紅 -kurenai- 武神の住む地   作:ヨツバ

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裏の一端を知る

102

 

 

昼下がり。真九郎と銀子、紫の3人で川神を散歩していた。いや、散歩ではなく買い物だ。

冥理さんたちや環さんたちがそろそろ実家に戻るので美味しい物を作るために買い出しだ。最初はどこかで外食でもしようと考えていたが手料理が良いと環からの一声で決定したのだ。

買い出しメモを見ながら歩き続ける。そして彼らは川神のある意味有名なスポットの変態橋に近づく。

 

「なあ真九郎。何故ここがへんたいばしなのだ?」

「…なんでだろうね」

 

理由はこの橋によく変わり者や変態が多く出没するから付けられたのだ。九鬼や警察だって動いているのに何故この橋に変態が現れるのだろう。

それが疑問である。こうも変質者や変態が現れるなら対応策があるはずだろう。しかし大和たちから聞くと変わらずいつも通りに変態が現れる。

この問題に関して銀子が聞いた時、頭を痛めたほどである。真九郎もまた同じく頭が痛くなるのだが。ふと思ったがここでなら揉め事処理屋としていくつか稼げそうだ。

 

「普通に見る分なら普通に橋なんだがなあ」

 

橋を全体的に見ると知り合いの井上準がいた。そして彼の目の前に少女もいた。

はっきり言おう。大和たちがいたら猛ダッシュで準を攻撃したかもしれない。しかし真九郎たちはまだ準のことを深く知らないので普通に歩みよる。

 

「井上くん。どうしたの…って、え?」

「ポポポ…鳩ポッポポポポポポポポ(混乱中)」

 

何故か準が混乱していた。詳しく言うならば今彼の意識は宇宙に打ち上げられている。

 

「どうしたのだ準」

 

紫が話しかける。

 

「は、紫様!!」

 

準の意識は急降下して元に戻った。

この時、銀子は冷たい目で見ていた。

 

「ねえ、井上くん。一応聞くけどまさか」

「待て村上。お前は誤解している」

 

すぐさま真九郎たちがいるのを確認して状況を判断する準。そして銀子が誤解しているはずだがら弁解する。

褐色肌の少女は迷子みたいだったので保護していただけである。更に付け加えるならば変質者に襲われそうだったので助けたのだ。

準は誠心誠意、嘘無く真実を話す。しかし銀子は冷たい目のままである。

 

「信じようよ銀子…」

「助けたのか準はお手柄だな!!」

「流石…紫様。そして我が同士の真九郎よ助かる」

「あんた…」

「銀子。その目は止めて欲しいんだけど」

 

準に同士認定させられたおかげで二次災害を被る真九郎であった。

 

「迷子なら早く親を探さないとね」

「そうだな。よしお前、名は何と申す。私は九鳳院紫だ!!」

「…ウルラ」

「良い名前だ」

 

準が良い声で彼女の名前を褒めた。

 

「ねえウルラちゃん。お母さんとお父さんは?」

「おかあさん、おとおさん。何それいないよ。わたしは一人」

 

銀子は目線を合わせて優しく質問したが望んでいた答えでは無かった。迷子であることは確かだが、どこか訳ありのような感じだ。

 

「どこから来たの?」

「おおうなばら」

「…そっか。ありがとうウルラちゃん」

 

銀子はウルラの頭を優しく撫でる。

何か彼女の親と連絡がつくような物を持っていないか聞いてみるが何も持っていないらしい。これでは本当に何も分からない。

こういう時は交番にでも連れていくのが一番だ。しかしここで準が待ったをかける。どうやら準が一緒だと在らぬ誤解が生まれそうだと言うこと。ならば真九郎たちに任せれば良いだけなのだが、どうやらウルラは準に懐いている。

これなら引き剥がせない。彼女のためにも今はまだ準と一緒にいさせてやるべきだ。

 

「ねえウルラちゃん。お家はどこかな?」

「おうち…そんなのないよ」

「…訳ありかな」

 

