黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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第2話

prrrr prrrr

 

突然携帯電話の呼出音が鳴り響く

 

(携帯? 出た方がいいのか?)

 

そう考えている内も電話はなり続ける

 

prrrr prrrr

 

(しゃあねぇ、出てみるか…)

 

ピッ

 

「もしもし」

 

「あ、ど〜も〜。黒崎さんッスか??」

 

「浦原さん!?」

 

「はい、二週間ほど前に黒崎さんの霊圧が消えてからどこに行ったのか石田さんや茶渡さん、井上さんがかなり探したんスよ〜?

それで丁度黒崎さんが消えたあたりの空間に歪みを感知しましてねぇ、そこから先が異なる世界に繋がっているという事が観測できました。」

 

「それってどうなんだ?俺はそっちに帰れるのかよ?」

 

「はい、幸い空間が閉じる前に歪みを見つける事が出来たので、今はその歪みがそれ以上小さくなら無いように固定しました。今はアタシの作った移動装置でその携帯みたいな小物を黒崎さんのいる座標に送るのが限界っスけど、もうしばらくしたら完成しますんで、それまでそっちでゆっくりしてて下さいね〜」

 

「目安はどれ位なんだ?」

 

「ん〜、まだ何とも言え無いっスねぇ、とりあえず半年は掛けない様に頑張りますが」

 

「あの歪みって何なんだ? なんであんなモンが出来たんだ?」

 

「アレは言ってしまえば天然の穿界門っス」

 

「天然のって…、そんなことがあんのかよ」

 

「極稀に、ですけどね。今の状態は…そうですねぇ…。

拘突に当たった様なものと考えてください。別の所に飛ばされたって感じっスね。過去に2回だけ例があるみたいっス。いやぁ〜本来ならそれを見れずに一生を終える死神が殆どなのにラッキーっスねぇ黒崎さん♪」

 

「ラッキーでもなんでもねぇよ…。まぁ、何とか頼むぜ浦原さん。」

 

「はい、お任せ下さい。それでは早速取り掛かりますんで、お気を付けて」

 

(て事はしばらくはここで過ごすしかないってことか…。

そういや今気付きたけどあそこの机の上に置いてある荷物って、お。女の!?ベッドも2つあるし、つーことはなんだ?相部屋か!?)

 

そう考えているとドアが開いた

ガチャッ「あら?ルームメイトの方ですの?私はセシリア オルコット、どうかこれからよろしくおねg……。」

 

「……。」

 

「あ、あ、あ、貴方と同じ部屋なんて!!!どういうことですの!!!!」

 

「それはこっちが聞きてぇっての!!全く…。どうなってんだ…。」

 

「……。」

 

「ん…、どうした? 気分でも悪くなったか??」

 

「い、いえ。貴方に1つ聞きたいことがありますの。」

 

「ききたいこと?いきなりだな。まぁ、構わねえけど」

 

「貴方はこの女尊男卑の世の中で自分の意見を述べることの出来る少数派の人間ですわ。何故…そのように振る舞えるのですか?」

 

「なんだそりゃ、んなもん言いたいから言う。それだけに決まってるじゃねぇか」

 

「そうではありません。今の世の中の男性たちは皆、女性の顔色を伺ってばかり。それは自分の我を通してもし女性に報復を受けた時を考えて尻込みしているだけですわ…。けど貴方は他の人とは違う。怖くは…ありませんの?」

 

「確かに女の持つ力はどんどん強くなって、男は肩身が狭いかもしれねぇ。だけどよ力だけでその人間の強さが決まるわけじゃねぇ。一番大事なのはココだ」

 

そう言って一護は心を指差す

 

「いつだって人の心を動かすのは人の心なんだぜ。それなら俺は逃げらんねぇ。いや、逃げたくねぇ。正面からぶっつかっていってそれで分かり合えるならそれがベストだと思ってる。つまりだ、自分の信じた道は曲げねぇそれだけだ。」

 

一護がセシリアに微笑むとセシリアの顔が少しだけ赤くなった

 

