やはり俺の青春ラブコメは続いていき、間違う   作:遊哉

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というわけで、続きです
駄文ですが、どうぞ


20 本来、文化祭はお休みの日である 中編

「作戦ってそんな大層なものいるのか? 大学外に出れば済む話だと思うんだが……。」

 

戸塚が言った言葉に少し楽観的な形でとらえている俺に対して戸塚の顔は少し暗い。

 

「実はね、八幡……大学外に出るのはあきらめた方がいい……と思うんだ……。」

 

「何か問題でもあるのか?」

 

「多分なんだけど……雪ノ下さん達の会社の部下さん……でいいのかな? 大学外に待ちかまえてる……。」

 

……戸塚の返答で予想はできたが、やはりそうなったか……。 大学外に出れば楽だと思っていたがそういうわけにも………ん?

 

「なら、普通に隠れてればいいんじゃないか? それなら大丈夫だろう。」

 

「それもダメなのだよ……。」

 

材木座が俺の言葉を否定する。

 

「学外には逃げられないように人のバリケードがあるように、中にも同じように人が仕込まれている、しかも雪ノ下家の人間だけではない……。」

 

「ということは、まさか……。」

 

俺の言葉に戸塚も材木座もうなずく。

 

「八幡の考えている通り、一色さんも由比ヶ浜さんも知り合いを仕込んでる……要するに八幡はこの文化祭で指名手配犯扱いということになるね……。」

 

つまり、隠れていたとしても見つかるわけだから、この前のトイレ作戦も使えないと思ったほうがいいというわけか……。 大学外への脱出はほぼ不可能、見つかったら捕まって雪ノ下姉妹のどちらかに身柄を渡される。大学内で逃げようとしても、通報もとい報告をされて、あの4人の誰かに伝わる。文化祭中だから、人の流れも多い、走ることすらままならない……。ナニコレ、無理ゲーじゃん……。

 

「変装や、何かものに隠れての脱出はどうだ?」

 

見た目だけなら、割とごまかせばいけるかもしれない……。

しかし、戸塚は首を振る。

 

「由比ヶ浜さんが犬連れてるの見た?」

 

「見たけど……おい……まさか……」

 

「うん、八幡の予想通り、大学外にも大学内にも待ちかまえてる、さっき確認したけど、警察犬っぽいのもいたかな……」

 

「おぬし、大分あの4人に行動パターン読まれておるな」

 

あまりにも、俺の考えてる内容に先回りされすぎている。完全に俺の行動を読んでの作戦だ……。

 

「状況を簡単に説明すると、文化祭実行委員に紛れる手は雪ノ下さんがそれを読んで文化祭実行委員で高い役職についてるから紛れてもすぐばれる。模擬店に紛れる手も一色さんが模擬店のほとんどに出入りして手伝っているから、八幡が入れば一色さんに連絡が行く。由比ヶ浜さんは交友関係やSNSを利用して、内部に包囲網を作ってる。大学内の人間の大半は由比ヶ浜さんの息がかかってると思った方がいいかもしれない。最後に雪ノ下さんのお姉さんは大学外を固めて、逃げられないように手配している。仮に出れたとしてもすぐ捕まる可能性が高い。」

 

戸塚の言葉に戦慄を覚える。 今回の作戦にあの4人の気迫を感じる。

 

「まぁ、あの4人は八幡が脱出できないように道を全部ふさいで、後で選んでもらうつもりだったんだろう。 この結託具合はそれすら予想できるな。」

 

材木座の総評に同意するしかない。 多分、かなり周到に練られたんだろう……しかし……

普通ここまでするか!?

 

「だから、八幡、全員が思いつかないような手を使うしかないと思うんだ。」

 

「うむ、そのために我らが来たのだからな。」

 

「思いつかないような手?」

 

「うん、八幡! 正面突破で行こう。」

 

「いや、大学外には出られないんだろう……正面突破って……」

 

「あの4人を説得しよう! あの4人からすれば、この方法は八幡が一番取らない戦法だからね。」

 

「ちょっと待ってくれ、さっき見ただろう、雪ノ下姉妹の喧嘩が始まってるとこ、正直あいつらの今回の熱の入りようを見ると、並みの説得なんて……」

 

「フフフ、八幡よ! なめてもらっては困るな、そのために我がいるのだ……。」

 

材木座が高らかに叫ぶ……頼む、今は声を静めてくれ……今、作戦を立ててるこの狭い路地裏すらいつバレるか……

 

「八幡、これを」

 

