GIRLS und PANZER with Unbreakable Diamond   作:デクシトロポーパー

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小話のつもりで書いてた日常回ですが。
事実上、こっちの方が『音石明が~』シリーズのシメになった予感。
仗助達とみほ達が74アイスで色々話すだけのお話しです。


Inter Inter Mission 『女子高生とお茶しよう!』

東方仗助(ひがしかた じょうすけ)は、鼻息の荒い友人をチョット冷めた目で見ていた。

 

「わが世の春が来たってヤツだぜぇ~~~

 女のコにお茶サソッてもらえるなんてよぉ~~」

 

昨日の敗北で落ち込んでいたように見えたが、翌朝に合流してみたらコレである。虹村億泰は鼻を繰り返しフンスッとさせながら、ガッツポーズからのボディーブローを延々と繰り返していた。ズカズカ歩きながら、右に、左に拳を繰り出してウカレているコイツのそばを歩くのは、正直ハズかしい。

 

「億泰くんたらぁ~~、

 そんなガッツイた気分丸出しじゃあ、みんな逃げちゃうよ!」

「おぉー、そうかぁ? そうだな、気ィ引き締めて行くぜぇー。

 オレ不良だもんね」

 

康一に何度目とも知れない忠告をもらっても、ウヒョルン、ウヒョルンと全身から擬音が立ち上っている。仗助も、待合室で目を覚ましてから、まだ借りてる『柚子ケータイ』経由で康一から話を聞いたばかりなのだが。

……ちなみに、ジョセフの容態は安定した。昏睡状態だが、すぐ死ぬことはない、らしい。

さておき。昨日、一緒に戦った大洗女子学園戦車道チームの一員が。あの、スゴイ嗅覚を持った純和風美人の『華さん』が、億泰を追って声をかけたらしい。そして、お茶しませんかと誘ってきたのだという。話を聞く限り、億泰個人が誘われたワケではない。それは億泰自身もわかっていて、仗助、康一も、だからこそついてきている。対する向こう側の面子は、西住、秋山、沙織、麻子、それと華。昨日あったことを考えれば、用件などは最初から明らかだろうに。

 

「浮かれまくってるトコ悪いけどよぉー億泰、もう一度言っておくぜ」

「おいおい耳にタコだぜぇー、わかってるっつーんだよ」

「あいつらが興味持ってるのは、

 主にオレ達の『スタンド』だってことを忘れんな。

 イタイタしいコトになるぜぇ~っ

 勘違いヤローのままだとよぉーーーっ」

 

だが、億泰を諌めていた康一が、仗助へ控えめに手を挙げた。

 

「予防線、ヒキすぎるのもどうかと思うんだよなぁ~~~

 とりあえず、お話してみるって感じでいかない?」

「オレはそのつもりだぜ、康一。

 ただ表情筋がユルみすぎてヤバいヤツがいるだけだろーがよ。

 約一名!」

 

仗助の返事にウソはない。というより個人的には、この康一にこそ縁に恵まれて欲しいと思う。想い始めたら一直線すぎるサイコ女、山岸由花子が恋愛経験の最初で最後ではカナシい。あんな経験をさせられては、女性というやつに『トラウマ』を持たされても不思議ではない。ここらでフツーに平和な女の子に出会えれば、などと思ったが。

 

(考えてみりゃーよぉー、

 『そうなった』ら『そうなった』で、その女の生命が超ヤベェーッスよ)

 

山岸由花子が黙っているわけがなかった。康一は『特大の地雷』だ。『即死トラップ』だ。

 

「そーいう仗助くんも、さっきから百面相してるように見えるけど?」

「悩み多き年頃なんだよ、仗助くんはァァーーーー」

 

待ち合わせ場所についてしまった。74(セブンティーフォー)アイス。ここだ、間違いない。杜王町ではなじみのないチェーンだった。入り口に踏み込んでいくと、近くにいた女子高生達が逃げる、逃げる。改造制服の、どう見ても不良なイカツイ男が二人。アイツらにしてみれば、

『ゴジラとキングギドラがタッグを組んで町を荒らしに来た!』

コレものだろう。

 

(グレート。わかっちゃいたがヘコむぜェーー

 ウチの高校なら女どもも声かけちゃーくれるけどよォォーー

 地元人で顔が知れてるからだよなぁー、ヤッパリ)

 

億泰はそんなことにおかまいなしだった。自動ドアを開いて左右を見回し、ユルんだ顔がパァァッと笑顔になる。

 

「いよぉぉーー、華さん」

 

