黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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ちょっと、話し方がよくわからないのでおかしいかも…




ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか編
第32話


亀裂に入り、一護は暗闇を進んでいく。

 

「真っ暗だな…。まるで黒腔の中みてぇだ。っ!!光だ。ってことは外か!!頼む!空座町にでてくれ!!」

 

一護は速度を上げ、光へと飛び込んでいく。眩しさに目を細めながら周りを見渡す。

 

「ハハ…。こりゃ絶対俺の世界じゃねぇな…。」

 

「黒崎一護か。」

 

一護はその声を聞いた瞬間に瞬歩で即刻距離を取り、斬月を構える。

 

「ウルキオラ……。」

 

そこには、かつて死んだはずのウルキオラの姿があった。

 

「なるほど、俺があの世界から消えて、存外に時間が経ったらしいな。」

 

「どうしてテメェがここにいる…。」

 

「さぁな…そんなことはどうでもいい。良かったな、黒崎一護。貴様が不満に思っていた決着。どうやらここで着ける事が出来そうだぞ?」

 

「そう言う割に刀は抜かねぇのか…?」

 

ウルキオラは先ほどからずっと両手をポケットに入れ、構える素振りすら見せなかった。

 

「俺には貴様と戦う理由など、とうの昔に無くなった。貴様が向かってくるのであれば排除するだけだ。俺は虚夜宮で死に、藍染様の命令を守れなかった。敗者である俺を藍染様はお許しにならないだろう。それに…。貴様がここにいるということは、そういうことなのだろう?」

 

「…あぁ、藍染は倒した。」

 

「ならば、貴様を相手にする理由などない。去れ。」

 

ウルキオラはそのまま背を向けて歩き出した。

 

「ま、待ってくれ!ウルキオラ!ここはどこなんだよ!?」

 

一護はウルキオラを追い掛け、ウルキオラは足を止めずに説明する。

 

「ここに来る人間どもはここをダンジョンと呼んでいる。ここにはモンスターが出現し、それを倒して回っている人間どもがいる。俺たちのいた世界の人間よりもかなりの力を持っていた。」

 

「この世界の人間も戦うってことか…。」

 

一護の言葉にウルキオラは足を止め、振り向く。

 

「…なるほど、貴様はどうやら別世界に渡るということは初めてではないらしいな。」

 

「あぁ、これで3度目だ。」

 

「何をしに来た?」

 

「別に目的があった訳じゃねぇよ。事故だ。」

 

「……。」

 

ウルキオラは返事を返さずに上を向く。

 

「どうしたんだよ?」

 

「この上で人間どもがモンスターと交戦しているようだ。」

 

「そういや、そのモンスターやこの世界の人はどれくらい強いんだ?」

 

「強いと言ってもあの世界に比べればの話。戦闘力はゴミだ。」

 

「相変わらずだな、テメェは…。」

 

ウルキオラは天井に指を向ける

 

 

虚閃

 

 

ウルキオラは虚閃を放ち天井に穴を開け、そこに向かって飛び上がった。

 

「お、おい!待てよ!」

 

一護もウルキオラを追うようにして飛び上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ!ミノタウロスの数が予定より多い!」

 

「団長!!一体が出口に向かって逃げ出しました!!」

 

「絶対にここから出すな!!アイズ!!追ってくれ!!」

 

「…(コクリ)」

 

団長と呼ばれる小さな男がアイズという金髪の女に指示を出す。アイズはその指示を聞き届け、逃げ出したミノタウロスの背を追う。すると突然、逃げ出したミノタウロスの足元から巨大な翠色の光線が出現し、ミノタウロスが飲み込まれて爆発し、煙が辺りを包む。

 

この場にいる皆の動きが止まり、人間側は、一時壁際まで撤退し、陣を組み、何が起きてもいいように構える。

煙が晴れると、そこには黒い着物を着たオレンジ色の髪をした男と、真逆の白い服を着た肌が真っ白で、頭に角のついた何かを着けた男がいた。

黒い着物をきた男が白い男に話しかける。

 

「なぁ、そこにいる牛みてぇなのは倒した方が良いのか?」

 

「俺に聞くな、勝手にしろ。」

 

「それじゃあ、行くぜ。」

 

黒い着物の男はデカイ剣を抜くと、ミノタウロスの元へと走り、物凄い勢いで斬り殺していく。

そして、あっという間に片付き、男はアイズ達の方へと向かっていく。

 

「お前ら大丈夫か?」

 

「あぁ、君たちは?」

 

「俺は黒崎一護だ。そんで、あっちの白いのがウルキオラ。」

 

「そうか、僕はロキ・ファミリア団長のフィン・ディムナだ。」

 

「私は副団長のリヴェリア・リヨス・アールヴだ。」

 

「私はこの子の双子の姉のティオネ・ヒリュテよ。」

 

「私は妹のティオナ・ヒリュテだよ!」

 

「レフィーヤ・ウィリディスです。」

 

「ガレス・ランドロックだ。」

 

「チッ、ベート・ローガだ。」

 

「…アイズ・ヴァレンシュタインです。」

 

皆の自己紹介が終わり、フィンが一護達に質問する。

 

「君たちはどこのファミリアなんだ?それほどの実力を持つ人なんて聞いたことがないけど。」

 

一護はウルキオラの方へ目線を向ける。

 

「知らん。貴様が答えろ。」

 

「クッ、いやぁ…。俺たちファミリアには入ってねぇんだ…。」

 

(ファミリアってなんだよ!?)

