タイトルで分かるかもしれませんがついに本格的に彼女たちが登場です。
今までぐだぐだな感じで日常回を書いてきましたが急な展開になります!!
では物語をどうぞ!!
066
帰宅中の義経たちと出会う。話を聞くと与一の買い物に付き合っているらしい。
与一本人は静かに1人で買い物したいらしいので本音は義経たちにさっさと帰宅してもらいたいとのこと。ここで早く帰宅してもらいたいのは彼女たちの安全も考えているが、そんな本音は言わない。
買いたい物は本でタイトルは『天への道』。内容はどうやったら天へと行けるかと言うもの。中二病の与一には興味を引くタイトルだろう。
ピクリと大和は少し反応したが誰にもバレないように知らんぷりをする。本当に最近、与一と接触する度に昔の中二病が再発しそうである意味怖くて恥ずかしい。
「また面白そうな本だな。大和~気になるんじゃないか?」
「さ、さあな」
「ふーん。大和は中二病」
「やめてくれ弁慶、ガクト!!」
「うわあああ」と言いたくなるが心の中に押し込む。取りあえず話を逸らしたいが今の話の中心は与一なので難しいだろう。
ここは案外大人しくしている方が良いかもしれない。
(向こうから話を変えてくれると助かるんだがな)
「ところで直江くんたちはどうしたんだ?」
(流れの変わりが来た!!)
ここで大和たちは自分たちがした出来事を伝える。それはストーカー事件を解決したことである。
やはり相手のことを伝えると女性の気持ちが分かるのか義経たちはストーカーに対して怒る。だが真九郎が然るべき脅しをしたので溜飲を下げてくれたようだ。
「女性の敵は即・瞬・殺」
「私もストーカーはちょっと・・・」
「ですよね葉桜先輩!! 女性の敵は俺様がバッシバシと倒してやりますよ!!」
いつも通りカッコつけようとしているが悲しいかな、あまり目に入っていない。これもいつも通りのパターンである。しかし、清楚は人の良い性格をしているので感想は言う。
そのせいか岳人が勝手に舞い上がるのだが気にしない。彼にはいつか良いことが起こってほしいものである。
「あ、そうだ真九郎くん。夕乃ちゃんとのデートはどうだった?」
「え?」
「な、なにいいいい!? おい紅どういうことだ!!」
「違う違う。ただの買い物に付き合っただけだよ」
岳人は真九郎の肩を掴んでガクガクと揺らす。これには頭の中がごちゃまぜになりそうであるので止めてもらいたいものだ。
「俺は一人で買い物がしたいから、お前らは先に帰ってろ。・・・早く帰りな。もう闇の時間だ」
彼の言葉の意味は「夜遅くなると危険だから早く帰れ」ということである。中二病で変なところでツンデレ。こうもキャラを入れすぎるとブレるものだが、これは与一が悪いと言うかこういう性格になってしまった弊害である。
「あ、待って与一!!」
「ついてくるな主。早く安全な家に帰りな。闇の世界は俺の管轄だ」
「うう・・・そうか」
「そうだよ主。与一はほっといて帰ろ」
「与一も早く帰ってくるんだぞ」
「わあったよ」
頭をガシガシ掻きながら与一は人込みの中へと消えていく。
「きっと今のアレ、カッコイイと思ってるな。そういうシーンぽかったし」
「何となく分かる」
真九郎たちに義経たちは帰路につく。
067
もう日が沈み辺りは暗くなってきた。夜遅くまで出掛けるのは悪いものでは無いが義経に弁慶、清楚は早く家に帰るタイプだ。最も九鬼財閥は安全を考慮しているため早目の帰宅を推奨をさせている。
いつもの帰宅ルートを歩いて早く帰ろうとすると急に違和感を感じる義経たち。だが周囲に変化は無い。
(何だろう・・・嫌な感じだ)
こんな時は早く家に帰るのが一番である。電車が通るの待つために踏切で止まる。
「ねえ主」
「弁慶も感じるか。何か嫌な感じだ」
「ああ。まるで狙われてる感じ」
与一では無いが本当に狙われてる感じがすると思ったのが彼女たちの感想だ。清楚も何か感じ取ったのか不安な顔をしている。だが彼女はこれでも義経たちの先輩だ。後輩の不安を取り除くために明るく言葉をだす。
