黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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ペースが落ち気味や





第16話

「な、なんだ!?なんだよこりゃ!!?」

 

「こ、これは…逆さま?」

 

「コレが俺の逆撫の能力や。相手の上下左右のコントローラーを逆にする。落ちゲーんもトラップみたいでおもろいやろ?」

 

「逆?ハッ!そんなもん…範囲攻撃で左右両方やれば良いだけダァ!!!!!!!!!!!」

 

オータムが平子へ向け範囲攻撃を仕掛ける。しかし、平子の表情は変わらず涼しいまま歩いて近づいていく。

 

「そないヌルイと思うてるんならショックやわ。」

 

オータムの近くまで寄った平子はオータムの腹に斬魄刀を突き刺す。しかし、オータムの体には刺した筈の腹ではなく背中に斬魄刀が刺さっていた。

 

「は…? なんだよ…これ…?」

 

縛道の三十 嘴突三閃

 

「くっ!なんだよこれ!クソ!クソクソクソクソクソ!!!外せぇ!!」

 

オータムは嘴突三閃をくらい壁に縫い付けられる。その隙に平子が再び近寄り虚の仮面を砕く。

 

「仮面…私の仮面が!!てめぇ!!!うっ……。」

 

平子はオータムに手をかざすとオータムは気絶した。

 

「ったく、力に飲み込まれおってからに…。おい、無事か?」

 

「さ、サンキュー。」

 

「助かったわ。」

 

「感謝する。」

 

「ありがとね。」

 

「ならええわ。」

 

「ねぇ。」

 

「ん?なんや?生徒会長さん。」

 

「さっきの銃弾。なんであなたに効かなかったの?」

 

「それが俺の斬魄刀の能力や。名前を逆撫。さっき説明した通り。相手の視覚、感じる方向、見えてる方向、動く方向、全ての上下左右。それに前後もな。それらをデタラメに反対にする。最近は練習して他にもできるようなったんやで。にうふなんこばえ例」

 

「え?なんて??」

 

「今のはお前らの聞こえてる音を逆にしたんや。」

 

「視界を逆…。」

 

「箒ちゃんは剣道習っとったな。ならわかるやろ?いくら俺の能力がわかっていても。咄嗟の判断っちゅうのは脊髄反射。つまり見たまんまで行動する。戦いに慣れていれば慣れているほど、視覚を駆使して戦いは行われる。俺の斬魄刀の言わば戦う者の必須能力を根こそぎ奪い取るモンや。」

 

「死神は、みんなそういう凄い能力を持ってるの?」

 

「人によって斬魄刀の能力は千差万別や。俺みたいな神経を犯す斬魄刀もあれば、形を変えるだけの斬魄刀もある。ん、来たか。」

 

「そっちは終わってたか。真子。」

 

そこには少女を脇に抱えた拳西とラウラ、それにセシリアがやって来た。

 

「お前ら!無事だったのか!ん?どうしたんだよ?そんな浮かない顔して。」

 

「いえ…。その…。」

 

「……。」

 

「ったく。ビビらしてどうすんねん。拳西。」

 

「チッ、うるせぇ。それよりどうする。一護はどうする。」

 

「せやなぁ。ま、ホッとけばええわ。」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!一護は…今どうしているんだ?」

 

「一護は今偽物の涅マユリを退けたみてぇだ。こっちへ向かってる。」

 

「倒せんかったか、まぁええわ。とりあえずコイツら確保できただけでも及第点や。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「平子!拳西!みんな!無事だったか!」

 

「「「「「一護!!!!!!」」」」

 

「無事だったか、じゃねぇ!てめぇが今回で敵を捕まえられれば終わりだったんだぞ!」

 

「わ、悪い、拳西。」

 

「まぁ、過ぎたことをゆーててもしゃあないやろ。次で、終いにするで。拳西。」

 

「あぁ、一護、俺は尸魂界に戻る。目的の一つは一応手に入れたからな。」

 

「なんだよ、目的のものって。」

 

