転生したけど、手に入れたスキルが自由すぎて困ってます   作:低蓮

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昨日に続いての連投です。8月は忙しかったために投稿できず申し訳ありませんでした……9月は少しづづ投降ペースを上げていこうと思います!


VS豚頭騎士団

 目の前では丁度、厳つい全身鋼鎧(フルプレートアーマー)に身を包んだオークの一団がコボルド達を脅している最中だった。

 彼らの要求を纏めると、ありったけの食料を持って傘下に加われ、ゴブリンなど交流のある種族達へ説得を行い仲間とせよ、そうすれば奴隷として命だけは助けてやる……と言うことらしい。

 いやいや、何を仰るうさぎさん。うさぎさんって言うか豚さんだけど。

 やけに上から目線で命令しているようだけど、その実そこまで力を持っているようには見えない。

 鎧を着ていることと、相手が戦えないのを知っていて増長しているのかしらん。

 

 

「それで、如何しますかミク様? 相手は雑魚ばかりですし、一息に殺ってしまいましょうか」

 

 

「うーん……そうしても良いと思うけど、無駄に偉そうにしてるってことはそれなりに立場がある個体だと思うんだよね。だから、一人は生かしておこうと思うんだけど」

 

 

 私の提案に、首肯を返しつつ刀を抜き放つシロガネ。本当に生け捕りにするつもりあるのかな……心配だし、生け捕りの方は私がやろっと。

 そう考えてスキルを解除しようとしたとき、コボルドの子が慌てたような声を漏らした。

 

 

「ちょ、ちょっと待つです。まさかとは思うですが、二人だけで戦う気です? 向こうは十人ほど居るですよ?!」

 

 

「何人居ようがあの程度なら問題ない。私一人でも問題ないくらいだ」

 

 

「お、お姉さんは……ッ」

 

 

「シロガネに任せちゃうとうっかり全員殺しちゃいそうだから、一人は確実に私が生け捕りにするよ」

 

 

「そういう問題じゃ……なんで二人共そんなに余裕そうなんです?!」

 

 

 寧ろ君がやけに余裕なさそうに見えるんだけどなぁ……

 大体、あれくらいの強さだったら洞窟の中にいた魔物のほうが断然強かったし、数もゴロゴロ……は流石に合わなかったけど、それでもまだ少ないほうだ。

 まぁ、行商人達が戦えないんじゃ危険はなるべく回避してきたんだろうし、実戦経験が少ないから余分に怯えちゃってるのかもね。

 

 

「それじゃ任せたよ、シロガネ。私はあの一番偉そうな奴捕まえてくるから。えっと、シフは……あれ? シフは?」

 

 

「それでしたら、今しがた奴らの方へと駆けて行きましたが……」

 

 

「なんでそれを黙って見送っちゃうかな?! あー、もう取り敢えず行くよ!」

 

 

 そうだった、シフもかなり厄介な存在なのに完全に忘れてた。

 まぁ、シフの場合遊びが優先になるだろうから、生け捕りにせずに皆殺し、とはならないんだろうけど……

 私は万が一を考えて、足早に目標の方へと駈け出した。勢い余って、なんてことになったら折角情報が得られるかもしれないのに水の泡になってしまう。

 

 

「な、何だ貴様ら! どこから現れた!」

 

 

 スキルを解除したことでこちらに気がついた敵の一人が、戸惑いつつも剣を抜き放とうとする。

 けれど、それに先んじてシフがそのオークへと牙を剥いた。

 流石に全身鋼鎧(フルプレートアーマー)は硬かったのか、オークに傷を負わせることは出来なかったようだけど、金属特有の光沢のある表面にはくっきりとシフの歯型が刻まれていた。

 って、え、うそ歯型付いてるの? それってつまり、シフさんは金属よりも硬い歯をお持ちで。へ、へぇ……

 ……あんまり、深く考えないほうが良さそうだなぁ。

 まぁ取り敢えず、取り巻きははしゃぎ回ってるシフと凄まじい剣技で敵を翻弄しているシロガネに任せて、私はわたしの仕事をしよう。

 竜殺しの剣(アスカロン)を片手に、恐らく司令官であろう周囲に指示を飛ばしているオークへと近づいていく。

 そのことに気がついたオークは私を一瞥し、小さく鼻を鳴らすとそのまま――

 

 

「――って、ちょっと無視しないでもらえるかな?!」

 

 

「黙っていろ、ガキが。今貴様の相手をしている暇はない」

 

 

「いや、ほら。仮にも武器を持って近づいてきてるわけだし、あいつらの仲間だ―とかは思わないの?」

 

 

「貴様のようなガキが敵であろうと、何ら脅威を覚えんな」

 

 

「そ、そっか……」

 

 

 見た目か、見た目がいけないのか。

 まぁ、見た目幼女な奴が剣持ってたってそりゃ怖くはないだろうけどさ……もうちょっとこう、反応してくれても良いんじゃないかな……?

