黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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なんかグダグダになってしまった


第13話

二人の涅マユリが向かい合っていた。

 

「コノ仮面ガ何ナノカダト? 見テ分カランノカネ?」

 

「全く分からないネ。そんなものに頼るとは愚かしいものダヨ。偽物風情がこの私に勝てると思っているのかネ?」

 

「虚化デキナイ貴様ガ、私ニ勝テルト思ッテイルノカネ?」

 

「試してみるかネ?偽物ヨ。掻き毟れ 疋殺地蔵。」

 

「面白イ。スグニ終ワラセテヤロウ。掻キ毟レ 疋殺地蔵。」

 

十二の文字を背負うマユリは黄色く禍々しい3つに分かれた剣を持っており、虚の仮面を被った方のマユリは紫色で先っぽの方が鎌のように曲がった斬魄刀を持っていた。

 

「ほう、面白いネ。貴様も改造に行き着いたのか。いや、実に面白いヨ。黒崎一護の容態を見るにその刀も私と同じ毒が仕込んであると見て良いようだネ。」

 

「同ジ毒ヲ使ッテイルトハ思ワナイコトダ。」

 

「当たり前だ!君の頭脳は110年前とは言え私のモノを使っているのだヨ?その程度の事すら思いつかないのであれば、実験体にするまでもなく、粉々に切り刻んでいたヨ!!」

 

「フン、ソレハ私ノセリフダヨ。」

 

「それでは、私自身の作品を自己採点といこうかネ」

 

そう言い偽物と本物は霊圧を解放し、互いに斬り合う。二合、三合と刀を合わせて行き、偽物の隙を突き、本物が腕を伸ばし偽物の首を掴む。偽物はそれをすかさず切り落とし、耳の飾りを外し中から出てきた小さい鎌を回転させながら3本投げる。本物は二本を弾き飛ばし一本を先ほど切断された手を拾い、それで防いだ。すると防御に使った手が紫に変色し、溶けていった。

 

「ドウダネ?私ノ作ッタ毒ノ味ハ。実ニ美味ダロウ?」

 

「人体を溶かす薬品か…。全くもって芸がないネ。決めたヨ。君はここで死にたまえ…。なにをグズグズしているのかネ?製作者である私が死ねと言っているのだから早く死にたまえヨ。」

 

その戦いを見ていた千冬達が反応をする。

 

「凄い戦い戦いですね…。ISを使わずあんなに速く…。それに腕をなんの躊躇もなく切り落としたり、耳の中から鎌を取り出したり。死神というのはあんなに出鱈目なのでしょうか…。」

 

「いや、アレはあの人が特別なだけだ…。」

 

「なんて勝手な奴だ…科学者という人種はアレが普通なのか…?」

 

 

 

「それに…。貴様のつけているその虚の仮面…。完全に御しきれてはいないようだネ。…いや、それは制御ではなく、暴走かネ?」

 

「ッ!!」

 

「どうやら図星のようだネ。幾ら私の頭脳を持っていようが体は所詮は義骸。老いる事は無いが、それ故に成長が無い…。どれほど足掻こうがもう結果は見えている。それに…その虚の仮面は藍染惣右介によるものだネ…。全く無様だヨ…。貴様、私から逃げ出した日、に捕まったネ!。翌日に藍染惣右介に会ったとき、通りであの気に入らない顔が驚いていた訳だヨ。虚化の実験を行った人物が翌日に何事もなかったかのように出歩いていたら、それは確かに驚くだろうネ。私としたことが平子真子を避けていたから気付かなかったヨ。」

 

するとそのタイミングで浦原や一夏達が帰ってきた。

 

「何だ!?あいつ!」

 

「い、一護さん!?目が覚めたのですね!」

 

「嫁!大事ないか!?」

 

「落ち着け2人とも!!油断するな。」

 

千冬は舞い上がった2人を叱責する。

 

「福音の次はコレってわけね…。」

 

「こいつが黒幕なのか!?」

 

「そうみたいだね…。皆!油断しちゃダメだよ!」

 

「チッ、ユックリトシ過ギタカ…。」

 

偽物は己が失策に顔を顰める。

 

「涅さんっスね。どうもあなたにとっては110年ぶりッスね。その仮面……なるほど…、そういうことですが。大体の事は把握しました…。ですが解せませんねぇ…。貴方は何故ISという。ぶっちゃけ回りくどいものを使ってるんスか?」

 

