黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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第24話

「というわけだ。だからこれから一緒に生徒会室へ行くぞ。」

 

「何が!というわけだ。だ!!!ざっけんな!!何勝手に俺のこと売ってんだよ!!」

 

「仕方ないだろう。俺に風紀委員は務まらない。一科生で、想圧が自由に使えるお前になら務まるだろう。」

 

「テメェ!どの口が言ってんだ!お前なんざ魔法使わなくても余裕だろうが!!」

 

「まぁまぁ、一護さん。落ち着いてください。」

 

そうこうしているうちに一護、達也、深雪は生徒会室へとたどり着く。

 

「ようこそ。生徒会室へ!一護くん。」

 

「君が黒崎一護か。」

 

「アンタは?」

 

「これは失礼。生徒会副会長の服部刑部だ。よろしく頼む。」

 

「あぁ、よろしく。」

 

「司波深雪さんだね?君もよろしく。」

 

達也だけをスルーして服部は元の立ち位置へ戻る。

 

「よく来てくれた。達也くん、一護くん。さぁ、付いて来てくれ。ここから風紀委員会の教室は直通なんだ。便利だろ?」

 

「待ってください!」

 

「どうした?服部生徒会副会長。」

 

「一科生である黒崎一護くんはまだしも。二科生である彼には荷が重すぎます。」

 

「彼は魔法式を読み取ることができる。彼の才能はまさに風紀委員の為にある。」

 

「ウィードを風紀委員に入れるなんて未だかつてありません!」

 

「ほう、風紀委員長の私の前でそれを使うとはな。」

 

「取り繕っても仕方がないでしょう。」

 

「待ってください!」

 

「「深雪!?」」

 

「兄の成績は芳しくありませんが、それは評価方法が兄に合っていないだけで、実戦では兄は誰にも負けません!」

 

「司波さん。魔法師は常に冷静でいなければなりません。身内贔屓で目を曇らせてはいけない。」

 

「なっ!!」

 

「服部副会長。」

 

達也が深雪の前にでて、服部に声をかける。

 

「なんだ?」

 

「俺と模擬戦をしませんか?」

 

「なんだと!?思い上がるなよ!!補欠の分際で!!」

 

「フッ。」

 

「何がおかしい!!」

 

「いえ、自分で仰ってたではありませんか。魔法師は常に冷静でいなければならないと。」

 

「っ!!いいだろう…。身の程を弁えることの大事さを教えてやろう。」

 

「妹の目が曇っていないことを証明しましょう。」

 

「ったく。あいつあんなに好戦的だったか?」

 

こうして皆は場所を移動した。

達也と服部は向かい合って立つ。そして。

 

「それでは……始め!!」

 

と始まり、一瞬で終わった。

 

「「「「なっ!」」」」

 

生徒会の3人と風紀委員長は驚き、一護は無反応。深雪は誇らしげにしている。

 

「少し待て、あらかじめ自己加速術式を展開していたのか?」

 

「いえ、これは正真正銘、身体的な能力です。」

 

「お兄様は、九重八雲先生の弟子なんです。」

 

「なるほど、そういうことか…。」

 

摩利は一護の元へと近づく。

 

「一護くん。君はどうだい?模擬戦してみないか?」

 

「いや、俺はやめとくよ。」

 

「そうか、それは残念だ。あの時の魔法を打ち消したやつが見てみたかったのだが…。」

 

「またの機会ってことで。」

 

「よし、あちらは話がついたようだ。では、行こうか。」

 

達也と一護は摩利についていった。

 

「少し散らかっているが気にせず座ってくれ。」

 

「少し…ですか…。」

 

「だいぶ、の間違いじゃねぇか?」

 

「そ、そうか?いや、別にいつもこういうわけじゃ…。今日はたまたま……。」

 

「すみません。片付けさせてもらいます。一護。手伝ってくれ。」

 

「へいへい。」

 

こうして3人は教室を片付け、一息つく。

 