 

一護のその言葉にベートが反応する。

 

「はぁ!?ファミリアに入ってねぇだと!?ふざけんな!!俺たちの獲物を横取りしておいてふざけたこと抜かしてんじゃねぇぞ!!」

 

「いやぁ…。んなこと言われ「黙れゴミが。」お、おい!ウルキオラ!」

 

「…なんだと?今なんて言いやがった!!このやろう!!!」

 

「落ち着けベート!」

 

「うるせぇ!!引っ込んでろ!!」

 

ベートはリヴェリアの言葉を一蹴し、ウルキオラにガンを飛ばす。

 

「聞こえなかったのであればもう一度言おう。ゴミが。引っ込んでいろ。」

 

ウルキオラのその言葉にベートは怒り、ウルキオラの腹に向かって全力で拳を繰り出した。

 

ズドン!!!

 

ロキ・ファミリアの人々はやってしまった、という顔をしていた。しかし、

 

「所詮この程度か。」

 

ウルキオラは防御の姿勢も取らずに腹部に攻撃を受けたが、まるでダメージが通っていなかった。

 

「な…なんだと……。」

 

ウルキオラはベートに向かってデコピンをすると、ベートは壁に突っ込み、気を失った。

 

「「「ベート!!」」」

 

ロキ・ファミリアがベートの元へ駆け寄る。

 

「ダメだ、完全に伸びている。」

 

フィンがそう判断して、それを皆に伝えると、皆は驚愕の顔をした。

 

「え、だってベートはLevel5だよ?なのにどうして…。」

 

「待ちなさい、スキルの可能性だってあるでしょう?」

 

「ですが、あの人たちはファミリアには入ってないって…。」

 

「ファミリアには入ってなくとも、恩恵を受けておるかもしれん。」

 

ロキ・ファミリアの皆は口々に予測を口にする。一護は慌ててロキ・ファミリアに謝る。

 

「わ、悪い!こいつはちょっと気難しくてよ。ハハハハ…。」

 

(なんで俺がウルキオラのフォローをしなくちゃなんねぇんだ!!)

 

するとフィンが一護に近寄り返事をする。

 

「いや、構わないよ。ベートの態度も悪かったからね。おあいこということでどうかな?」

 

「あぁ、そうしてくれると助かる。」

 

「それと、1つだけ聞きたいんだけど…。君たちは冒険者かい?」

 

「いや、違う。」

 

「そうか…。僕たちのホームで君たちに話を聞きたいんだけど…どうかな?」

 

「あぁ、構わねぇ。ウルキオラ。いいよな?」

 

「勝手にしろ。」

 

そして、一護が責任を持ち、ベートを担いで皆でダンジョンを抜けると方針を決めたとき、ウルキオラがフィンに話しかける。

 

「おい。」

 

「なんだい?」

 

「先ほどのミノタウロスとやらだが、一匹逃げ出して上に向かっている。今は6層あたりか…。」

 

「「「っ!!!」」」

 

「なんだって!!?」

 

「おい!ウルキオラ!なんで早く言わなかったんだよ!」

 

「貴様こそ、なぜ気付かない?」

 

「今の状態でも集中しなきゃ感じられねぇんだよ!あぁくそ!俺が倒しに行く!」

 

一護はベートをガレスに託す。するとアイズも声を上げる。

 

「私も行く。」

 

「アイズ…わかった。2人とも頼んだぞ。」

 

一護とアイズは2人で駆けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの…。」

 

「ん?なんだよ?」

 

アイズは一護に走りながら声をかける。

 

「…恩恵もらってないんですか??」

 

「悪いが、多分もらってねぇぜ。」

 

「そう…。」

 

それっきりアイズは黙りスピードを上げた。

 

(なんなんだ?)

 

一護もアイズについて行くようにしてあとを追った。しばらく走ると、ミノタウロスが白髪の少年を壁際に追い詰め、腕を大きく振りかぶっていた。

 

「やべぇ!」

 

「っ!!」

 

一護とアイズはそれぞれ獲物を構え、一護はミノタウロスの攻撃しようとした腕を切り落とし、その後にアイズがミノタウロスの首を掻っ切った。ミノタウロスから血が吹き出て、白髪の少年の全身を血で汚した。アイズは少年の側に寄り、声をかける。

 

「あの…大丈夫ですか…?」

 

「え、え、あ…うわああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

少年は叫び声をあげて走り去って行った。

 

「…お前って怖がられてんのか?」

 

「うるさい。」

 

一護とアイズはフィンたちの元へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一護とウルキオラはロキ・ファミリアのホームにいた。

 

「へぇ、キミらがフィンの言うとった一護にウルキオラか。2人とも中々ええ男やないか。」

 

一護とウルキオラの前にはフィンたちの主神であるロキが2人を品定めするように見ており、その周りにはロキ・ファミリアの団長と副団長。そしてアイズがいた。すると横からフィンが口を挟む。

 

「君たちはファミリアには属していないと言ったね。」

 

「あぁ。」

 

「なら証拠を見せて欲しい。君達が恩恵を受けていないとはあまり信じられない。」

 

リヴェリアとアイズは頷く。

 

「証拠って言われてもなぁ…。どうすりゃいいんだよ?」

 

「簡単さ、背中を調べさせてほしい。」

 

「背中?何でだよ。」

 

「恩恵を受けた者は背中にステータスが書かれていてね。冒険者であれば、背中を探らせるということはないからだ。」

 

「俺は構わねぇけどよ……。」

 

「断る。」

 

「それは何故?」

 

「メリットがない。俺がそれをして何になる?」

 

「……。そうだね、僕は君たちにロキ・ファミリアに入って欲しいと思ってる。だけど恩恵を受けているのであればこのファミリアに入れない。」

 

「そうか…。理解した。」

 

「わかってくれたか。」

 

「…だが、俺と黒崎一護が共に入ることなどあり得ない。それに、お前たちが俺と肩を並べるなどありえん。」

 

ウルキオラはそう言い外へ出て行き、フィンはポツリと呟いた。

 

「残念だな…。」

 

「仕方ねぇさ。あいつは前からあんな感じだ。」

 

一護の言葉にアイズが質問する。

 

「ねぇ、君とあの人って…仲良いの?」

 

一護はその質問を聞き、一瞬だけ唖然とし、苦笑いしながら答える。

 

「いや、あいつと全然仲良くねぇよ。」

 

「…そうなの?」

 

「あぁ、前まで殺しあってた仲だからな。」

 

一護の言葉に四人が驚き、リヴェリアが質問をする。

 

「では何故君たちは共にいたんだ?」

 

「あれは偶々会っただけだ。別にずっと行動してたわけじゃねぇし、これからするとも思えねぇ。俺はともかく、ウルキオラは意味のねぇことはしないタイプだからな。」

 

「そうだったのか…。」

 

「あぁ、それより背中は見なくていいのか?」

 

「そうだった。すまないが調べさせてくれ。」

 

一護は着物を上だけ脱ぎ、ロキやリヴェリアに背を向ける。

 

「んー、確かに恩恵は受けてへんみたいやね。」

 

「あぁ、なのにアレか…。君は一体何者なんだ?」

 

「何者って言われてもよ。別に特にないぜ。」

 

「ふむ、ならどうかな?君はロキ・ファミリアに入らないか?」

 

フィンは一護を誘う。

 

「んー、正直俺もあまり入りてぇとは思ってねぇんだけどな。」

 

「君はどうしてだい?」

 

「俺はここに長くいるわけじゃねぇしな。それより恩恵の説明をしてくれねぇか?」

 

「恩恵を知らない…?君はいったいどこから来たんだ?」

 

「あぁー…。ずっと東の方だ。」

 

「極東の地域から来たのか?」

 

「そ、そうそう。俺のところ田舎でよ。家族以外住んでねぇんだ。」

 

「そうだったのか。」

 

「別にその内ここを出て行くんでも構わへんよ。他のファミリアに行かへんかったらな。」

 

「本当か?」

 

「あぁ、ウチはそんな下らん嘘はつかへん。」

 

「わかった。なら一応説明してくれ。それから決めたい。」

 

「わかった。では説明しよう。僕たちが所属しているのは、神ロキから恩恵を貰ったロキの眷属の集まり、ロキ・ファミリア。ファミリアにはそれぞれ異なる職種があるんだ。一番多いのはもちろん冒険者。他にも商業系統や医療系統とか様々なものがあるが、僕たちのファミリアは冒険者だ。僕たちはダンジョンへ潜り、下層を目指していく。ダンジョンにはモンスターが蔓延っていて、僕たちには到底倒せない。そこで神から恩恵を授かる。僕たちの神はここにいるロキ。」

 

「な"!!神様だったのか!?」

 

「そやでー。ほら、敬えや!」

 

「悪ふざけが過ぎるぞ。ロキ。」

 

「ええやん、ここの皆うちの扱い雑やもん!」

 

「それでだ。」

 

フィンがロキを無視して説明を続ける。フィンの後ろでロキが、無視かい! と叫んでいたがそれもスルーされる。

 

「恩恵とは簡単に言えばモンスターを倒すことのできる力。だが、初めから強いわけではない。いわば種を授かるんだ。それを僕たちは鍛錬をし、モンスターと戦い、花を咲かせる。」

 

「なるほどな、わかった。ただ、抜けるときは突然消える形になるかもしれねえ。それでも良いなら入るぜ。」

 

「うん、了解した。本当なら別れの挨拶くらいはしたいのが本音だけどね。それじゃあロキ。彼に恩恵を。」

 

「はいよ、分かったで。ほな一護。ついてきーや。」

 

ロキに案内され、一護は部屋へと入っていった。


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