GIRLS und PANZER with Unbreakable Diamond 作:デクシトロポーパー
仗助視点にてお届け。
※当話にて、『めくら』という単語を使用しておりますが、
原作の雰囲気を重視してのものです。差別的な意図は一切ございません。
東方仗助(ひがしかた じょうすけ)の視界が、青一色に染まった。西住みほの最初の一手は、トゥルー・カラーズの手の甲にはまった、ペンキカプセルの破裂だったのだ。一面にぶちまけられた青のペンキが全身にまんべんなく押し寄せて、防御行動を取るしかなかった。早々に殴って戦車から叩き落すか、死亡判定を出させるかしようとしていた仗助は、のっけから出鼻を挫かれたことになる。
(あ、危ねぇッ!
このペンキ……射程外に出ない限り『絶対に落ちない』からよぉー
こいつが一度でも目に入っちまったなら、メクラで戦うハメになる。
警戒しといてよかったってとこか。とっさに顔面をガードできたぜ)
が、当然それきりで終わりのわけがない。仗助の顔面を守ったクレイジー・ダイヤモンドの腕を下ろして様子を確認しようとすると。予想外! 西住自身がカッ飛んできた!
タックルではなかった。狙いは腰よりももっと下。膝に飛びついてくる気らしい。スタンドでのガードも間に合わず、押し倒される形で4号戦車から転落。頭から落ちて気絶してはたまらないので、スタンドの腕だけを枕にしてガード。落着と同時にトゥルー・カラーズの拳が飛んできた。残ったもう片手で辛うじてガードすると、素早く跳び退った西住が見える。ガードした後のクレイジー・ダイヤモンドの腕を見ると、黒のペンキがベッタリと貼り付き、すでに固まっていた。西住が狙ってきたのは、やはり顔面。執拗に目潰しを仕掛けてきている。
(当然の判断だよなぁ~。パワー負けしてるコト考えりゃあよぉぉーー)
この戦法は、仗助の想定の内である。西住も当然、そう思っているはず。じっと観察。トゥルー・カラーズのみならず、西住もネコ足立ちのように身構えている。近づけば、また飛びのいて逃げるだろう。一緒にスタンドの拳が一発だけ飛んでくるだろう。クレイジー・ダイヤモンドと比較しても上回っている、スピードと射程距離を最大限活かしたヒットアンドアウェイを主軸に据えてくるはずだ。4号戦車から落とされてしまった以上、仗助も眼前の西住を無視することは、もうできない。顔面に一発でももらえば、視力を封じられたクレイジー・ダイヤモンドではどうにもならなくなるからだ。だが。
「オレの目的はよぉー、半分達成だな。多分、おめーもわかってると思うがよ」
「私に指揮をとらせないこと。これだよね。で、もう半分は……」
「言わすんじゃあねぇーよ、西住ッ!
おめーをブッ倒すことだぜーーーッ
おめーを倒して、4号戦車もブッ壊す! 中のヤツらも全員ドつく!