「それで、君たち2人のうちどちらがなってくれるのかな?」

 

「「こっち。」」

 

互いに指を差し合う二人。

 

「…はぁ、どっちだ。」

 

「お前が頼まれたんだろ!さっき一科生の実力者に勝ったんだから実力うんぬんの話はついただろうが!」

 

「クッ、だが一護。お前の能力は風紀委員に合っている。お前がなった方が怪我人が出ずに解決するぞ。」

 

「ならジャンケンで決めたらどうだ?公平だろ?」

 

「わかりました。」

 

「よし。やってやる」

 

「「ジャンケンっ」」

 

(エイドスに接続、一護の右手の形の情報を逐次読み取り続ける!)

 

(間違いねぇ、あの眼を使うはずだなら俺は右手を敢えて晒して、左手で…決める!!)

 

「「ポン!」」

 

「なん…だと……。」

 

「俺の勝ちだ…達也!!」

 

「お前らそんなに嫌なのか。」

 

一護はジャンケンに勝ち、意気揚々と教室を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は新歓か…。部活はどうすっかなぁ…。剣術部か剣道部か…。どっちかに入ってみてぇもんだな。」

 

一護の視線の先には誰かが揉みくちゃにされていた。

 

「エリカか。何やってんだ?」

 

一護は完現術でエリカを救い出し、物陰に隠れる。

 

「何やってんだよ。」

 

「一護くん!助かったわ。これから剣道部を見ようと思って歩いてたら何だか捕まっちゃって…。こっちに向かってるってことは、一護くんも剣道部か剣術部見にいくの?」

 

「あぁ、両方見にいこうと思ってな。」

 

「なら一緒に行こうよ!」

 

「あぁ。」

 

こうして2人は剣道場へと向かった。

 

「どうした?つまんなそうだな。」

 

「そりゃそうよ、魅せるための剣道なんてつまらないしさぁ。…ん?何かトラブルかな?」

 

急に剣道部のところに剣術部が乱入していった。

 

「そうみたいだな。達也も待機してるみてぇだ。」

 

「あ、ホントだ。にしても、盛り上がってきたわね。」

 

すると、剣術部の男子生徒が魔法を使って剣道部の女子へと斬りかかった。すると達也が間に入り、腕をクロスさせる、すると男子生徒の魔法が消され、達也は直ぐにその男子生徒を鎮圧させた。

 

「今達也くん何したの!?」

 

すると、剣術部の皆が逆上し、一斉に魔法を使おうとする。一護はそれをみて、想圧で全ての魔法式を押し潰して無効化する。達也はこちらを一瞥してから剣術部を制圧した。

 

「一護くんのそれ…。ホントに反則よね。」

 

「まぁ、確かにそうかもしんねぇな。」

 

「かもしんねぇ。じゃなくて、絶対そうよ!それに達也くん…。剣術部の攻撃を全てを見切っていなして躱して…。凄い…。誰も止められてない。」

 

「まぁ、達也だしな。」

 

「一護くんはどこか部活に入ったりしないの?」

 

「剣術部か剣道部のどちらかだな。本当は剣術部が良かったんだけど、さっきの男みてぇのがいるんじゃな。剣道部にすっかな。」

 

「でも、あの男も結構な実力者よ。一昨年の関東剣術大会中等部優勝者。桐原武明」

 

「マジかよ、スゲェな。」

 

「それで、さっきの女の人が一昨年の全国剣道大会中等部準優勝者。壬生紗耶香。」

 

「全国!?スゲェじゃねぇか!」

 

「そう、一昨年の試合を見たけど、まるで違う。たった2年でここまで成長してるだなんて…。」

 

「そういや、エリカは随分詳しいんだな。」

 

「そりゃまぁ、一応実家が剣術の道場開いてるからね。」

 

「そりゃ詳しいわけだ。」

 

「まぁ、そろそろ退散しましょうか。」

 

「そうだな。」

 

2人はそう言い戻っていき、そのまま一護は帰宅した。

 