いつものダミ声が向かった先と、笑顔の向いた先を追うと、いた。西住に、沙織、華と、麻子。秋山がいないようだが。それはともかく、歯をキラリとさせた億泰のスマイルに、西住と沙織は、どっちかというとドン引きしている。麻子は無表情で、一瞬だけ視線をやると、アイスをツツくのに戻った。そして、名指しされた華本人はというと。

 

「こんにちは、虹村さん」

 

クスッと笑ってから、やわらかに手を振ってきた。腹の中に何か秘めている風もない。

 

「それとよぉー、西住に、沙織に、麻子だったよなぁー。

 元気そーで何よりだぜぇー」

「あ、あはは。こんにちは、虹村くん」

「ゲンキ有り余りすぎてない? 虹村くん」

「ん」

 

他の三者は三様にアイサツを返してくる。沙織が、ホンのわずかに邪魔者を見る目をしたが、邪険に扱うようなつもりは、少なくとも今のところないらしい。麻子の表情は読めない。承太郎を小動物にしたらこうなるだろうか?

西住は、昨日見せた気迫がウソのようだ。多分、億泰が現れた瞬間からだろうが、現在進行形で萎縮しまくっている。

 

「ンッ? 秋山がいねぇーーな。

 でも席はとってあるみてーだしよ……便所かぁ?」

 

仗助は、億泰の口に無言で平手を張った。パチーンといい音がした。

 

「ななっ、何すんだコラァァァーーーッ!」

「てめーにデリカシーってやつを期待したオレがバカだったぜッ!

 チョットくらい考えてモノ言えよてめぇーーーーッ」

「何? なんで? 何のこと言ってんだよぉぉ~仗助ェェーー」

 

女どもの手前、手早く説教を済ませようとしていた仗助だったが、そこで奥の扉が開いた。真上には『お手洗い』マーク。ゲッソリやつれたボーイッシュな女が這い出てくる。何か見覚えがある。思わず二度見して気がついた。秋山だ。康一も、思わずビビッて指差した。

 

「あ、秋山さんッ」

「ホレ見ろ、便所だったじゃねーか! サエてるぜオレ」

「そりゃもういい。だがよ、顔色がヒデェーぜ。ただごとじゃねぇ。

 ……おいっ、しっかりしろ。何かあったのか、秋山よぉーッ」

 

昨日からこっち、死にかけてばかりいる秋山だ。それが今日もまた死ぬような顔をしている。康一、億泰ともども駆け寄り、倒れそうな身体を支えて起こす。やはり、全身に力がない。こちらを見て、なんとか口を開く。

 

「東方、どの……それに、虹村どのに、広瀬どの」

「アイサツなんか気にしてんじゃあねぇーぜ、こんな時によォーッ

 何があったか、それを言え!」

「スタ、ンドに……やられ、て」

「スタンド? 音石の仲間でも来たっていうの? 昨日の今日で?」

「西住ッ 全員でこっちに来い!

 スタンド攻撃だぜッ 攻撃を受けているぜッ」

 

店内の注目を集めてしまっているが、気にしている場合ではない。敵はおそらく、病気か何かにさせるスタンド。敵スタンドらしきものが見えない以上、おそろしく遠くから攻撃されているか、何かの条件を満たした瞬間に攻撃される、このどちらかだ!

だが、呼びかけられた西住の反応は、にぶい。

 

「東方くん、あの、その、ね?」

「グズグズしてんじゃあねェーーッスよ!

 秋山は『スタンドにやられた』と言った。

 こいつは敵スタンドを見ているぜッ!」

「た、確かに見てるよね。見てるよ、私も」

「……は? 何、言ってんスか?」

 

西住は、心底気マズそうにテーブルの上を指差した。メニューや広告などを重ねて巧妙に何か、隠している。気づいた西住がそれも取っ払うと、見えた。

 

『ド、毒ガ……ヨーヤク抜ケテキタァァ~~』

『騎士道ガ毒ゴトキニ負ケルカッテンダヨ!』

『シカシ危機一髪ダッタ。シバラク戦士ノ休息ダァァー』

 

グダグダに、ひっくり返った小人ども。それと馬。康一が、そいつらを見て、知っていた。

 

「あっ、ムーンライダーズ! 秋山さんの!」

「何だって、康一?」

「秋山さんのスタンドだよッ、昨日、発現したばかりの!」

 

ますます話が見えなくなっていく一方だった。

 

…………………………

 

「ぎゃ~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはーーーッ!」

「ヒィーーッ、ヒィィーーーーッ!

