はぐれメタルの能力を貰った男がこいしに憑依(仮)   作:ディア

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いきなり1話目にして三十数人もの読者様がお気に入り登録してくれて感激しています!
何しろランキングに載ったことのあるイタ転(改定前)ですら1話目の登録数は30件を超えることはありませんでした。

そんな皆様に悲報です。この小説は原作スタート≠この小説スタートです。
つまりこの小説内の最初の背景は平安時代あたりだと思ってください。
いきなり原作スタートを期待していた読者様にお詫び申し上げます。


第2話

翌朝……お姉ちゃんに相談してみた。

「……という訳でお姉ちゃん! 私外行きたい!」

「ダメよ」

「なんでや!」

思わずノリで関西弁を使って返すとお姉ちゃんがため息を吐いた。……幸せ逃げちゃうよ?

「だってこいし、あなたよく病気になるでしょう? そんな時に私がいなかったらどうなるかわかっているのかしら?」

「うぐっ!? 全くその通り……」

ジト目のお姉ちゃんの言うことは正しく、私は狼狽えた。

「でも私が貧弱なのは体力不足が原因なんじゃないかな……って思ったり」

それでも諦めずに提案するあたり古石の頃の経験が活かされていると感じるな。

「体力不足を克服するために力尽きて死にましたなんてなったらどうするの?」

実際にありそう。体力鍛える為にマラソンした結果、熱中症でぶっ倒れるのと同じような感じで倒れてそう。むしろそうなんじゃない?

「それにどんなに妖力が多くても貧弱じゃどうしようもないのよ? 勇儀さんのように強く勇ましくないと」

強く勇ましくかぁ。少なくとも私の小四ロリ─はネタにしてもかなり小さい身体であることには違いない─の華奢な身体とは縁遠い話だよね。勇儀さんを知っている理由は私達姉妹と勇儀さんの仲が良い、という理由じゃない。私達が有名人である勇儀さんを一方的に知っているだけなんだよね。私達覚の種族は有名だけど個人としてはまだ無名。有名になるのはまだまだ先の話。

 

……私が勇儀さんよりも妖力が多いと思っているのは古石の記憶の中のはぐれメタルのMPの多さから予測したにすぎないから本当のことを言うとわからない。

 

「それならお姉ちゃん、弾幕ごっこで決着をつけようよ!」

弾幕ごっこ。幻想郷に置いて揉め事があった時、それを使うことが推奨されている。……幻想郷の決闘みたいなもので、パクった。

「弾幕ごっこ?」

お姉ちゃんがそう首を傾げて訪ねてきた。

 

そう言えば今はまだスペルカードルールが設立されるどころか勇儀さんがまだ山の四天王って呼ばれていた頃。

なのでまず竹取翁に出てくる藤原不比等(もこたんのおとーさん)が存命している時代でないことは確か。もう輝夜姫の話は妖怪の方でも噂になっていてとっくに月からの使者云々の話も聞いている。

勇儀さんやヤマメは源雷光、じゃなかった。源頼光によって倒されるから今は11世紀よりも前でスペルカードルール創設者の霊夢は20世紀に誕生。生まれてすらいない。つまり弾幕ごっこはパクっても問題ナッシング!

 

「そうだよー。弾幕ごっこ。基本的に弾幕を打ち合う遊び。誰でも勝ち負けが出来るように規則(ルール)があるから戦闘が得意じゃないお姉ちゃんでも勝てるよ!」

「そうなの?」

「そーだよ。基本的に弾幕に当てたら勝ち。だけど必ず弾幕に抜け道を作ること。この二つが規則(ルール)だけど質問ある?」

幻想郷の弾幕ごっこは美しさを求めたり、殺し合いはしないとかいくつかルールが追加されるみたいだけどあんまり複雑にしてもお姉ちゃんが不審に思うだけだし大分端折った。

……本当のことをいうと所詮原作、つまり東方シリーズ未プレイかつ設定だけの古石の記憶からパクったものをシンプルにしただけなんだけど。

「……なるほど。こいしのような膨大な妖力の持ち主が相手でも抜け道があると知っていれば勝てる可能性も上がる。まだまだ改良が必要そうだけど一通りやりましょうか」

「それじゃ行っくよー!」

私とお姉ちゃん、互いに譲れない戦いが始まった。

 

私の弾幕は決してパワーがあるわけではない。だけどその分緩急をつけたりするテクニックや大量に弾幕を出すことは得意。つまり弾幕ごっこの勝負の流れを有利に運べるってこと。パワーは相手の弾幕を打ち消してそのまま直進する力になるけれどそれを武器に出来るのは(レベルとかが)格上の相手くらいのもの。同じ相手じゃ打ち消すことよりも如何にして相手に当てられるかを考えなきゃいけない。

 

「わ、わわっ!? 私は初心者なんだ、から! もっ……と手加減しなさい!」

お姉ちゃんは私の弾幕に戸惑いながら避け、器用に私の弾幕の隙間から弾幕を放っている。けれど私の弾幕に打ち消されてしまい、弾幕を多く出せる私の方が優勢になっていた。

「やだよー」

べー! と舌を出して挑発するとお姉ちゃんが顔を赤くし、冷静さを失った。

「もぉぉぉっ!!」

牛のように叫んでやけっぱちで弾幕を出しても私の方が多い……まあそうだよね。私ははぐれメタルのMPと同じ分の妖力を扱えるのにお姉ちゃんは所詮一介のモンスター程度。文字どおり桁が違う。

