黒崎一護 異世界へ   作:妃宮千早

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第12話

「一夏…。」

 

一夏は今、複音にやられたことによって箒に連れ帰られ、布団の中で眠っており、箒が側についていた。そして、他の専用機持ちは縁側に並んで座ってお互いに話していた。

 

「なんで…。こんな時に限って一護がどこにもいないのよ!!」

 

「そのようなことを言っても仕方がないですわ…。」

 

「その通りだ。今は教官の指示通り待機し、情報が入るのを待つべきだ。」

 

「それにしても、一護はどこに行ったんだろうね…。」

 

どこの部屋を探しても一護はおらず。千冬にきいても知らないの一言だった。

 

「確かにあいつの力があれば今回の作戦は可能だったのかもしれんな…。」

 

「こうなったら一護を探して、協力してくれるように頼まない?」

 

「確かにここで待ってても意味ないもんね。セシリアは?」

 

「…。私も…私も探します!!」

 

「それじゃあ、探しに行こうか!」

 

「待てお前たち!教官は待機と行っていたはずだ!」

 

「ならアンタはそこで待ってなさいよ!」

 

そういい三人はラウラを残し走り去っていった。

 

「私は…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

三人は森の中を走っていたが一向に一護は見つからなかった

 

「ここにはいないようですわね…。」

 

「もう!どこにいるのよ!!」

 

「一度戻ったほうがいいと思う。」

 

「そうね、二人とも一度旅館に戻るわよ。」

 

「一護さん…、一体どこに…。」

 

三人が戻るとラウラが一護を背負っているのを発見した。

 

「「「一護(さん)!!!!」」」

 

「お前たちか…丁度いい…てつだえ……。」

 

額に汗を流しながらラウラは一護を背負って運んでいた。三人が一護を協力して持ち、千冬のもとへ運んだ。

 

「貴様ら…指示を…。」

 

「すみません!!その件は後でいかなる罰も受けます!」

 

「まぁいい、それでなぜコイツは気絶しているんだ。」

 

「それは僕たちも…ラウラどうなってるか知ってる?」

 

「いや、私が駆けつけた時には既に倒れていたんだ。何度呼びかけても揺すっても全く反応を起こさないんだ。」

 

「一護さん…。」

 

「この腕の傷…黒崎に何かあったのは間違いないな。」

 

すると真耶が慌てた様子で部屋に入って来た。

 

「お、織斑先生!!この間のモニターに写っていた帽子の男性がいらしています!!!」

 

「なに!?浦原というやつか…通せ!」

 

「わ、分かりました!」

 

そういい再び真耶は駆けていった。そして浦原と白い羽織を羽織っている妙な化粧をしている人物とその後ろに控えている丈の短い和服を着ている女声が入って来た。

 

「いやぁ~、どうも皆さんお久しぶりっス!」

 

「おい、貴様そいつらは誰だ?」

 

「初対面にソイツ呼ばわりとはネ、全く無礼な小娘ダヨ。」

 

千冬はムッとした表情をし、説明を求めるように浦原へと視線を向けた。

 

「彼は護廷十三隊十二番隊隊長兼技術開発局局長の涅マユリです。」

 

「護廷十三隊?何だそれは?」

 

「アレ?黒崎さんから聞いてないッスか?護廷十三隊とは世界のバランスを担うバランサー。いわゆる死神による巨大な組織のことです。その組織形態は大まか分けると十三の隊に分かれてるんス。彼はその中の十二番隊の隊長です。」

 

「へぇ、そのピエロみたいなやつってそんなにすごいんだ。」

 

「ホウ、余程死にたいと見えるネ、小娘。」

 

「まぁまぁまぁ、落ち着いて下さい。涅隊長。」

 

「チッ、さっさと要件を済ませ給エヨ。」

 

「ハイ、スミマセン。それで?状況はどうなってるんスか?」

 

そして千冬は今福音という機体が暴走していることと、一護が原因不明で倒れていることを伝えた。

 

「そうっスか、黒崎さんが…。」

 