「何故カ?ダト?ソンナモノハ当然実験ダヨ。オ前タチノ知ッテイルヨウニ、コノ身ハ義骸ダ…。ダカラコソ私ガ入ルニ相応シイ体探シテイタ。」

 

「探していた。という事は見つけたんスね?その体を。」

 

「アァ。確カニ今ノ体ヨリハ両方トモ性能ハ落チル。シカシ、人間ニシテハ中々ノモノだ。」

 

「なるほど…。そういうことでしたか。貴方の狙いは…織斑千冬さんと…篠ノ之束さんッスね。ISを使っていたのはそのためでしたか…。」

 

「「「なにっ!?」」」

 

浦原とマユリ以外の全員が驚愕した。

 

「ソノ通リダ。流石ダヨ、浦原喜助。ソウ。私ノ狙イハソコノ女ダ。篠ノ乃束ハモウ既ニ私ノ手ノ中ダ。」

 

「束さんが手の中ってどういうことだよ!!」

 

「ドウイウ事モ何モ、アレハ随分前カラ私ノモノダヨ。脳モ肉体モ高性能ダ。シカシ、肉体ノ性能ハ織斑千冬ノ方ガ上ダ。ナラバスル事ハ1ツ。」

 

「束さんの脳髄を千冬さんに入れる…ってことッスか。」

 

「「「なっ!!?」」」

 

「ソノ通リダヨ、浦原喜助!!全クモッテ素晴ラシイネ!篠ノ乃束ト織斑千冬ハ人間ニシテハ最高品質ダ。ソレガ私好ミニ育ツマデ待ッテイタノダヨ。ソシテ、機ハ熟シタ…。今日ハ織斑千冬ヲ頂コウカト思ッタノダガネ。マサカ、御前達ガ居ルトハ思ワナカッタヨ。」

 

「そうですか…。ですがそれはあくまでも人間にしてはッス。いくらそのお二人でも、老いにには勝てないッスよ。」

 

「ソンナコトハ分カッテイルヨ。ダガ良イモノガアルジャナイカ。」

 

「良いもの…まさかっ!?」

 

「どうしたんだよ!浦原さん。」

 

「前にお話ししましたね。霊子と器子を入れ替える装置の事を…。」

 

「まさか!?ISのコア!?」.

 

「ソンナ玩具デハ無理ダヨ。タダ、モット大掛カリナモノダヨ。ソレハ既ニ完成シテイル。後ハソイツヲ手ニ入レルダケナノダガ…。今ハ些カ分ガ悪イネ。引カセテモラウヨ。」

 

そう言い虚のマユリは逃げようとする。

 

「紅姫!」

 

即座に浦原が斬撃を飛ばす。しかしそこ虚のマユリの姿は消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆の傷の治療が終えた後、皆が集まった。千冬が浦原達に

質問する。

 

「あいつは何者なんだ。」

 

「アレは涅隊長のコピーです。」

 

「そいつのコピー?」

 

「あぁ、そうだヨ。素体は私の足元にも及ばないゴミだヨ。だが、虚化は厄介だネ。」

 

「何だ、その虚化とは。」

 

「虚化とは、死神が虚の領域に足を踏み入れ、限界を突破する事ッス。コレはアタシらには少し分が悪いッスね。」

 

「虚の領域に…足を踏み入れる………。」

 

皆が息を飲み、背中に冷たい汗をかく。今まで自分たちを脅かしてきた存在に足を踏み入れる、ということを考えた途端にとても恐ろしい気持ちを皆が抱いた。

 

「で、でも、浦原さんあんなに強かったのに、それでもダメなの?」

 

「少し厳しいッスね。コピーされた当時のままの副隊長クラスでしたらなんの問題もなかったんスけど。虚化した事によってその力は隊長クラスです。それに涅隊長というのも厄介ッスね。涅隊長の武器は戦闘力ではなく、手数の多さです。」

 

「この人はそんなに凄いのか?」

 

箒が疑問を口にする。

 

「私は兵士ではなく科学者だ。そんな事はどうでも良いネ。霊圧の採取も終わったことだし、私は尸魂界に戻るとするヨ。」

 

「「「なっ!?」」」

 

皆がマユリの言葉に驚く。

 

「アンタねぇ!!自分のコピーならアンタが片付けなさいよ!!」

 

「黙れヨ小娘。私には関係のない事だ。やるべき事はやり終えた。」

 

「アタシも一旦戻らねばなりませんね。」

 

「浦原さんも!?どうして!?」

 

