロキ・ファミリアの人たちに僕たちを助けに来てくれたフードの人が森に入っていったと聞いたので、お礼をしようと…。」

 

「なるほど。それでこの場に来てしまったと。理解した。貴方の謝罪を受け入れる。」

 

「ご、ごめんなさい…。」

 

「そう何度も謝罪をする必要はない。それよりも…っ!?」

 

ドゴオオオォォォン!!!!!

 

突然爆発音が鳴り響き、爆風が2人を襲う。

 

「!?な、なにが…?」

 

「どうやら急いで戻った方が良さそうですね。」

 

ベルはリューの視線の先を見ると、そこからは煙が立ち上がっていた。

 

「か、火事でしょうか?」

 

「いえ、恐らくはモンスターでしょう。」

 

「え!?でもここって安全なんじゃ…。」

 

「ここは今まで何度もモンスターによって壊滅させられており、その都度再建しているのです。それよりも急ぎましょう。おそらく事は一刻を争います。」

 

リューは服を着なおし、全速力で走り出すと、すぐに見えなくなり、ベルはその後を慌てて追い掛けて行った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「フィン!どうなってるの!?」

 

ティオナは、装備を整えて爆心地へ向かおうとするフィンを見つけて尋ねた。

 

「どうやらモンスターのようだね。すぐに皆で討伐を開始しよう。ティオナはアイズたちを呼んできてくれ。いや…アイズならもう既に向かっていてもおかしくはないか。取り敢えず出来る限り声をかけてまわってくれ。僕はおそらく混乱しているであろう現場の指揮をしてくる。」

 

フィンはそう言い残すと走り出し、ティオナも指示を全うするために走り出した。

 

フィンが爆心地に到着すると、そこには仮面を被り胸に穴の空いた大量のモンスターと冒険者たちが闘っていた。

 

「あれは……。もしかしてこれはウルキオラの仕業なのか…?くそ!あれを街に入れるわけにはいかない。皆!!聞いてくれ!あのモンスターの仮面を狙え!!それで弱体化を狙えるはずだ!!」

 

フィンの指示を聞いた冒険者たちは指示通りに仮面を割る。すると、途端にモンスターが苦しみだし、消滅していった。

 

「よっしゃあ!!魔石がねぇと思ったら仮面が弱点だったのか!!行くぞ野郎ども!冒険者の意地を見せるぞ!!」

 

1人の掛け声と共に皆が突進し、モンスターを蹴散らしていく。

 

「よし…。どうやら、余りこの虚は強くなかったらしいな。この調子なら殲滅に関しては問題なさそうだ。」

 

フィンはモンスター倒しながら戦況を分析する中、他のメンバーも続々と参戦し、モンスターが物凄い勢いで減って行く。すると、リヴェリアがフィンに気付きモンスターを倒しながら近寄ってくる。

 

「フィン。これはどういうことだ?」

 

「悪いけど僕にもわからない。多分、ウルキオラがダンジョンのモンスターを虚化させたんじゃないかな?一護の記憶の中の虚たちに比べると大分弱いけど、モンスターとしてはそこそこに強くなってる。けど、18階層まで来れる冒険者たちなら対応は出来るし、僕達もいるからね。モンスターに関しては心配要らないと思うよ。」

 

2人をモンスターを倒しながら余裕の表情で会話を続ける。

 

「モンスターに関しては、か…。」

 

「あぁ…。ウルキオラの実験体がいきなり襲ってきたんだ。近くにウルキオラがいると考えて間違いないだろう。」

 

「どうする?ここにいる者たちを見捨てるわけにもいかないだろう。」

 

「ウルキオラに関してはアイズが頼りだ。僕らの中じゃ彼女しかウルキオラと戦えないからね。」

 

「しかし、まだここに入ってからあまり時間が経っていない。幾らパワーアップしたといっても、アイズとティオナ2人じゃ階層主相手は時間が掛かるぞ。」

 

「あぁ。だけど、ウルキオラは研究が目的と言っていただろう?だから彼自身は動かないと踏んでいる。かと言って根拠はないし、油断も禁物だ。」

 

「成る程な。では、私はアイズとディオナの元に行き早めに二人を連れて来た方が良いか。」

 

「そうだね。頼むよ。」

 

ドゴオオオン!!!