「涅隊長、黒崎さんをお願いしても?アタシよりも涅隊長の方が適任でしょう。」

 

「貴様はどうするつもりダ?浦原喜助。」

 

「アタシはみなさんのお手伝いをしましょう。その箒さんという方を連れてきていただけますか?アタシがISというものを直しましょう。」

 

「な、そんなことできるのですか!?」

 

「あなたは黒崎さんと同室だった…」

 

「セシリア オルコットですわ。」

 

「セシリアさんッスね。はい、ISのという機械の構造、材質、全てを解析しました。材料さえ揃えば今すぐにでも作ることは可能です。これから箒さんという方と、織斑一夏さんの紅椿と白式をその福音が倒せるように改造します。」

 

「簡単に許可はできんな。」

 

「ヤレヤレ、これだから小娘は好かんのダヨ。物事を大局的に見たまえヨ。私達がそんなゴミの塊のような機械で何かすると思うのかネ?」

 

千冬は再び表情をしかめたが感情を抑え冷静さを瞬時に取り戻した。

 

「アンタ!!アタシたちの…アタシ達の誇りをゴミ呼ばわりしたわね!!良いわ!そんなに死にたいなら今ここで殺してあげる!!」

 

「鈴!!だめだよ!」

 

「落ち着け!。だが私とてその言葉は見逃せん、作戦を終えたら覚悟してもらおうか。」

 

「お前たち!優先順位を見失うな!浦原、すぐに頼む。ある材料は全て使って構わん。」

 

「分かりました。では早速取り掛かります。」

 

「では、私も始めるとするかネ。ネム、もうひとりの小僧も治しに行け。」

 

「分かりました。マユリ様。」

 

そう言ってネムは部屋を出ていった。

 

「さて、まずは検診。フム、これは毒だネ。」

 

「毒ですか?一護は治るんですか!?」

 

「誰にモノを言っているのかネ?小娘が口を出すんじゃナイヨ!!」

 

「す、すみません…。」

 

「ちょっと!アンタ!女の子には優しくしなさいよ!」

 

「黙りたまエ。」

 

するとマユリはいきなり黙り込み持ち込んだ機械の液晶を高速でタイピングし始めた。

 

「は、速い…。」

 

するとその怪しげな機械から煙を出しながら注射器が出てきた。そしてマユリはそれを一護へ打ち込む。

 

「コレで、黒崎一護はしばらくすれば目を覚ます。それまで放って置きたまエ。」

 

「良かったですわ…。」

 

「あぁ、本当に良かった…。」

 

セシリアとラウラは一護に抱きついた。

 

「フン、マセガキどもガ…。」

 

そこにネムが帰ってきて、その後ろに一夏が立っていた。

 

「「一夏!!」

 

「一夏さん、怪我は治りましたの?」

 

「あぁ、この人いが直してくれた。それより俺の白式を知らないか?どこにあるかわからないんだけど。」

 

「浦原が直している。」

 

「あの人来てるのか!?」

 

「一夏、浦原とは誰だ?」

 

箒が一夏に質問する。

 

「それはそこの本職の人に説明してもらおうか。」

 

千冬がマユリに目を向ける。

 

「フン、貴様らに話すことなどない。ネム、お前が説明しろ。」

 

「ですが、現世の人間に…」

 

ドカッ!!!

 

マユリがネムを殴り飛ばす。

 

「私がやれと言ってるんダヨ!!!さっさとしろ!!!!」

 

「あ、アンタ!もう許せない!仲間に何してんのよ!」

 

「ナニ?笑わせてくれるな小娘。」

 

マユリ心底おかしそうに顔をにやけさせる。

 

「コレは私の道具ダ。どう使おうが私の勝手ではないかネ?」

 

「アンタァ!!」

 

鈴音はマユリへ殴りかかるが、それをネムに止められる。

 

「あ、あなた!?」

 

「マユリ様に危害を加えるのはよしてください。」

 

「そこまでにしろ!では、ネムとやら、箒に説明を頼む。」

 