家が無いなんて訳ありしかない。取りあえず川神院の鉄心に事情を話して保護してもらうこととなった。

 

「よし。ウルラよ一緒に行くぞ。ついて来い!!」

「…わかった」

 

紫の後を追うウルラ。準はこの光景を見て微笑ましくしている。

 

「いいよなあ…少女2人は仲良く。そう思わないか真九郎」

「うん、まあ良いと思う」

 

変な意味などない。正直に感想を言った。紫とウルラが並んでいると年相応の友達みたいである。

 

「あー、心が浄化される」

 

この後、川神院まで行こうとした途中で九鬼財閥の者と出会って彼女の保護をしてもらった。

 

 

103

 

 

島津寮の真九郎の部屋。部屋には真九郎と大和が居座っている。真九郎の部屋なのだから居座るのは当然である。

だが何故に大和がいるかというと、ある話を聞きたいからである。その話とは前に大和が真九郎に聞きたいと言っていた『裏十三家』についてだ。

大和は父親から偶然と警告によって『裏十三家』を知ってしまった。そのキッカケは真九郎ならば始まりも真九郎から聞こうと思ったのだ。

 

「裏十三家についてか…直江くんはどこまで知ってるんだ。そもそもどこで知ったのかな?」

 

真九郎は言葉を慎重に選ぶ。何故、大和が『裏十三家』について探っているのか分からないからだ。

分からないけど彼が余計な探りを入れているならば余計な事は言えない。結果的に大和が危険な目にあう必要はないはずだ。

最も大和自身が裏世界に関わるというのならば止める必要はないのだが。何故ならその先は全て自己責任だ。真九郎もそうだから。

 

「裏十三家を知ったのは父親から知ったんだよ」

「父親から?」

「ああ。親と電話した時に紅くんたちが交換留学に来たというのを話したんだ。そしたら紅くんが裏世界で有名な人って驚いてた」

 

更に揉め事処理屋の柔沢紅香とも仕事で知り合ったらしく、その時に紅真九郎のことも宣伝された。そして調べたら色々と分かったとの事である。

 

「ああ…」

 

全て納得した。話を更に聞くと大和の父親である直江景清はヨーロッパ方面で会社経営をしている。その手腕は恐ろしく賢く狡猾であり、ヨーロッパで金を動かす男とも言われている。

結果を成し遂げるならば機械のように仕事をこなすが、妻と息子には深い愛情を注いでいるのだ。

 

(直江景清…聞いたことがあるな。確かに彼程の経営者なら揉め事処理屋を使う機会はあるな。っていうか紅香さんと知り合いかあ)

 

確かに景清ほどの者なら真九郎のことを調べれば裏十三家にも通じてしまう。だからこそ父親から大和は知ったのだろう。

 

「俺が知っているのは裏十三家の名前だけだよ。それと真九郎くんが裏世界で有名…なんでも裏世界でも大きな裏組織のトップと戦って引き分けにしたとか」

「そこは知っているのか」

 

裏世界で有名になったのは真九郎が悪宇商会の最高顧問である星噛絶奈と争奪戦をして、お互いに満身創痍になるまで殴りあった結果、引き分けになったことだろう。

その争奪戦は裏世界にいっきに広まった。悪宇商会も情報を操作したかは分からないが規制したと思う。だがその情報はとても濃いものだ。

 

「教えてくれないかな紅くん。何で知りたいかは仲間を守るためにつながるからだ」

「仲間のため?」

「ああ。こんな言い方は嫌かもしれないけど裏世界に通じている紅くんがいることで、裏十三家というもので仲間に危険が及ばないためにだ」

 

まるで真九郎が厄介事のように、危険人物のように例える大和だが真九郎は嫌な気はしない。彼の感情は当然だし、自分がもし一般人だったら同じ反応をしただろう。

よくよく考えてみよう。学園のクラスに裏世界に深く通じている人が留学に来たし、同じ寮にも居る。これだけでも警戒するのは当然だ。だから大和の感情は正常だ。

 

「聞いて納得する。それで裏世界には関わらないさ」

「それなら聞かないのが一番だと思うけど」

 

