黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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ンヒー!

ムズカシィー!




第23話

「はぁ…。今日から3回目の高校一年か…。そう考えると俺って一体何やってんだろうな…。」

 

一護は第一高校へ通学途中であった。

 

「ここか…。やっぱりスゲェでかいな。IS学園も相当デカかったし…。もしかして俺の世界の高校って他のこういう世界に比べてかなり劣ってんのか…?」

 

一護は若干ゲンナリしながら第一高校の門を潜り抜け、校舎へ進んでいく。

 

「ねぇ、今の子ウィードじゃない?」

 

「いたいた。補欠なのに張り切っちゃってね。」

 

一護の前から数人の女子のグループがやって来て、横を通り過ぎていく。

 

「ん?ウィード?それに補欠…。まさか二科生のことか?ったくしょうもねぇ奴らだな。」

 

一護はその女子達に呆れながら道を歩くと、ベンチに腰掛けている男子生徒を見かけた。

 

「ん?お、達也じゃねぇか。深雪は一緒じゃねぇのか?」

 

「新入生総代だからな。深雪から聞いてなかったのか?」

 

「あぁ、そういや言ってたような気がするな。」

 

「全く、ん?」

 

すると、そこに、女子生徒がやってくる。

 

「新入生ですね?そろそろ会場に向かった方がいいですよ。」

 

「すみません。すぐに行きます…。」

 

「ん?CAD…。って事はアンタ生徒会か?」

 

「あっ、名乗ってませんでしたね。私は第一高校生徒会長。七草真由美です。よろしくね。」

 

(ゲ、十師族かよ…。深夜さんに十師族には気を付けろって言われてたな…しかも要注意だって言われてた七草家…。)

 

「俺は黒崎一護だ。よろしく」

 

「司波達也です。」

 

「え!貴方たちがあの黒崎君に司波くん!?」

 

「俺ら有名なんスか?」

 

「それはもう!入試用のCADをサイオン過多で壊すほどのサイオン量を持つ黒崎君に、入試7教科平均点96点!特に受験者平均点が60点台だった魔法理論と魔法工学で満点を取った司波くん。前代未聞の高得点と出来事に先生方は大騒ぎよ!」

 

「お前…そんなことしてたのか…。」

 

「いや……ちゃんと加減できなくて……。ハハハ…。」

 

「あら?2人はお友達かしら?」

 

「はい、中学が同じでした。」

 

「へぇ〜。そうなの。」

 

「それより、早く行こうぜ。もう始まるんだろ?」

 

「そうね。また機会があれば話しましょうか。黒崎くんに司波くん。」

 

(やべぇー…。完全に顔と名前覚えられた…。ごめん、深夜さん。)

 

こうして2人は講堂へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「席が決まってるわけでもないみたいだが…。」

 

「見事に分かれてるなぁ……。」

 

「ここは目立たない為にも俺たちもならった方が良いな。」

 

「平気だって、一番後ろに座れば誰も見ねぇよ。」

 

「はぁ…。何か言われてもしらんぞ。」

 

「そんなこと気にするなんて、らしくねぇじゃねぇか。」

 

「あまり目立ちたくはないだけなんだが…。まぁいい、座るぞ。」

 

2人は一番後ろの空いてる席に座る。すると近くを通った女生徒の2人のうち眼鏡を手に持って拭いていた女子が一護を見て驚く。

 

「っ!!!え……。なに…これ…。」

 

「どうしたの!?美月!」

 

「ん?なんだ?」

 

「す、すみません…。」

 

そう言い女生徒は目を瞑って謝る。

 

「目がどうかしたのか?」

 

「すみません…あの、私……。」

 

「っ!!なるほど…。その手に持っている眼鏡…。霊子放射光過敏症か。」

 

達也が一護の隣で一瞬だけ身構えたが、直ぐに普段通りに戻り、納得したような声を出した。

 

「なんだよそれ?」

 

「簡単に言うと、本来感じることのない霊子、超心理現象で観測される粒子を感じてしまう症状のことだ。」

 

(霊子…。まさか…こいつは霊圧を感じるのか…!?」

 

