駄文ですがどうぞ
きっかけは唐突に訪れる
「せんぱーい! 鍋パーティー来ませんか?」
「鍋ねぇ……」
あんまり鍋には良い思い出がない。遠慮してたら肉が食われ、肉食ったら泥棒扱いだ。親戚の集まりで俺は1枚しか食ってないのに泥棒扱いされたのはあんまりである。
「今度、みんなで鍋するんです。食材持ち寄って。ちなみに戸塚先輩も来ますよ」
「必ず参加しよう」
「せんぱーい~ あんまり戸塚先輩に固執してるとまたひどい目に会いますよ」
「それをお前が言うのはおかしいだろ……」
というわけで参加が決定した鍋パーティー
しかし、その鍋パーティーがとんでもない鍋を作りだすとは俺は知るよしもなかった。
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というわけで鍋パーティー当日
朝、起きるとメールが届いていた
≪From 一色いろは
今日の鍋パーティーは先輩の自宅で行います♡。鍋の具材は1人1品ずつの持ち寄りですので先輩も食材もってきてくださいね♡♡♡♡≫
♡マークについては特に見なかったことにした。
現在、食材を買って実家に帰る最中である。
ちなみに買ったのは肉団子だ。
一応、肉だがたくさんとっても肉泥棒扱いされるわけでもなく、食べていれば謙虚扱いをされる。鍋をする上で(俺が)ある意味欠かせない食材である。
と言ってもさすがにこれと合わせて野菜も食べないと目立つんだがな。
実家の前に着くと、雪ノ下が向こうから歩いてきていた。
「あら、比企谷君……あなたもこの鍋パーティーに?」
「あぁ、一色に誘われて……一応な」
本当は戸塚のためだが……
「じ……実は……私、こういう鍋が初めてでちょっと緊張してるの……」
鍋が初めて?
珍しいな……雪ノ下家では鍋を家族で囲む習慣はなかったってことか……
「まぁ、鍋も別に普通にみんなでご飯たべるのと変わんねーよ」
「そ、そうなの? あなたは経験あるの?」
「そりゃ、鍋を友達で囲むことはなかったが、家族では食べてたぞ、一応……」
「へぇ……まぁ、あなたが大丈夫そうなら大丈夫そうね」
一体、鍋パーティーの何を怯えてるんだが……またいつもの指南書みたいなのの影響か?
そろそろ卒業した方がいいんじゃねーの?
実家に入ると
「先輩おそーい! あ、雪ノ下先輩こんばんは」
「ヒッキー、ゆきのん~ 早く始めようよ~」
「悪いな、材料買ってたら遅くなった」
「まぁ、いいですけど……みんな揃ってますよ」
どうやら、俺ら以外はそろってたらしい。リビングには
「ひゃっはろー、比企谷君」
「八幡、我も来たぞ」
「八幡、こんばんは」
なんか知らないデブが混じっているがまぁいいか……
「あれ、小町は?」
「あぁ、奉仕部の依頼が入ってきたそうですので、後で合流するそうですよ。」
家人が全員いなくなってどうするんだと言いたいけど……俺が来ることを考えての行動ということにしておくか。
鍋パーティーで遅れるのは具材が食えないということになるんだがな。あいつも気の毒だな。
「では、始めましょう!
第一回闇鍋パーティー!イエーーーーイ!!」
前言撤回
これからこんなことに巻き込まれる俺の方が気の毒だ。
「おい、ちょっと待て! 聞いてないんだが……」
闇鍋とかいう危ないというか、絶対に危険な鍋などやりたくない。
ここは仲間を増やすのが一番だが……
「おい、雪ノ下」
「私は聞かされてたわよ」
雪ノ下のあの台詞はそういうことか……なるほど合点がいった。
「由比ヶ浜」
「えー、どうしたのヒッキー闇鍋やろうよ~」
こいつは地雷系食べ物を入れる側の人間だったな……
「雪ノ下さん」
「まぁまぁ、死にはしないんだしさ」
そりゃ、死んだらマジで頭おかしいでしょう
「戸塚」
「やろうよ、八幡、楽しそうだよ」
なんかやる気出てきたかも……
「材……お前はいいや」
「ハチエモーン!」
うるさい、黙れ。
「一色は……無駄そうだな……」
「はい、私の企画ですしね。まぁ、先輩は闇鍋って知ったら逃げますしね。余計な手間は省こうかと……」
今、余計な手間って聞こえたんだけどさ……これってあれだよね。
俺がたとえ、闇鍋って知っていたとしても、強制連行する手段があったってことだよね……
最近のこいつが怖いんだが……
「というわけで闇鍋ルールです。今から説明しますのでみなさんこたつに入ってください」
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今、一色からのルールの説明があった。
とりあえず順番として
明かりをおとし、それぞれ持参した具を鍋に投入する。このとき周りは見ないように下を向くこと。
