一護はレオとエリカと一緒に待機をしていた。
「おい、一護。お前今までどこにいたんだよ?」
「ん?あぁ、裏門から来た敵を倒してた。」
「え!?裏門に敵いたの?」
「まぁな、それなりにはいたな。」
「達也が裏門に行く必要はないって言って回ってたから、てっきり来てないのかと思ったぜ。」
「んな!!あいつ…。通りで応援が来ないはずだ。お陰で一人で夕方まで戦い続ける羽目になったぞ。」
「「え!!?」」
「お、な、なんだよ?」
「お前今まで一人でずっと戦ってたのかよ?」
「あぁ、そうだけど。」
「もしかして…一護くんって相当強い…?」
「普通だろ?達也と同じくれぇだよ。」
「「え!!!?」」
「それって相当じゃねぇか!」
「それにその背中の大剣。そういえば一護くんってなにかやってるの?」
「別に何もやってねぇよ。」
「それでそんな特殊な形の剣を使うの?」
「あぁ、力任せに振るうだけだ。」
「へぇ、一護も俺と同じタイプなのか。」
「まぁ、そんなところだ。」
「それにしても来ないわねぇー…。」
「達也と会頭が討ち漏らすなんて思えねぇけどな。」
「順調に進んでるみたいだな。」
「わかるのか?一護。」
「あ、あぁ。」
(なんで霊圧を感じることができてんだ?俺は霊圧知覚は苦手なはずじゃ…。)
「どうしたの?一護くん。」
「いや、なんでもねぇ。」
「それより、そろそろ出てくるみてぇだ。」
一護がそう言うと達也たちが中から出てきた。
「待たせたな。」
「討ち漏らしがなくて退屈だったわ。」
「悪かったな。十文字会頭。俺たちはこれで。」
「分かった。事後処理は任せておけ。」
一護たちは学校へ戻り七草に報告しに行った。
「…………で解決しました。」
「はい、ご苦労さま。」
「それにしても黒崎はいつの間に司波たちと行ったんだ?」
摩利が疑問を挟む。
「たまたま拾ってもらったんすよ。」
「そうか…。司波が連れて行ったということは、お前もそれなりにやるようだな。」
「えぇ、コイツの体術は相当なものですよ。」
「おい!達也。」
「それは本当!?どのぐらいすごいのかしら?」
「体術のみの戦績は俺と五分五分だ。」
「「「えぇ!!!」」」
「それは本当なの!?」
「聞いてないぞ!?」
真由美と摩利が一護に突っかかる。
(クソ!達也の野郎…。あんまりその内消える奴が目立つのはマズイとは思ってるんだけどな…。)
「今日の襲撃で、裏門を一人で守りきっていいたからな。」
(達也ぁ!!!)
「なんて奴だ……。」
「それで怪我はないの?」
「特にはないけどよ。」
「すごいのね…。」
「生徒会長に言われてもな。」
一護は苦笑しながらそう言いそそくさと退室してった。
「深夜さんの言う通り。ブランシュが攻めてきた。」
「そう、それで?なにか問題はあったかしら?」
「いや、何も問題なし。」
「そう、それじゃあ、あなたはしばらく深雪さんと達也と暮らしなさい。」
「え!?どういうことだよ。」
「どうもこうもこれから穂波さんと世界一周の旅行に出るから。」
「え”!?」
「そういうことだから。来週には出るからそれまでに荷物をまとめておきなさい。」
「マジかよ…。」
「マジです。」
一護はそのまま自室へ行き、荷物を少しずつまとめ始めた。
一護が登校していると後ろから声がかかった。
「一護くん。おはよう。」
「ん?あぁ、七草さんか。オス。」
「一護くんさ、九校戦に出る気ない?」
「九校戦っすか…。」
(確か、一高から九高までの高校が魔法競技で争うってやつか…。)
「うん!きっと一護くんなら好成績を取れると思うのだけれど。」
