黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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第15話

「それではこれから文化祭の出し物を決めたいと思います。」

 

「ハーイ!ハイハイハーイ!!一夏くん!ハーイ。」

 

「そ、それでは平子君…。」

 

ピキッ

 

拳西の額に青筋が立ち、持っていた端末が握り潰され、それを見た専用機持ちたちの顔が青くなる。

 

「そりゃメイド喫茶一択やろ!!1組にはかわええ子がこんなにおるんやから。当然そこを活かして行かなアカンやろ!」

 

「可愛いだなんて…。」

 

「もう、平子君ったらぁ♪」

 

「「「……。」」」

 

専用機持ち達と彼らから話を聞いた教師2人はあまりの変わりように呆然としていた。

 

「安心しいや。俺は嘘なんか言わへん。かわええ子の味方や!」

 

「それじゃあ平子くんの期待に応える為にもメイド喫茶にしましょうか!」

 

「「「はぁ〜い!」」」

 

「なら、私は衣装を作るわ!」

 

「それなら私は食器を!」

 

「じゃあ私は飾り付けを!!」

 

こうしてドンドンと役割が決まっていく。そして予定時間の半分で全てが決まった。

 

「で、では…。解散…。」

 

平子はご機嫌だ教室を去っていった。

 

「な、なんなんですの…?あの人は…。」

 

セシリアは専用機持ちの気持ちを代弁した。

 

 

 

 

 

 

拳西と平子はある道場で一夏と楯無が組み合っているのを覗いていた。

 

「どうや?拳西。」

 

「所詮は人間だ。いくらISってのに乗ろうが。俺たちには勝てねぇよ。始解すら必要ねぇ。」

 

「そう言ってんのとちゃうねん。あの青髪の嬢ちゃん。どうも場数踏んどるわ。あぁいう娘が怖いんわ実力やない。手段や。」

 

「手段だと?あの小娘になにが一体何ができる?」

 

「あの足運び。見たことあるやろ?」

 

「…隠密機動か。」

 

「そや、暗殺の動きや。浦原が警戒しとったわ。あの娘には千冬ちゃんと束っちゅう子が狙われてる事を聞かれんようにな。俺もこっち来てから何個か盗聴器壊してんねん。」

 

「あの娘がターゲット2人を殺すかもしれねぇってことか?」

 

「まだ可能性の話や。俺らはとにかく偽マユリの捕獲と、あいつの隠してることを暴くんが先決や。それに、キナ臭い情報も手に入れたで。」

 

「亡国機業って奴か。」

 

「拳西もつかんどったか。」

 

「あぁ、どこぞに入り込んでISを奪ったと聞いた。」

 

「ここに攻め込んで来るんも時間の問題やな。」

 

「とりあえず真子。お前は学園の外の調査を頼む。俺は中を担当する。」

 

「わかった。無茶しなや拳西。」

 

「わかってるっつの。」

 

そういい2人はそれぞれ別れた。

 

 

 

 

 

 

 

一護と、専用機持ち達は食堂に集まって座っていた。ラウラ以外の皆は平静を保って静観している。

 

「嫁よ!あいつらについて説明してくれ!!」

 

「落ち着けよラウラ。」

 

「落ち着けるものか!私達の誇りを死神たちは貶してばかりだ!先の十二番隊の隊長や、六車先生!もう我慢ならないぞ嫁よ!」

 

「ったくあいつらの事は話すから落ち着け。」

 

「本当だな?」

 

「あぁ、本当だ。」

 

「わかった。嫁がそういうのであれば落ち着こう。」

 

「で?まず何が知りたいんだ?」

 

「あいつらの情報だ!」

 

「だから具体的に言えって言ってんだ!!」

 

「ではまず。実力だ。」

 

「そうだなぁ、2人とも護廷十三隊の隊長になるだけはある。かなり強え。前に話したグリムジョーを覚えてるか?」

 