止められんのか、おめーによぉぉぉーーーッ」
「あはは、煽るね。でも必要ないかな」
西住は、サッと両腕を前方に構えた。同時に、能力を解除したのだろう。先ほどブチ撒けられた青ペンキが剥がれ落ちて消えていく。互いに、元のキレイな姿に戻った。
「スゴイよ、東方くん。戦車の外に引っ張り出されるなんて思わなかった。
作戦を見抜いて上を行ったと思っても、東方くんはさらにその上を来た。
そんな東方くんを相手に、手加減なんかできるワケない」
「よく言うぜ。38tボコボコにしといて、このお方はよぉーー
おかげで相当不利になっちまったぜ、オレはッ」
本気でまずいのだ。4号戦車に貼りついてさえいれば、王手にリーチがかかった状態と言えた。あのまま、西住を叩き落して車体後部のラジエーターを破壊すれば、4号戦車はすぐに動作不能となり、撃破判定が出ただろう。だが、それももうできない。むしろ至近距離の4号戦車にいつ狙われてもおかしくない状況だ。さらには、ムーンライダーズが付近に潜んでいるのも確定である。億泰の迎撃にすべて回すような無用心を、こいつがするわけがない。実質、仗助は完全に包囲されている。敵のド真ん中に飛び降りて司令官の首を獲りに来たのだから当然と言えば当然なのだが。このピンチを打開する方法はただひとつ。
「オレがおめーを倒すか」
「私があなたを倒すか。今はそれが全て」
仗助もスタンドを構えた。無言のにらみ合いになる。西住が歩けば、仗助も歩く。一触即発の牽制を、視線で交わしながら。どうやら、4号戦車から離れるように仕向けたいらしく、西住は仗助を中心に円を描くように歩を進めている。仗助としては、4号戦車に再び取り付いて一方的な優位を拾いたいところだが、これは明らかな罠と見た。38tがかかったのと同じ罠が、そこにある。ムーンライダーズが狙ってくるだろう。とはいっても、西住を直接狙いに行っても、多分同じこと。そこに銃弾が飛んできて、最大限に連携されてしまう。こちらの射程は2m。向こうの射程は7m。守勢に回れば負けるが、ガムシャラに突っ込んでも向こうの思うツボ。そう思うと、さっき組み付いていた瞬間が、完封勝利のチャンスだったのだが。
(ここはひとつ、どうにかしてスタンドを捕まえてみるか。
距離をとれば攻撃されないと思ってんなら、
そこでさらにドギモを抜いてやるぜ)
ポケットから取り出したるはスーパーボール。親指大の小さいヤツだ。クレイジー・ダイヤモンドにソッと手渡し、手首だけでスナップを効かせて投げつける。狙いは右肩。頭だと脳震盪やら何やらを起こしてエライことになる可能性があった。なお、全力で投げつけた場合、家の壁を普通に貫通する。昨晩試したので加減もしている。何かやっていることに気がついていたらしい西住は、先ほどの仗助のように、とっさにスタンドでガードを固め、飛んできたスーパーボールを弾いた。が、『そらす』防御は出来ていない。
「うううっ……」
少し涙目になっている。衝撃がスタンドに吸収されてしまい、その分のダメージが腕に襲い掛かっている最中だろう。指先から二の腕の骨に至るまで、ジンジンしてたまらないと見える。
「油断大敵ッスよねぇ~、西住サンよぉ~」
「そ、その発想なかったよ! ちょっと、用意良すぎないかなぁ~」
「おめー、戦車から頭出してばっかりだからよぉー。狙撃用に持ってたぜ」
「ああ、それで……確かに油断だよね。
『普通の』戦車道なら反則だもん。人間を狙って撃つのは」
「スタンド使いならよぉー、おかまいなしだぜ。こんな風によ!」
仗助はワザトらしく見せ付けた。ポケットから取り出した右手いっぱいのスーパーボールを。見せ付けられた西住は、歯を食いしばったまま思いきりタジロいでいる。
「ひ、ヒドいッ……」
「第二球、第三球、第四球、行くぜ西住よぉぉーッ、ドララララ!」
「イジメッ子ぉーーーッ!」
投げて投げて投げまくる。スーパーボールを秒間一発。トゥルー・カラーズは防御しかできない。おまけに腕が次第にブレてきている。腕の痛みもシビレも積み重なっていくばかり。そのうち、西住は耐えかねて倒れてしまうだろう。このままであれば。拙速に殴り掛かってくることを期待しての戦法だったが、そこまで持たない可能性すらあった。
(このまま、みすみすヤラセッぱなしってのはねぇよな……
すると、ボチボチ来るぜ)
これは試金石でもある。ムーンライダーズがどういう風に使われているか、この反応でわかるはず。次のスーパーボールを投げる瞬間、果たしてそれは見えた。銃声一発。その後、コンマ数秒で襲い来る全方位の弾丸、実に五発。
「ドラララァァーーーッ!」
その場で一回転し、弾丸全てをそらして防ぐ。虹村形兆のバッド・カンパニーとほとんど同じ手ごたえだ。飛ばされてくる弾丸は破壊エネルギーの具現であり、地面などに突き刺さるなり消えていく。
(今ので確定だ。秋山のヤツ、コッチを見てるぜ!