「別にそれは構わないっすけど。」
「本当!?」
こうして一護は九校戦に選ばれることになった。
一護と達也は廊下を歩いていた。
「一護。お前九校戦に出ることになったんだな。」
「まぁな、達也は出ないのか?」
「二科生からは選ばれないだろうな。」
「ケッ、詰まんねぇな。」
「深雪は行くことになるはずだ。俺もついて行くがお前も面倒を見てやってくれ。」
「あぁ、分かった。達也は昼はどこで食うんだ?」
「生徒会室で食うつもりだが。お前も来るか?」
「まさか。俺はこのまま食堂で食う。」
「あら、生徒会室に来てくれないの?」
「っ!七草さん。」
「一護くんも一緒に話しましょうよ。」
「え、でも、俺、弁当じゃなくて…。」
「安心して。生徒会室からでも頼めるから。」
「…そっすか。」
こうして一護も生徒会室で昼食をとることとなった。
「あら?一護さん!一護さんもこちらで?」
「よ、深雪。七草さんに捕まってな。」
「あー!それ酷いなぁ!」
「それよりも会長。紹介していただけますか?」
「うん、紹介するね、鈴ちゃん。こちら黒崎一護くん。一護くん、こっちは市原鈴音。通称鈴ちゃん!それでそっちの子が中条あずさ。通称あーちゃん。」
「市原鈴音です。噂は聞き及んでおります。」
「中条あずさです。」
「黒崎一護だ。」
「紹介も終わったことだし、早速お昼にしましょう。」
皆が席へ着き、達也が七草に質問する。
「七草先輩。一護は何の競技に出るのですか?」
「そうねぇ…。運動神経が良いなら、モノリスコードやクラウドボールはどうかしら?」
「確かにそれならどうにかなりそうですね。どうだ?一護。」
「まぁ、なんでも構わねぇけどよ。」
「でも、問題は技術者なのよねぇ…。ねぇ鈴ちゃん。やってくれない?」
「お断りします。私程度では足を引っ張るだけかと。」
「それなら達也にやらせればいいんじゃないか?」
「おい、一護。」
「それよ!!盲点だったわ!」
「確かに、深雪さんのCADの調節は司波くんがやっていると聞いていますし、適任かもしれませんね。」.
「流石です!お兄様!」
「はぁ…。俺もか…。」
達也は深く溜息をついた。
「それじゃあ一護くん。行って来くるわ。」
「あぁ、元気でな。」
「奥様それでは行きましょう。またね一護くん。」
「そうね。」
こうして穂波と深夜は海外へと旅行へ行った。
「これで引越しは今日か…。」
一護は達也と深雪の家へと向かった。
「悪いな。」
「気にしないで下さい。お母様の旅行の話も急でしたので。」
「お前の部屋は前に泊まった場所だ。荷物はそこに運んである。」
「おう、悪いな。」
一護は自室へと入りベッドに横たわる。
(なんだ…この感覚…。苦手だったはずの霊圧知覚。それに魔法なんてものは俺にあまり適性があるとは思えねぇ…。なのになんでだ…。やっぱり崩石の力のお陰か?だとしたら藍染みたいなるのか……。いや、それはないか。周囲の心を取り込み具現化する…。下手にこの世界の奴らに近付くと何か起こりそうだと思って距離を取ってたが…。結局仲良くなっちまってるしな。)
コン コン
「深雪か。」
「よくわかりましたね。夕食が出来たので、呼びに参りました。」
「おう、サンキュー。」
(考えるのは後にするか…。俺は浦原さんじゃねぇから分かってもどうしようもねぇしな。)
こうして一護は問題を頭の隅に追いやり一日を終えた。
コン コン
「一護さん起きていらっしゃいますか?」
「深雪か、どうした?」