 あぁ~~~イテェッ、腹イテェッ! イギ、ギハハハハハハ!」

「仗助く、ブッ! 億泰くん!

 そんなに笑っちゃ、ブハッ、ダメ……プッ、ククククククク」

 

西住から真相を聞かされて冷静になり、真相をもう一度、頭の中で噛み砕いた。

その結果がこれである。

とどのつまり! スタンドが勝手に拾い食いして! 『本体』に大当たりしたッ!

こんなもの、笑うに決まっている。秋山の顔面は赤熱していた。今にも溶け落ちそうな有様だった。さすがにそろそろマズイと思い、止めようとしたら、向こうから声を上げてきたのが一人。

 

「ちょっとちょっと!

 それ以上、優花里ちゃんを笑いものにするんだったら考えがあるんだけど!」

 

マジメな顔で食ってかかった沙織は、渡りに船だった。これでお気楽な空気を一時中断できる。

 

「すまねぇー、もう笑わねぇーぜ。

 イカシた男のやることじゃあねぇーよ……な、億泰?」

「お、おう。カッコ悪イィー事しちまったぜぇ~。

 悪かったな、秋山よぉ」

「ゴメンナサイ、秋山さん」

「あ、いえ、気にしないで下さい。

 ううう、でもハズカシイ。公開処刑ですよぅコレ」

 

猛烈な腹痛でトイレに駆け込み、出てくるなり不良二人に囲まれて大騒ぎされ、おまけに友達に詳細を語られて大爆笑される。改めて追ってみると、ひどい。あまりにひどすぎる。

 

「とはいえ、よぉー、そのスタンドどもの自分勝手。

 早いとこどうにかしねーとよ、マズイぜ」

「なるんでしょうか、どうにか」

「してたぜ! オレの兄貴はよォォー。

 歩兵60人、戦車7台、ヘリコが4機のバッド・カンパニー!

 完ッ璧に率いてたぜぇ~」

 

秋山の弱気に、億泰としては発破をかけたつもりだろう。これに比べれば騎兵の7人、軽いだろうと言いたかったのだろう。しかし秋山は、ゼンッゼン違うところに食いついた。

 

「戦車!? 戦車を使うスタンドなんですかッ」

「お、おう。大砲の威力はヤバかったぜぇ~」

「『どこ』の戦車ですかぁ?

 戦闘ヘリが一緒にいるってことは、多分、第二世代MBT以降ですよね」

「第二、M……ハァ?」

 

億泰の頭からクエスチョンマークが飛び出したまま止まらない。さらに秋山がたたみかけようとしているのを、仗助は見かねて、割って入る。

 

「オレが見たところよぉー、

 M1エイブラムスとかいうアメリカ野郎の戦車だったぜ」

「っと言うことは! 一緒にいたヘリってのはアパッチですかぁ?」

「グレート。ドンピシャリだぜ」

「極悪中隊(バッド・カンパニー)……」

 

秋山の目は、キラッキラと輝いていた。戦闘ヘリの援護を受けた、戦車と歩兵の中隊が、敵陣を蹂躙し突き進んでいく。そんな映像が秋山の瞳の中に移りこんでいる。覗き込めば、多分、見えるだろう。そんな気がした。そんな様子を億泰は気まずそうに見ている。そして言った。

 

「し、失望させる前に言っとくけどよぉ~、死んでるぜ、俺の兄貴!」

「えっ?」

「チリ・ペッパーの野郎に殺されちまったよ。

 会わせてやったりはよォォ~、できねぇぜ」

 

チョコミントアイスをヤケクソ気味にかき込む億泰。もっとも、生きていたとしても、あの虹村形兆がこの兵器大好きっ子の秋山に好意的に接する姿が思いつかないのだが。というか、戦車道とか大嫌いだろう、あの兄貴。音石明の持論ではないが、実際に兵器のスタンドで人殺しを働いた形兆だからこそ、競技に使われる戦車なんてモノは、欺瞞に満ちたシロモノとしか感じないんじゃあないか。ふと、そんな物思いにふけった仗助だったが、秋山の方はそれほどヘコまなかった。

 

「理由が増えましたね。音石明をブチのめす理由が」

「いや、おめーにはあんまり関係ねーけどよォ」

「大有りですよぉー虹村どの。そんなスバらしいスタンドが戦う姿!