全弾同時! 統制されている……ヤツらお得意の暴走じゃあない。
そして、口伝えにしちゃあ反応が早すぎる。
なら、まずはアイツに退場してもらうぜ。先にスーパーボール叩ッ込む!)
統制した射撃を行うからには、向こうとてその瞬間を見計らっているはず。そこを逆に叩いてやる。38tに対してやられたことを、やり返す。そのためには、もう少し西住をイタブってやるしかないか。が、瞬間を狙っていたのは、西住もまた一緒であったらしい。
(い……いねぇ。どこに行きやがった?
アイツから目を離したのはせいぜい3秒程度。
気づかれずに移動できるわけがない)
この時、仗助はザ・ハンドの可能性をほんの少し疑った。混戦がさらに深くなり、億泰までもがこの付近にやってきたのなら、今の状況をピンチと見て西住だけを引き離しても不思議ではない。そう思って、わずかに注意をヨソにやってしまったのが命取りになるところだった。
(……足音! 右からしているぜ!
こいつは最初から走っていたのか?)
気がついて振り向くと、トゥルー・カラーズの拳が眼前まで迫っていた。姿勢も何もあったものではない、形振り構わず出したクレイジー・ダイヤモンドでどうにか弾く。完全に無事とはいかなかった。
「オ……オレの、髪」
トゥルー・カラーズの拳はこともあろうにリーゼントを直撃。しかも、腕のシビレが残っていたのか、弾かれるなり拳がほどけていて、指がひっかかり……台無しになった。前髪が落っこちてくる。冗談ではない。
「ゴ……ゴメン。なんかスゴくゴメン」
いつの間にか姿を現し、トゥルー・カラーズを引っ込めた西住が平謝りしてくる。別にこいつは悪くない。モノスゴくショックを受けてはいるが、そのくらいはわかる。
「……い~んスよ~べっつに~。すげぇムカッ腹立っちゃあいるけどよ」
「お、怒ってる? やっぱり?」
「想像してみなよ、おめーの『ボコ』をバラバラにされた気分とかよぉ~」
「わかったよ、うん……おキニの服を破いちゃったんだね私。例えるなら」
ついにやられてしまった感がある。バッド・カンパニーにも、レッド・ホット・チリ・ペッパーにもやらせなかったのに。わざわざ髪の毛だけを狙うなんていうバカげたマネをするヤツがいなかっただけの話だが。
「で、でも! 受けて立つよ。その、怒ってるのも含めてッ」
「いい覚悟じゃあねぇーか!
ペシャンコにのしてやるぜッ、ギャグマンガみてーによぉぉ~~ッ」
感情にまかせて突っ込んでいくのは無しだ。髪型をバカにされたなら、そんな判断もフッ飛ばしてブチキレている所だが、こいつ相手にそれをやれば多分、敗北一直線。そして、仮にそれが有効な手段だとわかっていたとしても、西住は決して実行に移さないだろう。そうしなければ誰かが死ぬような状況でもない限り、こいつは絶対にやらない。
(それよりもだ、あいつは一体何をやった?
目を離したスキに姿を消す『何か』。
ぶっちゃけ、ひとつしか考えらんねーぜ)
ポケットから、またスーパーボールを取り出して投げつける。さっきと同様、西住は防御一辺倒になってしまうが、仗助は気づいた。トゥルー・カラーズの動きが違う。
(『受け止める』んじゃあなくて、『そらし』始めてやがる。
防御しながら身体で覚えていたっつーのか……いや、違うッ
オレが実演しちまったんだ!
ムーンライダーズの弾丸を防いだのを見てやがったんだ!)
このやり方はもう続かない。スーパーボールで完封の目はなくなった。完全に順応される前にケリをつけなければヤバイ。秋山を先に倒そうなどと考えていたが、目の前のこいつを放置したら勝ち目が消える。今のところ、ダメージの無効化までは出来ていない。となれば、そろそろまた来るはずだ。タイミングさえ予測できるなら、大して怖くはない。
「ドラララララ!」
ムーンライダーズの五発、すべて弾いた。そして今度はわかっている。防ぎながらも西住をチラリと見ていた。『森林迷彩』のボディペイント!
