はぐれメタルの能力を貰った男がこいしに憑依(仮)   作:ディア

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久々の更新です。遅くなった原因は没になった部分を消しては書き直しての連続が原因です。申し訳ございませんでした。


第5話

「う、うーん?」

あれから何があったんだっけ? お酒を飲んで、宴会がお開きになって、そのまま寝ちゃった? だとしたら大の字で寝ても仕方ないよね。

「おしっこ……」

おしっこ行きたくなるのは仕方ない。まず目が覚めたらおしっこをするのは当たり前だけど、その前にお酒一杯飲んじゃったから必然的に膀胱に水分も溜まっておしっこもしたくなる。むしろおもらししなかっただけありがたいくらい。

 

「うっ!?」

 

ヤバイヤバイっ!?

 

トイレなんてものはこの時代はないから草むらの茂み……あった! 丁度いいところに平野があったのですぐさまパンツを下ろし、しゃがんで《ここから先はこいしちゃんの聖水が流れるシーンですが人身事故が起こり、隙間送りされました。紳士及び淑女の皆様へ隙間送りされたことを深くお詫び申し上げます》……ふう、スッキリした。

 

「キュルっ!」

立ち上がり、パンツを履こうとすると後ろからメタルスライムに似た何かが現れた。もしかして私のおしっこでメタルスライムが生まれたの? 待って待って。メタルスライムってそんな生まれかたじゃないでしょ!? モンスターの配合で生まれるのはメタルスライムが両方親じゃないといけないんでしょ!? しかも両親はいなくなるのに私は生きているし……野小便している時点で女の子として死んでいるけど。

「メラ!」

っと。どうやら私のことを敵だと思っているみたい。でも私ははぐれメタルと同じ能力だから効かないんだよね。それにしても生まれたてのメタルスライムがメラを使えるのはやっぱり生まれながらの素質なのかな?

「たぁーっ!」

爪先の部分でサッカーボールを蹴るようにメタルスライムを蹴ると、会心の一撃が入ったらしくメタルスライムが音もなく消えていく。その場に残ったのはメタルスライムと同じ金属の塊だった。

「戻ろっか」

履き損ねたパンツをしっかりと履いて元の場所に戻った。

 

 

 

「おお、こいし様おはようございます」

「おはようお爺さん」

「ところでこいし様が手にしているその金属の塊、中々良さそうなものですな」

「わかるの?」

「我々覚妖怪は襲撃する商人達の心を読んで荷物にどのくらいの価値があるか判定していますからな。目も肥えるというものです」

まんまテンプレに出てくる盗賊じゃない? そんな覚妖怪が多いから嫌われたんだろうね。

「じゃあ、私そろそろ行くね」

「うむ、こいし様。さとり様にも我々は元気でやっていると伝えてくだされ」

「それじゃお爺さんありがとうね」

「お気をつけてこいし様!」

 

う~ん……何にもヒントは得られなかったけどとにかくひじりんを探さないと。確か美濃のあたりまで来たんだっけ。今ひじりんは信濃にいる。だいぶ近いけどどうなんだろう。

 

「聖命蓮? 以前そのような名前聞いたことのある名前だな」

「その人はどこに?」

「さぁ……姉に会いに行くという噂は流れているそうだが、御偉い様のところなんか儂らには何も関係ねえだ。儂らはただ税を納めればええだよ」

何て無関心&社畜奴隷! 日本人が宗教に無関心でかつ社畜奴隷だったのってこの頃だったのかな? この時代的はとにかく重税ばかりで娯楽を与えてもやる暇なんてないし、宗教にも手が付けられる訳もない。戦国時代宗教が流行ったのは戦国時代の人が仕事をしようにもどうしようもないから時間が有り余っていたからで今の時代はそうじゃないんだよね。

 

そんな馬鹿なことを考えながら次に向かう。次に頼るのは守矢の二柱。いや頼っても門前払いさせられるのはわかっているよ? 別の宗教の人の場所に案内するくらいなら自分達の宗教に改宗されるか門前払いさせられることくらいは予想がつくし、時間もかかる。ただあのおじいさんの反応をみる限り他の人もその考えに近いからこの辺の一般人に頼ったところで無駄。京とかそっちの方面なら別だけど。

 

 

 

「それで余のところに来たと?」

参拝客の私に対応しているのは八坂神奈子。日本神話に置ける風神の立ち位置にあたる神様が彼女。史実では男の神として知られているけど目の前にいるのは女。史実におけるこの神様は、私の中ではとにかく影が薄く「あれ、そんなのいたの?」と思えるくらいに影が薄い印象がある。まあ、形がアレな姿で伝えられるもう一柱に比べればマシな扱いと言えるけど前世神奈子のモデルが女だと思っていたくらい影が薄い。

「本音を言えば来たくなかったけどね」

ここに来たくなかった理由は関わる必要がないというよりも「私が第三の眼を閉じ(腐っ)ても覚妖怪だから心の声を聞いているのではないか」という不安がわかっちゃうんだよね。この感情の読み方は昔の経験と古石の頃の性格かな?

「正直な奴だ」

「覚妖怪だもの。ある程度正直じゃないと意志疎通が面倒で仕方ないよ?」

実際、覚妖怪同士は心と声を一致させてから話すのが前提だし。

「ふん、まあ良い。その聖姉弟についてだが西の方へ向かったそうだ。我を信仰していない者共から立ち聞きさせてもらった」

また移動するの? ひじりんの追っかけなのは良いとしてもだらだらと追いかけたくない。というか立ち聞きって……神様としてそれはどうなの?

「そうだ。せっかくここまで来たのだ。余と祭りをしようではないか」

「祭り?」

「神の遊び……すなわちこういうことだ!」

その瞬間、神奈子の手から弾幕が飛び放つ。

 

「不意討ちなんてそんなことをするなんて神様として失格だよ!?」

「我の知る神は引きこもりになったり、大蛇相手に泥酔させて寝込みを襲ったりと情けないものばかりだ。不意討ちなんて神の間では常識の範囲内だ。それにこの程度の攻撃を避けられぬお前ではあるまい。我は知っているぞ。高速で移動出来ることを」

そうだったよ。日本の神様はなんというかそんなのばっかりだった。だからと言って欧州の神様も良く言って人間味溢れる神様ばかり。もしかして神様はこんなのばかりなのかな。

「さあ死合おうぞ」

……ええい。ままよ! 私がポケットに入れておいた金属の塊を投げると物凄い音が響いて神奈子が仰け反った。

「だ、大丈夫?」

「くっ……! 今のはなんだ?」

神奈子が弾幕を放つのを止めて、金属の塊を拾う。そして神妙な顔つきになり私の肩を掴んだ。

「一体これをどこで手に入れた?」

「それが何か問題でもあったの?」

「問題どころか、これは我々神でも滅多に見ることが出来ぬ金属ヒヒイロカネだぞ」

「え?」

何をどう突っ込んだらいいのかわからないよ、この展開!?




~おまけ~
没プロット

こいしが自らの聖水を流した後、普通のスライムが登場。その後スライムを味方にする。
≫世界観が合わないので次の案に変更。

こいしが自らの聖水を流した後、スライムナイトの鎧を見つけそれを装備する。
≫一応書けたが、それだとタイトル詐欺になるので本編のように変更。

~後書き~

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