妹がいましたが、またさらに妹が増えました。   作:御堂 明久

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お兄ちゃん争奪戦二回戦目!
やっべぇ、これ凄い長くなりそうや!しかしネタは無い!
今回は少し色気を出していこうと思いますが、エロくはないぞ!
ポロリを期待しても無駄......では、ないかも?

ま、まぁとにかく。
どうぞー!



義妹vs.実妹、お兄ちゃん争奪戦!2

 

ひょんなことから始まったお兄ちゃん争奪戦(仮)。

正式名称からサービスカットに対する多大なる期待を寄せられている(誰にだよ)このイベントは、第1試合目にして凄惨極まりない状況を生み出してしまっていた。

 

「やばっ!カサハラくんがオムライスに殺られた!救急救命士(メディック)救急救命士(メディック)を呼んで!」

「あわわわわ、ど、どうしよう!どうしようお兄ちゃん!」

 

というのも、お兄ちゃん争奪戦の初戦のお題、『料理』において飛鳥が生成した兵器、もといオムライスがいつものように爆散し(この時点で異常であるということを忘れてはいけない)、卵に包まれたケチャップライスが散弾銃のように笠原に突き刺さっただけなのだが。

ちなみに、飛鳥の料理の腕を知っていた俺や(ひいらぎ)、そしてたまたま生き残った光男さんは無事である。おお笠原、しんでしまうとはなさけない。

 

「......まぁ、沸騰したお湯でもかけとけば3分で蘇るだろ、笠原だし」

「笠原くんはカップラーメンが擬人化でもした存在なのですか?」

 

光男さんが額に汗を滲ませながらそんなことを聞いてくるが、そんなことは知ったことではない。俺としては妹たちが無事で良かったという気持ちのみを抱いているのであり、それに比べたら笠原の犠牲など大した問題ではないのだよ。

慌ててお湯を沸かし始めた飛鳥(あすか)を必死に止める光男さんを尻目に、柊が仕切り直したように宣言した。

 

『え、えー!ではでは!初戦は詩音(しおん)ちゃんの勝利でした!続いて2試合目に移りましょう......2試合目のお題は!ででん!』

 

柊が声を上げると、どこからか効果音が流れ、ソレと同時にこれもどこからかパネルが出てきた。そこには文字が書いてあり。

 

『2試合目のお題は......《看病》です!』

 

............看病?

俺はお題の意味が良く分からず、首を捻った。

 

 

* * *

 

 

『では、お題の説明です。シチュエーションは......愛するクスノキくんが風邪を引いてしまった!!ここは自分が看病して、一刻も早くお兄ちゃんに元気になってもらわないと......!!です』

「ふむ」

『看病スキルというものは、高ければ高いほど早く、そして確実にお兄ちゃんを元気にしてあげることに繋がりますね?』

「そうだな」

『故にこれが第二のお題!“どちらがクスノキくんにより上手い看病をしてあげられるか?”それが評価ポイントです!』

「なるほど」

 

柊の説明に俺は頷く。なるほど、俺がいきなり柊に連行され、我が家には無かったはずのベッドに寝かされた意味がよく分かった。というか、この部屋自体に覚えが無いのだが。どう考えても家が広くなっている。物理法則捻じ曲げんな。

 

「......で、俺が風邪引いた演技をするのか」

「そりゃあね!お兄ちゃんだもの!公平なジャッジを頼むよー」

「風邪を実際に引いてないからなー。難しいかも」

「一応風邪のウィルス採ってきてるけど。打つ?」

「どこで手に入れてきた......ッ⁉︎い、いらない」

 

俺は柊が差し出してきた注射器を全力で押し返した。妹たちは現在、準備時間ということで隣の部屋に移動している。恐らく看病用の道具などを用意しているのだろう。光男さんは笠原の蘇生作業中だ。

 

「んじゃ、ボクはモニター室で見てるから」

「待て、モニター室なんてウチには無いぞ!お前どんだけウチに新しい部屋を造ったんだ!」

「にゃはは、ばいばーい」

 