「そんな顔をしないよ義経ちゃんに弁慶ちゃん。早く帰ろう」
「そうですね清楚先輩」
電車が完全に通りすぎた。そして彼女たちの目の前には眼鏡を掛けた長髪スーツ姿の女性が立っていた。
「っ!?」
目の前にいる女性からはただならぬ気配を感じる。まさに狙われてる感じとは彼女から発せられている。
(おいおい誰だ。挑戦者ってわけでもないな)
弁慶は義経と清楚の前に守るように出る。間違いなく目の前にいる女性は普通ではない。
その女性は無表情のままゆっくりと歩いてくる。
「弁慶ちゃん、義経ちゃん。後ろ!!」
「なに!?」
背後をみると新たな女性が歩いてくる。また普通の一般人では無さそうである。棒つきキャンディ舐めながら手には長い杖を持っている。
怪しい笑みをしながら長髪スーツ姿の女性と同じようにゆっくりと近づいてきた。
「マジか・・・今度は横から」
弁慶の言った通り今度は横から鉤爪を装着した制服の女性がゆっくりと歩いてきた。
全員がただ者ではない。危険だと脳髄から警告が走る。
「・・・あんたら何。決闘の挑戦ならもう今日は終わりなんだよね。だからまた明日にしてもらいたい」
まずは無難な会話をする。本当に挑戦者ならマシだが彼女たちは違う。
「始めまして。私は2代目レッドキャップのプリムラです」
(2代目レッドキャップ?)
「貴女方に用があります。拒否権はありません。大人しく同行してくれれば痛い目には合いませんよ」
もはや強制であり、会話なんて聞かなそうだとすぐに判断できた。しかし「はいそうですか」と言いなりになるつもりは無い。
「あんたら何者?」
「答える義理はありません」
「つーかさ。一人足りなくなぁい?」
「那須与一のクローンがいない」
彼女たちの狙いがクローン組であるというのがすぐに理解出来た。何のために狙われてるかはまだ分からない。何とか会話を続けて相手の真意を掴もうとする。
「・・・どうやら一人いないようですが構いません。どうせ後で捕獲します」
「それもそうね。じゃあこいつらからさっさと捕まえちゃおっか」
「勝手に話を進めないでほしいな」
まるで弁慶たちを野性動物のように捕獲すると言っているようで聞いていて良い気分ではない。
弁慶と義経は得物を持って清楚を守るように構える。
「貴女方は一体誰なんだ。何が目的なんだ」
義経が静かに問う。どうせ返事は返ってこないだろうが聞かなければどうしようもないのだ。
「先程も言いましたが答える義理はありません。・・・しかし大人しく同行するなら教えてあげましょう」
「・・・それならお断りだね。知らない人に着いていったらダメって教わってるし」
「残念ですね。痛い目に合ってもらいましょう」
プリムラは眼鏡をクイっと直す。
3対3であるが清楚は戦えないため実質的には3対2である。不利の状況だが言辞の主従コンビで覆すしかない。
「主・・・眼鏡の女は私がどうにかする。だから残り2人はお願いできる?」
「分かった任せて弁慶。たぶん彼女が一番危険だ」
「分かってるよ主」
ピリピリと感じて嫌な汗が垂れる。
清楚はすぐさま九鬼に知らせようとバレないように携帯電話を操作しようとする。
「あは。余計な動きはしないでね葉桜清楚さん。例えばこっそり電話するとか」
「っ!?」
読まれていた。これでは何もできない。
「行くよ主」
「うん!!」
「時間がありません。急いで捕獲します」
先に動いたのは弁慶である。錫杖を素早く力の限りプリムラの頭部へと振るう。早さも錫杖を振るうタイミングも完璧。弁慶は「直撃」と思った。しかし現実は何が起こるかは分からない。
「なっ!?」
「中々重い一撃です。ですがまだまだ」
プリムラは錫杖を片手だけで掴み取っていた。ギリギリと握りしめていて、どれだけの握力なのかと予想できない。しかしバキリと聞こえた瞬間に絶対に彼女に締められたら終わりだと確定した。
「錫杖を砕いた!?」
弁慶の錫杖は九鬼が用意した得物であり、そこらの安物ではない。だから丈夫で業物とも言える。だがプリムラはその錫杖を握りしめて砕いたのだ。
「ああ!?」
恐ろしい握力の手は弁慶の首を掴み、締め上げる。
「あ、あぐ・・・」
「貴女がただのターゲットでなくて良かったですね。捕獲対称でなければ確実に死ぬまで壊していました」
ミシミシと首筋から嫌な音が聞こえてくる。取り外そうと弁慶はプリムラの腕を握る。弁慶の握力も強いがプリムラは更に強かった。
(何だこいつの握力・・・壁超えクラスか)
「あまりターゲットを傷つけるわけにはいかないからすぐに終わります」
「ぐ、この。捕獲ってことはどこの誰かが私たちを欲しがってるってこと?」
「答える義理はありません。どうせすぐに会えます」
プリムラは握力を更に加えて弁慶を締め落とした。弁慶は朦朧とする中で義経の名前を呟いた。
「弁慶!?」
「弁慶ちゃん!?」
「余所見は危ないですよ」
ガキンっと鉤爪と刀が交差する。
「そうそう。実質2対1で勝てるの?」
次は杖が鋭く振るわれた。義経は防戦一方のため攻撃ができない。鋭い鉤爪の斬撃に杖の連続打撃。捌くだけでも一苦労なのだ。
(この2人強い。しかも今まで戦ってきた人たちとは何か違う凄味がある)
鉤爪を刀で受け流し、杖は打ち落とす。しかし攻撃は止まない。次から次へと容赦の無い攻撃が続く。
せめての救いは相手は義経たちを捕獲対称としているため急所となる箇所や重症にならないようにしか攻撃してこない。
(この2人をどうにかして清楚先輩だけでもここから逃がさないと)
義経は防戦の中で無理矢理距離をとる。そして刀を鞘に戻し、腰を低くして構えた。その構えを見た2人は動きを止める。
「・・・居合い。横一文字ですかね?」
居合い。
相手を自分の間合いに誘い込み、神速の如く速さで相手を断ち切る剣技だ。
この技なら相手も迂闊に近づいてこない。
居合いは誰もが使える剣技だが極める者は一握り。義経もまだまだ未熟。しかし義経の居合いは既に必殺の一撃になり得ている。
「すう・・・はあ」
息を吸って吐く。これで2人をまとめて倒せるから良し。時間を稼いで九鬼に助けを求めるの良しだ。
だが義経はこの居合いで2人を倒すと決めた。
(2人を倒したら次は早く弁慶を助けないと)
「・・・ビアンカは私の後ろに。私が先頭に立とう」
「はいはぁい。了解したよユージェニー」
ビアンカはユージェニーの背後に立つ。これを見た義経は1人を盾にしてもう1人が攻撃してくるのだと予想した。
(関係ない。2人まとめて倒す!!)
ユージェニーたちが走り、義経の間合いに入る。
(今だ!!)
神速の如く刀を抜刀。ユージェニーたちを断ち切るつもりだった。だが声が聞こえた。
「何をしているのですか。抜刀なんてさせなければよいでしょう」
声を聞いた後で義経の目に写ったのは弁慶だった。
「弁慶!?」
抜刀が止まり、弁慶を急いで受け止める。
何が起きたかなんて簡単だ。プリムラが弁慶を義経の前に投げたのだ。そんなことをされれば義経の性格上抜刀が止まる。そして弁慶を助ける。
「そこが貴女の油断です」
プリムラの声がまた聞こえた瞬間に義経の意識は途切れた。
「後は貴女だけです葉桜清楚。懸命な判断をしてもらいますよ」
「義経ちゃん、弁慶ちゃん・・・」
「どうしますか。大人しく同行してくれますか?」
「・・・これでも私は偉人のクローンです。何もしないで捕まりません」
「残念です」
清楚はプリムラに走って向かうがいつの間にか後ろにいたビアンカとユージェニーに意識を刈り取られた。
「まずは第一段階完了ですね」
日常はどんな時も急な変化を起こす。
読んでくれてありがとうございました。
感想などあればガンガンください!!
前半はぐだぐだな日常回。後半は物語の急展開でした。
ついに動き出した悪宇商会の戦闘屋。壊す目的では無くて捕獲でしたが裏社会の闇が義経たちを襲います!!
次回からは九鬼や真九郎たち、川神が大忙しです!!
では次回もゆっくりとお待ちください。
急展開だから調整しないとなあ