「ただいま。」

 

「あら、戻ったのね。」

 

一護がリビングに入ると深夜が座って端末を見ていた。

 

「どうしたんすか?深夜さん。」

 

「達也から反魔法国際政治団体のブランシュについての情報が送られてきたわ。」

 

「それは?」

 

「名前のままよ、と言っても裏でやってることはテロ組織と大差ないわ。目障りね。深雪さんと達也のために見つけ次第消しなさい。」

 

「消すって俺にそんなこと頼むなよ。」

 

(数年前まであれだけ仲悪かったのに、今じゃ親バカかよ…。)

 

「あら、何か言いたげね。」

 

「とんでもないです。」

 

「それで達也からきた情報によれば、学校でブランシュの下部組織、エガリテに加入している生徒を見かけたそうよ。腕に青白赤の模様の腕輪を付けているそうよ。」

 

「魔法科高校に反魔法組織のメンバーか。」

 

「魔法が使えるだけの子だっているでしょう?」

 

「妬みか…。」

 

「まぁ、どうにかしなさい。」

 

「最初の頃に比べて厳しくないっすか?」

 

「気のせいよ。とにかく、学校で問題が起きたら達也の指示に従いなさい。」

 

「わかった。」

 

一護は部屋に戻り、一日を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔法の授業はともかく、普通の教科はやる気が起きねぇな…。俺これ三回目だぞ…。」

 

今日最後の授業を終え、一護は小腹を満たしに行く為に食堂へ向かう

 

『全校生徒の皆さん!私たちは………』

 

「なんだ?まぁ、とっとと帰るか。ん、達也からメールか…。見るのやめとくか。」

 

一護は放送に耳を傾けずにそのまま帰宅した。

 

「おかえりなさい。」

 

「お帰り一護くん。」

 

「穂波さん!来てたのか。」

 

「うん、よく遊びに来てたんだけど知らなかったの?」

 

「いやぁ、だって…。」

 

「そういえば言ってなかったわね。」

 

「そういうこと多くねぇっすか?」

 

「気のせいよ。」

 

「そうっすか…。」

 

「まぁ、良いわ。それと深雪さんからメールが来てたわよ。」

 

「なんて言ってたんだ?」

 

「あなた、達也のメール無視したらしいわね。」

 

「ア、ミルノワスレテタ。」

 

「隠す気ないでしょ。」

 

「まぁ良いわ。明日、貴方のCADを持ってくると言ってたわ。」

 

「斬月が出来たのか!?」

 

「そうみたいね。」

 

「やっとか、結構待ち遠しかったぜ。」

 

「それで、どんな形にしたんでしたっけ?」

 

「柄のない出刃包丁だ。大きさはだいたい下から俺の首ぐらいまである。」

 

「随分とおかしなCADにしたのね。」

 

「まぁな。」

 

「明日は何か討論会があるみたいですね。」

 

「私の感だけど、多分何かが起こるわ。」

 

「何かって、エガリテか?」

 

「それだけで済むといいわね。」

 

「何か知ってんのかよ?」

 

「いえ、ただ、達也から聞いた話によると、エガリテは随分とそこら中に蔓延っているそうじゃない。その連中は何か目的があって、この学校に入ったはずだわ。そもそも、隠れて行動をするなら腕輪なんて必要ないわ。そんなものをしていたらバレるだけだもの。それでもしているということはなにか大掛かりなことをする。例えば……学校の襲撃とかね。」

 

「っ!!何でそんなことが言い切れるんだよ!?」

 

 

「腕輪の効力は二つ、仲間集めと仲間の区別。」

 

「仲間集め?」

 

「そう、簡単なことよ。仲間に誘うとき、たくさんの人がやっていると示すため。それが目で見てわかるのとわからないのでは大分違うわ。」

 

「じゃあ、仲間の区別ってなんだよ。」

 

「乱戦になったときその腕輪があるだけで味方を攻撃しなくて済むでしょう。」

 