煮あがったら1人ずつ順番に鍋に箸を入れる。これを繰り返す。ちなみに食べるときは暗闇のまま。
ルールとして
1、一度取ったら必ず口にいれること
2、液化するものはNG(チョコや飴などの溶けてしまう物体など)
となった。
ふむ、これは闇鍋を乗り切る作戦が必要らしい。
まず、情報収集だ。安全食材を持ってるのは、俺と可能性的には雪ノ下と戸塚あたりか。
とりあえず、食材を入れる順番が回ってきたら、中身を少し吟味するのが無難か……暗いが目を慣れさせとけば問題はないか……。
「では、先輩からどうぞ」
「な……」
「どうかしましたか? 先輩?」
こいつ俺の作戦を看破してやがる。やられた。進行役がこいつの段階でこの辺を考慮してなかった俺の負けということか……
「分かった、とりあえず入れるから頭下げてくれ」
全員が頭を下に向ける。
俺は肉団子を自分のスペースつまり
自分の前あたりに集中的に置いた。これでとりあえず中身が見れなかったとしても……自分の身は安全なはずだ。
「入れ終わったぞ」
「じゃあ、次は私ですかね」
ちなみに席順だが
俺から時計周りに一色、雪ノ下、由比ヶ浜、雪ノ下さん、戸塚、材木座となっている。
まだ、負けが決まったわけじゃない。
人間には視覚以外にも、嗅覚、聴覚がある。
それにルールを破るとどうなるかのペナルティはない。つまりなんの食材を入れたかの確認をすることはそんなに難しいことじゃない。
要するにバレなきゃいいだけだ。それじゃ、闇鍋は面白くないという人はいると思うが……俺はこんなのやりたくないのだ。なら、手段は選んでられない。
「ちなみにルールを破ったら……鍋の完食を命じます。特に先輩は気を付けてくださいね」
あ、これ詰んだ……もう完全にマークされてる。
「じゃあ、次は私だね!」
どうやら由比ヶ浜の番らしい。
気づいたら、一色と雪ノ下は終わっていたらしい
ドポドポドポドポドポドポ
第一種危険食材に認定
待て……絶望するな。あいつの性格を読み取って……あの音の正体を探れ。
ダメだ……目頭があつい。泣きそうだ。
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「楽しみだね~」
「はい、どんな鍋になりますかね?」
みんな入れ終わったので、蓋をしめて煮込んでいる。その間は明かりをつけて談笑中だ。
完全にお気楽モードだ。地雷食材は誰が食うか分からないのに……
「ちょっと部屋に取りたいものあるから部屋に行くわ。」
無理やり席を外して部屋に入る。
とりあえず整理しよう。状況の整理だ。
俺の目的ははずれ食材を食べずにこの闇鍋を乗り越えること。
若干、出汁に影響が出てる可能性はあるが、まだ食材が大丈夫なら問題はない。
とりあえず、全員の入れた食材の推理をしよう。
雪ノ下は闇鍋が初めてだから勝手がわからないと言っていた。つまり、あいつは普通の食材の可能性が高い。
逆に戸塚は少し悪ノリの可能性があるから、地雷と普通で半々だな。
材木座は普通の音だった。あいつもまとも食材の可能性あるな。
由比ヶ浜と一色はもう完全に地雷指定でOKだ。
一色のは考え事をしていて聞いていなかったが、企画のあいつが地雷食材じゃない理由はない。
問題は雪ノ下さんだ。
あの人のは音すらしなかった。つまり完全に出汁に仕込みを入れたと考えるのが正しい。
しかし、闇鍋は基本的に出汁に仕込むと自分にそのダメージが返る可能性もある。
何故、あの人は出汁に仕込んだ?
………待てよ!
ルールでは他人の食材は入れるときには見ることはできない。
しかし、詮索は禁止されてない。
つまりあの人はこの闇鍋が始まる前から誰がどんな食材をもってきていたかを捜索した上で出汁に仕込んだってことなのか?
ということはあの人は味方と見るべきか?
いや、もしかして一色あたりと手を組んでる可能性も考慮すべきか?
いや、この考えはもうやめとこう。
理由はあとでわかる。今は目の前の脅威からどう逃げるかを考えるべきだ。
とりあえず、エリア的には雪ノ下、材木座あたりが安全と見るべきか。
俺のエリアは完全に安全とは思ってるが、一応他エリアの安全も確認しておいて損はない。
「先輩、そろそろ食べますよ。」
一色の声が部屋まで響いてきた。
「おう、今戻る。」
どうやら、煮込み終わったらしい。
さて
というわけで実食タイムは来週です。
今週は八幡君の推理タイムでした。
実際無駄に終わ……まぁ、八幡君を応援しましょう。
闇鍋のルールは正直分からなかったので調べましたが
こんなルールなんですね。作者ビックリです。
では、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします