黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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中々魔法のことは分からないですねぇ




第21話

「さて、一護くん。あの力はなんなのかしら?」

 

「アレは、俺の特有の力だ、精々物に手伝わせたり、自己加速術式より少し速く動ける程度だ。」

 

「手伝わせるっていうのはどういうことかしら?」

 

「物質に宿る魂を使役する能力。完現術。」

 

「完現術……。古式魔法でしょうか?聞いたことがありませんね。」

 

「面白い能力ね。でも、力としては少しだけ弱いかしら。」

 

「まぁな。そんなに強力じゃねぇ。」

 

「あら、自分の能力をとぼしめられたのに、随分と冷静なのね。」

 

「事実だからな。」

 

「他に隠してることはないかしら。」

 

「あぁ、これが俺の使える能力だ。」

 

「わかったわ。今日はご苦労さま。部屋に戻って構わないわ。」

 

「あぁ、わかった。」

 

一護はそのまま自室に戻った。

 

「いいのですか?あのまま放っておいて…。」

 

「構わないわ、あの子に敵意があるなら、達也さんを深雪さんのパーティーに付けた時に行動を置きしてるはずだから。」

 

「だからあの時達也くんを…!?自分の身を危険に晒すのは止めてください!!」

 

「あまり大声を出さないでちょうだい。それなりに確信を持って行ったことだから大丈夫よ。」

 

「まぁ、分かりました…。次からは止めてくださいね。」

 

「わかったわ。」

 

穂波と深夜も会話を終え、それぞれが部屋へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、一護はたまたま早く起き、外へと出た。

 

「よぉ、早いんだな。達也。」

 

「一護もな。いつもはもっと遅いだろう。」

 

「たまたま目が覚めたんだよ。」

 

「なら、少し相手をしてくれ。」

 

「なんでだよ。」

 

「少し、完現術というのを知りたいからな。」

 

「まぁ、いいけどよ。」

 

そういい、二人は向かい合う。まず始めに達也が動き一護に蹴りを放つ。一護は状態を逸らし、軸足を払う。それを手で状態を支え、更に蹴りを放つ。一護は腕でソレを防ぎ、完現術で達也の背後を取る。そのまま首を手刀で殴ろうとしたが、達也の体が沈み、アクロバチックな動きで距離を取られた。

 

「スゲェな。本当に中学生かよ。」

 

「こちらのセリフだ。思っていたよりもずっと速いな。初動ですら目で捉えられないとはな…。」

 

「ま、このぐらいで終わりにしようぜ。雨も降ってきたし」

 

「あぁ、では戻ろうか。」

 

二人は家に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リビングに全員が集まり、今日の予定を決めていた。

 

「お母様、今日はどうしましょう?」

 

「こんな日にショッピングもちょっとねぇ…。一護くんはどうかしら?」

 

「俺ッスか?いや、まず何があるとかよく知らないから…。」

 

「あ、琉球舞踊なんてどうですか?着付けもできるみたいですよ?」

 

「それは面白そうね。」

 

「あ、でもこれ…女性限定ですよ?」

 

「あら、本当だ……。」

 

「達也さん、今日は自由にしていいわ。確か基地見学に誘われていたわね。それに一護くんと行ってきなさい。」

 

「俺もかよ…。」

 

「分かりました。」

 

すると深雪が立ち上がる。

 

「あの!私も基地見学に行ってもいいですか?」

 

「深雪さん…?」

 

「あの、自分のガーディアンの実力を知っておきたいですし……。軍の魔法師にも興味がありますし…。」

 

「そう…。関心なことね。」

 

そうして一護、達也、深雪の3人が軍の基地へと見学することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそお越し下さいました。。防衛陸軍兵器開発部の真田です。」

 

「早速来てくれたということは、軍に興味を持ってくれていると考えていいのかね?」

 

「興味はあります。ただ軍人になるかどうかは決めてはいません。」

 

「まぁ、そうでしょうな。それで、そちらの方が君の話していた…。」

 

「はい、黒崎一護です。」

 

「なんだ?話してたって。知らねぇぞ?」

 

「まぁ、落ち着け一護。」

 

「ったく…。それで?ただ見学しに来ただけかよ?」

 

「い、一護さん!?」

 

「ハハ。これは失礼。ではどうだい?君たちも参加しないか?」

 

「そうですね。やりましょうか。」

 

「俺は、良いわ。達也のを見たかっただけだしよ。」

 

「ハハハ。君は本当に面白いな。でははじめるとしよう。」

 

そうして、達也は模擬戦を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人は基地見学を追え、帰り道を歩いていた。

 

「術式解体…だっけ?スゲェな達也は。」

 

「いや、お前もできるぞ?」

 

「「えっ!!?」」

 

「お、俺も!?」

 

「い、一護さんが術式解体を使うことができるんですか!?」

 

「はい、アレを行うのに必要なのは、大量のサイオン量。一護のサイオン量は規格外です。一護。お前には俺よりも強く広範囲にわたって術式解体ができる。これは最早術式解体の域を超えてる。俺が前に部屋へ飛び込んだことがあっただろう。あの時のアレがそうだ。」

 

「アレか?アレはただ自分のサイオンを体から放出させただけなんだけどよ。」

 

「あぁ、簡単で拍子抜けだろうが。アレはお前ほどのサイオン量があってようやくできるものだ。お前以外に出来る奴はまずいないだろう。」

 

「へぇ、俺は無系統魔法もできたんだな。」

 

「あぁ、だがサイオンを大量に使う。乱発はやめておけよ。」

 

「へいへい。ま、二人とも、早く帰ろうぜ。」

 

3人は家へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ~あ、今日は暇だなぁ…。やることねぇし散歩でもしてくるか……。」

 

「一護!急いでこい」

 

達也が急いで一護の部屋へと入った。

 

「うおっ!!どうしたんだ!?」

 

「テレビをつけてみろ。」

 

一護はテレビを付け、沖縄に敵が攻撃していることを知った。

 

「おいおい、マジかよ。どうすんだ?」

 

「これから軍の施設へ非難する。ついてこい。」

 

「お、おう。」

 

こうして一護たちは軍の地下シェルターへと避難した。

 

「参ったな…。この世界に来て早速揉め事か…。勘弁して欲しいもんだ…。」

 

「一護。」

 

「なんだよ達也。」

 

バババババババ

 

「っ!!?銃声かっ!!!」

 

「あぁ、こっちへ来てくれ。」

 

こうして一護たち五人は集まった。

 

「達也。外の様子を見てきなさい。」

 

「お、おい。待てよ。一人で行かせる気かよ!」

 

「承知しました。」

 

達也はそう言い外へと駆け出した。

 

「お、おい!達也!!」

 

「大丈夫よ一護くん。」

 

「深夜さん!」

 

「失礼します!!!空挺第二中隊の金城一等兵であります。」

 

「助けが来たか…。」

 

一護は歩きだそうとした瞬間に深夜に腕を掴まれた。

 

「ん、どうしたんだよ深夜さん。」

 

「待って一護くん。何か考えがある。ということです。」

 

反対の腕を穂波が持ち、一護を止める。

 

「私のカンなのだけれど、あの方たちは信用すべきではないわ。」

 

「俺の質問の時といい、観察力には自信があるみてぇだな。」

 

「ええ。そうよ。」

 

「……。わかった。信じるよ。深夜さん。」

 

「助かるわ。 すみません金城さん。息子が外へ出ていまして…。大事な息子をおいては行けませんわ…。」

 

(誰だよ!!!)

 

「すみませんが、一緒に来て頂きたい。」

 

(こいつ…やっぱり…。)

 

「ディック!!なぜ裏切った!!」

 

何故かいきなり先に来た軍人と後に来た軍人が銃撃戦を始めた。

 

「くそっ!!仲間割れかよ!!」

 

穂波は深夜、深雪、一護の周りに障壁魔法を張る。すると相手の兵士がキャストジャミングを使い妨害する。

 

「クッ…。」

 

「深夜さん!!おい!しっかりしろ!」

 

「お母様はお体があまり強くないの!あのジャミングを出している人をどうにかしないと!」

 

「俺がやる!」

 

一護は完現術を使って近付き、敵を殴り飛ばす。

 

「グハッ!!!」

 

「アル!!!てめぇ!!」

 

敵の軍人は一護に銃を向け乱射する。それを一護は全て完現術を使って避け切る。

 

「こいつ…クソッ!当たらねぇ!!!」

 

「無駄だ。」

 

「一護さん…。」

 

「動くなてめぇ!!!」

 

そう言い敵は深雪を人質にとる。

 

「深雪(さん)!!!」

 

「く……。」

 

「テメェ!!そいつに何かしてみろ…ゆるさねぇぞ…。」

 

一護はそのまま動きを止める。

 

「ならジッとしてな!」

 

バン!!

 

「グハッ……。」

 

一護は腹部を撃たれ、倒れ伏す。

 

「っ!!」

 

「一護君!!!」

 

「いやぁぁぁぁ!!!!!」

 

敵はそのまま深雪を人質にとったまま外へと出て行った。

 

「一護君しっかりしてください!!」

 

「穂波、治癒魔法を。」

 

「はい!」

 

穂波は一護に治癒魔法をしようとするが、一護はそれを手で押さえ立ち上がる。

 

「無茶しないでください!!出血多量で死にますよ!!」

 

「いや、大丈夫だ。」

 

一護はそう言い服をまくり上げると、そこにあるはずの傷が消えていた。

 

「そんな……。」

 

「それは…一体何かしら?」

 

「崩石の力だ……。これじゃまるで……。」

 

「一護君?」

 

「いや、これから深雪を助けに行く。」

 

「それは…。」

 

「悪いが。行かせてもらう。」

 

「一護君!!」

 

一護は完現術を使いその場から姿を消す。

 

「速いわね…見えなかったわ。」

 

深夜は小さく呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!大丈夫か!!」

 

一護が深雪に追いつくと既に達也が助けていた。

 

「お前こそ平気なのか?深雪から撃たれたと聞いたが。」

 

「あぁ、なんとかな。それじゃあ戻ろうぜ。」

 

「いや、俺は相手を殲滅しに行く。」

 

「達也…。」

 

「大丈夫だ。深雪を…頼むぞ。」

 

「……。わかった。任せろ。」

 

達也はそう言い残し去って行った。

 

「お兄様…。」

 

(!仲直りしたのか…。よかった…。)

 

「じゃあ、行くぞ。深雪。」

 

「でも、お兄様が…。」

 

「信じろよ。…オメェの兄貴だろ?」

 

「っ!!…はい!」

 

そうして二人は基地へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の不注意で迷惑をかけてしまって…。」

 

「いえ、構いません。一護さん。娘を助けてくださってありがとうございます。」

 

「いや、助けたのは達也だ。俺が行った時には全部片付いてた。」

 

「そうでしたか……。ならアレは何をしてるのかしら?」

 

「お兄様は軍の方達に協力を…。」

 

「お兄様?深雪さん。アレを兄と呼ぶのは止めなさい?アレは不良品です。四葉の次期当主候補たるもの立場を考えなさい?」

 

「おい!アンタ!」

 

「はぁ…。仕方ないわね。達也のことについて教えてあげるわ。これを聞くということは、貴方を自由にさせるわけにはいかなくなるのだけど?」

 

「構わねぇ、話してくれ。」

 

深夜はそれを聞き、ポツリポツリと、達也の秘密を話し始めた。規格外の力を無理やりねじ込んだせいで、人格が薄くなり、微々たる感情しか残らなかった事を。

 

「あんた!!自分の息子に……。」

 

一護は深夜の目を見た瞬間に、一護の頭の温度がグッと下がった気がした。

 

(いつもの余裕のある眼じゃねぇ…。感情が消えたような、空っぽの眼だ………。そうか、自分の息子に人体実験をする。それで壊しちまったのは達也の心だけではなかったってことか…。)

 

「達也を助けに行く。」

 

「っ!?聞いていたの?一護くん。アレは死なないわ。行くだけ無駄よ!」

 

「うるせぇ!!」

 

「っ!!…。」

 

「俺は助ける必要があるから助けるんじゃねぇよ…。俺が助けてぇから、達也を助けんだ。」

 

一護は深夜達に背を向け歩き始める。

 

「待って!一護くん!」

 

「穂波さん…。いくらアンタでも…。」

 

「違うわ。お願いします!深夜様。私も行かせてください。」

 

「……。はぁ…。貴女は私の護衛なのだけど…。」

 

「すみません……。」

 

「まぁ、いいわ。」

 

「っ!!はい!行って参ります!」

 

2人は達也の元へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…クッ…。」

 

「穂波さん!ってアンタ!腹撃たれてんじゃねぇか!」

 

「これぐらい…平気…。」

 

「無理すんなよ。ホレ…。」

 

「え?何でしゃがんでるの?」

 

「あ?そんなもん、おぶる為に決まってんだろ。」

 

「え、あ。ちょ、ちょっと!それは…。」

 

「良いから早くしろよ。俺の完現術で行けば速いだろ。」

 

「は、はい!」

 

そうして一護は穂波をおぶる。

 

「飛ばすぜ。」

 

「ちょ…。うひゃあ!!!」

 

2人はそうして姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「達也!!」

 

「達也くん!!」

 

「!?穂波さん、一護。なんで来たんだ。」

 

「ウルセェよ。」

 

「ここは危険だ。2人とも退いた方が良い。」

 

「それは出来ねぇ。」

 

「……。はぁ…。仕方ないな…。どうせ言っても聞かないのだろう。なら、コレからあそこの軍艦たちを撃破する。攻撃が来る可能性もあるから防御の準備をしてくれ。」

 

「「あぁ。(はい)」」

達也はそう言った後、右手を前へのかげる。そして、目を閉じて集中する。

 

「っ!敵艦から砲撃です!」

 

「私が防ぎます!!ハアァァーー!!!!!」

 

その場にいる真田と風間が驚く。

 

「なんて規模だ…。」

 

「規模だけではありません。強度も半端ではありません。ただこのままでは……。」

 

「ハアアアアァァァァ!!!っ!!ぐふっ……。」

 

穂波は血を吐き膝を付く…。

 

「障壁魔法が!!」

 

(俺は何やってんだ……。力がない…。足手纏いだ…。いや、何言ってんだ。サイオンは大量にある。なら力技で防げば良いだけだ…。CADは展開速度を速めるもの…。ならこの状態で使えないわけじゃねぇ…。大事なのはイメージ…。思い出せ本気で攻撃しても斬れなかった最強の盾は何だ…。藍染の背後を守っていたあと緑色の盾!!)

 

「行くぜ…。オラァ!!!」

 

「「「っ!!!」」」

 

一護は空に手をかざすと、空中に緑色で巨大な六角形の障壁魔法が展開された…。

 

「こんな障壁魔法は見たことないぞ!!」

 

「デカすぎる…。しかも強度が尋常じゃない!」

 

「こんなもの…いつの間に…。」

 

「達也ぁ!!」

 

「マテリアルバースト。」

 

達也は目を開いたその瞬間、敵艦全てが海の藻屑となった。


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