 永遠に見ることが出来なくされたんですからねッ、私にとって!」

「あ、アリガトウよ……ついてけねー」

 

億泰がドン引きする姿を見ることになろうとは思わなかった仗助である。ここまで相槌しか打たなかった麻子が、ぼそりと指摘した。

 

「戦うのは付き合うが、そんな理由に巻き込むのはやめろ」

「わかってますよぅ冷泉どの」

「いいんじゃあないでしょうか。

 優花里さんには、優花里さんらしくいて欲しいです」

「五十鈴どのッ……ありがとうございます」

 

華……フルネームは五十鈴華(いすず はな)らしい……がそう言って、ニコニコ笑っているのを見た億泰は、秋山の肩をポスッと叩いた。

 

「秋山よォ、あんまし仲間にメーワクかけんじゃあねーぜ」

「い、いきなり何ですかぁーブシツケにッ」

 

少しイラっとした顔で秋山が億泰に抗議しようとする。ここで、こらえきれなくなったように、西住が笑いだした。

 

「クスッ、あはッ、あはははは」

「みぽりん?」

「私ね、もっと殺伐とするかって思ってたよ。

 昨日の今日で、あんな戦いの後だったんだもん。

 もっと恐ろしくなる敵に備えなきゃって、私自身が思ってた」

 

一旦話を切って、西住は華に向き直り、頭を下げた。

 

「華さん、ありがとう。『お茶しよう』って言い出してくれて。

 東方くんと、虹村くんと、広瀬くんを誘ってくれて。

 私、あとちょっとで間違うところだった。

 東方くん達を『戦力』に数えて、『仲間』に数えないところだった」

 

なるほど、少しだが背景が見えた。華は、今回集まる名目をあえて『お茶』にすることで、仗助を始めとしたスタンド使いの面々を『同盟』ではなく、『仲間』として引き入れようとしたわけだ。そのためには、敵に対策をとるため、などという考えは邪魔でしかないから。

 

「違いますよ、みほさん。私にも思惑があったんです。

 今回出会った皆さんは、揃いも揃って殿方ばかり。

 信頼できるかを知るためには、あえて近づくべきだと思ったんです。

 上から目線で人様を試した私の方が、よほど道を外しています。それに」

「それに?」

「私、戦車道だけではなく、もっと他にもアクティブでいたくて。

 古式ゆかしい不良のお二方とは、是非、お知り合いになりたかったんです。

 不良と言っても、根性の曲がった方じゃあないのは、

 昨日でよくわかっていましたしね」

「こ、古式ゆかしい……」

 

仗助、ヘコむ。髪型が古すぎると言われたも同然だったが、華の言葉にバカにする響きは一切なかったため、プッツンは来ない。ゆえにわかった。こいつは本気で言っている。億泰に声をかけたのも、ただそれだけが理由だった。

 

「東方くん。虹村くんに、広瀬くんもだけど」

 

西住が、今度はこちらを向いた。緊張と萎縮が蘇りつつある。勇気のいることを、言おうとしているらしい。

 

「包み隠さずに言います。私、あなた達が、まだ怖いです。

 私と優花里さんが、同じように得体の知れない何かに

 変わってしまったことも、怖くてたまらないです」

「そうかよ、それで?」

「でも、わかりました。あなた達と私達は、同じ日常を過ごせます。

 なら、私と優花里さんも同じです。

 変わってしまったその先も、きっと同じ人間だって思えたから。

 『チリ・ペッパー』みたいな、どうしようもないのもいるけど。

 ですから、その……」

 

仗助の正面に立った西住が、おずおずと手を差し出してきた。

 

「友達に、なってくれませんか?」

 

そして、この手を拒む理由は、どこをどう探しても見当たらなかった。仗助は西住の手をガシッと掴むと、いささか乱暴にシェイクした。こうも正面からかしこまって言われると、テレくさい。

 

「よ、よろしく頼むッス……それとよぉー」

 

明らかにテレをごまかすだけの行為ではあったが、持ったままの西住の手を上に持ち上げて、瞬間的に手を離し。互いの手の平を、音を立てて打ち鳴らした。ハイタッチというやつだ。

 

「アッ、痛ッ、イタタッ」

「ダチっつーならよぉー、こうするもんだぜーッ!

 昨日、『4号戦車』のキャタピラを狙い撃ちしたオメーの命令、

 グレートだったぜ、西住ッ」

「ううっ……ひ、東方くんこそ、

 まさかあんな方法で戦車を倒すなんて思わなかったよ!

 参考にするのは多分無理だけど、あの発想、スゴかったッ」

「次、『チリ・ペッパー』の野郎と戦ったらよォォーーー、

 グウの音も出ねーくらいボコボコにブチのめしてやろうぜ」

「ボコボコはイヤ。バッキバキにブチのめそう!」

「どう違うのかわからねぇーが!

