この1話では終わらず、結構長めになりそうです。
まだまだ序章であると意識した上でどうぞ!
俺はリビングで絶叫していた。
「
ルールは簡単。とにかくお兄ちゃん......つまり俺、
とにかく。そんな他愛もないイベントが我が家にて行われようとしていたのだが......俺たちが一旦和室からリビングに移動しようと、ドアを開けた瞬間、先程までには我が家に無かったモノが出現していた。
「誰がこんな大掛かりなセット作れっつったよ!え⁉︎ていうかいつ作ったの⁉︎」
......そのイベントの開催を聞きつけた柊&笠原の害悪コンビが、またやらかしてくれたのである。
そう、このイベントを開催するという話は今さっき出たばかりなのだが、基本スペックがやたら高い柊は、俺と、俺の義妹である
「ふふー、こんな面白そうなイベント、盛り上げないのは嘘だよねっ‼︎ボクたちに任せときなよ!壮大な泥仕合を演出してア・ゲ・ル!」
「良いじゃねーか!要するにアレだろ、義妹ちゃんと実妹ちゃんが祐介を取り合うんだろ⁉︎幸せ者だなー!このリア充めっ‼︎」
「うっせー!」
この馬鹿共、的確に俺を煽ってきやがる!
しかもこのセット......!!
「凝り過ぎだろ......!」
......セットの外観としては、バラエティー番組のように明るい色調の謎素材でリビングが覆われており(ウザい)、その上からLEDライトと思われるイルミネーション的なヤツが張り巡らされ、チカチカ光っている(ウザい)。さらに天井には『より可愛い妹はどっちだ⁉︎』と大きく描かれており、その周りを『妹』と形作られたオブジェみたいなのがぶら下がっている(ウザい)。遂には、いつ撮ったのかは定かではないが、我が実妹、
と、今まで驚愕の余りフリーズしていた飛鳥たちが再起動し、それぞれの感想を述べ出す。
「す、凄い......!伊織さん、笠原さん、こんなの作れたんですか⁉︎本当に凄いです!」
「こ、こんなのを1時間掛けずに作るなんて......柊さんたちは人間を辞めているのでしょうか......」
「とりあえず、あとでそのパネルは貰っていいですか?」
もう俺は光男さんを父親と思えないかもしれない。
「ふっふっふ、さあクスノキくん!舞台は整ったよ!」
「祐介ええええ!負けたら承知しねぇぞ!」
親指を立てながら俺を鼓舞するこの
とにかく、勝手に我が家のリビングに設けられた勝負の舞台。ついに、実妹vs.義妹のドリームマッチが開幕した......。
* * *
柊のマイク(どこから持ってきた)を通してのタイトルコール。
「『ドキッ!妹だらけのお兄ちゃん争奪戦!ポロリもあるよ!』開催ーーー!いえー!」
『イェェェェェェェェェェェェェイ!』
地声で窓を震わす野郎2人で構成されたオーディエンス(無論、光男さんと笠原である)。
そしてお互い腕を組みながら対峙する2人の妹。
「負けないよっ、詩音ちゃん!」
「お姉ちゃんとはいえ、今回ばかりは譲れませんよ......」
俺はといえば、そんな光景を傍観しながら、リビングにあった椅子を改造したと思われる、玉座のようなモノに腰を下ろしていた。元より座り心地が良くなっているのがカンに触る。
俺は柊に問うた。
「......なぁ、何で俺こんなところに座ってんの」
「んー?クスノキくんはある意味この企画のメインだからね。そこで飛鳥ちゃんたちの奮闘を見守っててよ」
「............」
もう何も言うまい。俺は流れに身を任せることにした。後のことは知らん。柊の説明が聞こえる。
『えー。まずこの企画のルールですがー。今からお二人には、様々なお題をこなして頂きますー。それらは全て、2人が愛するクスノキくんを幸せにするために必要なスキルが求められるものばかりです』
「「.........ッ!」」
息を呑む妹2人。ノリ良いなコイツら。
『そして全てのお題をクリアした後!どちらの妹がより良い妹だったか......クスノキくん自らジャッジして貰います!』
「マジか......」
『拒否権はないですよー。.......では、早速始めましょう!最初のお題は......定番の!《料理》だあああああ!』
飛鳥敗北の未来しか見えないんだが。
* * *
〜詩音side〜
柊さんとかいうお兄ちゃんの友人が改造を施し、いつもの二倍以上の大きさになってしまっているキッチンにて、お姉ちゃんと並んでお題である料理をしながら。
(勝った......!)
私、雨宮詩音は勝利を確信していた。
確かに手料理はお兄ちゃんの肥えた舌を満足させるために必要不可欠なスキル。しかし......お姉ちゃんはそのスキルが著しく欠如している!
私は知っている。お姉ちゃんが過去に肉じゃがを兵器に錬成したことを。
私は知っている。お姉ちゃんがつい最近目玉焼きを完成から僅か5秒で消し炭にしたことを。
私はお姉ちゃんに勝ち誇った笑みを向けた。
「初戦は私が頂きましたね」
「ふっふっふ......それはどうかな?」
「えっ......!?」
「私だって今までずっとお料理の特訓はしてきたし......詩音ちゃんに対して、私はあるアドバイスケージを持っているんだよ!」
アドバンテージと言いたいのだろうか。
しかし、アドバンテージ?一体何のこと......!?
お姉ちゃんは調理器具を持っているであろう腕を動かしながら(ちなみに、手元は仕切りのようなもので見えなかった。用意が良い)言った。
「ふっ、詩音ちゃん......詩音ちゃんは、お兄ちゃんの大好物を知ってる?」
「........っ‼︎」
しまった......!そういうことか!
確かに私はお兄ちゃんの大好物というものを知らない。というのも、お兄ちゃんにはそこまで好き嫌いというものがなく、私の前では何を食べても「美味い」としか言っていなかったからだ。しかし、お姉ちゃんはその中でもお兄ちゃんが特に好きな、『大好物』を知っている......!?
作る料理が自由なこの勝負、マズいか⁉︎
「付き合いの長さの利だね!例え詩音ちゃんより少しお料理の腕が下でも......私がお兄ちゃんの大好物の、オムライスを作ってあげれば勝機はあるよ!」
「.......................」
「...................あっ」
私はその場で、作りかけのハンバーグを躊躇いなく破棄し、速攻でオムライスを作り始めた。
数十分後、お兄ちゃんの前に運ばれたのはオムライスと表面が焦げたお皿の二つ。
.......初戦は私の勝利だ。
はい。初戦は飛鳥の惨敗です(笑)
これはお題が悪かったですね!
しかし、飛鳥の特訓の成果も出ているようで、完成してから消滅までの時間が20秒まで延びていたようです!
次回も争奪戦は続きます!
あ、あと争奪戦のお題の内容にリクエストがあったら感想に添付するなりメッセージで送るなりして教えて下さい!ネタが.......w
ありがとうございました!感想待ってます!