 

リヴェリアが駆け出そうとした瞬間、天井が爆発する。

 

「く!次は何だ!?」

 

リヴェリアは足を止め上を見る。すると、そこから胸に穴が開き、仮面を被っているゴライアスが数体落下してくる。周りの冒険者たちはその光景に足を止めて呆然としてしまった。リヴェリアはすぐに我に戻り、フィンに声を掛ける。

 

「フィン!!」

 

「わかっている!!皆退け!!この階層を捨てるんだ!早くしろ!!」

 

フィンの言葉に他の冒険者たちも戦線を放棄して我先にと逃げ出した。

 

フィンとリヴェリアが走って退却していると、ベート、ティオネ、レフィーヤが合流した。

 

「団長!無事ですか!?」

 

「あぁ、大丈夫だ。そっちも平気かい?」

 

「は、はい。大丈夫です。」

 

「おい!フィン!どうなってんだよ!?」

 

「ウルキオラの仕業だろう。取り敢えず話は後だ。アイズとティオナ回収して撤退する!」

 

皆は出口に向かって走り出すが何故か出口の前に人だかりが出来ていて通れなかった。

 

「チッ!何やってんだ!?」

 

「いや、ベート。あそこを見るんだ」

 

ベートがフィンの方へ振り向くと、フィンは少し高い丘に立ち出口を指差す。ベートはフィンの隣まで駆け上がると、フィンの指差す方向を見る。

 

「っ!!崩落してやがる…。」

 

「クッ…。さっきの振動でやられていたか…。これはもうあいつらを倒すしかないな…。」

 

「アレを…ですか…。」

 

皆の目の先には三体のゴライアスが暴れていた。

 

「フィン。一体は俺に任せろ。」

 

ベートはその場から駆け出そうとするが、フィンがベートの腕を掴み、行動を中止させる。

 

「待つんだベート。普通のゴライアスですら僕たちでもあ数人は必要だ。一人で行くなんて無茶は団長として許すわけにはいかない。」

 

「じゃあどうすんだよ!?あいつらをどうしなきゃ全滅だぞ!!」

 

「焦らないでくれベート。一人の役は僕がやると言ってるんだ。」

 

「だ、団長!!?」

 

「フィン!何を考えている!?」

 

「き、危険です!」

 

ティオネ、リヴェリア、レフィーヤはフィンを止めようとするが、ファンが首を振りそれを突っぱねる。

 

「作戦はこれしかないか…。これから僕が一体を引き付けて時間を稼ぐ。取り敢えずヒット&アウェイを繰り返して注意を引き付けるから、その間に二体を倒してくれ。班分けはリヴェリアとティオネ、レフィーヤとベートだ。レフィーヤとリヴェリアはどデカイ魔法で相手を粉砕してくれ。頼んだぞ。」

 

「了解した。」

 

「任せて下さい!」

 

「あぁ。」

 

「はい!」

 

4人が駆け出そうとした瞬間に彼らに声が掛かる。

 

「待って下さい。」

 

その言葉に5人が振り返ると、そこにはフードを被った女性と今回の救出対象であったベル・クラネルがいた。

 

「私も手伝いましょう。」

 

「ぼ、僕も手伝います!」

 

「ふむ、助かるが、君はダメだ。」

 

フィンはベルを見ながらそう言った。

 

「ど、どうしてですか!?」

 

「簡単なことさ。アレ相手にはレベル2では対抗出来ない。ただそれだけさ。」

 

「っ…。」

 

フィンの言葉にベルは唇を噛み締めて俯いた。

 

「君は君の出来ることをするんだ。頼みたいことが1つある。」

 

「頼みたいこと…?」

 

「あぁ、君にはこの人だかりをどうにかしてほしい。大変だと思うけど、どうか頼む。」

 

「は、はい!わかりました!」

 

「よし!ありがとう。それと、フードの君はどれぐらい出来るのかい?」

 

「あのモンスターの足止め程度なら…。」

 

「十分だ。君は僕と一緒に足止め係だ。それじゃあ行こうかみんな!」

 

「「「はい!!」」」

 

こうして、皆は二人ずつにわかれてそれぞれの敵に向かっていった。


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