これは……耳につける小型のイヤホンとカメラか? なんかアニメとかでよく見たことのあるやつだな。

 

「これをつけて、我の言う通り話せ、いいか、一字一句間違えずにだぞ、あと仕草もだ、こっちが指示する。」

 

「おい、何をする気だ……。」

 

「八幡、僕たちを信じて……たぶんこの作戦で全員を説得できると思うんだ……。」

 

「いや、しかし……」

 

待て……さっき家に出る前に自分で誓ったじゃないか……自分の平穏で専業主夫を目指す生活を維持するなら、なんでもしようと決めたじゃないか……それにあの4人の誤算はこの2人の登場だ……この2人の作戦ならあの4人の想定外なんだから、ここは背に腹はかえられないと思って作戦にのるべきということではないだろうか……。

 

「分かった、これを付ければいいんだな。」

 

俺は渡された小型イヤホンを耳につけ、カメラをワイシャツのボタンの近くにつける。

 

『八幡、聞こえるか?』

 

「あぁ、問題ない」

 

「カメラの方も良好だね、音声もバッチリ聞こえるよ。」

 

戸塚はパソコンでカメラがきっちり作動しているのを確認している。

 

「よし、まずは……この人で行こう」

 

「最初から大分きついのいくな……」

 

 

 

 

「あら、比企谷君、急に呼び出してどうしたの? それとも話聞いてくれるの?」

 

最初の標的は雪ノ下さんとなっている。というのも、あの2人からすれば、乱入可能性を排除したいらしく、一番乱入可能性のある雪ノ下さんが最初となった。最初からハードル上げ過ぎ……。

 

『急に呼び出してごめん、ちょっと陽乃と話がしたくてさ』

 

……今すぐに材木座を殺したくなってきた……。あの野郎……。作戦ってこういうことか……。くそ、もうここまで来て尻込みはできない……やるしかない。

 

「急に……呼び出してごめん、ちょっとは…陽乃と話が…したくてさ…」

 

すると、急に雪ノ下さんの顔が赤くなり始めた……

 

「いや、え……ちょっと……えええ」

 

かなり動揺している……あれ、いつもの魔王の感じがなくなっていくな

 

『八幡、今が攻め時だ、壁際に追い込め……壁ドンを実行せよ』

 

あいつ絶対に楽しんでるだろ……この……。

 

「了解、行動開始する。」

 

小声で返事をする、こういうのに乗ってしまうあたり俺はまだまだ子供かもしれない……。

言われた通り、壁際に追い込むために近づく。

 

『陽乃、少しこっちに来てくれるかい、ちょっと二人で内緒の話がしたくてさ』

 

「陽乃、少し…こっちに来てくれるかい……ちょっと二人で内緒の話……がしたくてさ」

 

「あ……はい……」

 

素直に従って、こっちに来る。雪ノ下さんが自分の前の方に来た

 

『今だ、右手を相手の顔の横に』

 

言われた通りに、右手を相手の顔の横に出す。

 

「ひゃ……これは一体……」

 

『陽乃が何をしたいか、俺にはわかってるよ、でも、それって必要なのかな?』

 

「……陽乃が何をしたいか、俺にはわかってる…よ、でも……それって必要なのかな?」

 

「だって……その……」

 

雪ノ下さんが口ごもっている。

 

『八幡、人差し指をたてて、相手の唇に近づけろ』

 

言われた通りに、近づける

 

『大丈夫、それがないと心配なほど、陽乃は弱くなったのかな? 俺は大胆な陽乃が好きなんだけどな』

 

「大丈夫、それが…ないと心配なほど、陽乃……は弱くなったのかな? 俺は大胆な陽乃が……好きなんだけどな」

 

そういうと、雪ノ下さんは首をふる。

 

『なら、埋め合わせは必ずするからさ、今回はやめてもらっていいか』

 

「なら……埋め合わせは……必ずするからさ……今回はやめてもらっていいか」

 

「で、でも……それは……」

 

『陽乃、分かったな、これを耳元で強く言え、これで多分終わるであろう……ププ』

 

「陽乃、分かったな」

 

耳元で命令するように強く言う、すると

 

「はひ……分かりました……」

 

その場で座り込んでしまった……え……何が起こったの?