すると女生徒はメガネをかけ直し、身を開いてこちらを向く。

 

「あの…お騒がせしてすみません…。」

 

「いや…、気にすんなよ。」

 

「すみません。席を探していて…。あの、ここの席良いですか?」

 

「あぁ、かまわねぇよ」

 

「ごめんね連れが騒いで。」

 

「アンタは?」

 

「あたしは千葉エリカ。エリカでいいよ。」

 

「あ、私は柴田美月です。」

 

「俺は黒崎一護だ。」

 

「司波達也だ。」

 

「司波、千葉、柴田って何か語呂いいね。」

 

「確かにそうだね。それにしても黒崎さん。物凄いプシオンを身にまとってますね。」

 

「そうなの?美月。」

 

「うん、眼鏡を拭こうと外した瞬間。まるで嵐に飲み込まれたのかと思っちゃった…。」

 

「へぇ、一護は何かしたの?」

 

「いや、何もしてねぇけど…。あ、もう始まるぞ。」

 

『静粛に、只今より、国立魔法大学附属第一高等学校の入学式を始めます。』

 

こうして一高の入学式が始まり、お偉いさんがたの挨拶が始まっては終わるを繰り返す。

 

『続きましては、新入生答辞、新入生代表司波深雪。』

 

こうして、 深雪の答辞が終わり、入学式も何事もなく終えた。

 

「達也。お前は何組だ?」

 

「俺はE組だ。」

 

「お、あたしもE組!!美月は?」

 

「私もE組です。」

 

「やった!いっしょだね!ん?黒崎くんは?」

 

「俺はB組だな。」

 

「えっ!!気付かなかった、黒崎くんって一科生なんだ!!」

 

「あぁ、まぁ、ギリギリだけどな。」

 

「へぇ〜。で、この後ってどうするの?もし司波君たちも暇ならHR覗かない?」

 

「悪い、妹を待っているんだ。」

 

「あっ、もしかして新入生総代の司波深雪さん?」

 

「あぁ、そうだよ。」

 

「お兄様!一護さん!お待たせしました。」

 

(ゲッ…。さっきの七草…。なんで一緒にいるんだ!)

 

「お二人共。その方達は?」

 

「同じE組の柴田美月さんと千葉エリカさんだ。」

 

「そうですか…。早速クラスメートの方達とデートですか?」

 

(卯ノ花さんみてぇだ…。これが黒い笑顔…。)

 

「そんな訳ないだろう。それに深雪、2人に失礼だろ?」

 

「あ、申し訳ありません。千葉さん、柴田さん。司波深雪です。お兄様同様お願いしますね。」

 

「こちらこそ!あたしはエリカで良いわ。深雪って呼んで良い?」

 

「ええ、お兄様と区別が付きづらいですからね。」

 

「やった。深雪って結構気さく?」

 

「おい、深雪。生徒会の人達と何かあるんじゃねぇのか?」

 

「あっ、すみません。」

 

「良いのよ。今日は挨拶だけですから。また日を改めます。」

 

すると七草の隣に立っている男子生徒が声を荒げる。

 

「会長!それではこちらの予定が!」

 

「良いのです。それではこれで。」

 

「会長!」

 

男子生徒はそのまま七草を追いかけようと背を向けるが、一瞬だけこちらを睨んでから去って行った。

 

「随分と感じ悪い奴だな。」

 

「申し訳ありません。私のせいで…。」

 

「構わないよ。深雪。」

 

「とりあえず、とっとと帰ろうぜ。」

 

「それもそうだな。」

 

「ならあたしも!!」

 

そうして5人は下校した。

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

「今日は見学どこに行くかな…。あんまり興味はねぇんだがなぁ…。元の世界に戻る手段もねぇし…。参ったな。」

 

一護は、1人で後者を歩いていた。すると後ろから声が掛かる。

 

「おい、一護。」

 

「お、達也。ん?昨日のメンバーに1人増えてるな。」

 

「あぁ、レオ。こいつは俺の中学からの知り合いの黒崎一護だ。」

 