トゥルー・カラーズの超スピードと精密動作性で、ほんの二秒ほどで自分の髪の毛から足のつま先までもを、西住は塗り替えていたのだ。ほとんど忍者の世界である。ジッと見つめていなければ、真面目な話、見失う。その一瞬の隙さえあれば、ヤツにとっては充分だ。目にペンキを塗りつけられるだけで、クレイジー・ダイヤモンドはメクラ打ちしかできなくなるのだ。だから、この瞬間に勝機を見出すしかない。ボディペイントの作業で2秒間も隙を作った、この瞬間に。ムーンライダーズが弾を撃ち、すぐには次を撃てない、この瞬間に。
『西住チーム、M3リー、行動不能!』
『東方チーム、虹村億泰、重傷。再起不能(リタイア)』
(お、億泰ッ、やられやがった!
挟み撃ちか何かで相打ちになっちまったのか?)
ほぼ同時のタイミングで、背後の4号戦車が動いた。何かと戦闘を始めている。3号突撃砲。それしかない。
(するってーと、3号突撃砲は、4号戦車と……あと、『チハ車』
この二台を相手にしなきゃあなんねーってことだよな。
やはり、ここで勝負するしかない!
オレか3号突撃砲、どっちかやられた時点で全滅確定だぜ)
全速力で突っ走る。西住を最短距離、最短時間で始末するのだ。バレていることを理解した西住は、ボディペイントをさっさと解除すると、こちらに向けて身構えたが、スタンドを出して攻撃しようが防御に回ろうが無駄だ!
圧倒的に勝るパワーで一方的に叩きのめそうとした仗助に、しかし西住は別の選択をした。スタンドで攻撃するのではなく、西住自身が飛びついてきた。トゥルー・カラーズで地面を蹴って、その勢いで飛んできた。なるほど、さっき戦車から突き落とす時にもこれをやったのか。4m以上は先からヘッドスライディングのようにやってきた西住に膝を取られ、その場に引き倒された仗助だったが、しかし、むしろこれはチャンスでしかない。二番煎じなど通じるものか。
「マネしてやるぜッ、オレもよぉぉーーーーーーッ!」
背中が地面につくより前に、クレイジー・ダイヤモンドを背中から出し、大地を蹴った。繰り返すが、トゥルー・カラーズとは段違いのパワーである。仗助の身体は、足に引っ付いた西住もろとも宙に跳ね、足元の西住を軸に90度回転。そのまま重力に従った結果、逆に西住が押し倒され、仗助はちょうど真上に落着。腹の上にまたがった形となる。どう見ても『不良が婦女子を暴行』の図だが、これで勝ちだ。攻撃しようとしていたトゥルー・カラーズも、すでにクレイジー・ダイヤモンドで捕まえている。ちょっと頭が冷えた。この体勢で女の子をボコボコに殴るなんて、控えめに言っても死ぬべき野郎だった。それこそ、『髪型』への憧れを自ら侮辱する行為だった。
「さすがに絵的にヤベーッスからよ、サッサと済ますぜ。抵抗すんなよな」
「ケホッ……うん、抵抗しないよ」
トゥルー・カラーズを羽交い絞めにしている以上、西住も身動きは不可能だ。この細っこい首にそっと手を回し、絞め落とすマネゴトをすれば承太郎も死亡判定をくれるだろう。だが、妙だ。西住のものわかりが良すぎる。抵抗自体がそもそも不可能なのだから、白旗を上げるしかないのは確かなはずだが、何かやばい。根拠はないが、ハメられている気が胸いっぱいに広がってきた。
「抵抗しても意味ないもん。東方くんは座ってて、
クレイジー・ダイヤモンドもトゥルー・カラーズにかかりっきりなら、
私が動く必要、全然ないよね」
「……なッ、まさ」
背中に衝撃が殺到した。十数発のペイント弾が直撃し、ピンク一色になるのがわかった。遅れて後ろを振り向くと、そこにいたのは。
「『チハ車』……こんな、ドンピシャのタイミングを待ち構えてやがったのか?