「浦原から緊急で出された指令だ。何やら妙な何かを感知したから擬似虚化した奴らの霊圧を採取しろとのことだ。ったく隊長を使いっぱしりにするとはな。」

 

「サンキューな、拳西。」

 

「任務だからだ。」

 

シュッ

 

拳西は瞬歩でその場から去る。

 

「にしてもワケのわからないのばっかりだな。」

 

「敵は偽物といえどマユリや。まだ、劇薬にも奇薬にも出会うてない。運が良いのか、それとも敵さんはなにか隠してるのか。これから拳西も帰ってお前と俺の二人や、マユリ相手には常に二対一の状況を作るのが一番安全、つまりこれ以上何らかの要因でお前か俺の脱落をした瞬間にゲームオーバーや。だが、マユリからは色んな種類の解毒薬も送られて来た。ここまで来ればやらなあかん事は1つだけや。つまり…」

 

「次で仕留める。ってことか。」

 

「もたもたしてれば、その分相手に対策をとる時間をやることになる。マユリ相手にそれはまずい。とりあえず千冬ちゃんに報告行くで。」

 

みんなが千冬のもとへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千冬に報告が終わり専用機持ちは集まっていた。

 

「ラウラにセシリア、一体どうしたの?さっきからずっとぼんやりしてるけど。」

 

「「……。」」

 

「本当にどうしちゃったのよ?」

 

「具合が悪いのか?」

 

「いや…。」

 

「違いますわ、ただ先ほどの六車先生の戦いが凄まじかったのです…。」

 

「六車先生?確かにラウラのISを片手で止めるなんて馬鹿げたことやってたけど。それは浦原さんや一護だってそんな感じだったじゃない?」

 

「いや、違うんだ。今までの死神たちは確かに強かった。でも、教官なら互角に、それが無理でもISに乗れば戦えると思っていた。」

 

「なんだよそれ。まるで千冬姉にも勝てないみたいじゃないか。」

 

「みたい。ではなく、絶対に勝てませんわ…。」

 

「どうしてよ?今日平子の戦いを見たわ。確かに反則級にすごかった。でも勝てないとは思わなかったわ。今は無理でも、これから沢山ISを練習して、国家代表になれるくらいまで行けば戦いにはなるはずよ。平子と六車先生の実力は同じって一護が言ってたじゃない。ならアンタらがそこまで力量差を感じるとは思わないんだけど?」

 

「無理です…。私、こんなことは言いたくないのですが、恐怖を感じました。」

 

「六車先生がこう口にしたんだ 卍解 ってあれは何かのリミッターを外した。少なくとも私にはそう見えた。」

 

「そのあと、六車先生の姿が変わりましたわ、鉄でできた天の羽衣のようなものをつけていて、拳にはその両端が巻かれていました。それで、六車先生が敵を殴った瞬間、そこから大爆発が起きて、空が赤色に染まりましたの。」

 

「何それ?あんたら疲れてんじゃないの?」

 

「いや、私たちは確かに見たんだ。先生の姿が変わったのも、その瞬間とてつもない重圧が体にかかったのも。」

 

「でも、確かに何か隠してるかもね…。ほら、平子君も虚の仮面出してたし。」

 

「なに?」

 

「それは本当ですの?」

 

「あぁ、だが顔にはかぶっていなかった。」

 

「どういうことだ!」

 

「なんか、右手に作り出してたように見えたし。」

 

「それにあいつらの虚化は偽物だって言ってたよな?」

 

「それは気になりますわね。」

 

「でも確かに違うところがあったんだ。」

 

「違うところ?それはなんだ?」

 

「僕たちが今まで見てきた虚の仮面って、半分だけだったでしょ?でも、平子君が作った仮面は半分じゃなくて完全だったんだよ。」

 

「んー…。」

 

「どうしたんだ?一夏。」

 

「いや、俺たちってここのところ虚を沢山見るようになっただろ?今までは見たことなかったなぁって。」

 

「何言ってんのよアンタ。それはあの偽物のピエロが差し向けてるだけでしょ?」

 