「今日深雪とお兄様は生徒会の仕事で早く行かなければならないので、先に出ます。食事は台所に置いてありますので、それをお食べください。」
「あぁ、わかった。サンキューな。」
「九校戦バスの出発時刻は9時ですので遅れないで下さいね。」
「おう、わかった。」
2人はそのまま家を出て行き、一護は朝食を食べ始める。
「っ!?この霊圧は浦原さん!?」
一護は浦原の霊圧を感知し、直ぐに完現術で向かう。
「浦原さん!!」
「お、黒崎さんじゃないッスか。一週間振りッスねぇ。ちゃんと説明聞いてから触らないとダメじゃないッスか。もしアタシの目の前で消えたんじゃなかったら、おそらく2度と戻れませんでしたよ?あれ?黒崎さん縮みました?」
「一週間ってどういう事だよ…。俺はここにもう2年半もいんだぞ…。」
「なるほど……。時間の流れが異なってるみたいですね…。それに貴方のその姿は高校一年生の時ですね…。」
「まぁ、そんなのは後でいい。取り敢えず戻れるようになったんだな。」
「いえ、戻れませんよ?」
「な……どういうことだ…。」
「簡単な話です。貴方は崩石の力によってここに来ました。しかし私は穿界門を無理やりここに繋げたんス。帰るには、自分の道を通って帰らなければなりません。」
「なん…だと…。それじゃあ…俺は一体どうやって!!」
「言ったでしょう。崩石の力でここに来たのなら崩石の力で帰ればいい。千冬さん達の世界では偽物の涅隊長が繋げた歪みを通っていただけなので何度でも往復できましたが、今は黒崎さんが自分で道を探してください。」
「くそ…。」
「それと…。気を付けてくださいね。」
「…なにがだよ……。」
「その崩石は結局のところ崩玉と大差はありません。貴方の心が乱れれば、虚を呼ぶかもしれません。」
「そんな!!だってここは違う世界のはずだろ!虚なんているわけがねぇ!!俺だってこっちに来てから見てねぇんだぞ!!」
「なら、どうやって黒崎さんは千冬さんの世界に行ったんですか?」
「っ!!」
「そういうことッス。崩石は、心を取り込み願いを叶える…。貴方の心が乱れれば全てが乱れます。」
「わかった…。代行証は持ってきてないか?」
「代行証ッスか?それはてっきり黒崎さんが持ってるとばかり思ってましたが。」
「いや、こっちにはねぇはずだけどよ…。」
「んー、おかしいッスねぇ、まぁ、一応こちらでも探してみます。それでは黒崎さん。髪の毛一本ほど頂けますか?」
「なんでだよ!?」
「いやぁ、アタシも涅さんを見習って監視ようの菌を付けておいたんす。」
「何勝手につけてんだよ!!ったく、ほらよ」
「ありがとうございます。最後に1つ。崩石をあまり多用しない方が良いッスよ。それは使えば使うほど暴走しやすくなるものだ…。扱いには気をつけてください。それではまた来ます。」
浦原はそう言い穿界門を開き帰って行った。
「くそ、まだ帰れないのか…。崩石を使うって言われてもな…。霊圧を注ぐだけじゃ駄目なのか…?だけど、代行証がねぇ以上、暴走して強え虚が出たらどうしようもねぇ…。結局打つ手なしか…。って時間!!もうあと8分かよ!」
一護は完現術を前回で使い、移動する。
「間に合った…。」
「一護。深雪に態々遅刻しないように言われたにも関わらず、遅刻ギリギリとはな。」
「悪かったって。」
「それは深雪に言った方が良いぞ。」
「あ、あぁ。」
そして一護はバスの中へ入る。
「一護さん。」
「は、はい。」
「私は時間を伝え忘れたのでしょうか?」
「い、いえ、しっかりと仰っておりましたでございます。」
「ま、まぁ、深雪もそのくらいで…。」.
「うん、黒崎くんもそんな汗だくで、きっと相当走ってきたんだよ。」
無論その汗は冷や汗である。
「そうですね…。申し訳ありません。一護さんは時間通りに来ておりましたのに。」
「いや、大丈夫だって。」
一護はフォローしてくれた雫とほのかにサムズアップをする。
「はい、一護さん。タオルを使ってください。」
「それにしても深雪と黒崎くんは仲が良いんだね。」
「そういえばそうかも。いつから知り合ったの?」
「中学校が同じだったんだよ。」
「今は一緒に住んでますよ。」
「「「「「「なぁ!!!!!!」」」」」
バス中から驚きの声が上がる。
「み、深雪…。そ、そ、それは本当!?」
「どうしたの?ほのか。いきなり。」
「いや、驚いた。まさか黒崎くんと深雪が親公認の仲だなんて…。」
「いや、誤解だ北山!」
「何がですか?」
「いえ、なんでも……。」
「もちろんお兄様もいますから。」
「え!?達也さん公認!!?」
「だから違うっつの!!」
「みんな、待たせてごめんなさい。」
そこに七草が1時間半遅れでやってきた。
「あれ?みんなどうしてそんなに騒いでいるの?」
渡辺が七草に耳打ちをする。
「真由美、実は………ということなんだ。」
「えぇー!!!!結婚するの!!?」
「話を盛りすぎだぁ!!!」
出発時刻が更に30分遅れた。
「ったく。深雪、勘弁してくれよ。」
「あら、私と噂になるのは嫌ですか?」
「そういうわけじゃなくてだな…。はぁ、口じゃ勝てる気しねぇわ。」
「黒崎くん、むしろ役得だと思う。」
「そうだよ!深雪と噂になるなんて男子なら血涙を流して喜ぶよ!」
「ほのか…。それって喜んでるのかしら…?」
キキィィィィーー!!!
「「「っ!?」」」
バスが突然急ブレーキをする。外を見ると反対車線の車が突然スピンし、こちらへ突っ込んできていた。
「まずい!このままじゃぶつかる!」
「ふっ飛べ!」
「消えろ!」
「止まって!」
「ばか!やめろ!!魔法をキャンセルするんだ!!チッ!十文字!やれるか!?」
「車は止められるが消火は無理だ。サイオンの嵐が酷すぎる。」
「一護さん!想圧で…。」
「いや、全部任せろ。」
一護は窓を開けそこに足をかけて外へ飛び出そうとするが、渡辺と七草が一護を止めようとする。
「待て!黒崎!!危険だぞ!」
「黒崎くん!無茶はしないで!!」
「大丈夫だ。信じろ。」
そう言って、一護はバスから斬月を持って飛び出し、バスの前へと立ち塞がる。そしてCADの斬月を盾のように構える。
(完現術を最大限活用すれば余裕だ。ただ、火は少し火傷するな。)
そして車は一護へぶつかった。
「ハアアアァァ!!!」
一護は車を受け止め10メートルほど押し込まれるがなんとか無事に車を止めた。
「両腕が少し火傷したな。まぁ、こんなもん大したことねぇか。」
一護はバスへと戻った。
「一護さん!!大丈夫ですか!!」
「黒崎!馬鹿野郎!危ないだろ!」
「黒崎くん!怪我はない!?」
「い、いや、大丈夫っすよ。」
「大丈夫って、両手火傷してるじゃない!!」
「一護さん…。」
「黒崎、あまり無茶はするな」
「3人共落ち着け。黒崎は勝算があってやったことだ。」
「十文字くん…。」
「黒崎。よく車を止めた。だが怪我をするのはいただけんな。やるなら怪我をするな。お前はこの九校戦の選手だ。それを忘れるな。」
「あぁ、悪かったよ。」
そして、皆が席へ着いて、再びバスが発車した。
「一護さん、冷却魔法で冷やしますので手を出してください。」
「ん?あぁ。」
「く、黒崎くん…。痛くないの?」
「まぁ、痛みはあるけど別に大したことねぇよ。」
「全然そう見えない。」
「まぁ、こういうのは慣れてっからな。」
「慣れてる…?どういうことですか?」
「い、いや、何でもねぇ。それより頼むわ。」
「?はい。」
一護の言葉に疑問を持った深雪、ほのか、雫だが、深く考えず、そのままバスに揺られて目的地へと向かっていった。