ネムはマユリに伺い、マユリが許可してから説明する。そしてすべてを話し終えるとマユリの背後に佇む。

 

「そんなことが……。では一護はそいつにやられたのか?」

 

「それはまだ不明だ。」

 

するとそこに浦原がそこへ戻ってくる。

 

「もう終わりましたの!?」

 

「ハイ、ですが紅椿はほとんどいじる箇所がないほど完成されていましたので、最適化しただけです。白式はひとつだけ改造しました。ですが変わったのは速度だけです。白式は紅椿と同じ程度、紅椿はエネルギー消費が少し減る程度でしか改造できませんでした。」

 

「いや、十分だ。織斑!」

 

「わかった。ありがとうございます。浦原さん。」

 

「いいえぇ。良いんス、良いんス。それでは頑張ってくださいねぇ。」

 

「それでは、二度目の作戦を開始する。福音は先の場所から動いていない。作戦は全員で当たる。敵は止まっている。ならばエネルギーの消費を最小にしていけ。」

 

「「「「「「はいっ!!!」」」」」」

 

そうして一護以外専用機持ち全員が準備をし、福音のもとへ向かっていった。そうして部屋には千冬と真耶と数人の教諭、そして浦原喜助と涅マユリだけが残った。

 

「さてぇ、では、涅隊長。黒崎さんは一体どうしたんスか?」

 

「…黒崎一護の体から、あるものが採取された。」

 

「あるものッスか…?それは?」

 

「疋殺地蔵の毒ダヨ。」

 

「!?どういうことッスか?」

 

「さぁネ、私が知りたいぐらいだヨ。」

 

「う、う……。」

 

「! 黒崎さん!気付きましたか?」

 

「あ、あぁ…そうだ!!あいつは!」

 

「落ち着いて下さい黒崎さん。誰にやられたか見ましたか?」

 

「浦原さんに、アンタは十二番隊長の涅マユリ!なんでこんなところに!?」

 

「うるさいヨ、黒崎一護が見たものをこのモニターに映そう。私は一度会った相手には監視用の菌を着けていてネ。それを見たほうが早いダロウ。」

 

そういいマユリは機会を操作し画面をモニターに映し出した。そして出てきたのは。

 

「これはっ!?」

 

「ナルホド…面白いネ。」

 

涅マユリと思わしき人物がそこにいた。

 

「どういうことだよ!?」

 

「安心してください。これは涅隊長ではありません。」

 

「でも!これは完全に…。」

 

「私だネ。なるほど確かに心当たりが一つだけあるネ。」

 

「心当たりッスか?」

 

「110年前、まだ貴様が隊長の時、平子真子達の虚化事件の最中に私の取ったコピーの脳髄を義骸に植え付けたけた。そのコピーの私が逃げ出したのダヨ。通りで110年間探しても一向に出てこないわけダヨ。こんなところにいたとはネ。」

 

「涅隊長…。アタシ知らなかったんスけど…。」

 

「フン、言う必要なんてナイヨ!」

 

「それで、どうすんだよ?」

 

「そうッスねぇ…。その件についてはアタシと涅隊長と考えておきます。今は様子を見ましょう。ですが、涅隊長が相手となると厄介ですねぇ…。」

 

死神三人で話していると

 

「何だ!?」

 

千冬が驚いた声を出した。

 

「どうしたんだ?千冬さん。」

 

「くそっ、福音に仮面が現れた!」

 

「なんだって!?」

 

モニターを見ると虚の仮面を被った福音が一夏たちを圧倒していた。

 

「フム、たしかに虚の霊圧を感じるネ。」

 

「クソッ!呑気なこと言ってる場合かよっ!!すぐに助けに行かねぇと!!」

 

そう言って一護は立ち上がろうとするが前のめりに倒れてしまう。

 

「無駄だヨ、その毒は後数時間経たないと中和しきれないヨ。」

 

「畜生!!」

 

一護は床を殴り顔をしかめる。

 

「落ち着いて下さい。黒崎さん。ここは…アタシがでましょう。」

 

「浦原、貴様、戦えるのか?」

 

千冬の質問に浦原はいつも通り態度を変えずに答える。

 

「まぁ、なんとか足止めくらいはしてみまス。」

 

そういい浦原は瞬歩でその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

専用機持ち達は皆危機に陥っていた

 

「あの仮面…、クソッ虚ってやつか!」

 

「どうする!?一夏!!」

 

「このままではやられてしまいますわ!」

 

「ここは撤退すべきだ!」

 

「でも、あれから逃げるなんて無理だわ!」

 

「なら、私が殿を勤めよう。浦原という人のおかげで多少の無理がききそうだ。」

 

「ダメだ箒!お前をおいてなんていけるか!!」

 

「ではどうすると言うんだ!!」

 

すると6人の後ろに突然人が現れた。

 

「うっひゃ~、随分と強そうッスねぇ。」

 

「アンタは浦原!!」

 

「はい、お疲れ様です。」

 

「なんで来たのだ!死ぬぞ貴様!!」

 

「いやぁ、スミマセン。アタシのことは心配要りません。お先に撤退していてください。」

 

「そ、そんなの無茶だよ!!みんなで一緒にやったほうがいいよ!」

 

「大丈夫ッスよ、まぁ、そこで見ていてください。」

 

浦原はそう言いものすごい勢いで福音のもとへ向かい、空中にいた福音を持っていた杖で海へ叩き落とした。

 

ズパァン!!!

 

高い水飛沫あげて福音は着水した。皆が一様に驚く。

 

「え…いま、何が…。」

 

「す、すげぇ……。」

 

「あの人…あんなにすごいのか…。」

 

「ただのふざけた奴じゃないみたいね…。」

 

「嫁とどちらが強いのか気になるな…。」

 

「す、すごいですわ…。」

 

すると福音が浦原を無視して一夏の元へ向かっていった

 

「「「「「「っ!!」」」」」」」

 

しかし皆が反応出来ずに硬直する。

 

「「「「「一夏(さん)!!!!!!」」」」」

 

福音が振りかぶり一夏に攻撃をする寸前に浦原が割り込み福音の拳を掴む。

 

「いやぁ~、無視は傷つくッスねぇ…。縛り紅姫!」

 

すると杖が剣に変化し、紅い網のようなものが福音に当てた。

 

ドカン!!!

 

福音は近くの無人島に墜落した

 

「か、刀に変化した…。」

 

「そ、それは??」

 

「これですか?そうッスねぇ…。私にとって黒崎さんの斬月と同じようなものです。アタシの相棒って奴ッスね。では、皆さん行きましょうか。千冬さん方がお待ちです。」

 

そういい皆が旅館へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千冬と真耶はモニターで浦原の戦いを見ていた。

 

「す、すごいですね…織斑君たちを圧倒した相手にここまで…まるで勝負になっていません……。」

 

「貴様もこれほど強いのか?涅マユリとやら。」

 

「ふん、その程度で驚いているのカネ?おめでたい奴らダヨ。」

 

「なんだと…?これで本気ではないということか?」

 

「さぁね、そんなもの私が言う義理はないヨ。ム?来たか。」

 

「何がだ?」

 

ドカァン!!!!

 

千冬がマユリに質問した瞬間に何者からか攻撃を受け部屋の天井が崩れ砂埃が舞い上がる。

 

「な、何が起きたんですか!?」

 

「クッ…」

 

「クソッ!」

 

瓦礫の下から一護や教員たちが出てくる。そんな中攻撃を躱したマユリが敵と対峙する。

 

「やっと見つけたぞ…実験機八号…。」

 

砂埃が晴れ相手の顔が顕になる。

 

「実験機ダト…?随分ト舐メタコトヲ言ウジャナイカ?」

 

「ン?なるほど…虚は貴様が操っていたということか…。全く見損なったものダ…仮にも私の姿をしているのダヨ?それだというのに…それはなんダァ!!!その顔の仮面はァ!!!!」

 

そこには、虚の仮面を被った涅マユリの姿があった。


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