 おめーの方がえげつねぇーぜ西住よぉー」

 

手を離して、周囲を見てみる。妙に感激しているのが三人。康一はわかる。あいつは感動場面に弱いから。というよりも、感動場面に居合わせることに憧れを持っていると思われる。秋山もわかる。多分、康一と似たり寄ったり。しかし、あの沙織の異様な浮かれぶりは何だ。両頬に手を当てて、一体何をもだえているのだ。麻子に尻を引っぱたかれて正気に戻ったが。西住にちらりと視線をやると、苦笑だけを返された。

 

「っつーわけでよ、もうちっとお茶しようぜ。

 アイスとかパフェのお代わり、注文しろよな。

 オゴりは期待すんじゃあねーぜ、あくまで各自だ」

 

二万五千円もする『バリー』のクツを買ったばかりで金がない。こんなところでツマラナイ見栄を張る仗助ではないのだ。予算としては、あと700円くらいか。財布の中身をのぞいていたら、いきなり秋山が立ち上がってこっちに来た。

 

「ああッ、思い出しましたよ東方どのッ!

 ゼッタイに言わなきゃならないこと、あるんでしたッ」

「なんだよ、オイッ、何だっつーんだよッ」

 

ズカズカと突っ込んできた秋山は、仗助の胸元にビシッと人差し指を突きつけた。

 

「東方どの。『4号戦車』の天蓋に取り付いたとき、

 アナタはご自身を『アベンジャー』に例えましたね?

 ソレはいいんですッ、私もシビレると思いますッ」

「そッ、それが、何だよ?」

「でも、東方どの……『アベンジャー』は……『アベンジャー』はッ!

 『アベンジャー』は、バルカン砲ではありませんッ!」

「なっ、何スってェェーーーー」

 

思わずノリで乗っかってしまったが、コレがそこまでして言うことなのか、イマイチわからない。秋山の顔は大真面目だった。

 

「そもそもバルカンっていうのはGE社が開発した

 ガトリング砲のひとつでしかありません!

 ハナッから別物なんですよぉ!

 『アベンジャー』を……『アベンジャー』の威力を知っていながら!

 こんな間違い、残念すぎるッ!

 不肖、秋山優花里。そんなアナタにA-10の資料を……」

 

(メンドくせェェーーーー何コイツッ チキショオオオオ~~~)

 

 

 

 

To Be Continued ⇒

 

 

 

 

 

西住みほ ―― この後、優花里をなだめてチョット静かにさせた。

 

東方仗助 ―― 逃げようかとも思ったが、みほが優花里を

        なだめてくれたので、ゲームの話に軌道修正。

        『METALGEAR SOLID』の話で

        盛り上がった。帰宅後、無断外泊のトガで

        母の朋子にシメられた。

 

秋山優花里 ― 暴走してしまったのを恥じつつ、

        『METALGEAR SOLID』に

        出てくるM1エイブラムスが、クレイモア地雷で

        速度が落ちることに不満をもらした。

 

虹村億泰 ―― 自炊生活について話し込み、アバウトな料理を

        していることに改めて気づく。しかし改める

        つもりはなかった。ウマければそれでいいのだ。

 

武部沙織 ―― 自炊生活の話から料理の話題に食いつき、

        『肉じゃがは男が好む料理なのか?』について

        聞き込む。また、仗助と優花里がゲームの話題で

        盛り上がっていたため、翌日学校で

        『MADGEAR SOLID』と検索。

 

広瀬康一 ―― 主に、億泰へのツッコミばかりをやっていた。

        沙織に料理の好みを聞き込まれる。

        犬の散歩をするため、ちょっと早めに帰宅した。

 

五十鈴華 ―― 自炊生活の話を聞き、男の料理に興味を示す。

        しかし億泰のアバウトな料理はマネできないと思った。

        この後、帰宅するまでにアイスを11個平らげた。

 

冷泉麻子 ―― 一人モクモクとアイスを食べ続け、

        たまに沙織にツッコミを入れた。

        翌日学校で、沙織に他人のフリをした。




これだけの人数を一箇所に集めて気がついたこと。
ヘタをこいたら、特定の人間ばかりがしゃべりまくって、
他が丸ごと空気になる!
億泰と優花里だけが暴れまくり、華さんも沙織も麻子も康一も、
あげくにみほも空気に押しやった初期案はゴミ箱へ。
やっぱり出す人数は絞らなきゃダメという反省。

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