「黒さk「prrrr prrrr」むぅ…」

 

「また電話か?ピッ もしもし、どうしたんだ浦原さん」

 

「何度もすみません、1つ伝え忘れたことがありまして」

 

「ん?何をだ?」

 

「虚についてなんですが、歪みを固定してる代わりにそちらの世界に虚が行ってしまいそうなんスよ。

 

「っ!それ大丈夫なのかよ?」

 

「はい。幸いなことにそっちには虚がいない世界みたいなのでそちらの世界に入った瞬間にすぐ代行証が感知すると思いますよ。それに歪みの穴は小さいぶん、出てくる虚も弱い虚。 まぁ、そのうち歪みを広げていきますので強い虚も行ってしまうかもしれませんが…。なので虚退治は小まめにお願いしますね。」

 

「虚がいない?ならどうやってバランスを保ってるんだ?」

 

「その話をすると1日2日じゃ終わりません。世界の成り立ちが違うとお考えください。それじゃあアタシはコレで。良かったっスねぇ、可愛い女の子と相部屋で♪」

 

「見えてんのかよ!!」

 

「それではまた後ほど〜」

 

「ちょ!まっ!!「ブチッ ツー ツー ツー」切れやがった……。」

 

「だ、大丈夫ですの?」

 

「あぁ、悪りぃな話遮っちまって。それで?何言おうとしたんだ?」

 

「い、いえ何でもありません…。」

 

「そうか。なら俺は少し出掛けてくるぜ。少しこの学校見て回りてえからよ。」

 

「わかりました。先程の話、聞けて良かったですわ。試合では貴方の覚悟がどれほど強いか確かめさせて頂きます。」

 

「あぁ、お互い頑張ろうぜ。それじゃあまた後でな」

 

「はい、また後で。ですわ」

 

一護部屋を出た後セシリアは

「さて、このみすぼらしい部屋を改造してしまおうかしら…。」

 

 

 

部屋を出た一護は人気の無い所へ移動していった

 

「出て来いよ。俺に何か用があるんだろ?」

 

「あらぁ〜、本気ではないとはいえそれなりに気配は殺してたつもりなんだけどなぁ〜。お姉さん困っちゃった♪」

 

女は扇子を勢い良く開くと、そこには失態の二文字が書かれていた。

 

「…。何か用か?」

 

(どういうつもりか腹が見えねぇな…。享楽隊長みてぇに分かりづれえ…。)

 

「いやぁ〜。噂の男の子がどういう子が見てみたくてね。」

 

謎の女はクスクス笑いながら一護に話し掛ける。

 

「そうかよ、それで?それだけじゃないんだろ?」

 

「ふ〜ん。中々鋭いね一護君は。お姉さんびっくりだよ♪」

 

「…あんた何者だ。普通の女子高生はそんな百戦錬磨みてぇな目なんてしねぇ。」

 

「あら?お姉さんに興味持ってくれたんだ〜。お姉さん嬉しいな♪ でも、それがわかる一護君も大概だよねぇ。更識楯無。それがお姉さんの名前だよ。この学園の生徒会長。今回は顔合わせだけ。それじゃあまたね〜。」

 

「千冬さんといい、さっきの生徒会長といいクセ者ばっかじゃねぇか…。」

 

一護はそうボヤきながら林の奥へと入っていった。

 

「ここら辺なら見つかんねぇだろ。」

 

そう言って死神化する。

 

「ここら辺一体の地形でも見ておくか…。手強い虚がいた時月牙すら使えねぇ場所だったら不利だからな…。」

 

こうして近くの散策を始めた

 

 

 

そして一護が部屋に戻ると

 

「な、なんじゃこりゃ〜〜〜!!!!」

 

「い、いきなり大声を出して何ですの!?」

 

「何ですの?じゃねぇよ!!なんだこの部屋!!」

 

そこは先ほどの普通の部屋ではなく、煌びやかな部屋へと変わっていた。

 

「き、今日は色んな事がありすぎた…。もう寝るわ…。」

 

「え、ええ。わかりました。それでは、おやすみなさい。」

 