いや、こいつは」
視線を少し下にやって気づく。地面に黒く大きな矢印が書いてある。矢印は、仗助の背中の中心をピタリと指し示していた。ほどなく、それは崩れて消えていく。
「グレート……誘い込まれてたってのか、最初から。
トゥルー・カラーズでコソコソ指示を出してたってのかよ」
「うん、あんまり細かくは指示できなかったけど」
仗助はすべてを悟った。さっき出していたトゥルー・カラーズは、攻撃のために出していたのではなかった。『書き終えた』ところをたまたま捕まえた。それだけだったということに。トゥルー・カラーズの色を塗る能力を使って、気づかれない場所とタイミングで文字を書く。そうやって、控えていた『チハ車』を指揮していたのだ。西住本人と交戦状態になることで指揮を封じたつもりが、それ自体を隠れミノに、最初から指揮をとられていた!
『東方チーム、東方仗助、死亡。再起不能(リタイア)』
承太郎がキッチリ死亡判定をくれた。当然、仗助の。
「……や、やられちまった。チキショ~~~ッ」
「そろそろ、どいてほしいかな。苦しいよ」
「あ、悪い、すまねぇッス!」
ソソクサとどいた仗助に、また後でね、とばかりに手をふると、西住は『チハ車』に駆け寄り、飛び乗った。
「ナイスアシストです、西住隊長ッ」
「アヒルさんチームこそ、ナイスショットだよ。
私を巻き込まないで東方くんだけを機銃で撃つなんて、すごい」
「どっから撃っても効きゃあしねぇ!
なんて言わせたマンマじゃおかないってことです。
猛練習の成果、身体で思い知ってもらいました」
「? 何の話かなぁ」
聞いてたのか、あいつら。背後にこっそり忍び寄っていたのは、カバさんチームだけではなかったらしい。
「思い知りました、ゴメンナサイッス!」
「あ、いいって。コッチは盗み聞きしてたんだし。次は一緒にやろうよ」
『チハ車』が行ってしまった後は、ただ脇によけて座り込んでいるだけになった。死人だからだ。移動も通信も、試合終了まで許可されない。それも、7、8分程度のことだった。
『東方チーム、3号突撃砲、行動不能!』
『3号突撃砲、敵弾貫通。爆発炎上により死亡判定。
鈴木貴子、即死。松本里子、即死。杉山清美、即死。野上武子、即死。
以上四名、再起不能(リタイア)』
「誰だよ? 誰がダレなんだよ? わかんねぇーッスよコレ!
本名くらい言っとけよアイツラ! イマサラだけど」
最初の頃に撃破されて、生き残りがいたりしたら非常に難儀しただろう。誰に連絡をとっていいかすらわからない。そんな事態にならなかったのは不幸中の幸いだったのか。それは置いといて、東方チームの戦力は、これで全滅だ。『矢』も38tにある。このまま、秋山のムーンライダーズあたりに発見されてゲームセットだろう。スガスガしいまでの負けっぷりだった。億泰のM3リー撃破だけが、振り返れば唯一の戦果であるという。だが、ここまでやれれば充分だ。スタンド使いとのマジな戦闘に劣らない全力を、この戦いで出し切ってみせたのだから。これで、あの蝶野教官が納得しないというのなら、もう仕方がない。試合終了のアナウンスを待ちながら、仗助は懐からクシを取り出し、破壊されたリーゼントの修繕を試みた。
30分後。
『東方チームの手により、矢の領域離脱を確認』
『勝利条件達成。東方チームの勝利です!』
「……アレッ?」
勝ったぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……
はるか遠くから、雄たけびというか、かすれかけた絶叫が聞こえた。
To Be Continued ⇒
仗助の髪型をバカにしちゃった場合、ボコのコスプレ(リアル志向)は不可避。
運が悪いと、さらに現代アートにされてしまう。みぽりん賢明。