「あぁ、6番の…。」

 

「そうだ。あいつと俺が現世で戦った時俺はあいつにボロカスにやられた。その時平子に助けてもらったんだ。簡単にグリムジョーを抑えてた。それで拳西も平子と同じぐらいの強さを持ってるって聞いたぜ。」

 

「やはり、2人とも実力があるのは当然か。」

 

「それに、平子は藍染が五番隊の隊長になる前に隊長だったらしいしな。浦原さんの先輩らしい。拳西もな。」

 

「「「えっ!!?」」」

 

箒は不思議そうな顔をし、疑問を挟む。

 

「では、彼らはなぜ隊長職を一度離れたんだ?」

 

「さぁ、それは俺も聞いてねぇからわからねぇ。ただ、護廷十三隊の中で初めに藍染に疑いを持ったのは平子だ。」

 

「あの人が…。人を見る目があったのですね。」

 

「それは本人に聞かなきゃわかんねぇけど。俺のもう1人の師匠でもあるな。」

 

「一護の師匠?体型的に同じ戦い方をする様には見えないよ?」

 

「死神の体型はあんまりアテになんねぇけどな。戦い方は一応浦原さんから教わった。教わったというより叩き込まれたって感じかな。平子は、俺の持つ力の使い方をしてきてくれた。だからそういう意味では平子は師でもあるな。」

 

「へぇ、やっぱり浦原さんもあいつも凄いのね。普段はあんななのに。」

 

「能ある鷹は爪を隠すってやつじゃないか?」

 

「確かにそうかもしんねぇ。あいつ普段は副隊長とかの尻に敷かれてる奴だからよ。」

 

「うわぁ〜、すごく想像出来るわ。」

 

「なぁ〜に余計なことゆーてんねん。」

 

するとそこに平子が飲み物片手にやってきた。

 

「事実だろ?」

 

「いいや!それはちゃうで!隊長は部下をうまく使うてナンボや。」

 

「物は言いようですわね。」

 

「うわぁ!セシリアちゃんキッツイわぁ。優しくしてぇ〜シャルちゃ〜ん!」

 

「うわぁ!」

 

ボカッ!!!!

 

ガッシャーン!!!

 

「「「あっ…。」」」

 

「部分展開はやり過ぎだぞ!シャルロット!」

 

「ご、ごめん、つい…。」

 

「平気平気。取り敢えず戻ろうぜ。」

 

「う、うん。」

 

平子を残し皆がその場を去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文化祭当日。

 

「クソッなんでも俺が執事なんてやらなきゃなんねぇんだ…。」

 

「ええやん。似合うてるで、一護。」

 

「嬉しくねぇよ!」

 

「一護。」

 

平子は急に真面目な顔になり、一護の耳に口を寄せ小声で話す。

 

「この文化祭中、警戒を解くなや?俺ん考えが正しかったら、恐らく亡国機業って組織が仕掛けてくる。お前や俺は大丈夫やろ。たが、一夏はちゃうで。なるべく目離さんとき。」

 

「っ!わかった。」

 

そういい一護は気を引き締め再び執事業へと戻って行った。

 

「さぁて、俺は敵さんは敵さんを誘き寄せるとしますか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、織斑君に一護君。ちょうど良いところに。」

 

「更識さんじゃねぇか、久しぶりだなぁ、どうしたんだよ?」

 

「2人にお願いがあって…。」

 

そうして楯無に舞台の裏へ連れて行かれ、2人は衣装を渡される。

 

「なんですか?これ…。」

 

「さぁ、2人とも。き・が・え・て♡」

 

「く…。」

 

「仕方ない。一護着替えよう。」

 

そうして着替えた2人は導かれるままに舞台に立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「真子。見つけたか?」

 

「いや、奴さん上手く隠れてるみたいや。一応1人で歩き回ったけど、声掛来うへんかったわ。」

 

「そうなるとやはり織斑を狙ってるみたいだな。」

 

「あぁ、一護にも一応1人で歩かせたけど、声掛けて来うへんかったみたいやしな。亡国機業に偽マユリがおる可能性がコレでまた更に高まったのう。」

 

ドカン!!!!!