 

『帰還せよ』

 

「じゃ、俺、ほかにやることあるから戻るわ、よろしく」

 

そう言って、その場を後にした

さっき笑ったあいつマジで殺す……

 

 

 

「材木座、お前殺す」

 

戻った俺は開口一番に言った、正直こいつは俺が殺さなきゃ気が収まらない。

 

「待て待て待て、我のおかげだろう。」

 

「あんな辱めを受けるとは思ってなかったわ! というかなんだあの優男風の俺、もうヤダ……これがあと3回とかもう本当に嫌だ……」

 

壁にもたれかかって……落ち込む……今、この壁にヘットバットしたら何もかも忘れて俺は自由になれるかもしれない……。

 

「八幡、ナイス演技だったよ、やっぱり本の通りだね」

 

「本?」

 

戸塚が本を見せてくる

 

『男のための恋愛マニュアル』

 

俺は、どうやら雪ノ下をバカにできないことに足を踏み入れたらしい……。

 

「年上女性は急な命令口調に弱いって書いてあるんだ、優男からの命令口調は作戦成功だね」

 

「……八幡よ、休んでる暇はないぞ、早く次に行かないと時間がない……ククク」

 

「くそ、お前絶対楽しんでるだろ……」

 

「次はこの人で行こうか」

 

もうここまでの辱めをした以上、俺にプライドなんてない。

 

「よし、行くぞ」

 

 

 

 

「先輩、呼び出すなんてどうしたんですか? 珍しいですね、いろはちゃんの魅力に観念しちゃいましたか?」

 

次は乱入可能性が2番の一色である。今回は優男ではなく、通常で話す感じで行くらしい……というか俺がお願いした。

 

『何言ってんだ、俺はもともといろはの魅力に惹かれてるわ』

 

「何言ってんだ……俺はもともといろはの魅力に惹かれてるわ」

 

「え、急になんですか、なんなんですか、うれしいんですけど、そういうのはもうちょいロマンチックに言って欲しいから、もう一度やり直してきてください。」

 

『まったく、俺はお前に何度フラれればいいんだろうな、ちょっと悲しいな』

 

「まったく、俺はお前に何度フラれればいいんだろうな……ちょっと悲しいな」

 

「いや、そのそういうつもりで言ったわけじゃなくて……」

 

『いろは、ちょっとこっち来てくれるか?』

 

「いろは、ちょっとこっち来てくれるか?」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

トタトタという効果音が聞こえるような仕草でこっちに寄ってくる……相変わらずあざといな。

 

『俺っていろはに信用されてないか? これを頭をなでながら言え』

 

「俺って……いろはに信用されてないか?」

 

そういって頭をなでると、

 

「きゃ、その……えへ……あぅ……」

 

小動物みたいに縮こまってしまった……こいつに妹コマンドって効果抜群なのか……。

 

「いや、そのそういうわけではないんですが、むしろ……」

 

『俺はいろはに惹かれてるから安心しろ』

 

「俺はいろはに惹かれてるから……安心しろ」

 

「本当ですか! 嘘じゃないですか?」

 

『それはいろはの態度次第だな……俺はこういうやり方好きじゃないしな』

 

「それはいろはの態度次第だな……俺はこういうやり方好きじゃないしな」

 

「うぅぅぅ~ 分かりましたから、もうやめますから、だから……」

 

『埋め合わせなら今度してやるから、安心しろ。それに今なら……』

 

「埋め合わせなら今度してやるから、安心しろ。それに今なら……」

 

「今なら………なんですか?」

 

『まぁ、それはお楽しみだ……これを耳元だ、これで多分終わりでいいだろう』

 

「まぁ、それはお楽しみだ……」

 

耳元でこっそりとささやく。

 

「……はい……分かりました……楽しみにしゅてます……はふ」

 

これで一色も終了した

 

 

 

「おい、材木座」

 

「どうしたのだ?」

 

「ああいうのをどこで仕入れた知識だ」

 

「エロゲ」

 

だと思ったわ……俺はなんたる恥さらしを……

 

「後、2人だね、このまま頑張ろうね! 八幡!」

 

どうやら、俺の精神力が削れるのが先か、それともあいつらが俺らの説得に応じるのが先かの勝負ということになってきた。 しかし、戸塚の笑顔は癒される……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで来週で文化祭編は決着です。

え、八幡じゃなくないかって?
そりゃ、彼は自分の信念を守るためになんでもするらしいので……なんでもするらしいので
大事なことだから二度言いました。

イヤホンやらカメラについてですが、ちょっとそのあたり、詳しくないので、その辺はご都合主義の機械ということにしてください。すみません……

というか20話ですよw
よく続けられた気がしますわw

アンケート引き続き、募集中です。よろしくお願いします。

というわけで恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします。

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