「私は尸魂界に報告しなければなりません。今回の件は、他の隊長たちの方が適任です。ですが、あまり多くは連れてこれないでしょう。隊長1人が限界ですね。」

 

「そうか…、では頼むぞ浦原。」

 

千冬がそう言い、専用機持ちたちは自分たちのトップの判断を聞き、言いたい事を飲み込み、気持ちを抑える。

 

「はい、わかりました、お任せ下さい。大丈夫ッスよ、黒崎さんがいますので…。」

 

「あぁ、任せてくれ。」

 

「ふむ、頼りにしているぞ嫁よ。」

 

「そうですわ、頼りにしています。」

 

「……。」

 

「何だよ浦原さん…。」

 

「いえ、別に。一護さんに夫が出来たなんて一心さんには言いませんから安心してください♪」

 

「う、浦原さん!?ちょ、ちょっと待って!!ちょ〜〜〜!!!!」

 

「それではまた。」

 

そう言い浦原とマユリとネムは消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

専用機持ちたちは1つの部屋に集まり先ほどのことを話していた。

 

「なんなのあのピエロ!!本当にムカつく!!殴り損ねたぁ〜!!!」

 

「落ち着けよ鈴。今はこれからどうするかだぜ?」

 

「その通りだ。私達はこれから虚についての対策を考えなければならん。」

 

「一護さんは何かありますか?」

 

「別にそんなに心配すんなよ。大丈夫。俺が絶対何とかしてやるからよ。それに浦原さんだっているしよ。」

 

「ねぇ一護。浦原さんって死神の中でどれぐらいすごい人なの?」

 

「浦原さんか?あの人は相当スゲェよ。あの人は前十二番隊隊長かつ技術開発局局長だったからな。」

 

「「「えっ!!!」」」

 

「そんなにすごい人なの!?」

 

「でも、技術開発局なのに何であんなに強いわけ?」

 

「護廷十三隊の隊長になるには試験があってよ。その時の隊長たちに認められない限りなれないもんなんだ。」

 

「あんな腑抜けたような男がか…。人は見かけで判断できんな。」

 

「護廷十三隊は基本実力主義だからな。」

 

「ならさ、一護はどれぐらい偉いんだ?そんだけ強いんだから結構な地位なんじゃないのか?」

 

「確かに。一護さんはとてもお強いですしね。」

 

「そうだな、嫁はかなり強いからな。」

 

「悪いけど、俺にそんな大層な肩書きは無いぜ。」

 

一護は皆の期待の眼差しを受けながら苦笑して答える。

 

「そうなの!?意外だなぁ、一護だって凄く強いのに。」

 

「俺は死神代行だからな。役職はつかないんだ。」

 

「死神代行?」

 

皆が首を傾げる。

 

「あぁ、俺は普通に人間として生きてるからな。死神はいわゆる副業って感じかな。」

 

「なら、一護は俺たちと同じ世代なのか!?」

 

「そうだけどよ。何驚いてんだ。」

 

「いや、だってさ、浦原さんや、隊長の人とか110年前とか普通に言ってたからさ。一護も実はかなり年上かなって思ってたんだよ。」

 

「「「そういえば…。」」」

 

皆が納得する。

 

「俺は一応年上だぜ?本来は高三だからな。」

 

「「「えっ!!?」」」

 

「何だ気付かなかったのか。」

 

「通りで少し大人っぽいと思ったわ。」

 

「えっと…なら一護さんって呼んだ方が良いのかな…?」

 

「そんなの気にすんなよ。今まで通りで良いぜ。」

 

「もちろん、私は今まで通り嫁と呼ぶ。」

 

「おめえはその呼び方を直せ。」

 

「わ、私も一護さんが年上だからといって変わったりしませんわ!」

 

「あぁ、ありがとな。セシリア。」

 

「は、はいぃ…。」

 

セシリアは赤い顔を手で覆った。

 

「死神になったのは2年前、つまりお前らと同い年のころだ。」

 

「ということは…、お前は私達と同じ頃からあんな戦いに身を投じているのか……?」

 

箒のその言葉に皆が固まった。

 

「そういうことだな。って、どうしたんだよ皆。」

 

「い、いや、そう考えると。一護って凄いんだね…。」

 

「確かに、そう考えるとアンタってアタシ達よりも相当危険な目にあってるわね。」

 

「確かに、嫁を危険に晒すとは…。夫失格だ…。」

 

「一護さん…申し訳ありません…。貴方に頼り切っていましたわ…。」

 

「悪い、一護。」

 

皆が一様に沈んだ。

 

「気にすんなって。俺は平気だからよ。」

 

「いや!気にしますわ!あんなに危ない目に今まで会っていたなんて。」

 

「そうだぞ!嫁はにはあまり無理はし無いでほしい。」

 

「同い年の頃から世界の為に戦ってるなんて、一護はもっと僕達をたよってよ!」

 

「落ち着けっておまえら。それに俺は初めの頃は寧ろ悪者だったんだぜ?」

 

「「「えっ!?」」」

 

一護の言葉が意外なもので、皆が呆然とした。

 

「実は昔、俺の家族が虚に襲われててよ。初めはなんの力も持ってなかったから、何も出来なかったんだ。だけどそん時にルキアって死神が俺に力をくれてよ。」

 

「ルキアさんって…一護さんが言っていた…。」

 

「あぁ、俺が尊敬してる奴だ。それでその時は虚を倒して家族を助けられたんだけどよ。本来死神が人間に力を与えるってのは世界の危機にでも陥らない限り禁止されてんだ。だけどルキアは俺の家族を助けるために俺に力をくれた。でも、やっぱり尸魂界にそれがバレてよ。ルキアが処刑されることになったんだよ。」

 

「だ、大丈夫だったのか!?そのルキアという人は。」

 

「あぁ、浦原さんや俺の仲間たちが力を貸してくれてよ。4人で尸魂界に乗り込んで、助けたんだ。その時尸魂界にも色々と事件があってさ。あっちの隊長や副隊長が何人か力を貸してくれて、なんとかって感じだな。」

 

「アンタなんで無茶してんのよ!」

 

「今思えば確かにな。」

 

「他にもそういう話ってないのか!?」

 

「何生き生きしてるんだよ箒。」

 

「あ、いや、すまない。武士の血が騒いでしまった。確かに不謹慎だったな…。」

 

「気にすんなよ。そうだな、破面って奴らの話はどうだ?」

 

「破面?なんだそれは?」

 

「さっき虚化の話をしただろ?」

 

「あぁ、死神が虚になるってやつか?」

 

「あぁ、正確には虚の仮面を被って死神の限界を超えるってやつなんだけどよ。破面はその逆なんだ。」

 

「逆と言いますと、虚が死神の領域に足を踏み入れるってことですか?」

 

「あぁ、虚が仮面を破り、死神の力を手に入れる。それが破面。さっき話したルキアの処刑の話があっただろ?それは実は当時の五番隊の隊長。藍染惣右介って奴が崩玉っていう、周りの願い取り込み叶えるっていう反則の道具を得る為に起こしたことでよ。」

 

「周りの願いを取り込み叶える…。チートね、そんなもの作れるなんて。」

 

「ちなみに、それ作ったの浦原さんだからな。」

 

「「「えぇ!!!?」」」

 

皆が驚きの声をあげる。

 

「全く、ふざけた奴だなあいつは。」

 

「まぁ、それで、藍染が崩玉を奪って他の隊長、九番隊隊長の東仙要ってやつと。三番隊隊長の市丸ギンって奴らとともに虚の本拠地、虚圏へいったんだ。」

 

「それって死神で言う尸魂界みたいなものか?」

 

「あぁ、藍染はそこで自分の城、虚夜宮を作って虚を部下にしていったんだ。」

 

「虚を部下に!?何者なのそいつ!!」

 

「とんでもねぇ力を持った死神だ。死神としての実力はかなりのものだ。俺が尸魂界に乗り込んだときは俺の本気の斬撃を指一本で止められて、気付いたら身体中斬りつけられてたしよ。」

 

「一護さんがそんな…。」

 

「それで藍染は部下にした虚を崩玉の力で破面にしてよ。バケモン揃いの集団になって尸魂界と現世で全面戦争になったんだよ。」

 

「現世で…せ、戦争…。」

 

「虚にも種類があってよ。俺たちが戦ってるのはギリアンって言って最下級の虚、だけどその上にアジューカス、そして更に上にヴァストローデってのがいてよ。アジューカスはなんとか戦えるけど、ヴァストローデは護廷十三隊の隊長よりも強いって言われてる。」

 

「た、隊長よりも…?」

 

「あぁ、それが破面になるんだ。スゲェ強かった。」

 

「一護はやっぱりその戦争に参加したの?」

 

「いや、俺はその戦いが始まる前に敵の本拠地の虚夜宮に乗り込んでたんだ。」

 

「いきなり本拠地だと!?何を考えているんだ嫁は!!」

 

「お、怒るなよ。仕方なかったんだって。仲間が1人連れ去られてよ。助けに行かなきゃならなかったんだ。」

 

「再び人助けか…。一護は誰かを助けてばかりだな。」

 

「そうですわね。」

 

「まぁ、確かにそうかもしれねぇな。それで、本拠地に向かったら。そこには十刃って奴らがいてよ。」

 

「十刃?スペイン語だね。」

 

「あぁ、そいつらは破面のトップ10の奴らで体の何処かに1から10の刺青が彫ってあってよ。全員がヴァストローデ級の強さを持ってんだ。そして、そいつらと戦うことになった。それで俺が戦った奴ら4人いるんだ。まずはセスタ・セスパーダのグリムジョー・ジャガージャック。そいつとはかなりギリギリだけどなんとか勝ったんだ。井上って奴が応援してくれてよ。勝たなくても良いから、もう怪我すんなって。」

 

「井上…嫁よそれは女だな。」

 

「そうでしたの。おほほほほほ。」

 

「ま、待て!なんだ。落ち着け!!」

 

 

「落ち着いたか?お前たち。」

 

「す、すまない。」

 

「申し訳ありません…。」

 

「よし、一護続きを話してくれよ。」

 

「あ、あぁ、それでグリムジョー倒した直後にクイント・エスパーダのノイトラ・ジルガって奴に襲われてよ。絶体絶命だった時に十一番隊隊長の更木剣八ってやつに助けられてよ。剣八がノイトラを倒して、井上が治療をしようと剣八に駆け寄ったその時にいきなり他の十刃の奴が現れてまた連れ去られちまってよ。」

 

「確かに、一護たちの瞬歩ってやつを使ったら大抵は一瞬で攫われちゃうかもね…。」

 

「あぁ、俺も剣八も戦い直後で気ぃ抜いちまってよ。それで、また井上を救うために虚夜宮の奥に進んでいったら。そこには藍染じゃなくて、クアトロ・エスパーダのウルキオラ・シファーがいたんだ。」

 

「藍染って人は何処へ行ったの?」

 

「現世だ。」

 

「「「えっ!?」」」

 

「それが藍染の狙いだったんだ。俺の仲間を虚夜宮へ連れ去り、俺を助けに来させ、俺を助けに来る護廷十三隊の隊長格を現世と虚圏の道を閉じる事によって幽閉することが。」

 

「敵はかなりの策士のようだ。嫁の人間性まで把握し利用するとは。」

 

「そん時に助けてくれたのが、十二番隊隊長の涅マユリ。」

 

「あのピエロが!!?」

 

「現世と虚圏を繋ぐ道をガルガンタっていうんだけよ。それを解析して、また繋げてくれたんだ。そのお陰で俺は現世に行くことが出来たんだ。」

 

「他の隊長たちは?行かなかったの??」

 

「まだ戦闘中だったんだ。最強の十刃。セロ・エスパーダ。ヤミー・リヤルゴ。」

 

「0番ですって?なによそいつ!数字は1から10じゃなかったの!?」

 

「あぁ、俺も思ったけどよ、そいつは帰刃すると数字が変わって体も馬鹿でかくなるんだ。」

 

「帰刃?」

 

「あぁ、つまりは虚が破面になるとき、自分の力の核を刀に封じ込めて人型になるんだ。それを解放して、本来の姿になる。それが帰刃だ。」

 

「解放…僕達でいうセカンドシフトみたいなものかな。」

 

「そうだな、それ近いかもしれねぇ。現世に行った藍染と、他2人の元隊長。それとプリメーラ、セグンダ、トレスの十刃が俺が行った時には既に残ってるのが藍染と市丸だけだった。しかも、こっちは重傷者はいたけど、死者数は0だった。」

 

「なんだ、やっぱりスゲェじゃん護廷十三隊って!」

 

「あぁ、あの人達は相当強え。だけど、そっから戦況が変わった。藍染1人に全滅させられたんだ。」

 

「ぜ、全滅!!??」

 

「どうして!!?」

 

「鏡花水月。それが藍染の斬魄刀。一度でも解放する瞬間をみた者を完全催眠に陥れる。」

 

「完全…催眠…。」

 

「本人が言うには沼地を花畑に見せることも、ハエを龍に見せる事も出来る。そう言ってた。」

 

