Girls und Panzer Re.大洗の奇跡 作：ROGOSS
別活動の執筆で忙しかったんです…(言い訳)
チーム編成
大洗女子学園
Ⅳ号戦車D型改(F2型仕様) あんこうチーム フラッグ車
ナウエルDL43 ライオンさんチーム
38tB/C カメさんチーム
八九式中型戦車甲型 アヒルさんチーム
M3中戦車リー ウサギさんチーム
Ⅲ号突撃戦車F型 カバさんチーム
サンダース大学附属高校
M4A1 シャーマン 76mm搭載砲 アリサ車 フラッグ車
M4A1 シャーマン 76mm搭載砲 ×1
M4 シャーマン×4台 (内一台にケイが搭乗)
シャーマン・ファイアフライ×1 ナオミ搭乗
ローカスト×3台(前話にて全滅)
「敵シャーマン部隊発見しました！」
「数は？」
「3台でありますな」
「今の私達じゃ、正面から抗戦するのは難しい。服部さんのおかげで、今は偽装ができているけど……」
「では、このままやり過ごしますか？」
「ううん、それじゃだめ。ここで見過ごしてたら、丘を取られちゃう」
「ではいったい……」
みほは眼をつむりイメージをする。
ここで絵音を呼び寄せたとしても、ローカストとの激戦を繰り広げていた彼女にこれ以上の負担はかけたくない。万が一にも撃破されている可能性もある。
幸いにもⅣ号の砲塔が換装されたおかげで、シャーマンの装甲ならば撃ち抜くことができる。それを言うならば、八九式以外ならば、ある程度距離を詰めることさえできれば可能だろう。ならばここはどうするか……
「アヒルさんチーム。少し無茶なお願いできますか？」
『なんだい、西住隊長』
「このままでは、私達はこの場所で張り付けにされて動けなくなってしまします。なので……陽動を頼めませんか」
『……任せて！ 根性で乗り切ってみせるさ！』
ここは賭けるしかない。
もともと、最善策で戦えるなど無理な話なのだ。それなら、個々が持っている力を最大限に活かしていくしか活路は見いだせない。
練習や練習試合、一回戦を通して最も被弾率の低いアヒルさんチームならば、必ず陽動を成功させてくれるはず。
それがみほの導き出した答えだった。
「アヒルさんチーム以外は、敵シャーマン部隊の後部が見え次第砲撃をします。では、みなさん。健闘を祈ります。
〇 〇 〇
「ふふふ、お馬鹿な子たち。全車停止！ 砲塔左向け！ 一斉射！」
前方に展開しているシャーマン部隊へと指示をする。
砲塔が火を噴いたとたん、蜘蛛の子を散らしたかのように大洗女子学園の戦車が逃げていく様子を見るのは、最高だった。
本来ならば、既に事前に決めていたポイントで偽装を行い、試合終了までの司令塔を引き受けているはずだったが、ローカスト部隊との連絡が途絶えたことにより作戦を変更していた。
まさかであるが、全滅はないだろう。というのが現状のサンダース側の考えだ。
車両慣れしているとは言いがたいが、それでもエース級の生徒が乗車しているのだ。数百人という膨大な数の中からの精鋭だ。弱いわけがない。
『すごいわね、アリサ。よくわかったわね』
「私の観察眼と推察力なら、これくらい導き出せますよ！』
「ふーん、そう。これからも指示、頼むわね」
『任せてください！』
意気揚々としているアリサが冷たい視線を向ける同乗者に気づくことはない。
砲手にいたっては、ため息をつき軽蔑の視線を向けていた。そのため息から「またか」という言葉が漏れているようだ。
しかし、どれだけアリサに冷たい視線を向けようとも決して同乗を拒否することはなく、オフとなれば一緒につるんでいる様子から、彼女らとて本当にはアリサを嫌っていないのだろう。これはアリサのリーダーシップゆえなのか、それとも同乗者の心の広さなのかは謎である。
当の本人は無線機を入れ替え、ダイヤルを合わせていた。
見る人が見ればすぐにわかるだろう。その無線機が、いわゆる傍受をするために用いられていることを。
会場の空に打ち上げられた傍受機から得られる相手無線によって、アリサは大洗女子学園が次にとる行動を全て把握していた。観察眼？ 推察力？ もちろん嘘である。
「私の手の中で踊りなさい！ クルクルと哀れにねえ！」
高笑いをするアリサは悪の親玉と言われれば、全員が納得するだろう。
大洗女子学園の危機はまだ、始まったばかりである。