「おぉ、西城レオンハルトだ。レオでいいぜ。」

 

「黒崎一護だ。よろしくな。レオ。」

 

「それよりも、一護。お前も見学をしていたのか?」

 

「まぁな、暇だから歩き回ってた。」

 

すると一護の言葉にレオが反応した。

 

「暇って……。お前はあんまり魔法に興味ねぇのか?」

 

「あぁ、あんまりねぇな。」

 

「お前って結構変わってるのな。」

 

「所詮魔法は手段の1つだからよ。別に無くたって構わねぇんだよ。」

 

「かぁ〜。スゲェなお前。どうだ?これから昼飯行くんだけどよ。お前も来るか?」

 

「俺は構わねぇけどよ。エリカや柴田は良いのか?」

 

「あたしは全然平気よ。」

 

「私も大丈夫です。」

 

「そうか、なら俺も行くぜ。」

 

5人は食堂へと向かっていった。

 

「工房見学中々楽しかったですね。」

 

「確かに中々有意義だったな。」

 

「俺にあんな細かい作業出来るかな?」

 

「アンタには無理よ。決まってんでしょ。」

 

「んだとゴラァ!」

 

「落ち着けよ2人とも。」

 

5人が昼食を取っているとそこに深雪と他の一科生がくる。

 

「お兄様。一護さん。私もこれから昼食なので、ご一緒してもよろしいですか?」

 

「良いんじゃねぇか?」

 

「ありがとうございます!では皆さんこれで失礼します。」

 

「え!?ちょ、ちょっと待ってよ。ウィードと相席なんて…。」

 

「一科と二科の区別はつけようよ。」

 

「「……。」」

 

「一護、深雪頼む。深雪、もう食べ終えたから俺は先に行くよ。」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ。」

 

「お、おい。達也。」

 

「ま、待って下さい。」

 

4人はそのまま席を立ち去っていった。

 

「あ…。」

 

「深雪、とっとと食っちまえよ。」

 

「はい…。すみません。一護さん。」

 

「君は?」

 

「名前聞くときは自分から名乗れよ。」

 

「くっ、僕は司波さんと同じA組の森崎駿だ。」

 

「そうか、俺は黒崎一護だ。他の奴等は別に名乗んなくて良いぜ、嫌なやつ代表として、森崎の事を覚えとくからよ。」

 

「何だと…?お前は…。ふん、ウィードと付き合うような奴はたかが知れている。」

 

「そうかよ。精々足元を気にしてろよ。それじゃあ一歩も前に進めねぇだろうがよ。」

 

「っ!!お前!!」

 

「悪いな深雪。俺も先に行くぜ。」

 

「は、はい。また放課後に…。」

 

「おう。」

 

「ま、待て!!」

 

一護は静止の声を無視してそのまま退席していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと放課後か…。」

 

一護は席を立ち、そのまま達也たちが待ってくれているだろう校門へと歩いて行った。

 

 

「ん?あれは…。ったく、またやってんのか。」

 

一護の視線の先には達也たちと森崎たちが揉めていた。

 

「見せてやる。これが……才能の差だ!」

 

森崎がCADを構え、レオを狙う。すると瞬時にエリカがそのCADを警棒のようなもので叩きおとす。

 

「へぇ…。やるなぁ。っ!!」

 

一護は視界の端で魔法を放とうとする女生徒を見つける。

 

「しかたねぇな。」

 

ズンッ

 

達也たちや森崎たちは突然の重圧に動きを止め、女生徒の放とうとした魔法も魔法式が押し潰される様にして消えていった。

 

「「「っ…。」」」

 

「な、なにが…。」

 

「おめぇら、魔法使うのはやりすぎだろ。」

 

「一護か。」

 

「っ!黒崎一護!!」

 

「え?今のって黒崎くんがやったの!?」

 

「さぁな。」

 

「そこの一年生!!自衛目的以外の魔法の使用は犯罪行為ですよ!!」

 

「「「っ!七草生徒会長!!」」」

 

「しかもあの人は…。」

 

「風紀委員長の渡辺摩利だ!君たち1-AとEだな。事情を聞く。起動式は展開済みだ。抵抗すれば即座に魔法を発動する。」

 