 

 

「貴様、主様に……コロス」

 

 

「シロガネストーップ! ダメだって! 生け捕りにするんだから殺しちゃダメだから!」

 

 

 そっちはそっちで反応しなくていいから! もう、なんだかやる気そがれるなぁ……

 でも、その言葉に反応したのか漸くオークがこっちをむいてくれた。やだ、なんか少し嬉しい。

 

 

「生け捕りだと……? 随分と舐めた事を言ってくれるな。我ら豚頭騎士団(オークナイツ)の精鋭たる10人を於いて、生きて帰れると思わないことだな……」

 

 

「あー、うん。多分九割方生きて帰れないんじゃないかな?」

 

 

「ほぅ、無謀を承知で挑んでくるか。ならば我らが糧としてやろう。我らのさらなる躍進の基礎となるが良い!」

 

 

 あ、九割方っていうのはそっちの話で……と訂正するまもなく、オークが剣を抜きつつ突進してくる。

 やむなく私もアスカロンを手に応戦を始めたんだけど、正直言ってあまり分はよろしくない。

 オークの振るう剣は、鎧を着ているのと慣れていないのとで凄まじくキレが悪く、難なくいなすことが出来る。

 出来るんだけど、こちらからも全身鋼鎧(フルプレートアーマー)を着るオークに有効打が与えられていないのだ。

 アスカロンは細剣に分類されるような刀身をしていて、突きに特化した形になっている。

 だから、“竜を屠る”という因果を絡ませなければ(・・・・・・・・・・)、ただの打たれ弱い細剣になってしまうわけだ。

 まぁ、打たれ弱いって言ってもそんじょそこらの武器じゃ破壊できなさそうな強度は持ってるけどね?

 そんなわけで千日手となってしまった私は、取り敢えず相手が疲れるのを待つことにしたんだけど……

 

 

「どうした! 攻撃をしなければ勝てんぞ!」

 

 

 いなしてもいなしても全然怯む気配を見せないオークに、段々と苦笑いがこみ上げてくる。

 おかしいな、思い切り重心が崩れるようにしてるから、相当体力に響くはずなんだけどな……

 ええい、オーク共の体力は化物か! っておもわず叫びたくなってしまう。

 

 

「我ら豚頭騎士団(オークナイツ)を甘く見たな!」

 

 

 烈帛とともに振り下ろされた一際力のこもった剣を、敢えてアスカロンで受け止めて反動で距離を開ける。

 そろそろかな、とちらりと脇を見てみれば、とっくに終わっていたのかシフとシロガネが楽しそうに私達の戦闘を鑑賞していた。

 ……訂正、シフ()楽しそうに観戦していた。シロガネは……うん。視線で人が殺せなくてよかったと言うしかない。

 

 

「よそ見か? いい度胸――」

 

 

 形勢有利と見たのかやたらと喋るオークは、釣られたように私の見ている方向へと視線をずらす。

 その瞬間、今まで浮かべていた余裕の笑みに亀裂が入ったのを確かに感じた。

 ……まぁ、それが味方が全滅していることに対してなのか、シロガネの視線に対してなのかはわからないけど。

 

 

「えっと、豚頭騎士団(オークナイツ)がなんだっけ?」

 

 

「ば、ばかな……ッ 我らは精鋭だぞ! 数でも優っていた、それなのになぜ……!」

 

 

「なぜって言われても、私達が強かったからだとしか……」

 

 

「嘘をつくな! その程度の魔素で(・・・・・・・・)我らよりも地力が上だと?! 認められるか!」

 

 

 泡を吹いてそう叫ぶオークに、私は内心してやったりとほくそ笑んだ。

 私がやったことは単純明快。新しく覚えた「位相ずらし」で私達から流れ出る魔素を小さく見えるように偽装し、敵の油断を誘ったのだ。

 まぁ、逃げられちゃっても厄介だしね? これはいわゆる頭脳戦であって、ズルとかそういうのでは断じてありません。

 

 

《まぁ、創造世界(スキルクリエイト)とか完全にズルだけどね》

 

 

 ず、ズルじゃないもん! たまたまそういう力を持ってたってだけで、ズルじゃないもん!