裏世界に関わらない為には一切合切に見ない、聞かない、行動しないだ。真九郎の言葉は正しい。

 

「俺もそう思うけど…裏十三家の崩月先輩に斬島さんに知ってしまったら聞かないと納得できない」

「切彦ちゃんのことも知ってるのか?」

「ああ。何でも殺し屋なんだよな。『切彦』って名前は代々殺し屋になる直系がつける。それに前に会った時、自己紹介で「あいむ、ひっとまん」と言ってた」

「そこも知ってるのか」

 

切彦の自己紹介の時に確かに「あいむ、ひっとまん」と言っていた。その意味は和訳すれば辿り着くが、冗談としか受け止められないだろう。しかし、大和は父親から情報を貰って本物だと確信したのだ。

 

「正直に言うと斬島さんは殺し屋には見えない。でも梅屋の一件がある」

 

ここまで知っているのなら隠し通せない。ここで教えなかったら彼は独自で調べるだろう。ならここで教えても教えなくても同じだ。

 

「オレも裏十三家のことを全て知ってるわけじゃない。それでもいいかな?」

「もちろん。それに教えてもらう身なんだから文句は言わないよ」

「そうだね…まずは知ってると思うけど裏十三家について」

 

もう知っているかもしれないが『裏十三家』はその名の通り全てで十三家ある。

歪空、堕花、斬島、円堂、崩月、虚村、豪我、師水、戒園、御巫、病葉、亞城、星噛の計十三家である。そして『裏十三家』には家系ごとに特殊な能力が特化された一族でもある。

その異能が裏世界に影響力を与えた要因の1つだ。だが現在は半分以上が断絶している。

 

「どの裏十三家が断絶しているかまでは知らない。現在存在する裏十三家は俺が知っているので崩月に斬島、星噛、歪空、円堂…あと亞城もかな」

「特殊な異能はどんなのがあるんだ?」

「崩月は知ってるよね」

「ああ。あの角だろ」

「そうだ。俺のは貰い物だけど崩月の異能は腕に宿した角を力の源にした剛力」

 

彼の力は河川敷での戦いで見ている。正直に言うと力だけなら百代に対抗できると大和は思っている。

崩月は幾代にも渡って常軌を逸した激しい肉体改造を繰り返した末に戦鬼の力を手に入れた一族だ。戦鬼化を発動させた者は常人を遥かに上回る尋常ではない身体能力と剛力を発揮し、全身の機能も格段に上昇する。その豪腕から繰り出される拳の破壊力は想像を絶する。

発揮される力は使用者の精神状態によって左右される。簡単に言うと気持ちの切り替えだ。人にもよるが真九郎は怒りをトリガーにしている。彼が怒りを引き金にした時の方が威力が飛躍的に倍増するようで、威力も尋常ではないのだ。

 

「剛力か」

「次に斬島も知っている通り異常な刃物の扱いの巧さ」

「斬るのが巧いってのは聞いたけど…どれくらいなんだ?」

 

斬るのが巧い。聞くのは簡単で大和はいまいちピンとは来ない。梅屋の一件で拳銃をナイフで真っ二つにしたのは確かに凄いが川神では迫力は薄い。

そのせいで大和は斬島の異能さが分からないでいる。彼の周りには由紀江、義経といった剣の達人がいる。彼女たちの太刀筋はそこらの剣士を超えている。

 

(…確かにそうだよなあ。由紀江ちゃんと義経さんの剣は俺から見ても凄いし。でも切彦ちゃんのは違う)

 

切彦は剣士ではない。斬るのが異様に巧い殺し屋である。

 

「斬島の斬るのが巧いのだけど詳しく言うなら斬れそうな物なら何でも斬れるって思ってくれれば…」

「斬れそうな物って…」

「そこは斬島の人たちの判断だよ。切彦ちゃんの場合だと髪の毛や笹の葉、バターナイフでも斬れる物と判断して斬るけど」

「バターナイフでも納得できないけど。髪の毛と笹の葉って…え?」

 

髪の毛で人体を切断するし、笹の葉で真剣を切断する。巧いなんて言葉で片づけられないかもしれないが、これが斬島の異能だ。本当に『異常な刃物の扱いの巧い』

まさに『異常』なのだ。異常すぎるのだ。

 

「信じられないけど紅くん…そうなんだよな」

「そうだ。由紀江ちゃんも言ってたけどその異能こそが『剣士の敵』と言われる要因」

 

剣術などではなく、単に刃物の扱いがとてつもなく異常に巧いだけであり、技術的なものではない。剣術を一切学ばずに一流の剣豪を軽々と斬殺できる。ゆえに技術の研鑽を積んだ剣士たちには眼の敵にされている。

 

「…異常さが分かった」

 

この二家が大和が関わった裏十三家である。ここからは大和の知らない裏十三家だ。

 

「次に星噛の異能はサイボーグ化」

「サイボーグ化?」

「ああ、サイボーグって言っても漫画やアニメみたいに超化学兵器とかロボットとかそういうのじゃない」

 

義手、義足から果ては生殖器まで及ぶ人造臓器まで、人体のあらゆる箇所の代替品を作り出す一族だ。人工物により不死に近づく家系。

 

「義手や義足か」

「ああ。その完成度や強度は人間の物と同じ。いや、それ以上だ。自前のよりも星噛の製作した方が良いなんてものもあるよ」

「凄さでいうとどれくらい?」

「電車に轢かれても無傷」

「信じられないんだけど」

 

電車に轢かれて無傷なんて人間ではないと思う。百代だって電車に轢かれればただでは済まないだろう。瞬間回復という奥義があっても轢かれたくはないはずだ。

 

「あと星噛は裏世界に深く根付いている。今も健在だ。絶対に関わるな直江くん」

「裏世界に根付いているって…もしかして巨大な組織に関わりがあるとか?」

「鋭いね直江くん。星噛はある裏組織の設立にも深く関わっていて、一族の伝統として会社経営に参加しているんだよ」

「その裏組織って?」

「聞かなくてもいいよ。関わらない方がいい…ってもう聞いてるか」

「聞いてないけど」

「前に与一くんが言ってたよ」

「与一が…あ」

 

悪宇商会。

裏社会では最大手の人材派遣会社。裏世界で五本の指に入る程の規模の大組織。戦闘屋、殺し屋、呪い屋、払い屋、逃がし屋、護衛屋など多種多様な人材を揃えており、裏社会での一流の人材が多数所属している。

依頼に応じて適した者を送りこみ、報酬を得る。その活動には善悪の区別もポリシーもなく、金次第でどんな犯罪にも加担し、どんな犯罪の解決にも協力する。政治家やマフィアに利用されるケースも多い。

 

「そんな組織が裏世界にあるのか。てか本当だったのか」

「裏世界なんて人の頭を簡単に裏返すものだ」

「裏だけに?」

「そういうつもりで言ったんじゃないんだけど…」

 

仕切り直し。

 

「政治家も利用するのか」

「政治家だっていろいろあるってことさ。でも関わっても碌なことはない」

「まあ学生の俺が関わるなんてことはないけど、了解した」

「うん。本当に関わらない方がいい。関わったら良いことなんてないよ」

 

真九郎の言葉にどこか説得力のある含みが感じられる。その意味は彼の体験談だ。あの体験は醜悪で悪夢。

悪夢からの目覚めは良いものではなかったが落ち着くところで落ち着いた。

 

「最後に歪空」

「最後?」

「ああ、他の裏十三家は知らないんだ。崩月に斬島、星噛、歪空くらいなんだ」

「なるほど」

 

歪空の特殊能力は不死、圧倒的な再生能力 。裏十三家筆頭と言われる一族である。

 

「異能が不死?」

「ああ。でも完全な不老不死というわけじゃない。歪空の不死ってのは自然死以外で死ぬことは無く、いかなる怪我でも治癒し、病気にもかからない。天寿を全うするまで生き続けるってことなんだ」

「それって、えっ!?」

「俺は正真正銘の化け物だと思ってるよ」

 

