アエネアスの王土
作者:

原作:光の目
タグ:R-15 残酷な描写 光の目
遠い昔、人と魔との戦いがあった。
世界の南東の端から押し寄せた魔族は人間側の退廃に乗じ、瞬く間に勢力を拡大していった。
人間世界の雄ベルンダ帝国の直属軍は敗退を続け。激戦の末、帝国首都は陥落。
皇帝も戦死し危機感を募らせた残存の諸侯は同盟を結成、生き残った皇太子を担ぎあげ、
首都近郊の平野で魔族に決戦を挑んだ。
この時、魔族の一部は軍の疲弊からこれ以上の従軍を拒否しており、進撃を再開したのは
好戦派の魔王率いる軍の半数であった為、数に勝る同盟軍が勝利をおさめられた。
この戦いで魔王と好戦派魔族の多くは戦死したが、両軍ともその殆どの戦力を失った。
こうして戦いが痛み分けに終わると、進撃を停止していた魔族の慎重派が大軍を背景に
主導権を握る。
彼等の中には人間との共存を考える者も多く、融和主義者の魔族アルカが第二代魔王に
就任、人魔の和平を約した。
繁栄の時代が訪れた。大きな戦争も無く、文明は着実に育ち続けていた。
以後約300年もの間、平和は続く。

しかし、長い平和の中で、蓄えた軍事力を背景に領土拡大を目指す指導者や、
過激な教義を信奉する民衆達の中に領土奪回の野心が生まれる。
こういった人間側からの挑発を受け、魔族の側でも融和派は失脚。
強硬派のナミエルスが新たに魔王に就任し、軍拡を始めた。
間もなく両者の戦端が開かれ、凄惨な戦いが繰り広げられ、宗教的熱狂は
魔領の都市に対する虐殺として暴発した。
燃える都市を見下ろす丘で帝国軍の一員として従軍していたベルンダ皇太子フェデリコは
失脚し魔領追放刑に処されていた前魔王アルカと出会う。
2人は眼下の光景に絶望し、既存秩序を打倒する事を誓った。
10年後、人魔の戦争が泥沼化する中で、皇帝となったフェデリコは帝国諸侯を召集し
定例の会議を開催する。
しかし彼が始めたのは、一般教書演説ではなかった。
皇帝による絶対主義、政教分離、人魔両種族の共存等を説いた演説によって、
帝国は分裂し内乱が始まった。

大陸の西でも、戦乱の火種が燻っていた。
西の大国ドーフィネから追放された王族シャルルは権限を掌握したフランドル地方の
軍事力を背景に王位を主張し、宗教指導者の教皇は魔領に対する一大聖戦の準備を
完了していた。

戦乱が野心を呼び覚まし、新たな戦乱を生む。世界は混沌を極めていった。


  時空の賢者()
  獅子王2016年06月27日(月) 06:06()
  クールラント聖領2016年06月28日(火) 09:57()
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