 ……ズルじゃないよね? うん、違うはずだ。よし、よかった。

 

 

「それで、私としては大人しく投降してくれるとすごく嬉しいんだけど。そうしたほうが無駄な体力使わないしさ」

 

 

「投降、だと……?」

 

 

「そうそう。悪いようにはしないから」

 

 

 私は、という条件がつくけど。だって、シロガネが何かしそうなんだもん。流石にそこまで責任取れないし……

 どうかな? と尋ねてみても、帰ってくるのはよくわからないつぶやきだけ。

 うーん? どうしたんだろ……

 

 

「……くひゅ、ぐははははは! 言ったぞ、俺は確かに……」

 

 

 え、怖い怖い。なんでいきなり笑い出してるの?

 まさかとは思うけど、これからされる仕打ちに心躍ってるとか? う、うわー……

 

 

豚頭騎士団(オークナイツ)を舐めるなと……言ったはずだああァァァァ!」

 

 

 突然、オークの全身から黒いヘドロのようなものが飛び出し、周囲に拡散する。

 慌てて距離を取ると、そのヘドロはかつてオークであったのだろう肉塊を飲み込み、消化していった。

 それにしても、原型が留まってないってシロガネさんやり過ぎじゃ……

 一体どれだけ憎しみをぶつけたんだろう。というよりも、どうやって刀であそこまでぐちゃぐちゃに出来るんだろ……

 

 

「は、はは……あ゛はハハハ! どウダ! これガ、我々の底力ダ!」

 

 

 どうでもいいことを考えてたらいつの間にかオークが何かをやってたみたい。

 感じる魔素の量も数倍に膨れ上がり、嵐蛇(テンペストサーペント)よりも強そうなレベルにはなった。

 確かに、豚頭騎士団(オークナイツ)というのはすごい集団の集まりかもしれない。

 だけど……

 

 

「ゴロス。ゴロスコロズゴロズ! ……ぎザまら全員ゴロして――や……?」

 

 

 私が「位相ずらし」を完全に解除した瞬間、そのオークは呆けたような顔をした。

 いや、まぁ無理は無いと思うけどね。だってこの四人の中で一番弱いの、確実にあのオークだし。

 なんか殺すだの何だの言ってるみたいだけど、そろそろシロガネの我慢の限界が来る頃だと思う。

 だから、さっさと降伏を――

 

 

「貴様……そろそろその薄汚い口を閉じろ」

 

 

「ルッ――」

 

 

 いつの間にかオークの背後に立っていたシロガネが、鞘からの一閃でオークの上半身を跡形もなく消し飛ばす。

 って、遅かったあああぁぁぁぁーーー?!

 ちょ、情報源だって言ったじゃん! なんでそう躊躇なく殺しちゃうの?!

 それに、一振りで上半身消し飛ばすって一体何があったの?! いくら何でも怒り過ぎじゃないかなっ!

 はぁ、はぁ……ま、まぁ半ば以上予想してたことだし、過ぎたことは忘れよう……

 どうやら死体を吸収して強くなる能力も持ってるみたいだし、こんなのがいっぱいいたら流石に厄介だなぁ……

 

 

「申し訳ありません、主様。言いつけを破ってしまい……」

 

 

「謝るくらいだったら最初からやらないでほしかったんだけど……まぁ、それはもういいよ」

 

 

 そう、多少の失敗くらいで一々目くじらなんて立てないのだ。多少の……多少かな、これ? すっごい大きな失敗だと思うんだけど。

 あーでも、あのオークが簡単に口を割るとも考えにくかったし、多少って言ったら多少か。どっちにしろシロガネが殺してたんだろうし。

 

 

「それで、戦ってみてどうだった?」

 

 

「口ほどにもないですね。これだけならばたとえ万と居ようと恐れるに値しません」

 

 

「だよねー……結局何だったんだろ、今の」

 

 

「っていうか、ミク様ミク様! 全然遊び足りないんですけど!」

 

 

「後でいっぱい遊ばせてあげるから、今はおとなしくしてて……」

 

 