「それでやられたんですの?」

 

「いや…それは1つの要因に過ぎなかった。初めは俺たちが押していた。いや、押しているように見えた。皆が協力して、藍染を圧倒し、遂にはその胸に剣を突き立て、誰もが倒したと思っていた…。」

 

「死ななかったのか!?」

 

「いや、藍染が鏡花水月を解いた瞬間、今まで藍染だと思ってたやつがいきなり女に変わったんだ。その人は、藍染が五番隊隊長のときの副官だった。」

 

「じ、自分の元部下を…。」

 

「許せねぇ…。そんな外道がいたなんて…。」

 

「そこから崩れたんだ。確かに藍染の鏡花水月はかなり強力だ。だけど、藍染は鏡花水月に頼っていたわけじゃない。もし藍染が鏡花水月しか持ちえないなら、あの虚たち、ましてや更に力を得た破面が従うはずがない。確かに藍染を殺したがってるやつもいたけど、組織として成り立ってたのは藍染がただただ強かったから。鏡花水月を解いた藍染は1人ずつ確実に人数を減らしていった。」

 

「い、一護は、どうなったのだ…?」

 

「俺は最後の最後まで残った。いや、残らされたって言った方が良いか…。そこから追い詰められてたところに親父や浦原さん、それと夜一さんっていう人が助けてくれた。けど、それでも止められずに負けたんだ。」

 

「負けた!?それじゃああんた達はどうなったのよ?」

 

「見逃されたんだ…。藍染は崩玉と融合していて、倒す事は出来なかったんだ。それで俺は1度心が折れた。だけどそのあと、親父が背中を押してくれてよ。そこからもう一度藍染たちと戦う為に断界ってところを通ったんだ。その断界は外と時間の流れが違ってよ。その中は外よりも時間の進みが早いんだ。だからそこで修行をして、力を手にしてから藍染と戦って倒したんだ。」

 

「時間が早いってどれくらいなの?」

 

「どのくらいだっけかな。俺が3ヶ月その中にいたけどな。でも外の藍染たちはそんなに時間が経ってなさそうだったぜ。」

 

「はぁ!?アンタたった3ヶ月で護廷十三隊全滅させたような奴に勝てる程強くなったわけ!!?」

 

「まぁ、なんていうか俺が斬魄刀になったんだよ。」

 

「え!?どういうことですの?」

 

「俺の使う月牙天衝の更に上の月牙天衝。名前は無月。それを使ったんだ。自分の死神の能力と引き換えにしてな。」

 

「力を失ったということか…?」

 

「あぁ、それでも藍染は倒せなかったんだ。相当弱らせたけどな。」

 

「どこまで化け物なのだ、そいつは。」

 

「あぁ、俺もダメかと思った時に封印の術式が発動したんだ。」

 

「封印?誰がやったんだよ?」

 

「浦原さんだ。藍染が親父と夜一さんと浦原と戦ってる時に撃ち込んだって言ってたな。」

 

「あの人か…。本当に凄いな…。」

 

「それで、一件落着ってわけだ。」

 

「やはり、嫁は危険な目にばかりあっているな…。」

 

「そうですわね…。」

 

「だから大丈夫だって。それよりも明日…っていってももう日を跨いでるから今日か。帰ることになってるんだから少しでも寝た方が良いだろ?」

 

「そうだなそうするか。それじゃあ部屋に戻ることにするよ。それじゃあ後でな一護。」

 

「あぁ、また後でな。」

 

そしてぞろぞろと人が戻っていった。だが、しばらくするとラウラとセシリアが戻ってきた。

 

「ん?どうした?」

 

「いや、貴様は私の嫁なのだから共に寝るべきだと思ってな。」

 

「待って下さいラウラさん!学生でそんな事は許されませんわ。私は見張りとして来ただけですのよ。」

 

「見張りは要らん。帰れ。」

 

「駄目ですわ。寧ろ私が疲れた一護さんを癒して差し上げます!ラウラさんこそお帰りになったらどうですか?」

 

「ぐぬぬぬ」

 

「ぎぎぎぎ」

 

「落ち着けよ2人とも。別にここで寝ても良いからよ。」

 

「「本当か(ですか)!!!?」」

 

「あ、あぁ。静かに寝ろよ。」

 

そう言い一護は布団へ入り、すぐに眠りについた。

 

朝になり起きると何故か2人が一護の布団に入り込んでおり、両腕が痺れて暫く動かなかった。


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