はぐれメタルの能力を貰った男がこいしに憑依(仮) 作:ディア
もっともオリキャラ擬なのでご勘弁してください。作者の限界は3コーナーまでだ。
覚妖怪。
しかし私、古明地こいしは覚妖怪のくせして心も読めないようなお笑い妖怪だけど私は最初から心が読めないわけじゃなかった。心を読んでも悪口しか聞こえない……そのくせ私におべっかを使う妖怪もいる。それが嫌になって私は
心が読めない代わりに私は無意識と無意識の間に潜り込む……ようするに誰にも認識されないようにすることが出来るようになった。
これはありがたいことだった。私は生まれつき妖力が鬼の勇儀さんよりも有るお陰で畏怖の目で見られる事があり、おべっかを使われた理由もそれにある。
しかし私の新しい力はまだ未完全で妖怪の山を散策している最中に見つかることもあるけれど逃げ足に関しては何故か天狗よりも速く移動が出来るため捕まったことはない。
これだけ聞けば私が凄い妖怪のように聞こえるがとんでもない。私はとにかく身体が脆く、風邪を引いただけでも相当体力を削られる。だから病気とか毒とかは私にとって天敵なのは違いないわ。
「ゴホッゲホッ!」
だからといってフラグが立つわけでもなく世の中はそうはうまくいかない。お姉ちゃんの覗く顔を見ながら私は鼻水を垂れ流す。
「ほらこいし。これで鼻拭きなさい」
そう言って私の鼻に布を優しく当ててくれるのは私のお姉ちゃんこと古明地さとり。私と血が繋がった姉妹の覚妖怪。今の私とは違って心を読む事が出来、世間でいう覚妖怪と言えばお姉ちゃんのことを指す。
「ありがとうお姉ちゃん」
「いいのよ。それよりも身体を休めて安静にしてなさい」
「うん」
お姉ちゃんの言葉を聞いて眼を閉じ、耳を澄ませるとかつて心を読んだ時のような景色が私の頭の中へと入っていく。しかしこれはまるで自分が経験している……そんな妙な感覚だった。
★★★★
それはまるで自分が経験したことのない感覚だった。寝苦しいのに身体は冷たい。そんな妙な感覚だ。ゆっくりと目を開けると女の姿がそこにあった。
「あ、起きましたか?」
俺に対して女が微笑むと、俺はその場から起きて冷静に今の状況を考える。
Q1.俺は誰?
A1.古石誠人、ゲーオタ混じった普通の高校生
Q2.目の前の女は誰?
A2.知るか。どうでもいい。初対面であるのは確か。
Q3.ここはどこ?
A3.わからんから目の前にいる女に聞く。
「ここはどこだ?」
「その前に貴方に謝罪させなければいけません……申し訳ありませんでした!」
「……はぁ?」
何言っているんだ? こいつと声を出しそうになったが周りを見てみると真っ白けっけな空間であるのがわかる。……監禁された可能性があるが俺は普通の高校生だ。まず監禁するメリットがほとんどないし、謝ったのも理由にならない。
「……俺の状況は一体何なんだ? 何が起こっている?」
「それは私が謝罪した理由にも繋がります」
そしてこの女が口を開き、状況を説明し始めた。
「私が謝罪している理由……それは女神である私がとあるミスをしてしまい、本来死なないはずの貴方が死んでしまった……という事態になってしまったということです」
「……俺死んだのか?」
「はい。飛行機に乗っていた貴方は飛行機事故によって死にました。蘇生しようと試みましたが事故の影響で貴方の身体がぐじゃぐじゃになってしまい、蘇生することすらままなりませんでした」
飛行機事故? そういえば修学旅行で沖縄から帰る途中だったんだ。
「マジでか。どんなミスをしたんだ……?」
「そ、それは……」
「それは?」
「貴方の隣にいた同級生がいたでしょう? その人は心臓麻痺で死ぬはずでした。しかしいつまで経っても死なずこのままでは地獄行きになりかねないのでその人だけが死ぬように飛行機事故を起こして天国へ行かせようとしたところ……」
「間違って俺を殺したと」
「はい。申し訳ありません」
「しかしわからねえな。俺を間違って殺したなら黙ってそのまま天に還させれば問題ないんじゃないのか?」
普通ならそう考えるはずだ。そうでもしなければ俺が怒って激情し、掴みかかるなんてこともあり得たはずた。
それはともかくいつかはわからないが俺の中学の時の先輩の先輩の先輩あたる人が大学に必要な単位も卒論も提出したのに大学のミスで卒業出来ずに泣き寝入りさせられかけたって聞いたことがある。結局裁判して大学を卒業したみたいだけどな。……ようするに証拠隠滅に走るのが良いってことだよ。
「そういう訳にもいきません。天国と地獄、いずれかへ行くにはきちんと生をやり遂げなければなりません。つまり貴方の状況は天国にも地獄にもいけない状態なのです」