 シロガネの総評を聞きつつ、シフをなだめる。遊び足りないからといって、何かしでかされても困るもん。

 

 

「あ、そうだ。そういえばさっきオークたちに脅されてたコボルド達がいたよね。今どこにいるかな? 彼らならなにか知ってそうだけど」

 

 

「彼らなら戦闘の余波に巻きこまれないよう、少しだけ避難させています。ご案内しましょう」

 

 

 シロガネに案内された場所へ来てみると、数人のコボルドが身を寄せあって震えていた。

 私達を見てビクリと身を震わせたけど、私達だと気がついたのかそのうちの一人が恐る恐ると言った体で声をかけてきた。

 

 

「えっと、どうなったです……? なんだか立て続けに凄まじい力を感じたですが……」

 

 

「いや、ちょっと待って。なんで君も一緒に避難してるの?」

 

 

「あんな危ないところに居られるわけがないです! 巻き込まれたら余波だけで死んじゃうです!」

 

 

「そ、そうかなぁ……まぁ、オークは全員倒したよ。それで、あいつらは何者なのかなって話を聞きに来たんだけど」

 

 

 視線を脅されていたコボルド達へと向けると、それぞれが目を合わせたかと思うと口々に訴えかけてきた。

 

 

「や、奴らは私たちにに服従を言いつけてきたんです!」

 

 

「オークロードが! オークロードがっ!」

 

 

「彼の伝説が、森に牙を剥いたんです!」

 

 

「オークロード、オークロードが!」

 

 

「力ある方よ、どうか我々をお救い下さい……」

 

 

「オークロード! オークロード!」

 

 

「「「「オーク! ロード! オーク! ロード!」」」」

 

 

 なんだろう、コボルドってこんなのばっかりなんだろうか。

 オークロードがっていうのは理解できたんだけど、オークロードって言うのがそもそもわからないし、なんで途中からオークロードの合唱になるんだろう……

 それに、最後のオークロードコールではちゃっかりシフも混じっていた。何やってるのこの子。

 痛む頭を押さえつつ、私はコボルドたちにオークロードについて聞いてみた。

 豚頭帝(オークロード)は、伝説ともいわれているオークの進化亜種だそうだ。

 その力は敵対するものを恐怖に陥れ、逆に味方に対しては恐怖の感情を喰らうのだという。

 眼に入るものすべてをむさぼりつくし、枯れ果てるまで止まらない災厄の権化。それがオークロードだというのだ。

 

 

「オークロードって、シロガネの里を襲った黒い鎧を着た奴のことなの?」

 

 

「いえ、オークロードともなればあんな程度では済まなかったでしょう。恐らく、私も生きて逃げ延びることは出来なかったと思います」

 

 

「ふーん……で、そのオークロードって今どのあたりにいるの?」

 

 

「我々が行くよう伝えられた場所はこの先です……恐らく、リザードマンの集落を目指しているのものかと」

 

 

「この先かぁ……うん、よし。それじゃ行こっか」

 

 

「で、では……?」

 

 

「倒してきてあげるよ、そのオークロード。シロガネの敵討ちもかねて、ね」

 

 

 

 

 

あとがきに転生する?

〉Yes

No




ミク・ヒグラシ

種族──人間(ヒト)(???)

加護──???

称号──

魔法──『神話召異』

ユニークスキル──『創造神(ヌリカエルモノ)……事象上書き(オーバーライド) 創造世界(スキルクリエイト) 思念操作(マインドコントロール)』『ふとましい者(ノリコエシモノ)……??? ???』

エクストラスキル──『妄想(しんゆう)』『魔力感知』『思念遮断』『黒雲招来』『天啓』『位相ずらし』

スキル──『武器習熟』

耐性──『精神攻撃無効』『状態異常耐性』

──────────

カイ

種族──星狼族(スターウルフ)

加護──???

称号──

魔法──『黒き稲妻』

ユニークスキル──『不屈之王(アキラメヌモノ)……超感覚 胆力 超速再生 思考超加速 結果変動』

エクストラスキル──『影移動』『思念伝達』『魔力感知』

耐性──『物理攻撃耐性』『精神攻撃耐性』『状態異常耐性』『自然影響耐性』

──────────

シフ

種族──牙狼族(???)

加護──???

称号──

ユニークスキル──『無邪気者(ジカクナキモノ)……見切り 超感覚 ??? ???』

─────────

シロガネ

種族──オーガ(???)

加護──???

称号──


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