「でも、それなら一護が普段、虚が出たなんて言い方しないんじゃないか?」

 

「確かに…、そうであれば嫁は虚が来たと言うだろうな。であるとすれば虚は自然発生しているということか?だが、こんな頻繁に現れているのにここにいる全員が生まれてこのかた一度も見たことがないというのもおかしい。」

 

「ならば、IS学園だけに出現するというのはどうだ?」

 

「だとしたら臨海学校の時ときには虚が現れないはずでしょ?」

 

「いや、あそこに現れたのはISに寄生していた虚だけしか現れていませんわ。普通の虚を見たのはこの学園だけですわ。」

 

「だとすれば、発生場所はIS学園ってことになるのか?」

 

「考えたって埒があかない。ここは一護たちにいうのが先決だろう。」

 

「なら早速行ってみようぜ。」

 

全員は一護の元へ向かうため歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一護と平子は二人で話せる屋上へ向かうため階段を上っていた。

 

「平子!相手の本拠地探したりしたほうが良いんじゃねぇか?」

 

「アホ。1人で探すんは効果は見込めへんし、2人で探すと千冬や一夏護れへんやろ?」

 

「平子、それならどうすんだよ。なんか案とかねぇのかよ?」

 

「まぁ、焦るなや。時は必ず来る。そうやろ?生徒会長?」

 

平子は唐突にそう言うと右手を横に掲げ空間を引っ掻く。すると透明な布が捲り上がり、その中から楯無がでてきた。

 

「更識さん!?」

 

「っ!!一体…いつ気がついたのかしら?」

 

「アンタが母ちゃんの子宮の中おる時からや。」

 

平子は振り返らずそのまま屋上へと上がっていった。

 

「っ…。中々上手くいかないわね…。」

 

楯無は再び姿を消し去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「~というわけなんだ!」

 

一夏たちは自分たちの考えを平子と一護に話した。

 

「あんまり気にすんなよ。」

 

「いや…待て一護。確かにこいつらの言うとおりや。虚の出る穴はここだけのはず…。ならアイツは実験にする虚をどこで手に入れてる?お前が今まで仕事をしていたならあんなに虚を実験に使うことが出来るんはありえへんハズや…。まさか!!」

 

「どうした?平子!」

 

「俺らが通って来てるんは天然の穿界門なんかやない、偽マユリが作ったもんや!」

 

「どういうことだよ!?」

 

「知っとるか?一護。天然の穿界門は今回を含めて三回できとる。一度目は100年前。二度目は19年前。一度目はタダ観測されただけですぐに閉じた。二度目は七番隊の調査団が虚圏に遠征にいった時。その時七番隊の調査団を囲んでいた虚100体以上がその穴に飲み込まれとる。」

 

「100体…だと…。」

 

「それに偽マユリがISを媒介に虚を作ってることはしってるな?一護。今まではギリアン、そして今日のはアジューカス。ランクにするとこんなもんやろ。そんで、次もし来るとすれば…。」

 

「ヴァストローデ………。」

 

「せや…あかんな…これは、だが、今回のことでアジューカスは二体が限度とみた。次のヴァストローデは恐らく一体や。」

 

(ヴァストローデ…俺に倒せるか…?いや、倒さなきゃならねぇなら倒すだけだ。)

 

「あ、あの二人とも大丈夫?」

 

「あ、あぁ、大丈夫だ、シャルロット。」

 

「ならいいんだけど…。」

 

「嫁、無理するなよ。」

 

「あぁ、ラウラもサンキューな。」

 

「私も心配しておりますのよ?」

 

「あぁ、セシリアもさんきゅ。」

 

「一護。今は休んどき。またいつ攻めてくるかわからへんからなぁ。」

 

「あぁ、分かった。」

 

そう言い平子はその場をさりながら呟いた。

 

「ヴァストローデ級か…笑えへんな。千冬の護衛に、偽マユリの捕獲、加えて人工虚。隊長格あと2人は欲しいところやな…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一護が部屋に戻ると、電気も点けずにアニメを見ている簪がいた。一護は電気をつけると。簪に声をかける。