加えて私の『無意識を操る程度の能力』はお姉ちゃんの『心を読む程度の能力』よりも強く、私の心の中身を読むことはできない。

「ちょっ!? こいし!? 手を出すのは反則よ!」

「反則じゃないよー。だって手を出しちゃ駄目なんて言ってないし。それに手に当たっても弾幕じゃないから当たっても問題ないよ」

……ようするに考えるよりも手を先に出すから心を読もうとも読めないってことなんだけど。古石の記憶を継承しても私は私らしく自由奔放。勝手に身体が動いてお姉ちゃんに近づいている。

 

「くっ、こうなったら……!」

お姉ちゃんがエロ同人みたいに第三の目(サード・アイ)の触手が私を束縛した。

「うわぉっ!?」

「さ、これで終わりよ」

お姉ちゃんが余裕を持ったのか元のジト目に戻り、弾幕を作り出したその一瞬、触手が緩んだ隙を見逃さない。

「残念! 大魔王からは逃げられないけれど覚妖怪からは逃げられる!」

シリーズの中にははぐれメタルには逃げ足という特性があり、例え大魔王であっても逃げられるけれど古石の記憶によるとあくまで貰ったのははぐれメタルの能力でしかない。じゃあなんで出来たかっていうとお姉ちゃんの隙を見てはぐれメタルの素早さで解いただけ。簡単でしょ?

「ちょいさーっ!」

そしてお姉ちゃんに弾幕を当てた。

 

ピチューン! パラッパッパー!

 

私の頭の中にそんな音が響いた……これってレベルアップ?脳内でレベルアップの音声が聞こえた件について考えないと。でも今までの私だとすぐに忘れそう……そうだ! 古石の考え方で行こうよ!

 

Q1.レベルアップした?

A1.多分レベルアップした。

Q2.何故?

A2.お姉ちゃんを弾幕ごっこで負かしたことによる経験値獲得。レベルアップした確証は身体が軽くなった気がするから。

Q3.これからレベルアップするには何をしたらいい?

A3.弾幕ごっこで勝利することやDQの王道通り妖怪(モンスター)を倒すこと。それで獲得出来なければ他の方法も検討する。

 

うん……だいぶ整理出来た。古石の考え方って結構冷静に考えられるから結構好きなんだよね〜。今までの考え方だったら飽きて思考放置しちゃうから……

 

「じゃあ、お姉ちゃん。お外行ってくるね〜。いつか戻るから!」

私はお姉ちゃんが反論しないように早口まくりでそう言うとお姉ちゃんが万一捕まえようとした時の保障として気配を薄くして少し離れた。

「……こいし、気をつけて行ってくるのよ」

お姉ちゃんが淋しそうに優しく私の外出を許可した。

「それじゃ、行ってきます」

私は古石の頃のように外へと飛び出した。

 

〜小四ロリ移動中〜

 

そう言えば今年って西暦に換算すると何年くらいなんだろ?

 

輝夜姫の話は終わっていることから8世紀よりも後なのは確か。でも勇儀さんが健在しているので11世紀よりも前だからまとめると……今は西暦700〜999年くらい? 元号は大化と明治、大正、昭和、平成しかわからないから人物で判断しざるをえない事態に前世の私こと古石に怒りを覚える。

 

「ベギラゴン!」

シーン……

 

やっぱり何も起きなかった。やばい、これめっちゃ恥ずい……古石が小学生の頃、宿泊学習で誰もいないところでかめはめ波を練習してたら友達に見られた時くらい恥ずかしい。

 

怒って感情を高ぶらせれば妖力も高まり、呪文も唱えることが出来るはず! ……なんて考えていたんだけど失敗した時のリスク考えてなかった私は⑨

 

「イオナズン!」

シーン……

 

またしても何も起きない。諦めずに呪文を唱えるあたり無意識の力が暴走している……やっている私は土竜の如く墓穴を掘っている。

 

「ベギラマ!」

シーン……

 

もう止めて私のライフはゼロよ! 第三者が見た目幼女が涙目になるまで頑張っている姿を見たら応援したくなると思うかもしれないけど、本人からしたら恥ずかしくて死ねる。唯一の救いは私が無意識(ステルス)状態であることで誰にも見られないこと……

 

「何大声あげてんだ?お前?」

後ろから声をかけられ、そっちへ振り向くと、そこにいたのは白い髪に数多くのリボン。赤モンペとアルビノのような白い肌と赤い目。何処か彼女は荒々しくもあり凛々しくもあった。私はその人を知っている。

「……どちら様で?」

先ほどの恥ずかしさからの現実逃避とお姉ちゃん以外の原作キャラに会えたことによる嬉しさが合わさってそう尋ねると彼女は口を開いた。

「私か? 私は……妹紅だ」

東方シリーズの原作キャラの一人である藤原妹紅。東方シリーズにおける炎の使い手……通称もこたんで愛される彼女とこんな形で会うとは思わなかったわ……

 

「私の自己紹介も終えたことだし、質問に答えてもらうよ。お前は何をしていたんだ?」

「え? え〜と……」

「なんだ?何かやましいことでもあるのか? え?」

もこたんの目が据わり、ヤクザそのものの目つきに変わって私に詰め寄る。

「その前に一ついい?」

もこたんが怖くて泣きたい。だけどそれ以上に、どうしても聞かなきゃいけないことがある。

「あん?」

「いつから見てたの……?」

「ベギラゴンってところから」

……終わった。ほとんど最初から覗かれてた。唯一の救いも能力が別の方向で使われてたら意味がないよ……死にたい……

「おい魂出かけているぞ! しっかりしろ!」

魂が出かけている?そんなのどうでもいいじゃない……へへへ……

 

それから数刻、私が立ち直るのに時間を要した。




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では次回もお楽しみに!

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