「すみません。悪ふざけが過ぎました。」

 

「悪ふざけだと?」

 

「はい、森崎家のクイックドローは有名ですから、後学のために見せて貰おうとしまして、あまりに迫力があったので、つい手が出てしまいました。」

 

「では、最後の女生徒の魔法はなんだ?」

 

「っ…。」

 

「アレはただの閃光魔法ですよ。威力もかなり抑えられていましたし。」

 

「ほう…。君は魔法式を読み取ることが出来るようだ…。」

 

「実技は苦手ですが、分析は得意です。」

 

「誤魔化すのも得意のようだな…。」

 

「まさか。」

 

「では最後に、あの魔法をかき消したサイオンを出したのは…そこのオレンジの髪の君か?」

 

「そうっすけど。」

 

「ほぅ、なら君が黒崎一護か…。サイオン過多でCADを壊したのはあまりにも有名だぞ。術式解体か…。」

 

「まぁ、良いじゃない、摩利。本当に勉強してただけなのよね?」

 

真由美はこちらに顔を向けウィンクをする。

 

「はい。」

 

「生徒会長もこう言っていることだし、今回のことは不問とする。」

 

皆が一様に生徒会長と風紀委員長に頭を下げる。

 

「借りだなんて思わないからな!」

 

「貸しだなんて思ってないから安心しろ。」

 

「俺はお前が見抜いた通り、森崎家に連なるものだ。司波達也!僕はお前を認めない!!」

 

そう言い、森崎たち一科生は立ち去っていった。

 

「借りを作ってしまったな…。」

 

「誰にだよ?」

 

「生徒会長だ。」

 

「あの〜…。」

 

「「ん?」」

 

達也と一護の元に先ほど閃光魔法を使おうとした女生徒と、その友達らしき女生徒が来た。

 

「あの…すみませんでした!!」

 

「別に気にしなくて良いよ。」

 

「あの、私は光井ほのかって言います!」

 

「私は北山雫です。」

 

「司波達也だ。」

 

「黒崎一護だ。よろしくな。」

 

「そ、それで…。あの、駅までご一緒していいですか?」

 

そうして6人にさらに二人が加わり大所帯で下校した。その帰宅途中、ほのかが思い出したように一護に質問をする。

 

「そういえば、黒崎さんは最後に何をしたんですか?」

 

「あぁ!アレね。あたしも気になってた。」

 

「あぁ、アレか…。まぁ、術式解体みたいなもんだ…。」

 

「凄い…。黒崎さんって術式解体まで出来るんですね!」

 

すると、呆れた顔で達也が訂正する。

 

「一護。説明を面倒くさがって適当なことを言うな。」

 

「え?術式解体じゃないんですか?」

 

「でも、それだと確かにおかしいな。俺たちにも何か作用したように感じたぜ。」

 

「ありゃただの想圧だ。」

 

「そうあつ?何それ?」

 

「サイオンの粒子を周囲の奴らに上からぶつけるってやつだ。」

 

「想子を飛ばして圧力をかける。それで想圧か。」

 

「あぁ、その通りだ。」

 

「え、でもそれぐらいじゃ私の魔法が発動しないなんて…。」

 

「いえ、ほのか。一護さんはそれを可能にしてしまうほどのサイオンを持っているの。」

 

「え!!?だってそれ、たとえ十師族でもできないことだよ!!?」

 

「そうなんだ、こいつはだからデタラメでな。」

 

「デタラメで済むような凄さじゃないと思う。」

 

「仕方ねぇだろ。出来るんだからよ。」

 

「あ!!もしかしてCAD壊したって…アレね!」

 

「エリカ?何か心当たりがあるの?」

 

「うん!なんか魔法実技のとき、あたしの列だけ途中から進まなくなっちゃって、帰りがすごく遅くなったのよ!それで理由を聞いたら、CADの故障です。って言われたの!」

 

「あぁー…。そりゃ悪かったな。」

 

「ほんとうよ!全く!!」

 

なごやかに一護達は帰宅していった。

 


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