 

「また暗いとこでアニメ見てんのか…。それ目が悪くなってもしらねぇぞ。」

 

「…大丈夫。」

 

「お前、今度あるタッグマッチトーナメント戦のペア決まったか?」

 

「貴方には関係ない。」

 

「ま、早めに決めとけよ。」

 

「……。」

 

「ったく。まぁいいけどよ。俺は寝るぜ。」

 

そういい一護は早々に眠りについた。

 

「……頑張って専用機完成させなきゃ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一護はセシリアとラウラと一緒に外を歩いていた。

 

「おい!私と組め!タッグマッチとは、嫁と夫の関係である私達の為にあると言っても過言ではないだろう。」

 

「何を言っているのですか!?私と組むのが一番ですわ!完全遠距離型の私と完全近距離型の一護さん。まるで絵に描いたような相性の良さですわ!」

 

「ふん、お前に嫁のレベルに着いて行けるとでも?」

 

「試しますか?」

 

「おい、喧嘩すんなって。」

 

「なら私かラウラさんのどちらを選ぶか決めて下さいまし!」

 

「そうだぞ!こいつに私だと早く言え!」

 

「2人には悪いんだけど組んでみてえ奴がいんだよ。」

 

「「は!!??」」

 

「「誰だ(ですの)!!??」」

 

「更識簪って奴なんだけど、知ってるか?」

 

「え、えぇ、確か日本の代表候補生ですわね…。」

 

「何故夫である私を差し置いてそいつを選んだ!さぁ吐け!!」

 

「落ち着けって、何か寂しそうな目をしてるからよ。あぁいう目はよく知ってんだ…。自分以外に誰もいないような感覚っつーか、あんま良い例えが浮かばねぇけどよ。」

 

「一護さんにも…そういう経験が?」

 

「それは夫として知らなければならないな。」

 

「別に大した話じゃねぇよ。前セシリアには言ったかもしれねぇけど、お袋の事だ。」

 

「確か事故で…。」

 

「あぁ、そん時は言えなかったけど。お袋は俺を庇って虚に殺されたんだ。」

 

「「っ!!」」

 

「そう…だったのか…。」

 

「あぁ、その後俺は学校をサボって毎日毎日、朝から晩までお袋が死んだ場所で歩き回っててよ。それを見かねたダチが殴って目を覚まさせてくれたってことがあったんだ。」

 

「そうか…。」

 

「ま、そういうことだ。だから悪いな次に機会があったら組もうぜ。」

 

「あぁ、絶対だぞ。」

 

「約束ですわよ。」

 

「あぁ。…ん?アレは?」

 

「ISですわね。誰でしょうか?」

 

「待て…。アレは…故障か?まずい!墜落してるぞ!!」

 

「チッ!おい!!力を貸せ!!」

 

<ケッ、久々に声掛けたと思えばコレかよ。あいよ!>

 

一護はISを纏い落下しているISを地面スレスレで受け止める。

 

「簪か!? おい!大丈夫か!?」

 

「黒崎…くん…。」

 

「怪我はねぇか?」

 

「う、うん。ごめん。」

 

「いや、ISの実験か?次からは誰かと一緒にやれよ?こうなると困るだろ?」

 

「うん…。ごめんなさい…。」

 

「誰もいねぇなら俺が手伝うからよ。」

 

「いいの?私…今まで酷いことしてきたし…。」

 

「気にすんなよ。もし気になるなら俺と一緒にタッグマッチ出てくれよ。」

 

「え?」

 

「決まってねぇんだろ?なら俺と出ようぜ。」

 

「うん…わかった…。」

 

「うし!じゃあ早速手伝うぜ!」

 

「わかった。」

 

2人はこうして校舎の中へと入っていった。

 

「やっぱり腹が立ちますわ…。」

 

「奇遇だな。私もだ…。」

 

「どうですラウラさん。ここは2人で共闘といきませんか?」

 

「それは良い案だ。嫁には一度ここらで威厳を出しておかねば。」

 

更にもう一組ペアが出来た。

 


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