「でも、腕輪をしてる奴はそこそこはいたけど、流石に全校生徒や教員を相手にするほどの数はいなかったぞ?なら腕輪はしないでこっそりやったほうが良いだろ。」

 

「だからエガリテだけでは済まないと言ってるの。同士討ちを防ぐため。だけどそれにしては戦力差がある。なら足りないものは他所から持ってくればいい。そんなもの、全てにおいての基本よ。」

 

「なら、ブランシュが出て来るってのか。」

 

「そう、そしてタイミングは明日の討論会がちょうどいいわね。大半の生徒が講堂に集まり、一網打尽に出来る。」

 

「なら、明日の討論会は中止にしないとまずいじゃねぇか!」

 

「落ち着きなさい。あそこの学生たちも無能ではないわ。七草、十文字、そしてその二人に並ぶ子がいると聞いてるわ。それに深雪さんに達也もいる。貴方も指をくわえて見てるわけではないのでしょう?」

 

「あたりまえだっつの!」

 

「なら明日は普段通りにしなさい。相手の作戦を中途半端に止めて暴走でもされたら厄介だわ。暴走した無能ほど面倒なものはないのだから。」

 

一護はそれを聞き明日のことについて考えながら、部屋に戻り眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になり、一護は達也のもとへ斬月を取りに行った。

 

「達也!斬月はどこだ?」

 

「来たか。ほら。」

 

「おぉ、サンキュー!」

 

「そのCADは二つで一つになっている。」

 

「二つ!?もしかして…。」

 

「あぁ、その柄に巻いてある包帯だ。それにはサイオンを少量流し込むことによって相当の強度になるようにしてある。剣のほうは、収束魔法でサイオンを限界で収束し、発散魔法で風の斬撃を放つ。威力はお前が意図して収束魔法を調整してくれ。」

 

「おう!サンキュー!」

 

一護は感触を確かめるように斬月を振り回す。

 

「全く、そんな大きさのものよく振り回せるな。」

 

「まぁ鍛えてたからな。」

 

「んじゃ俺は行くわ。」

 

「これから討論会だぞ。お前は出ないのか?」

 

「まぁな、そんじゃあ頑張れよ。」

 

一護はそのまま屋根に飛び上がり辺りを見渡す。

 

「っ!あれは……。」

 

一護の視線の先には何十台もの車やトラックが一高の周りに止まっていた。

 

「クソッ!思ったより数が多いな。正面は人がたくさんいるから平気だろ、となれば俺は裏門に行くか。」

 

一護は完現術を使い裏門で敵を待ち構える。

 

「なんだあいつは?」

 

「気付かれるのはまだ不味い片付けろ!」

 

ブランシュのメンバーたちはナイフで一護に斬りかかる。

 

「死ねぇ!!!」

 

一護は斬月を抜かず、白打のみで敵を無力化していく。

 

 

 

「こんなものか…。」

 

一護は裏門の全ての敵を無力化し終え再び屋上へ上り辺りを見回す。すると一護の視線の先に車に乗って外へ出る達也を見かける。

 

「ん?あいつら…。追いかけるか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

達也たちは車で敵の本拠地に真正面から突っ込んだ。

 

「大丈夫か?レオ。」

 

「ゼェ…ハァ…ゼェ…あぁ……大丈夫…だ…。」

 

「大丈夫なわけないでしょ。動いてる車に硬化魔法かけてるんだから。」

 

「レオとエリカはここで討ち漏らした敵を頼む。十文字会頭と桐原先輩は裏からお願いします。俺と深雪は正面から行く。」

 

「なら俺はどうすればいいんだ?」

 

「一護さん!?今までどこに?」

 

「一護か、正直これでは戦力過剰だがな。」

 

「なら、俺もここで待機する。」

 

「君が黒崎一護か、話は七草から聞いている。後でじっくり話したいものだ。」

 

「あぁ、構わねぇぜ。」

 

「それでは行こうか。」

 

達也の掛け声でそれぞれが歩き出した。

 


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