カラカラと笑いながら部屋を出て行く柊。

相変わらず底の知れない友人だが、俺は諦めることにしてベッドに寝転がった。

そういえば、いつ飛鳥たちが来るのかなどは聞かされていない。どんな感じでくるのかも。

 

「.........む」

 

俺は、自分が少しこのイベントを楽しみ始めていることに気づき、ちょっと悔しい気分になる。

 

数分後。部屋のドアが開いた。

入ってきたのは......。

 

「お、お邪魔しますっ!」

「飛鳥か......っ⁉︎」

 

最初に入ってきたのは飛鳥であった。飛鳥であったのだが......。

 

「......何、その格好」

「だ、だって!伊織(いおり)さんが着た方がお兄ちゃんが喜ぶからって......うぅ、や、やっぱり恥ずかしいよー!」

 

飛鳥は、純白のナース服を着ていた。

しかも少しサイズが飛鳥には小さかったのか、身体のラインがハッキリと浮き出てしまっており、中学生にしては大きめの胸が激しく自己主張していた。元々色白な上に服まで白くなったため、ほんのり赤く染まった頬が映える。

まさに白衣の天使。......グッジョブ、柊。

俺は内心ヒャッハーしている感情を表情に出さないようにしつつ、未だドアの前でもじもじしている飛鳥に呼びかけた。

 

「えっと、飛鳥?どうする?恥ずかしいならリタイアしても良いんだぞ?」

「うっ......う、ううん!する!看病するよ!」

「お、おう......そうか......」

 

いつになく気合いの入っている飛鳥に気圧されながらも、俺は演技を開始することにした。

 

「ゴホッ、ゴホッ......あ、飛鳥か......看病しに来てくれたのか......?」

「う、うんっ!そうだよ。大丈夫、お兄ちゃん?」

「あぁ......」

 

患者への気遣いの言葉、加点。

 

「えっと、冷えピタ貼るね?」

「......あぁ、ありがとう」

 

体温を下げるための処置、加点。

 

「おかゆ作ろうと思うんだけど、食欲ある?」

「全然無い、無いぞ」

 

思いやり故の行動だとは分かっている。だから減点はしない。しかし兵器の錬成はもう良いんだぞ。本当に、今日はもう良いんだ......。

俺がげっそりし出すのを見て、飛鳥が慌てだす。しかし、それ以外はとても模範的な看病を施してくれ、元々快調だったが、更に元気になってくる錯覚さえ覚えた。流石だ。

 

「ありがとう、飛鳥。大分楽になったよ」

「う、うん!じゃあ、飛鳥は行くね。もし何か欲しいのがあったりしたら言ってね?」

「あぁ、ありがとう」

 

最後の最後まで加点をかましながら飛鳥は部屋を出て行った。これは詩音もそう簡単には勝てないだろうな。少なくとも料理のようにはいくまい。

俺はしばらく、飛鳥が看病の際に持ってきてくれたスポーツドリンクをストローを通して飲んだりして暇を潰す。水分補給をしやすいようにスポーツドリンクをチョイスする、弱った(という設定の)俺が少ない動きでスポドリを飲めるようにするためにストローを付けるなど、細かいところまで気遣われている。更に飛鳥の勝率が上がった。すると......。

 

「失礼します、お兄ちゃん」

「ん、詩音か......」

 

詩音が入ってきた。

俺はまたも具合の悪そうな表情を作り、詩音の方に視線を向け......。

 

「ッ!」

「?どうかしましたか、お兄ちゃん」

 

......ようとして、全力で目を逸らした。

というのも、詩音も飛鳥と同じくナース服を着用していたのだが......。

 

「し、詩音!前っ!前を閉めてくれ!」

 

ナース服の前のボタンが上からいくつか外れており、詩音の、飛鳥に負けず劣らずの色白の柔肌と、ピンクの可愛らしい下着が覗いていたのである。

俺は詩音から目を背けたまま、顔を赤くして問う。

 

「な、何でそんな格好......!」

「......お兄ちゃん、こんな話を知っていますか?」

「な、何を......」

「風邪は、誰かに感染(うつ)すと早く治る、と」

 