あの紅香でさえ歪空を化け物と言い、冥理さんも関わりたくない家系である。

 

「その異能さはどんな傷も修復するし、薬や毒だって効かない」

「姉さんの瞬間回復とは違う…人間が呼吸するのと同じくらいの異能なのか」

「そうだね。歪空はそういう異能で体質だ」

 

百代の瞬間回復は自分の気を大量に消費して回復する。しかし歪空は呼吸するように当たり前に回復する。歪空の身体はいつでも何時も正常な身体に戻す。

 

(天寿を全うする一族…姉さんでも)

 

大和は考えた。もし百代が歪空の一族と闘ったら勝てるかどうか。百代の敗北なんて考えられないが歪空の異能は常軌を逸している。

百代でも鉄心でもただではすまないだろう。

 

「川神先輩も規格外だけど彼女は表の人間だ。裏の人間と表の人間は違うんだ」

「表と裏…」

「ああ、表は常識が通じる。けど裏は常識が通じないと思ってくれ」

 

表の世界は日当たりの良い。しかし裏の世界は暗く冷たい。

ゲームで例えるなんて馬鹿かもしれないが、表世界はメインシナリオ。裏世界はエキストラストーリー。表と裏では難易度が軽く違う。

大和や百代はメインシナリオで止まっており、真九朗たちは最初からメインを飛ばしてエキストラストーリーにいるのだ。

 

「そして歪空は代々テロリストの家系だ」

「テロリスト!?」

「今も健在だ。本家は日本を飛び出して海外に行ったらしいけどね」

 

歪空の本家はイギリスに在住している。このことは伏せておいた。この情報は知らなくてよいだろう。

 

「テロってことは歪空が世界中のテロに加担しているとか?」

「その可能性はある。そもそも歪空が日本を出たのは日本でテロを起こせなくなったから。だから海外に出たんだ」

 

日本は海外から見ると平和だ。だが海外には紛争地帯は存在する。そこに目をつけたのが歪空である。テロリストの家系ならば日本国内に拘る必要はない。

 

「裏十三家で俺が知っているのはこれくらいだ」

 

真九郎が知っている情報はこれくらい。伏せている部分もあるが、伏せている部分は開示しなくてもよい情報だ。

大和には必要最低限の情報を与えるだけで良い。裏十三家の情報はこれだけでも十分だ。

 

「教えてくれてありがとう紅くん。やっぱり…関わらない方が良いんだね」

「直江くんは表の人間だ。裏に関わらない方が良いのは当然だよ。でも…」

「今の話を聞いたからって崩月先輩たちを恐れたりしないよ。もちろん紅くんだって」

「そっか」

 

大和の言葉を聞いて安心する。大和は心が広いようで、話だけで人のことを決めつけない。

はっきり言おう。夕乃は裏十三家だが良い人だ。その血が人殺しの血で汚れていても真九郎ははっきりと「好きだ」と言う。

彼女は彼にとって大切な家族だ。そんな彼女を裏十三家という肩書だけで悪人にはさせたくない。

 

「この話は誰彼構わず話すことは」

「しない」

 

本当に大和は話しが分かってくれて助かる。それに大和も真九郎の話を聞いて納得する。

今までモヤモヤしていたモノが消える。あとすることは風間ファミリーに話すかどうか。

 

(いや…裏十三家を知ってるのは俺だけ。ならファミリーに言う必要はないよな)

 

関わりはあるけど知らないだけ。ならばこのまま交換留学が終わるまでクラスメイトとして接するのが一番だ。

そう思って大和は裏十三家のことは心に仕舞い込んだ。この判断は正解であろう。

それでも世の中上手くいかないこともあるものだ。それが分かるまでもう少し。




読んでくれてありがとうございました。

沙也加ルートですがまさかの井上準ルートも含みました。
時間枠がメチャクチャですが、そこはスルーしといてください。

そして大和は真九郎とついに裏十三家について話しました。
ひっぱといてやっとですよ。
ここで関わらないと決めましたが・・・物語はそうはいかない

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