こうしてやっと一日目を終えた

 

 

 

「ふわぁ〜。目が覚めちまったな…。うっ!!」

 

隣でベッドで寝ているセシリアは子供のような寝顔と、セクシーなネグリジェにより、なんとも言えない感じになっている。がしかし、ここに居るのは見た目とミスマッチな初心な男。襲うなどという選択肢は初めから頭になく二度寝した。

 

食堂へ移動すると一夏と箒が先にいた。

 

「よう一護」

 

「押忍、一夏に箒」

 

「あぁ、おはよう一護」

 

「にしても結構広いんだな食堂って。」

 

「あぁ、俺も少しだけ内心少しだけ感心してた。一護はルームメイトは相手は誰だった?」

 

「俺はセシリア オルコットだったぜ」

 

「マジかよ、大丈夫だったか?」

 

「ん?あぁ、平気平気。普通にしてりゃたいして問題はねぇさ。お前は誰だったんだよ?昨日は少し衝撃音が聞こえた気がしたけどよ。」

 

「あぁ〜、そりゃ悪かったな。箒と一緒の部屋だ。正直嬉しいぜ、箒と同じ部屋だと。」

 

「ほ、本当か一夏!?」

 

「あぁ、知らない奴だと気を使うからな、箒とだと気軽だしな。気を使う必要もないしな!」

 

一護は空気が重くなったように感じた

 

(れ、霊圧か…?)

 

「ん?どうしたんだ箒?」

 

バンッ

 

箒が机叩いて立ち上がり

 

「ご馳走様でした」

 

そう言いサッサと去ってしまった。

 

「腹の調子でも悪かったのか?」

 

「一夏…。おめぇは少し……いや、何でもねぇ」

 

「なんだ??」

 

「まぁ、気にすんな。とっとと行くぞ」

 

そう言い一護もその場を去った

 

 

 

(やべぇ…。ちょっと何言ってるか半分くらい意味わかんねぇ…。)

一護は焦っていた…。授業の内容が半分ほど理解出来ないという事に。

(あの分厚い参考書みてぇなのはそれなりに読み進めたんだけどなぁー…。やっぱ渡されてからはあんまり時間なかったしなぁー…。)

 

「ん?黒崎君どうかしましたか??」

 

おっとりとした山田先生が一護質問する

 

「い、いやぁ。ちょっと授業の内容が半分くらいわかんなくて…。スミマセン…。」

 

「半分!? て、そうでした。黒崎君はまだ参考書を渡されて間もなかったですね。放課後質問に来てくれれば先生が教えますよ?なんせ私は先生ですので(ドヤァ)」

 

「あ、ありがとうございマス。」

 

「先生!」

 

「は、はい!織斑君どうかしましたか?」

 

「全部わかりません!」

 

「ぜ、全部ですか…? 貰ったばかり…ではありませんよ…ね?」

 

「おい、織斑。参考書はどうした?」

 

「古い電話帳と間違えて捨てました!」

 

ズパァン!!!!

 

「イデェ!! う…う……。あれ?ここは何処?私は誰?

チョウチョ。チョウチョ。あわわわわわー」

 

「い、一夏? おい!しっかりしろ!なんて怪力だ!喰らったら死んじまう!!」

 

ズパァン!!

 

「グァ!! け、剣八…。」

 

「誰だ剣八って。まぁ、バカ2人は放っておいて授業を進めるぞ」

 

「チョウチョ、チョウチョ。」

 

「う……。やめろ…眼帯を外すな……。」

男達は方や廃人、もう片方は完全にブラックアウトしていた。

 

 

「う、ここは…。」

 

「目が覚めましたの?」

 

一護は自室で目を覚ました。

 

「此処まで運ぶのは大変でしたのよ?」

 

「お前が運んでくれたのか!?悪りぃな。ってかアンタ意外と力あんだな…。」

 

「淑女のたしなみですわ」

 

「は、ははは。そ、そうか…。」

 

脱力した背の高い男を運ぶ力があるとはなんで怪力だ…

と一護は戦慄した。


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