寒気がした。

俺は目の前に立つ義妹が何をしようとしているかは完全には理解出来ていなかった。しかし、本能が警鐘を鳴らしている。

 

貞操が危ない、と。

 

「さぁ、お兄ちゃん!身体と身体を密着させ、私に風邪を移して下さい!服越しより肌同士が合わさった方が感染(うつ)し易いでしょう、服を脱いで!」

「おわああああ!ちょ、落ち着け詩音!」

 

胸元が大きく開いた状態で迫ってくる詩音。俺は咄嗟のことで身体が固まり、ベッドから逃げ出すことが出来なくなっていた。

詩音が俺の腰辺りに跨り、馬乗りの体勢になる。

 

「な......な......」

「......お兄ちゃん」

「......っ⁉︎」

 

後ろのドアがガチャガチャと鳴り、ドアノブが動く。しかし一向に開く気配はない。恐らく詩音がここに入ってくる前に鍵を掛けたのだろう、相変わらず慎重な性格をしている。

 

「さぁ......私に感染させて下さい......口移しで」

「ウィルスの口移しなんて聞いたこと無いんですけど⁉︎コレ演技だから!演技だからああああっ!」

 

部屋中に俺の絶叫が響き渡った。

 

 

* * *

 

 

第二回戦は飛鳥の勝利で終了した。

あのあと、すんでのところで飛鳥がドアを破壊(その場でおにぎりを作り、小規模の爆発を起こしてドアを吹き飛ばすという離れ技によって)し、最早ブラジャーのホックすらも外したあられもない姿の詩音を引きずって退室していってしまった。

正直、あの行動はもっと前置きがあればご褒美になり得たのだが、看病という面では飛鳥の完勝だろう。というかアレは看病だったのか。

急な展開に疲労が溜まり、思わず溜め息をつく。

 

「つ、疲れた......」

「さっきはおたのしみでしたね」

「......光男さん」

 

ふと横を見ると、未だ意識を失ったままらしい笠原にお湯をかけながら苦笑する光男さんの姿があった。

.........いや、結局かけてるんですか、お湯。

 

「お楽しみて。貴方の娘さんは随分お淑やかになられたようですね」

「もちろん。僕の自慢の娘ですよ。」

「........」

 

皮肉なのだが。

と、光男さんが不意に口を開いてきた。

 

「感謝してますよ、祐介(ゆうすけ)くん」

「え?」

「あの子は母親が亡くなってから笑顔を見せたり、あんな風にはっちゃけたりすることが極端に少なくなっていましたから......あんなに楽しそうな詩音は、久しぶりに見たんですよ」

「......そうですか」

 

この人も、いかに妹萌えの変態とはいえ、やはり父親なのだ。娘のことが心配だったのだろう。

俺が光男さんと談笑していると、柊が出てきた。

 

『はいはーい!二回戦目は飛鳥ちゃんが勝利しましたー!これでスコアは1対1!まだまだ面白くなりそうですー!』

 

心底楽しそうな奴がもう一人いた。

にこにこ笑いながら柊は三回戦目のお題を告げる。

 

『さてさてー、お兄ちゃん争奪戦三回戦目のお題は......これだっ!ででん!』

 

またもどこからか出現したパネルに書かれていた文字。それは......。

 

......《掃除》。

 

別に普通のお題だ。そう.......お題自体は。

 

「マズい......っ!」

 

しかし、俺という個人にとっては凄まじい不利益をもたらす行動である。これはいけない。

 

「一刻も早く、隠さなければ......っ‼︎」

 

俺は、柊が俺の部屋に入った際にリビングにあった棚の中に入れ......このイベント用のセットの建設の際に移動させられ、今やどこにあるかも分からない聖典(エロ本)を見つけ、再度隠すために走り出した。

 




これはポロリではない、チラリズムだ。

さぁ、第3回戦は掃除!
次回は家の中で行方不明となってしまったエロh...もとい聖典を探す、祐介の行動が中心として動きそうです。少し妹の出番は減るかも?

このペースだと1話に1競技になりそう......。
長くなるであろうお兄ちゃん争奪戦。お付き合い下さい。

ありがとうございました!

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