 

拳西と平子は2人で考えを話し合っていると、突然のの爆発音と地震が起きた。

 

「なんや?」

 

「チッ、襲撃者か。織斑の近くに虚の霊圧を感じるな。」

 

「あぁ!一護が側におらんやんけ!!あいつどこ行ってんねん!?」

 

「一護の野郎。全く反対方向にいやがる。馬鹿が。ん!?涅の偽物も来てるのか!?クソッそういうことか。偽マユリは一護に任せるとして俺らは。」

 

「外にもおるな。セシリアちゃんとラウラちゃんが近づいて行っとる。拳西!任せてええか?」

 

「チッ!面倒な奴らだ!」

 

2人はそう言いそれぞれの場所へと駆けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレはイギリスの…。」

 

「セシリア!気持ちは分かるがボサッとするな!」

 

「す、すみません。」

 

2人は顔の半分を虚の仮面て覆ったISを相手にしていた。

 

「く、このままでは……。グハッ!!」

 

「ラウラさん!!このっ!!」

 

セシリアは一斉射撃を行い、ラウラに近付いていたISを牽制する。しかし、相手のISはそれをすり抜けセシリアの背中に銃を押し付け発砲した。それによってセシリアのISが強制解除された。

 

「キャーー!!!!!」

 

「セシリア!!くっ、間に合わない…!!」

 

セシリアは真っ逆さまに落ちてゆく。

 

(ここまで…ですわね…。こんな風に死ぬなんて…。せめて一護さんに思いを伝えたかったですわ……。一護さん……。)

 

セシリアは目尻に涙を溜めて、目を瞑り。自分の死を悟った。だがいつまで経っても衝撃はこなかった。セシリアは目を徐々に開けていくと、誰かに抱えられているのを理解しする。

 

「い、一護…さん…?」

 

「悪いが一護じゃねぇ。」

 

「す、すみません!!」

 

セシリアは赤くなった顔を手で覆った。拳西は倒れているラウラの元へ向かい2人を抱えてから瞬歩で屋上まで行き2人を芝生の上に横たえた。

 

「クッ、貴様などに…助けられる…とはな。」

 

「チッ、それだけに元気なら心配いらねぇな。」

 

「あ、あの助けて頂き、有難うございます。」

 

「そんなものはどうだって良い。あいつの情報を教えろ。」

 

「あれは遠距離型で、名前をサイレント・ゼフィルス。遠隔操作のできる機体が積まれています。」

 

「遠距離型か、霊圧から見るに一護も押されてやがるな。遊びは無しだ。悪いが一瞬で片付けさせてもらう…。」

 

卍解 鐵拳断風

 

凄まじい風が拳西の周りを渦巻く。

 

「な、なんだ…?」

 

「く…。キャ!!」

 

「セシリア!」

 

ラウラはISを展開し、セシリアを抱きとめる。風が止み2人が拳西の方を見る。

 

「き、貴様……何だ…それは……。」

 

「天の…羽衣……。」

 

2人の言葉に反応を返さず、拳西は敵を見る。すると拳西の身体がブレ、一瞬で敵の目の前に拳を振りかぶり、相手を殴る。そうした瞬間。

 

空を覆い尽くす大爆発が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グハッ!!!」

 

「「「「一夏(くん)!!!!」」」」

 

「く…。」

 

「みんな!一夏君を連れて下がって!!」

 

「ですが!生徒会長が!!」

 

「大丈夫よ。お姉さんは学園最強だから、こんなところでやられたりしないわ。安心して退きなさい。」

 

「できません!!一夏は絶対にそんな事はしないわっ!」

 

「その通りだ。シャルロット。すまないが一夏を頼む。」

 

すると蜘蛛のような形をしたISが襲いかかってきた。

 

「みんな!あぶない!!」

 

シャルロットが叫ぶが、満身創痍の3人はロクに動けずに食らってしまう。

 

「みんな!!」

 

「く、くそ …。俺が動ければ…。」

 

一夏は自分の不甲斐なさを呪い、相手のISを睨みつける。そして吹き飛ばされた3人はシャルロットと一夏の元に転がり、ISを強制解除させられる。それを見たシャルロットは一夏を皆の側に横にならせ、1人で相手に向かっていく。

 

「おい!シャルロット!もどれ!!」

 

「1人じゃ無茶よ!」

 

「でも、誰かが戦わないといけないんだ…。なら僕がみんなを護ってみせる!!」

 

「よくゆーた。」

 

上から平子が飛んで来て、シャルロットと敵の間に立つ。

 

「「「「「平子((くん))!!?」」」」」

 

「みんなよう頑張った。あとは俺に任せとき。」

 

「待て平子!あいつは今までの奴と格が違うんだ!あいつの銃に撃たれたらその箇所が重くなるんだ!今は撤退しよう!」

 

「そういうこった!テメェはどっかに行きなぁ!!織斑一夏さえ渡せば命は保証してやるぜ?命だけはな!ギャハハハ!!!」

 

「ったく、難儀なやっちゃなぁ。こっち台詞やそれ。ねぇちゃん、もう退き。俺、女斬りたないねん。今なら見逃したる。」

 

「はぁ!?この舐めてんのかこの腐れカッパ!この仮面をみろ!知ってんだろ!?虚化だぁ!このオータム様に勝てる奴なんていねぇんだよ!!状況見てから言いやがれ!!」

 

オータムは8本の足で持っている銃を一斉に平子へ発砲する。

 

「チッ!交渉は決裂かいな!」

 

「そうだよぉ!!!あとはテメェが死ぬしかねぇんだ!!虚化って奴は気分が良いぜぇ…。力が…力が溢れてくる!!!」

 

「それ、無闇に使うんやめとき。お前んそれは虚化やない。ただ飲み込まれてるだけや。」

 

「それは、どういうことなの?平子くん。教えて欲しいんだけど。」

 

「簡単なことや。あいつの魂魄…つまり魂に虚が住み着いてる。その虚があいつの魂食ろうてんねん。」

 

「ハッ!!そんなこと知るかよ!!それが本当だって証拠がどこにある!?テメェが羨ましいだけまろうが!!」

 

「はぁ…。ホンマに難儀なやっちゃな。」

 

「どうした!?いきなり立ち止まりやがって。諦めたか?」

 

平子は手を空へ掲げる。すると白い何かが平子の手に集まり形を成す。

 

「これ、なーんや?」

 

「「「「「「「っ!!?」」」」」」

 

この場にいる全員の顔が凍りつく。

 

「なんだよ…。なんでテメェがそれ持ってる!!答えろ!!!」

 

「ひ、平子…。それは……?

 

「見てわかるやろ?虚の仮面や。安心し、これは使わんといてやるわ。」

 

そう言い平子は仮面を握りつぶす。

 

「てめぇ…。」

 

「そない怖い顔したら、美人が台無しや。」

 

「うるせぇ!!お前はここで殺す!絶対に殺おおおおおおす!!!!!」

 

「ヒスっとる女はこれだから嫌やねん。」

 

「なめてんじゃ……何だ?甘い匂い…?」

 

「本当だ…なんだこれは?」

 

「よーやく届いたか。」

 

「てめぇ!!いや、アイツ等にも届いてるってことは毒じゃないか…。てめぇなんだこれは!?」

 

「すぐににわかるで?」

 

倒れろ 逆撫

 

その瞬間この場にいる全ての人間の視界が反転した。

 

 


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