つまり俺は消滅出来ないってことか? ……俺はゲーオタだが別にそこまで人生に執着している訳ではない。ゲーオタ関係ないか。俺としてはこの女神が「やっちまったもんは仕方ない」と考えていて謝罪も一応して貰った。それだけで十分だ。だがこの消滅出来ないとなると話は別だ。俺だけでなくこの女神にも迷惑がかかる。俺を死なせたという弱みを利用して貸借りなしなんてのは俺の主義じゃねえ。
「……そのままだとどうなる?」
「それは……わかりません」
「わからない?」
「ええ。私は下っ端なのでそういった情報は与えられていません。ですが推測はできます。天国にも地獄にもいけないというからには貴方は怨霊として永遠に苦しみ続けることになるでしょう」
「それは嫌だな」
毎日労働もキツいがそれ以上に嫌なのは暇で退屈な日々を過ごす……刺激を求めるゲーマーとしては致命傷以外の何物でもない。
「それを避ける手段として貴方はもう一度生き、生をやり遂げなければなりません」
「……つまりラノベでいう転生って奴か?」
俺はラノベなんてものはそんなに見ないと思うが一応知識はある。俺の身体がぐじゃぐじゃになっているというセリフから元の世界に戻るのは無理。となれば「異世界転生」に絞られる。
「概ねそんな認識であっています。本来なら転生する際に特典……所謂チートは与えないのですが死ぬはずでなかった貴方を死なせてしまったお詫びに一つだけ要望を叶えましょう」
一つだけか……友達に異世界転生物と言ったら大体ファンタジーが多いって聞いたことあるしファンタジーにはファンタジーだな。最強キャラでも悪くないよな。でもそうするとすぐに飽きてしまって楽しめないよな。となれば敢えて縛りプレイにしてみるのも良いよな。
「はぐれメタルの能力をくれ」
はぐれメタル。ドラクエシリーズに出てくる雑魚キャラだ。
こいつはHPこそカスみたいなもんだが貰える経験値が高いのでみんな狩ろうとする。しかし身の守りが高くプレイヤーが与えられるダメージもほぼ1か0。しかも呪文の耐性があり魔法では倒せない。それだけならまだ良いが身の守りと同じくらいの数値の素早さで逃げてしまい経験値を獲得できない。
しかし味方になれば頼もしい存在であるのは違いない。はぐれメタルのもう一つの特徴はMPが多いことだ。つまり数多くの技を引き出し、使える。昔の俺も良くはぐれメタルを使っていた……
「は、はぐれメタルですか?」
女神が戸惑う理由は一つ。何故はぐれメタルなのかということだ。はぐれメタルの特徴を持つメタル系の雑魚キャラはいる。むしろはぐれメタルの上位互換の方が多いくらいだ。だからはぐれメタルは使われなくなった。
「縛りプレイって奴だ。どうせ最初から最強キャラになってもつまらないしな」
「変わっていますね……後で変更できませんよ?」
「構わねえよ。これが俺の選んだ道だ」
「……そこまで言うなら止めません。しかし記憶はどうします? 赤ん坊の頃からあるのはちょっとした恥辱プレイですよ?」
「恥辱プレイってやらねえよ! しばらくしたら記憶が戻るようにしてくれ!」
「では二度目の生をやり遂げてくださいね」
俺の立っていた所に穴が開き、その重量に従い落ちた……
☆☆☆☆
そして
この表現は正しくないね。私は古明地こいしとして生まれ、こいしの人格を形成している。前世の私こと古石の記憶を思い出したにしか過ぎないから記憶継承とかそんな感じ?
あの女神がはぐれメタルじゃなく覚妖怪それも他者の心を読むのが嫌になって
しかしよくよく考えれば何故私が風邪にかかっただけでも死にかけたのかわかったよ……だってHPが一桁だよ!? ダメージ1受けるだけでも1割以上のHPが削られるって結構ありえナッシング!! 風邪をひいて寝込むのも無理ないわ。初期の主人公ですら30くらいはあるのに……
鍛えればどうにかなるかもしれないけど肝心の経験値ってどうやって手に入るんだろう……やっぱり妖怪を倒せばいいのかな? それとも人間? 何にしてもこの
この世界は古石の記憶によると私やお姉ちゃんを始めとした妖怪達が登場する『東方project』というシューティングゲームの舞台の世界で主人公の博麗霊夢や霧雨魔理沙を始めいろんなキャラクターが幻想郷に住んで異変を解決するストーリー。古石は修学旅行から帰る時に初めて東方シリーズをプレイをする予定だったみたいだけどあの女神が古石を殺したことで知識もチグハグなもの。
その知識から得られた幻想郷のイメージは……『物騒』。この一言に尽きる。
幻想郷にスペルカードルールが導入される前は殺し合いで解決するのが主流で多くの血が流れている。つまり
風邪が治ったら、すぐにでも経験値を稼いで強くなろう。その為には……
「とりあえず寝よう」
風邪を治してからだね! 何事も健康でなければ話にならないし。
明日から本気出す……なんだかニートみたいな宣言だね。
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